子育てをしていると、古くから伝わる童話や物語のストーリーに込められている、教訓のようなものを感じることがしばしばあります。
特に、子供に道徳的なことを教えたり、子供にあるべき道を示したりする時に、「あの昔話にこんな話があったなぁ」と自然と頭に浮かんできます。そんな童話や物語などの昔話の中から、特に印象的なものを五つ選んでみました。
「北風と太陽」
これは、子供にあるべき姿を教えるというよりも、「親が子供に接する姿勢はこうあるべきだ」という意味で、私の頭にいつも思い浮かぶ物語です。
子供に接する上で、何かと「ああしなさい」「こうしなさい」「これはダメ」「あれはダメ」などと、力ずくで何かをさせようとするものです。
しかし、このようにしても子供には子供のペースがありますし、言われたからと言って直ぐにできるものでは無いので、なかなか行動に結びつかないものです。
そうした子供がなかなか行動に移せない姿をみると、ますます力づくで「早くしなさい」「何やってんの」などと言い放ってしまいがちなのですが、そういったところで子供の行動がそれほど変わるわけでもありません。
しかし、子供がたとえぐずぐずしていたり、うまくいかない姿を見せていたりしても、親が忍耐強く、温かさを持って励ましてあげると、却って自発的な心や、やる気が生まれて結果として上手く行くものです。
つまり、子供に対して頭ごなしに力強い言葉で指示をしようと思う場面に遭遇する度に、「北風」ではなくて「太陽」にならなければと自戒する思いが出て来るのです。
この物語を思い浮かべては、「内心は子供のもたつく姿などにイライラしていても、表向きは暖かく励まして行かなければ」と、常に自分に言い聞かせるようになるのです。
「金の斧」
この物語は、「正直者は得をする」という話ですが、子供が何かを誤魔化そうとする場面に遭遇した時などに、思わず語りかけたくなる物語です。
「欲張って、嘘をついてまで得をしようとするような姿があれば、それは却って損をするものなんだよ」という正直であることの大切さを教えるには、とても役立つ物語です。
私の子供もそうですが、小さい子供は、お菓子が欲しいからとか、叱られたくないから、といった単純な動機で、何かを偽り誤魔化そうとすることが間々あります。そんな時にこそ伝えたいと頭に浮かんでくる物語がこの「金の斧」なのです。
「狼少年(嘘をつく子供)」
この物語は、「嘘つきは肝心な時に信じて貰えなくなる」という話ですが、子供が嘘をついた時などの戒めのために語りたくなります。
「嘘ばかりついていると、誰も信じてくれなくなるよ」という、嘘は悪いことを教えるために便利な物語です。
いつも嘘ばかりついている子供は、そうそうはいないでしょうが、何かあると嘘をついてしまうのが子供です。ちょっとした嘘ならまだしも、「こんな嘘は絶対についてはいけない」と言った場面に出くわしたら、力強く語ってあげたくなる物語がこの「狼少年」です。
「アリとキリギリス」
この物語は、「遊んでばかりいると将来、自分が困る」という話ですが、勉強を後回しにして遊ぼうとする子供の姿を見ていると、「キリギリスになるよ」と伝えたくなります。
「勉強を怠けて、遊びなど楽しいことばかりしていると後で困るんだよ」という、遊んでばかりではいけないことを教えたい時に適した物語です。
子供はとかく、目先のことばかりに目が行ってしまいますし、楽なことばかりを優先しようとするものです。そんな姿が目に余るような場合で伝えたくなる物語が「アリとキリギリス」です。
「舌切り雀」
この物語は、「意地悪や欲張りはダメ」という話ですが、子供が意地の悪いことをしたり、欲張ったりした時に、教えたくなる物語です。
「欲を張らず、優しく親切でいるといいことがあるし、反対に、欲張りで、意地悪だと良くないことを招く」という、立派な人であるべきことを教えるのに役立つ物語です。
我が家でも長男が次男に対して意地悪をしたり、おやつやなどを欲張って独り占めしようとしたりすることがありますが、そんな時に「意地悪や欲張りはダメだよ」と教えたくなる物語が「舌切り雀」です。
以上、子供と接していて頭に思い浮かんでくる昔話を5つ選んでみました。これら5つのうち、舌切り雀を除く4つはイソップ物語なのですね。
イソップ物語は紀元前にギリシアで生まれたのが起源だと言われていますが、2000年以上を経た今日にも語り継がれるというのも、人間の普遍的な道徳を説く面が強いからと言えるのではないでしょうか。
今回この記事を書いたことで、童話や物語でありながら、何かと学べるものがあるものだと、改めて感じました。