アニメ「未来少年コナン」は、主人公でありヒーローでもあるコナンを中心にストリーが展開して行きます。
コナンの周りには、ヒロインの立場であるラナ、相棒であるジムシーがいますが、登場する女性キャラクター「モンスリー」は、敵役でありながら、絶対に居なくてはならない存在です。
そんなキャラクター「モンスリー」の人物像の全てをさぐってみました。
目次
登場人物モンスリーをさぐる
私が、モンスリーについてまとめたいと思ったのは、キャラクターとして非常に重要だと感じたからです。
主人公コナンの敵と言う立場をとっていたモンスリーが、コナンと接する中に最後はコナンの味方として闘うようになる。
そんなキーパーソンのようなモンスリーは、未来少年コナンというストーリーを作りあげるのに、いなくてはならない人物だと強く感じていたのです。
コナンの味方になってからのモンスリーは、強さの中に優しさがあふれ、とても魅力ある女性に見えていました。モンスリーとなら結婚してもいいな、そう思えました。(尻に敷かれそうですが…)
そして、改めてモンスリーについて振り返り、思索を加えて行くと、「モンスリーこそ主人公になれるのでは」という思いが湧いて来ました。
実際に、よくよくストーリーを追っていくと、モンスリーこそ裏の主人公と言える存在です。
未来少年コナンは、宮崎駿氏によって演出された優れたアニメーションですが、その原作はあくまで「残された人びと」という小説でした。
未来少年コナンが初放送された直後、当時まだ小さかった私も原作の和訳本を読んだことがありました。
その原作の原題は「大津波」を意味するタイトルで、少年コナンを中心とする物語というよりも、大戦争後の新たな時代を生きて行く人々を描いた小説でした。
そういう意味でも、
「もしこの物語をモンスリーを中心に描けば、主人公にすらなれる」
そう思えてならないのです。
そしてこのアニメーションをモンスリーを中心に見つめ直した時、新たな感動が湧きあがると同時に、モンスリーがいたからこそ、これだけ素晴らしい作品になったのだと再認識しました。
そして、モンスリーという一人の女性の魅力を改めて強く感じました。
以下、モンスリーの役柄、作品での活躍の概要、モンスリーの人物像、他の登場人物との接点などを中心に、モンスリーの全てに迫ってみます。
モンスリーとはどんな役の人
まず、はじめにモンスリーがどんな役なのか、その概要に触れておきましょう。
モンスリーがどんな人であるかをひと言でいえば、物事に何でも長けたとても有能な若い女性で、太陽エネルギーの秘密を手に入れて世界征服をたくらむインダストリアの行政局長レプカの優秀な部下の一人です。
インダストリの行政局次長として、レプカの指揮のもとで行動し、あらゆる場面の最前線で活躍します。
活躍と言っても最初は主人公コナンの適役で、太陽エネルギーの秘密を知るラオ博士の孫娘「ラナ」を捕えて、レプカの野望を助ける働きをします。
従って、ラナを助けようとするコナンとは敵と言う立場で何度も接し、あらゆる場面に登場してはコナンを殺そうとすることが何度もありました。
モンスリーは、コナンと対決する度にコナンの凄さを感じて行きますが、その思いはやがて、レプカの野望が間違いであることを認識することに繋がって行きます。
ストーリーの後半では、正義感が強く純粋な心を持つコナンの影響で、ついにコナンの味方となり、レプカに反旗を翻すようになります。
そして、最後は命がけでレプカと対決するほどにまでなり、ストリーの中でとても重要な役割を果たします。
実際、全26話のうち、一部を除くほとんどの話に登場し、ひとつひとつのシーンを見ても、その存在感はとても大きなもので、未来少年コナンに無くてはならない役・人物です。
コナンの敵としてのモンスリーと、コナンの味方としてのモンスリーとではまるで別人のようです。「すっぴん」と「極上メイク」くらいの差でしょうか…。(某化粧品広告のBefore-Afterくらい大きい差かも知れません)
別人のように差があるからこそインパクトも大きいですし、だからこそ主人公コナンが強調されたのだとも言えます。それだけモンスリーの存在は大きいのです。
ちなみに、そんなモンスリー役の声優を務めたのは、吉田理保子さんです。
吉田さんは、
アルプスの少女ハイジのクララ
ベルサイユのばらのロザリー・ラ・モリエール
魔女っ子メグちゃんの神崎メグ
まいっちんぐマチコ先生の麻衣マチコ
など、幅広く活躍してきた声優です。
モンスリーのコスチュームは
ではここで、モンスリーがストーリーの中でどんな姿・服装で登場するかを見てみましょう。
立場こそインダストリの行政局次長ですが、実際は力で支配する戦闘員達のトップに立ち、現場で指揮・指導に当たるのが主務ですから、普段は緑色の戦闘員服で身を包んでいます。
第一話で最初に登場する時も、逃げ出したラナを捕えるために、戦闘服に身を包んで飛行艇ファルコに乗ってのこされ島にやって来ます。
それ以降、後半を除くほとんどのシーンでは同じ戦闘服を着ていますが、例外的なシーンが二つあります。
一つは、第5話「インダストリア」で、コナンがバラクーダ号に乗ってインダストリアに到着した際、普段着のようなスカートをはいて自転車でバラクーダ号にやって来るシーンです。普段は、戦闘服を着ているモンスリーですが、この時は珍しく普段着を着ています。
もう一つは、第20話「再びインダストリアへ」で、大津波の発生により形成が逆転した状況下で、モンスリーがハイハーバーの女性たちによって強引に服を着替えさせられるシーンです。ずーっと戦闘服を着ていたモンスリーが、久しぶりに見せる普段着姿です。
しかし、コナンの味方になってからのストーリーの後半では戦闘服を着ることはなくなります。
第21話「地下の住民たち」では、戦闘服を着たまま飛行艇ファルコが墜落し、負傷したモンスリーは療養のためにパジャマを着ることになります。
そして、意を決してレプカに降伏することを進言したことで反逆者の烙印を押されますが、コナンの味方になった姿は、パジャマ姿と共に一人の魅力ある女性の姿をしています。
