レンジャーショウの類は単なる集客目的と思っていた。だが実は違った。

リュウソウジャーや仮面ライダージオウなど、スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズは世代が変わっても、代々新しいヒーローが生まれ続け、いまや小さい子共にとっては見逃せない存在です。

そんなヒーローについては、「リュウソウジャーショー」とか、「仮面ライダージオウショー」といった実演ショーが、日本各地で開催されています。

スーパーヒ戦隊などのヒーローの実演ショーは、日本全国至る所で開催されている。

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実演ショー

私も子供を連れて、何回かそのようなショーに行きましたが、毎回、楽しそうに無邪気に喜ぶ子供の姿を見ていますので、機会がある度に足を運ぶことを心がけています。

ネットで検索すると、各地で行われるショーを調べることができますので、居住地周辺で行われるショーがあれば、都合が付けば行くようにしています。

そのようなショーは、通常ショッピングセンターやイベント会場などで開催されますが、私が実際に足を運んだケースでは、ほとんどがショッピングセンターで開催されるケースで、1つだけ住宅展示場で開催されたものがありました。

こうしたイベントには、ショーを見るために訪れる小さな子供とその親などの家族連れの客が多く訪れますので、開催地は大勢の人で混雑することになります。

多くの人で混雑したリューソージャーショー

中には、開始時刻よりもかなり前に並んだり場所取りをしたりする人もいて、子供にとって凄い人気があることを物語っています。

仮面ライダージオウショーの会場。開始1時間前から、このように場所取りがあるほど人気。

全く興味が無い人から見たら、「いったい何を好き好んで、わざわざ苦労して待っているのだろうか?」との思いを抱く人もいるかも知れません。

集客目的ではある

さて、それだけ人が集まるわけですから、こうしたイベントは集客力を持っていると言えます。

従って、開催地の店舗などにとっては、人を集めることによって営業を促進するなどして利益に結び付けようとすることができます。

この種のショーは、集客効果を狙った一面はある

例えば、ショッピングセンターで開催される場合、そのショッピングセンターへ足を運ぶ人が増える訳ですから、その来客増加によって販売増加が期待できることになり主す。

実際に私が先日、あるショッピングセンターで行われたリュウソウジャーショーへ足を運んだ時も、通常は埋まらない駐車場が早々に満車になっていましたし、イベント会場には多くの人が詰めかけていました。

さすがにこの種のイベントがあると、ここまで違うものかと感じ、このようなイベントには集客効果があり、その目的で開催されることがよく分かります。

本当に集客目的だけか

しかし、先日足を運んだ「リュウソウジャーショー」のイベントの一部始終を見ていて、ふと「果たして、単なる集客目的だけなのだろうか?」という素朴な疑問が沸きました。

と言うのは、もし集客目的で店側がこのショーのイベントを依頼しているとすると、実際にショーを演じる側が必要とする経費をまかなえていないと感じたわけです。

例えば、今回のリュウソウジャーショーの場合、戦隊の演技は5人で悪役は4人、そして解説する専用のスタッフが1人で、それだけでも10人いました。それ以外に、設営や音響などの担当者もいますし、一日二回の実演でも、一日がかりの仕事になります。

仮に10人分の一日の人件費を少なく見積り、これに移動や設備の準備などの費用を加えると、ショーを開くのに必要な費用は、20万円は下らないことでしょう。

ショーを実施するために、何人ものスタッフが関わっている

一回のイベントでざっと見たところ、集客数は多く見積もってもざっと200家族、2回の開催でも400家族だとすると、20万円の元を取ろうとすると、1家族当たりから、

200000÷400=500円

の利益をあげなければならない計算になります。

仮に利益率50%だとすると、500円の利益をあげるためには1000円分の売上をあげなければならないことになります。

しかし、ここで言う1000円は、イベント開催によって効果が得られる売上増加分を意味します。

従って、普段からこのショッピングセンターを利用している人がイベント開催の日時に合わせて足を運ぶだけであれば、イベント開催日の売上が増加しても他の日の売り上げが下がるので、実質的な売り上げ増はそれよりも低いという見方ができます。

また、200家族も訪れていれば、イベントだけを目的として、全く買い物をしない人や、ほとんど買い物をしない人もそれなりの数にのぼることでしょう。

更に言えば、上記の試算において、開催に要する費用20万円は低く見積もっていますし、昨今のデフレが続く中で、利益率が50%にも及ぶような商品などは、全体のごく一部と見るべきです。

多くの人が集まるが、単なるその日の集客目的だけとは考えにくい

そして、イベント開催地側(ショッピングセンターのスタッフ)にとっても、準備や片付けに要する工数(人件費) がそれなりにかかっていることも考えられます。

実際、私が見たところでは、ショーを開催する側のスタッフの他に、ショッピングセンター側のスタッフが数人おり、ショー開催時の人の誘導や管理などに当たるのはもちろんのこと、片付けにも何人もの人が作業に当たっていました。要は、それだけ人と時間を掛けているとうことです。

