原因はほんの些細なことなのですが、長男と次男、何かあると直ぐにケンカをします。
それこそ小さな争いごとなら、ほぼ毎日のようで、時には親が仲裁に入ります。
そんな時に私がよく口にするのは、
「お前は、お兄ちゃんなんだから…」
という言葉ですが、話していて、ちょっと兄の方が可愛そうかなぁと感じることもあります。
そんな日常のやりとりをしていて、ふと思ったことは
「長男と次男(兄と弟)ってどっちが得なんだろう?」
という素朴な思いでした。
よくケンカをする
さて、兄弟ゲンカをした場合、その原因は、食べ物の取り合いや、打った、つねった、引っ掻いた、或いは言い争いから発展する時など色々あります。
これを大人から見れば、「こんな些細なことで…」と思いますが、子供から見ればそうは思えないのでしょう。
私がケンカの仲裁に入ると、
「お兄ちゃんが先に打った」
「違う!先に打ったのは俺じゃない」
などの会話になります。
そんな時、対等のレベルで争っている兄に対して
「お兄ちゃんなんだから、少しは多めに見てあげなさい」
のように諭すのですが、長男はなかなか受け止めきれないのが現実です。
そして、「お兄ちゃんなんだから…」と言いながらも、これは次男の方がちょっとやり過ぎと思えることもあり、言っていながら「ちょっと長男が可愛そうかなあ」と心で思って、ロには出さずに黙っていることもしばしばです。
兄は弟より年上だから、その分だけ責任も重く見られるのは、ある意味、当然です。
しかし、状況次第では弟の責任が問われることもありますが、それでも年が上だということで、大抵の場合は兄の責任が問われます。
どっちが得か?
これを見た時、より大きな責任を求められる兄って損で、幼いから庇われ甘えられる分だけ弟が得なのかなぁと感じます。
しかし反対に、こうした経験によって兄には責任感が強く具わり人間としてより立派になり、弟は甘やかされる分だけ自立する力が弱くなるのかと考えると、損するのは弟なのかも知れないとも思えます。
実際に世の中の兄弟を見ると、兄は割としっかりしている傾向にありますし、弟は兄と比べるとその点では弱いのかなぁと感じます。
そして、こうしたことは、何も責任感に限ったことではなくて、忍耐力の面でも同様だと感じます。
兄は、「お兄ちゃんなんだから…」と、何かと我慢を強いられる機会があるでしょうから、これだけ見れば兄は損なのかなと言う気もします。
しかし、これも責任感と同様に、却って辛抱強くなり忍耐力が鍛えられる分だけ、人間として兄の方がより大きくなれると言う見方ができますから、やはり損をするのは弟なのかも知れないとも思えます。
こんなことを考えていると、これって損得というよりも、「実際に本人が受ける教育に自然と差が出る」という見方をすべきかと思えて来ました。
つまり、兄はどちらかというと厳格に育てられる傾向を持ち、弟はどちらかというと放任されて育てられる傾向を持つという意味です。
これはある意味、同じ親が同じ方針で子供を育てても、年齢の差がある以上、受ける教育の結果が兄弟で違ってくるという見方ができます。
教育の内容そのもので、直ちに損得が決まるものでもないでしょうから、そういう意味では、一概に兄弟のどちらが損するとか得するとかを論じることではないのでしょう。
他の点では
以上から、親の教育面では、結果として自ずと差が出てしまう傾向にあるとは言えるでしょうが、それ以外の点における損得はどうでしょう。
弟が損だなぁと感じる点として、下の子は上の子のオサガリを多く使うようになるので、少しかわいそうなところがあります。
衣類にしてもそうですが、玩具や学用品などもそうで、弟が使うものの多くは兄が使った中古品ばかりで、新品のものを使えるのは、ごく一部の物だけです。
親の思いとしては、
「兄弟みなに新しいものを…」
とは思いますが、使えるものがあるのにわざわざ新しいものを別に買うのは不経済ですから、自然と中古のものを下の子に与えるようになります。
そうしていると時には、
「お兄ちゃんばかり新しいものズルい!」
なんて言葉が弟の口から出てくるのですが、親としては胸が痛むところがあります。
状況を見て、ちょっと無駄かなぁと思いながらも、弟のために新品を買ってあげることもありますが、やはり、いつも新品を使うことができる兄の方がこの点では得と言わざるを得ません。
「あ~。弟くんカワイそう」
という言葉が出てきそうですが、逆に弟が得だなぁと感じることもあります。
それは、弟は身近な兄の姿を見て育つので、兄から学ぶものが多くある点です。
例えば、兄が小学校に入学して勉強を始めると、その影響を受けて、早く文字を覚えるなど、自然と身に付くことが多くなります。
兄が九九の練習をしているのを聞いていて、弟も自然と覚えてしまいましたから、何か楽して覚えている弟は有利だと感じます。
また、「兄がどのような時に親から叱られるのか」なども身近でその姿を見ているため、「どうすれば親に叱られないで済むのか」などが自然と身に付くなどして、要領が良くなるのですね。
兄がいる分だけ、多くを学べるってことです。
そんなことを考えて、結局は損得を推し量ろうとするのがおかしな話だと思えてきました。実際に年齢が大きくなればなるほどその差は無くなってくるでしょうし…。
最初の子だからと可愛がって来た兄も、末っ子だから可愛いと思える弟も、共に大きな愛情を注ぎ続けて行きたいと気持ちを新たにしました。
「お兄ちゃんなんだから」はよくない!!
ここからは追記になります。
この記事を投稿してから一年数か月が経過したある日のこと、児童心理に詳しい小児科の先生と、子供の教育に関して話す機会がありました。
その時、その先生に言われた衝撃の一言がありました。
それは、
「『お兄ちゃんなんだから』とか『お姉ちゃんなんだから』という言い方は良くない。」
でした。
私が何気なく繰り返し言っていた「お兄ちゃんなんだから」は言ってはいけないと釘を刺されたのですね。
そして、
「もし言うのであれば、『もう〇歳なんだから』或いは『もう〇年生なんだから』と言うべきです。」
とのことでした。
理由はシンプルで、お兄ちゃんだから、とか、お姉ちゃんだから、という理由が理不尽だからです。
これを言われる長男(兄)にしてみれば、好きで兄になった訳でもなく、
「生まれた順番が先だったという理由だけでどうして差別されなければならないのか」
という思いになるのですね。
〇歳だから、〇年生だから、という理由であれば、
「それくらい我慢できないとね」
「それくらい出来ないとね」
「それくらい理解しないとね」
になるのです。
「兄だからそれくらい我慢できないとね」ではないのです。理不尽なんですね。
それ以来、私は「お兄ちゃんなんだから」という言い方はやめました。
皆さんも気を付けて下さい。