その後、銃殺刑にされそうになる時も、救出されてギガントに立ち向かう時もパジャマ姿で登場しますが、インダストリアに戻ってハイハーバーへ向かう段階になるとシンプルな普段着の姿をしています。
最終回である第26話「大団円」では、ダイス船長との結婚式が行われますが、そこではウェディングドレス姿に身を包んで、とても可愛らしい姿で登場します。
身にまとう服装によって、描かれるモンスリーの姿が変化する点は、とても見どころがあります。
あわせて読みたい「未来少年コナン」全26話のあらすじと見どころをきちんとまとめた
作品中でモンスリーはどのように活躍するか
では、ストーリーの中で、モンスリーはどのように活躍して行くでしょう。
その活躍ぶりを大きく2つに分ければ、前半から中盤まではレプカの部下として、後半はコナンの味方として振る舞います。
早速、こまかく見て行きましょう。
レプカの部下として職務を全う
第1話「のこされ島」では、逃げ出したラナを捕まえるため、のこされ島にやって来てラナを連れ去りますが、そこで、ラナを助けるために抵抗したコナンに初めて出会います。
そして、第2話「旅立ち」では、飛行艇ファルコの翼の上に乗り移ったコナンを銃で撃ち殺そうとします。
その後、第6話「ダイスの反逆」では、ラオ博士の居場所を話すようにラナに迫り、抵抗するコナンを牢に閉じ込め、第7話では、反逆してラナを連れ去ったダイスを追跡するために、飛行艇ファルコに乗りバラクーダ号を追って行きます。
第9話では、ファルコに乗ってサルベージ船を現れ、行方が分からなくなったコナンとラナを捜索し、第11話ではフライイングマシンで脱出をはかるラオ博士たちをファルコで追います。
このように、ストーリーの前半では、太陽エネルギーの秘密を得ようとするレプカの忠実な部下の一人として、第一線でラオ博士やその孫娘であるラナを捜索したり捕えたりします。
それからストーリーの舞台は、ラナの生まれ故郷であるハイハーバーへ移りますが、第17話「戦闘」では、ガンボートと呼ばれる戦艦に部下と共に乗り込んで島に現れ、ガンボートの戦力を背景に、部下の戦闘員を指揮して島を制圧します。
モンスリーは島をインダストリアの支配下におき、非情な管理体制をとります。
その頃、抵抗するコナンとガルおじさんは二人で力を合わせて、戦闘員の隙を狙ってガンボートを爆沈させますが、モンスリーは、ガンボートを失って意気消沈する戦闘員たちの中にあっても動じることなく、部下の志気を高めようとします。
前半も中盤も、モンスリーはコナンの敵として行動していますが、指揮する立場でありながらも常に最前線で活躍し、コナンと接する機会が多くあります。
最前線に居るからこそ現場のありのままの姿を直接見ることができ、また、コナンと頻繁に接するからこそ、コナンの純粋な心や正義感に触れることがたくさんあったのです。
過去の回想がモンスリーの大きな分岐点となる
そして、第19話「大津波」における少女時代の回想を起点にして、モンスリーの態度に変化が表れてきます。
ガンボードが沈められて落ち込む部下を励まして、村人に対して怪我人の手当てを要求した後にモンスリーはひと休みします。
この時、戦闘服の帽子を外して、くつろぎながら紅茶を飲みますが、インダストリアで生産される人工的な紅茶に慣れていたモンスリーは、自然の風味がそのまま伝わってくる天然のままの紅茶を久しぶりに口にして、その味わいに忘れていた何かを思い出したような表情を浮かべます。
そして、鳥のさえずりを聞きながらリラックスしていたところに、目の前に犬が通りかかります。その犬は、あたかもモンスリーが子供の頃に飼っていたムクと言う名前の犬にそっくりで、モンスリーは思わず「ムク」と呼びかけます。
それをキッカケにして、モンスリーはムクと一緒に遊んでいた少女時代を思い出し、そこから大戦争が起きて救出されるまでの様々な過去のできごとを回想します。
そのシーンはあたかも、自然に囲まれ平和だった時代から、大戦争で世の中が変わってしまうまでを振り返ることで、過去の大切な物を思い出すかのようです。
この後、モンスリーの目の前にコナンが現れ、二人が会話を交わすのですが、その時、手加減はせずにコナンに銃を向けコナンは逃げることにはなりますが、コナンの勇姿には何かを感じていたことでしょう。
モンスリーは、ハイハーバーの島民が人間本来の姿のまま大自然に囲まれながら必死に働いて生きている様子を目の当たりにしていましたから、その姿の中に、子供の時に持っていた忘れ物を見つけたかのような思いを抱いたことでしょう。
その後、大津波が起きたことで戦闘員の武器が取り上げられて形勢が逆転し、戦闘員たちはみな村人たちに従うようになっていたものの、モンスリーは一人、依然として反発をします。
そして第20話「再びインダストリアへ」では、コナンはモンスリーに対して、飛行艇を操縦してインダストリアに連れて行って欲しいと頼みますが、最初は「私と行ったら帰れなくなるわよ」とコナンを突き放すように返答します。
ところが、コナンは「そうはならないよ」と言い、モンスリーは「私はあなたの敵なのよ!」と。
それに対して、コナンは、敵味方など無関係に「行ってくれる?行ってくれない?」と聞き返したことで、モンスリーは「コナン。あなたって子は」とつぶやき同意することになります。
モンスリーは、子供の頃の回想を背景に、コナンの純粋な思いに触れ、敵の立場でありながら連れて行くことになるのです。
そして、第21話「地下の住民たち」では、モンスリーとコナンは共にインダストリアに到着しますが、この時「わたし、あなたたちと一緒に行くわ」と告げていますから、モンスリーの心は既にコナンの側になっていることが分かります。
その後、レプカと対面したモンスリーは、意を決して武器を捨てることを進言しますが、レプカは裏切り者としてモンスリーを銃殺刑にするように部下に命じます。
レプカの部下に連行されるモンスリーは、隙をついて捕われたコナンを助けだしますが、この時は既に完全にコナンの側に立ち、独裁者レプカに立ち向かう行動に一転します。
コナンと同心した後はかわいい女性に