以上のようなことを考えると、単なる集客だけを目的としたものと考えるのは少し違うと思わざるを得ません。では、他に何のメリットがあって、このようなイベントを開催するのでしょう。

実演側にもメリット

このことを考える上で念頭に置いておかなければならないことは、ショーを実演する実施側も、開催地に招待する実施してもらう側も、双方にメリットがあるからこそ開催されるということでしょう。

今、イベントによって利益を得る団体を考えてみると、スーパー戦隊などの視聴率が上がることでテレビ局は収益を伸ばすことができますし、また、その番組のスポンサーになっている玩具メーカなどは売り上げ向上が期待できますから、これらから何らかの支援があると考えられます。

つまり、実際にショーを実演するのはショーなどを請け負う専門の会社でしょうから、その会社へテレビ局や番組スポンサーなどが何らかのサポートをしていると考えるのが自然です。

それが実際にどのような内容のサポートかについては、関係者しか分からないところですが、このことを推し量る上で、その時2つのことが目に付きました。

1つ目は、以前見に行った仮面ライダージオウのショーにおいても、今回見たリュウソウジャーのショーにおいても、いずれもテレビでの放送が開始された直後に行われていることです。

また、2つ目は、ショー開催直後にその場でサイン入り色紙及びサイン入り缶バッチの販売を行っていて、多少なりとも収益を確保しようとしていることです。

1つ目については、スーパー戦隊の放送開始の直後に実施されるということは、その番組の視聴率向上を期待してのことでしょうし、関連した玩具などメーカにとっては商品の販売促進上で、より大きな効果につながります。

番組の放送開始直後であるほど宣伝効果が高い

番組開始から時間が経過すればするほど、それらの効果は低下していきますから、イベント時期をその時期にしているのは、それらの効果を狙った一面があることに間違いはありません。もちろん、テレビ放送開始直後ばかりではありませんが、全体にその傾向があるのは事実です。

2つ目については、イベント終了後にサイン色紙などを買い求めた人は、私が見た感じ、百数十人ほどいましたので、1枚500円するサイン入りグッズの売り上げは、7~8万円ほどになります。

握手会でサイン入りグッズを求める人も多い。

これらグッズの原価は決して高くはないものなので、グッズ販売による利益は数万円にはなると推測できます。

これは、グッズを作るメーカとショーを行う企業とが強く結びついていることを表していると同時に、イベント実施に伴う経費を見かけ上抑えようとしている意図があると感じました。

長期的な投資効果

これら2つのことを念頭にして考えると、この種のイベントは、決して目先の利益などを求めて開催しているのではなく、むしろ赤字覚悟の長期的な宣伝効果を狙っていることが推察できます。

開催地側がイベント召致のため、どの程度の出資をしているかは定かではありませんが、上記で述べたように、決して元を取れるという額ではないでしょう。

とは言っても、ショーを実施している側にとっても、数値には反映されないくらいほどの微々たる視聴率向上や、わずかな売り上げ向上などを考えれば、投資した分の効果が得られているのかと疑問が沸くところです。

では、元の取れないことを企業や会社などの営利団体がやるかと言えばそうではありません。

イベントを開催することで、話題性は上がりますし、イベント参加者による口コミや、その波及効果が期待できるはずです。

開催地側にとってみれば、その日の集客数が元を取れる数に到らなくても、イベントを開催することによって、そのショッピングセンターに初めて足を運ぶ人をリピーターにできる可能性が持てます。

また、単なる店舗という枠だけではなく、その地域のひとつのコミーティーの場として注目を得ることもできます。

更に、イベントに実際に参加した人からの口伝えや口コミなどの波及効果も期待できるでしょう。

一方、ショーを開催する側からすれば、このようなイベントをコツコツ積み重ねることで、数値に反映されるような視聴率の違いにもなってくるのでしょうし、グッズの販売も長期的には売り上げ増につながることでしょう。

視聴率などは0.1%変わっただけでも収益が大きく変わるという話もあるくらいですから。

そして、スーパー戦隊や仮面ライダーはシリーズ化していますから、いっとき限りでは無く、1回1回のこうした投資によって、その後の視聴率の維持向上や玩具の売上向上につながって行くことが期待できるのでしょう。

実演ショーの地味な積み重ねがシリーズ化したヒーロー番組の人気を維持する

以上のように、単に1回のイベント開催として見た場合は、単なる集客としての意義は決して大きいとは言えません。

しかし、長期的に見た場合、ある種の広告として働き、その意義が大きいと言えます。単純な見方をすれば、単なる集客と見えるこのようなイベントも、ちょっと掘り下げただけで、その意義の深さが見えてくるものですね。

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