第22話「救出」で、銃殺刑を逃れたモンスリーは、ダイスと共に三角塔のコントロール室を制圧して地下の住民を助け、第23話「太陽塔」では、レプカとの対決が一段落して療養に励みますが、ダイスが食事を届けるなどして、コナンの仲間としての一体感が深まります。
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第24話「ギガント」では、レプカとその残党が逆襲して来ますが、怪我が癒えぬ中にもモンスリーは飛行艇ファルコを操縦し、コナンやジムシー、ラナ、ダイスと共に心をひとつにして戦います。そこには、コナンと共に命がけで必死に挑む姿があり、損得や打算などのないコナンと同心した行動をとります。
第25話「インダストリアの最期」では、新たな出発に向けて住民たち一同が希望に胸をふくらまして準備を進めるなか、モンスリーはラナと共に行動し、一人の心やさしい女性としての姿をしています。
そこには、戦闘服に身を包んでキツイ顔をしたかつてのモンスリーの姿は全くなく、表情も穏やかでとても可愛らしい女性になっています。その可愛らしさは、どことなく風の谷のナウシカの主人公に似ています。
もちろん外見だけではなく内面も変化し、かつて非情な態度を取っていたモンスリーが、人間味のある愛情豊かな人物になっています。
コナンと心を合わせるようになってからは、本当にかわいい女性へと変わって行ったのです。
最後はダイス船長と結婚
そして最終回(第26話)「大団円」では、モンスリーはダイス船長と結婚することになります。その結婚式における花嫁姿はとても可愛らしく、第1話で登場したモンスリーとはまるで別人です。本当に別な人物みたいです。
そもそも、ストーリーの前半では、ダイスはモンスリーのことが虫唾が走るくらい大嫌いで、生理的に受け付けないくらいでした。
第2話「旅立ち」では、傷ついた飛行艇を修理するためにバラクーダ号へ来たモンスリーに対して、ダイスは表面は従う態度を取りながらも不快な思いを抱いていました。
また第5話「インダストリア」において、モンスリーがダイスに対して傲慢な態度を取って命令口調で話した時には、ダイスは強い嫌悪感すら持っていました。
そして、モンスリーとダイスはことあるごとに接点を持っていましたが、二人はまさに犬猿の仲のような状態だったのです。
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モンスリーに対してそんな思いを抱いていたダイスですが、変化が表れてきたのはモンスリーの心がコナンよりになって来た第20話「再びインダストリアへ」からでした。
コナンとモンスリーが二人でハイハーバーを歩く姿に不審を抱いたダイスは、二人を尾行して飛行艇に潜り込み、共にインダストリへ行くことになります。
ダイスは、モンスリーが変な行動をとらないかを監視する目的で乗り込んだという態度を取りますが、この時、既にダイスの心の中にはモンスリーの存在が、気になる一人の女性として見えていたようです。
その後、ダイスは負傷したモンスリーを看病するなどして二人は急接近して行きますが、第24話「ギガント」におけるギガントとの対戦では、ダイスはモンスリーの身を案じてインダストリアへ戻るように強く言い切ります。
これは、ダイスがモンスリーに心を寄せていることがハッキリ現れた場面です。
そしてモンスリーとダイスの二人は、人類にとって新たな生活の始まりとも言える節目にゴールインすることになり、ストーリーの締めくくりに花を添える形になっています。
未来少年コナンにおいて、モンスリーという人物が重大であることがここにも表れています。
このようにモンスリーは、ストーリーの中でコナンの敵から味方に変わると言う人物で、コナンを中心として無くてはならないキャラクターの一人です。
モンスリーがいたからこそ未来少年コナンのストーリーが成り立った。そういっても過言ではないでしょう。
あわせて読みたい「未来少年コナン」の名セリフをキャラクター別にまとめた!
モンスリーの人物像
さて、上記のような活躍をしたモンスリーですが、人物としてはどのようであったのでしょう。
登場するあらゆるシーンに描かれた姿から、その人物像に迫ってみます。
年齢若くして指導者
モンスリーは、インダストリの行政局長レプカの直属の部下であり、行政局次長ですからその立場は幹部であり指導者です。
実際、あらゆる現場に赴く時には多くの部下を従え、現場の指揮をするトップとしてのポストにあります。
特に、第17話「戦闘」では戦艦ガンボートでハイハーバーに乗り込む際には、多くの戦闘員を統率する責任者の立場であることから、幹部として、指導者としての資質・器を持っていると言えます。
特にガンボートが爆沈した時に落ち込む戦闘員たちを前にして、指導者として怯まず怖気づかずに士気を高めようとする姿には、組織の上に立つ者としての高い能力が表れています。
また、レプカのもとにいた時期には、常にレプカの命令に従い、ことあるごとに頻繁にレプカに報告を入れては指示を仰ぎ、組織に忠実に従おうとする姿は、善悪を抜きにして、「組織に徹する」という幹部のあり方みたいな姿を感じます。
しかもまだまだ若い時に既にそのような立場に立っている点を見ても、モンスリーが組織を統率して行く能力に長けていることがよく分かります。
機械などにも精通し有能である
モンスリーは、機械などにも精通していて、あらゆる面で能力がとても高いと言えます。
飛行艇ファルコを自ら操縦していましたが、こういう乗り物を運転できること自体、相応の能力がなければできません。
コナンがハイハーバーのいけすに隠されていた飛行艇を利用してインダストリアへ行こうと考えた時、「モンスリーなら操縦できるかも知れない」とコナンが思ったのも、コナンが自然とモンスリーの能力を感じていたからでしょう。
実際に、初めて見たその飛行艇を操縦する訳ですから、凄い能力と言わざるを得ません。
また、機械に精通していると感じさせるシーンもあります。
例えば、第2話「旅立ち」において、傷ついた飛行艇ファルコを修理するために、モンスリーはダイス船長に修理道具を要求していますが、部下に修理をさせてはいるものの、モンスリーが機械に関することを良く知っていることが表れています。
また、第11話「脱出」では、コナンの活躍で飛行艇ファルコが墜落させられてしまいますが、墜落したファルコの計器の一部を自ら修理してインダストリアにいるレプカに無線通信で連絡を取っています。
このように、飛行艇を操縦するだけでなく、機器の操作や修理・修復などもこなしてしまうのは、機器に精通するだけでなく、知識や経験を兼ね備えた能力があるからだと言えます。
気が強く勇ましさがある
モンスリーには、気の強いところがあり、色々なシーンに表れています。また、同時に勇ましさもあり、普通の女性なら耐えられない状況でも乗り越えてしまう強さも持っています。
モンスリーは、誰であっても、どんな状況であっても、相手に媚びへつらうこと無く振る舞います。それは、芯の強さでもあり力強さでもあり、勇ましさにも通じて行きます。
戦闘服に身を包んで活躍する数々のシーンでは、飛行艇を操縦し、武器を操り、時には対戦する場面にもぶち当たります。そんな数多くある”戦うシーン”において、怯むとか、怖気づくとか、弱気になると言った姿はありません。
そんな強さは時として、傲慢な一面や威圧的な印象を相手に与えることもあります。
例えば、第2話「旅立ち」において、ダイスに修理道具を要求する時の強気の態度や、第5話「インダストリア」において、ダイスに対して強く叱責する姿はまさに傲慢と言えるでしょう。
しかし、本質的に持つ強さは決して悪い物ではなく、モンスリーのよき気質ととらえる方が自然です。
第19話「大津波」で、部下の戦闘員がみな落ち込む中でも、モンスリーは一人強い姿勢を貫いて気丈に振る舞いますが、これは彼女の強さの表れそのものです。
そして、第21話「地下の住民たち」において、上長であるレプカに対して降伏を強く進言する時には、レプカに媚びず信念を貫こうとする姿勢が描かれていて、一人の人間として威厳すらも感じさせてくれます。
その後、捕われたコナンを救出して脱出を手伝う時も、追手に対して毅然と立ち向かう姿には命を懸けてもコナンを守ろうとする勇ましさを覚えます。
更に、第22話「救出」では、銃殺刑に処される寸前まで及びますが、死と向かいあう状況に置かれても、怯えるよりもむしろ堂々としている姿には尊厳も具わっています。
このように、「強い女性」として描かれるモンスリーは、主人公・コナンとヒロイン・ラナに次ぐほどの大きな存在とも言えるでしょう。
飼い犬「ムク」への想いに優しさが表れる
モンスリーは、強い女性であることが数々のシーンに表れていますが、その一方で、心のやさしい女性でもあります。
その優しさは、第19話「大津波」における少女時代の回想シーンで、愛犬「ムク」を慕い可愛がるところに、その一面が表れています。
換言すれば、子供が持つ純粋な心の優しさを取り戻すキッカケとなったのがこのシーンで、その心を取り戻したモンスリーは、その後のいくつもの場面で、優しい行動をとっていることを見てもよく分かります。
例えば、第25話「インダストリアの最期」では、コナンの身を案じてよく眠れない日々が続くラナが、夜空を見上げながらコナンを心配している姿に気付き、モンスリーは側に寄り添って、優しく声を掛けています。
また、委員会のメンバーが沈みゆくインダストリアと運命を共に死んで行くことを知ったラナが、助けることができなく悲しい思いをしていた時も、モンスリーはそばにより、優しく抱きしめています。
そして、第26話「大団円」(最終回)では、ラオ博士の身体が思わしくない中にも気丈に振る舞うラナを心配して、モンスリーはダイスに対してラナに気を使ってあげてと頼みます。
このように、ラナが落ち込む姿に触れて、包み込むように優しく接する姿は、モンスリーの本来持つ優しさがそのまま表れていると言えるでしょう。
女性らしさが表れるセリフ「バカね」
そして、モンスリーと言えば切り離せないのが「バカね」とうセリフです。
このセリフは、ストーリーの後半に到って、ダイスとのやり取りの中で頻繁に出てくるセリフで、モンスリーと言えば「バカね」と言うくらいの名セリフとも言えます。
この「バカね」の言葉には、気が強い中に恥ずかしさや照れが表れるという女性らしさが滲み出ています。
ダイスに褒められ、女性として嬉しいものの、気が強いからこそ、恥ずかしさと照れがあって「バカね」となる。そんな感じです。
では、そんな「バカね」のセリフが出てくる幾つものシーンをあげてみましょう。
最初にこのセリフが出て来るのは、第20話「再びインダストリアへ」においてです。
飛行艇に潜伏していたダイスが姿を現した時、同行する理由として話した言葉に対してです。
ダイス「お前さん、あっち(インダストリア)着いたら何するか分からんからねぇ」
モンスリー「バカね」
そして、いよいよ飛行艇がインダストリアに着く時には、
ダイス「着陸しても、変なマネするんじゃねぇぞ」
モンスリー「バカね」
といった二人の会話のやり取りがあります。
この時点では、ダイスはモンスリーに好意があるというよりも気にしている程度と言えます。
第22話「救出」では、負傷しているモンスリーをダイスが負ぶる場面がありますが、この時ダイスがモンスリーに対して語った言葉に対してばかねと言っています。
ダイス「ラナちゃんのようには軽くはないなぁ」
モンスリー「バカね」
第23話「太陽塔」では、病床に横たわるモンスリーに食事を差し入れに行ったダイスがモンスリーに語ります。
ダイス「モンスリー。あのな。こうしてみると、君はなかなか美人だよ」
モンスリー「バカね」
と言います。
この頃は既に、ダイスにとってモンスリーは気になる存在そのものになっています。
第24話「ギガント」では、パジャマ姿のまま飛行艇ファルコを操縦するモンスリーに対して、
ダイス「パジャマの飛行服とはいきだね」
モンスリー「バカね」
のような会話があり、しばらくした後
ダイス「そのパジャマ、似合うぜ」
モンスリー「バカね」
といった、やりとりがあります。
そして最後は第26話「大団円」においてです。
海上をさまよっていたダイスは、ハイハーバーへ向かう船によって助け出されます。助け出されたダイスは、思わずモンスリーに抱き着きます。その時、
ダイス「モンスリー!」
モンスリー「バカね」
この時のモンスリーは、とても照れた感じです。
そして、モンスリーとダイスとの結婚においてです。
ダイス「美しい。きれいだ。本当にきれいだよ」
モンスリー「バカね」
ダイスがズバリ「綺麗だ」と言うのに対して、この時は恥ずかしさいっぱいに小声で「ばかね」とひと言。
その後、残され島へ向かう船内で、モンスリーがダイスの散髪をしている時、
ダイス「痛っ!」
モンスリー「バカね」
と小声で話しています。もう、夫婦間の自然な会話ですね。
これら幾つもの「バカね」のセリフ。
よくよく見ると、初めはダイスの茶化すような発言に対する反発のような言葉でしたが、モンスリーに魅かれて行くダイスの言葉が褒め言葉風に変化して行くと、それに応じるモンスリーも恥ずかしさを紛らわすための言葉へと変化して行ってます。
「バカね」というひと言のセリフですが、奥が深い気がします。
あわせて読みたい未来少年コナンのテラは脇役だが、重要だと感じたので掘り下げてみた
他のキャラクターとの関わり
以上、モンスリーという人物がよく分かって来たと思います。
ここまで書いていて、改めて魅力ある女性だと感じました。
能力があって気が強く、それでいて女性らしい優しさを持っている。(私のタイプかも知れません)
では、ここで他のキャラクターとのつながりを詳しく見て行きましょう。
主人公コナンとのつながり
主人公といえばコナンですから、コナンとどのように関わるかはモンスリーという人物を見る上で重要です。
実は、ヒロインであるラナや仲間であるジムシーは、コナンの味方という意味では主人公に近い存在ですが、敵と言う立場で最もコナンと接する機会が多いのはモンスリーです。
実際、メインキャラクターでもあるジムシーやダイス、レプカ、ラオ博士らは、ストーリーの途中で登場しますが、モンスリーの場合は、第1話からコナンの敵と言う立場で登場します。
最終的にモンスリーはコナンの味方になって活躍する訳ですが、コナンと接する中に、モンスリーが大きく変わって行くことになります。
ある意味では、主人公コナンに頻繁に接して、最もその影響を受けた人物と言えましょう。
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では、コナンとの接点を最初から細かく見て行きましょう。
第1話「のこされ島」では、コナンはおじいと共に、のこされ島に漂着した少女ラナを世話していましたが、モンスリー達が島にやって来て、ラナを探し出して強引に連れ去って行きます。
おじいの言葉「コナン。あの子を守ってやれ」のまま、コナンはラナを守る決意を持ちます。
第2話「旅立ち」では、ラナを連れ去るモンスリー達を追いかけて、飛行艇ファルコの翼に飛び乗って、ラナを助け出そうとしますが、モンスリーはコナンに向けて銃を撃ちます。
つまり、この時のモンスリーは、コナンを単にラナを連れて行く任務を妨害する者のひとりとして見ていました。
そして、第5話「インダストリア」で、モンスリーは到着したバラクーダ号に乗っていたコナンに発見されて、「ラナを返せ」と襲い掛かられます。
そういったいきさつがあって、モンスリーはその後、コナンのことを指して「極めて凶暴な少年なので、行政局へ引渡しを要求します」と述べています。
そして、コナンのことを「バカだけど。行動力には感心したわ」とつぶやき、この時すでにコナンの凄さを感じています。
また、第6話「ダイスの反逆」で、コナンはレプカに刻印銃で脅されますが、手が縛られた状態であるにも関わらず、足を使ってレプカの身体を力強く遠くへ投げ飛ばします。
その一部始終を見ていたのがモンスリーですが、その後「全く大した子よ。殺してしまうのは惜しいわ」とつぶやき、コナンを牢屋へ連れて行く際には、コナンに対して「でも直ぐには殺さない。あんたを仕込んでみるわ」と言っています。
この時モンスリーは、コナンの凄さを感じ、その力量や器に関心を示し、味方にすらしてみたいとも考えています。
そして、第7話「追跡」で、コナンの牢屋に来たモンスリーは、コナンに対して、砂漠で死ぬか、おとなしくしてインダストリアの市民として暮らすのかを選ぶ旨を話した後、番人に対しては水も食料も与えるなと告げ「あの子供はただの子供じゃないのよ。子供だからと言ってあなどっているとひどい目にあうわよ」と注意を促しています。
コナンの人並み外れた凄さを身に染みて感じていたからこその言葉と言えます。
その後、牢屋から脱出したコナンは、飛行艇ファルコにこっそり潜入して、ファルコがバラクーダ号に接近した際に姿を現して海中へ飛び込みますが、それを知ったモンスリーはただ驚くばかりでした。
さすがにコナンを放置するわけにもいかなかったため、モンスリーは、仕方がない思いを抱きながらも、手足の錠をリモコン操作して身動きできないようにしてコナンを溺死させようとします。
このシーンでは、殺してしまうのは惜しいというモンスリーの思いがにじみ出ていました。
コナンを溺死に追い込んだモンスリーでしたが、その後の第8話「逃亡」では、コナンのことを「あの子は、お前が考えるより、ずっと凄い人間よ」と言い、コナンの凄さをしみじみ感じていると同時に、どこかでまだ生きている、生きていて欲しいという心の底にある思いが出ています。
第9話「サルベージ船」や第10話「ラオ博士」では、ラナがコナンと共に行方不明になったことを受けて、モンスリーはサルベージ船までコナンとラナを探しに行きます。
第11話「脱出」では、コナンとラナとラオ博士がフライングマシンで逃げようとするところをモンスリーは飛行艇ファルコで撃墜しようとしますが、その時コナンはフライングマシンの外部に出てファルコに乗り移ります。
それを見たモンスリーらは、コナンを撃ち落そうと銃を撃ちまくりますが、却ってファルコの機体を傷つけて墜落してしまうことになります。
コナンに翻弄されるようにしてファルコが墜落して行くことになり、モンスリーは「そんなバカな!」と言いますが、モンスリーの心中には、”敵ながら何て奴だ”との思いがあったことでしょう。
このようにストーリーの前半では、随所でコナンと接し、その度に、コナンの凄さを身に染みて感じるようになります。見方を変えれば、モンスリーを通して主人公コナンの凄さを強く描き出しているとも言えます。
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そして、コナンとの接点はその後しばらくなくなり、舞台はハイハーバーへ移り、第17話「戦闘」において、モンスリーは戦闘員を率いてハイハーバーを制圧します。
第18話「ガンボート」では、捕まらずにいたコナンが村の様子を見に行った時、モンスリーと手を組んだオーロめがけてモリを投げかけズボンを射抜いて牽制しますが、その様子を全て目の前で見ていたモンスリーは、さすがはコナンとの思いを抱いたことでしょう。
コナンの凄さを知っていたモンスリーは、ガンボートの部下に対して、「コナンに警戒するよう」に指示していますが、これは、コナンが超人的な少年であることをよくよく肝に銘じていたからの行動と言えます。
結果としてコナンによってガンボートは爆沈することになりますが、それによってモンスリーは、コナンの凄さをなお一層感じたことでしょう。
第19話「大津波」では、モンスリーはオーロに対してコナンを捕まえるように言いますが、コナンの凄さを知るモンスリーは、オーロに向かって怖いんじゃないのかと言葉を添えます。
その後、紅茶を飲みながらひと休みしているモンスリーの目の前にコナンが姿を現し、ガンボートに閉じ込めていたラナの行方を気にしていたモンスリーは「ラナを助けてくれた?」とコナンに問います。
そして、助けたと答えるコナンに向かって「あなたって子は」と感心しながらも「でも、手加減はしないわよ」とコナンを撃とうとします。
コナンは直ぐ逃げますが、モンスリーは駆け付けたモンスリーの部下に向かって「追っても無駄だ」と告げます。
この場面は、コナンは敵でありながらもその力を認めざるを得ないような、一種のライバルのような感覚があった感じがします。
また、どこかで、モンスリーの中にはコナンに対して”一目置く”ところが生まれたことでしょう。
そして、モンスリーのコナンに対する態度が大きく変わった出来事が、このあとの大津波の襲来です。
自然界の大きな異変を感じたコナンは、バラクーダ号のマストの上から干上がった海水の遠方を見渡し、はるか遠方から巨大な津波が押し寄せてくることを知ります。
そして、一同にむかって大きな津波が迫っているから早く避難するように叫び、島の住民もモンスリーの部下である戦闘員たちも皆うろたえます。
その中、モンスリーは威嚇射撃をして騒ぐ一同を黙らせたうえで、コナンに向かって「そんな嘘、私が信じると思うの?」とひと言。
信じようとしないモンスリーに対して、コナンはそのままマストから降り、モンスリーの目を直視しながら近づいて行きます。
コナンの真剣な目つきを見てモンスリーは、「本当なのね、コナン」と。
その後、コナンはダイス船長に頼んで呆然と立ちすくむモンスリーを津波から避難させて命を救うことになります。
大津波が引いて一段落したあとモンスリーは「負けたわ」のひと言をポツリ。
このひと言は、大津波を機として、戦闘員たちの武器が取り上げられ、制圧していたハイハーバが開放したことに対する「負け」と言うよりも、コナンという少年が純粋に皆を助けなければという思いで、己の立場の有利不利などを顧みることなく必死に振る舞ったその勇姿に負けたと言うべきでしょう。
そしてこの後、モンスリーの心はコナンの側へ大きく傾いて行きます。
第20話「再びインダストリアへ」では、敗北を認めたくないモンスリーが気を落として一人残された状態でいましたが、コナンはそんなモンスリーに飛行艇を操縦してインダストリアへ連れて行って欲しいと願い出ます。
コナンの意外な頼みごとに対して、当然モンスリーは、当惑します。
その時の二人のやり取りは、
モンスリー「私と言ったら帰れなくなるわよ」
コナン「そうはならないよ」
モンスリー「私はあなたの敵なのよ!」
コナン「行ってくれる?行ってくれない?」
モンスリー「コナン。あなたって子は…」
もちろん結果として、一緒にインダストリアに行くことになります。
この時モンスリーは、海に沈むであろうインダストリアのことを心配してインダストリアへ行こうとするコナンの純粋な強い思いに威厳みたいなものすら感じたことでしょう。
このあとインダストリアに着くと、モンスリーはコナンたちに対して「わたし、あなたたちと一緒に行くわ」と言い、ここでは既に心はコナンの味方になっていました。
第21話「地下の住民たち」では、飛行艇ファルコがコナンとモンスリーを乗せたまま撃ち落とされますが、墜落して炎上する機体からコナンはモンスリーを背負って機外へ避難します。
コナンから見れば、モンスリーは助けるべき大切な人だったのですね。
そして、コナンがモンスリーを助けたことをレプカから知らされたモンスリーは、その直後、レプカに武器を捨てるように進言して反逆者扱いされます。
この時は既にもう完全にコナンの味方になっています。
その後、モンスリーは連行されながらも隙をついて捕えられたコナンを助けますが、却ってモンスリーは銃で撃たれて負傷してしまいます。
追手が迫る中、コナンは「(モンスリーを一人で)置いて行けない」とモンスリーと共に逃げようとしますが、警戒の厳しい三角塔から二人とも逃げることは出来ないと知るモンスリーは、あなた一人だけなら逃げられるとコナンに言います。
そして、コナン一人だけを逃がしてモンスリー自身は残りますが、やむを得ず一人で逃げるコナンは、「モンスリー。きっと戻ってくるよ。」「死ぬな!」と言い、その場を後にします。
その後、銃声が聞こえたコナンは、思わず「モンスリー。死ぬな!」と叫びます。
このシーンは本当に感動的です。
コナンを命かけてでも逃がそうとするモンスリー。
モンスリーを一人残して逃げることに胸を割かれる思いを抱くコナン。
二人の間が、凄い強い強い絆で結ばれていることがよく分かります。
第22話「救出」では、地下から地上へ上がったコナンは、偶然にもモンスリーの銃殺刑が執行されようとしていた場所に到りますが、そこではジムシーとダイスと共に直ぐにモンスリーを助け出します。これはもう、モンスリーがコナンの大事な仲間になっている表れですね。
その後、コナンとモンスリーは別々に行動をとりますが、共にレプカの野望を阻止するべくとる行動は、モンスリーもコナンも同じです。同心ってことです。
第24話「ギガント」では、レプカがギガントに乗って逃げようとしますが、それを阻止するためにモンスリーもコナンも他の仲間3人と共に一緒になってファルコに乗り込んで戦いに挑みます。
コナンが、「ギガントに乗り移るからファルコの機体をつけて」と願い出ると、モンスリーはその通りに行動します。
これは、モンスリーがコナンに厚い信頼を寄せている姿です。この時の5人は本当に一体感が伝わって来ます。
第26話「大団円」では、もうコナンとモンスリーは昔からの仲間という感じになっています。
コナンはモンスリーの結婚式を祝し、のこされ島へ向かう時も、仲間と共に新たなスタートを切るという姿がにじみ出ています。
このように主人公と常に接し、大きく行動が変化したモンスリーですが、これは逆に、モンスリーの姿を通してコナンというキャラクターを強調しているとも言えます。
モンスリーが変化して行く裏に、コナンの純粋さ、素朴さ、勇気などなどが伝わって来るのです。
ヒロイン・ラナとの関係
ヒロインであるラナとの関係は、前半から中盤と、後半とでは大きく違ってきます。
それは、レプカの味方からコナンの味方に変わって行ったことによります。
前半から中盤では、ラナがラオ博士の孫娘だということから、太陽エネルギーの秘密を得るための手段としてラナを探したり、捕えたりします。
レプカの野望を手助けするために、モンスリーはラナをひとつの道具のように扱っていたのです。
第1話「のこされ島」では、ラナを捜索して捕え、第2話では、ラナを連行してインダストリアへ向かいます。
第6話「ダイスの反逆」では、ラナが逃げたことをレプカに報告してラナを捜索し、その後、再び捕えられたラナに向かって、ラオ博士の居場所を情にからめて聞き出そうとします。
第7話「追跡」では、反逆してラナを連れて逃げたダイス船長の乗るバラクーダ号を追跡し、第9話「サルベージ船」では、行方不明となったコナンとラナを捜索するためにサルベージ船を訪れています。
ひたすらラナを探して捕まえることに専念しますが、第11話「脱出」では、コナンによって、ついに飛行艇ファルコを墜落させられてしまいます。
そして、第17話「戦闘」では、モンスリーは戦闘員を率いて戦艦ガンボートでハイハーバーを占領しに行きますが、そこでもハイハーバーを制圧する一方で、ラナを捕えることもひとつの目的として行動をとります。
このように、前半から後半は、レプカの指示通りに太陽エネルギーの秘密を得るための行動としてラナを捜索したり捕まえたりしますが、そこにはラナとの個人的な接点はほとんどなく、モンスリーはただ任務遂行のための対象としてしかラナを見ていませんでした。
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ところが、第21話「地下の住民たち」において、コナンの仲間になってレプカから反逆者扱いされると、態度は一変してラナを助けるためにコナンを命がけで助け、その後は、ラナを守るべき大事な人として振る舞い、暖かく見守ろうとする姿勢が出てきます。
第24話「ギガント」では、ダイスとその残党が逆襲して来たとき、モンスリーはラナを助けようと部屋に駆け込んで一緒に逃げ、事態を知らせるためにラナと共にファルコに乗り、サルベージ船へ向かいます。
その後、ギガントを食い止めるためにコナンらも乗せて行きますが、ギガントにコナンとジムシー、ダイスを残してからはラナと二人でインダストリアへ戻ります。
第25話「インダストリアの最期」では、コナンを心配するラナの姿を見て、モンスリーは「(コナンの)声、聞こえた?」と気遣います。
また、インダストリアの委員たちが死を覚悟してインダストリアへ残ることを知って涙をみせるラナを優しく抱きしめて見守ります。
第26話「大団円」では、ラオ博士の容態が悪化してラナが落ち込んでいたため、モンスリーはダイスに対して励まして欲しいと言葉を掛けます。
このように、モンスリーとラナの関係は、コナンの敵と言う立場でいた時と、コナンの仲間になってからとでは大きく異なります。
ひと言でいえば、モンスリーはラナを太陽エネルギーを得るための手段・物という見方をしていたところから、一転して、母親のごとく命を懸けて慈愛をラナに傾ける優しい女性になっています。
ダイス船長との間柄
モンスリーとダイスとの関係は、とても見ごたえがあります。
最後はこの二人は結婚するわけですが、最初ダイスはモンスリーに対して虫唾が走るくらい嫌な思いを抱いていました。ダイスには、本当に嫌な女性として見えていたのでしょう。
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第2話「旅立ち」では、機体に傷を負った飛行艇ファルコを修理するために、モンスリーはファルコをダイス船長が操縦するバラクーダ号の近くへ停め、修理道具の提供を要求します。
その時、ダイスは表面上穏やかに対応しますが、「(ファルコが)落っこちておぼれちまえでば良かったのに」とつぶやいて、モンスリーが死んでしまえば良かったとすら思っていました。
また、第5話「インダストリア」では、インダストリアに着いたダイスはモンスリーの名前を耳にしますが、「その名前をくちにするな。聞いただけで虫唾が走る」と言っています。
その時は立場上、モンスリーに飛び掛かったコナンに一撃をくらわせてモンスリーを守りますが、内心は拒絶するくらいモンスリーが嫌いであったことが上記の発言からもよく分かります。
一方、その頃のモンスリーは、ダイス船長は単なるプラスチック回収業務にあたるバラクーダ号の船長くらいにしか思っていなかったのでしょう。
そして、ダイスがインダストリアに反逆すると、モンスリーはレプカの部下としてダイスを反逆者として見るようになり、モンスリーはバラクーダ号で逃亡して行ったダイスを捜索するようになります。
その後、コナンたちが砂漠で日干しにされているダイスを助けたところにファルコに乗ったモンスリーが現れますが、コナンがファルコを墜落させた後、ダイスはファルコにあった武器を取り上げてモンスリーたちを抑え込みます。
この時は、モンスリーとダイスは、それぞれレプカの部下とレプカへの反逆者という敵対関係にありました。
第17話「戦闘」では、戦闘員率いるモンスリーがハイハーバーへ上陸してくると、ダイスは反逆者として見つからないように警戒しながら身を隠して過ごしていますが、第19話「大津波」では、間一髪で大津波に巻き込まれそうになったモンスリーを抱きかかえて避難しています。
切迫した状況で考える余裕も無く、コナンがダイス船長に助けるようにお願いした経緯もありましたが、ダイスがモンスリーの命を助けたことは、後々の二人の関係に大きく影響して行ったのでしょう。
その後、コナンはモンスリーと共にインダストリアへ向かうことになりますが、ダイスはモンスリーの行動が気になったこともあって、飛行艇内にこっそり潜り込んで同行することになります。
ダイスが飛行艇内に忍び込んでいたことが分かると、モンスリーはダイスを降ろそうと主張しますから、この時はまだ邪魔な存在でしかなかったのでしょう。
ダイスの方は、モンスリーが変なマネをしないかを気にしていた面があるものの、既に気になる存在にはなっていたのではないでしょうか。
インダストリアに着いた後、ダイスとモンスリーは別々な行動をとることになりますが、コナンと共に行くと告げたモンスリーのひと言を聞いていたダイスは、モンスリーをより身近に感じるようになったことでしょう。
そして、第22話「救出」では、地下から脱出をはかったダイスが偶然にも反逆者として処刑を受けようとしていたモンスリーの刑場に到り、ダイスはモンスリーを助けます。
そして、助けた後は負傷しているモンスリーを負んぶして共に三角塔のコントロール室を制圧しに向かいます。
この時、二人の心はレプカを抑えようという同じ心でまとまっていますが、この頃は既に二人の間にお互いを意識する心がハッキリと生まれていたのでしょう。
第23話「太陽塔」では、療養中のモンスリーに対してダイスは食事を差し入れに行っていますが、この時ダイスは「なかなか美人だよ」とモンスリーに声を掛けていますから、モンスリーが愛しい存在になっていたはずです。
一方、この頃、モンスリーはダイスに向かって、「船のことは、あなたが一番だわ」と言っていますから、モンスリーから見てダイスは立派な男性という見方をしていることが分かります。
第24話「ギガント」では、ダイスはパジャマ姿のモンスリーに魅力を感じて声を掛けていますが、ダイスらがファルコからギガントに乗り移る時には、「お願い一緒よ」と言うモンスリーに対して、ダイスは「ハイハーバーまでの航路をしっている奴がいないと困るだろうが」と強く制止しています。
ダイスがモンスリーを強制的にインダストリアに戻らせている点には、モンスリーを危険に遭わせたくないというダイスの強い愛情を感じます。
実際、この一言を言われたモンスリーは顔つきが変わり、モンスリーのことを心から思うダイスの愛情が伝わったようです。
第26話「大団円」では、海上を漂流していたダイスが救助されますが、船に移ったダイスは思わず「モンスリー」と叫びながら抱きつきます。
この時はもう、ダイスにとってモンスリーは最愛の人となっていたのでしょう。
そして、その時モンスリーはダイスに対して、ラナを気づかってほしいと語りますが、これはモンスリーがダイスを頼れる立派な人だと思っていたからこそ出た言葉と言えます。
そして最後、モンスリーとダイスはめでたく結婚します。
新しい時代に向けてコナンやラナ達が新生活をスタートする時期に合わせてゴールインする二人は、このストーリーに花を添えている感じがします。
あわせて読みたい「未来少年コナン」のおじい~コナンの行動や物語の展開に強く影響
ジムシーとの接点
主人公コナンの一番の仲間であるジムシーですが、実はモンスリーとはあまり接点がありません。
実際、モンスリーが初めてジムシーの存在を認識するのは、第18話「ガンボート」からです。
ハイハーバを制圧したモンスリーたちは、村人のうち重要人物と思われる人を捕虜として閉じ込めますが、閉じ込めた部屋に来たモンスリーが見かけない少年を見て誰なのかと言った時が初めてジムシーを認識した時です。
この時、モンスリーは「この子だれ?」と問いますが、これにジムシー本人が「ジムシーって言うんだよ、おばさん」と答えています。
ジムシーが初めてモンスリーを見た時には、単なるおばさんにしか見えなかったってことですね。
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そして、第20話「再びインダストリアへ」において、飛行艇にコナンとジムシーを乗せてインダストリアへ向かうことになったのが、事実上、初めて行動を共にする時でした。
その頃には既にモンスリーの心はコナン側に寄っていたことや、ジムシーはコナンの第一の仲間であること、ダイスとジムシーが既に仲よくしていたこと、などからジムシーに対しては心を許すような存在になっていたのでしょう。
第22話「救出」では、偶然モンスリーの銃殺刑場に到ったダイス、コナンと共にジムシーはモンスリーを助けていますが、この時にはコナンを中心として、モンスリーもジムシーも同じ仲間という一体感が生まれています。
第24話「ギガント」では、コナンとダイス、ラナと共にジムシーを飛行船ファルコに乗せてギガントを阻止しようとしますが、この時は既に5人が一緒になった一体感が強く表れ、モンスリーとジムシーは共に未来に向けて同じ志を持つ仲間という感じになっています。
第26話「大団円」では、モンスリーの乗る引き上げ船で、漂流していたダイスとジムシーがを救助していますが、仲間二人を無事に助けたという姿勢が窺えます。
このように、ジムシーとの接点は決して多くはありませんが、後半はコナンを中心にその仲間として一体になっています。
レプカとの関係
モンスリーとレプカとの関係は、コナンとの関係と逆さまにあります。
モンスリーは、ストーリーの前半から中盤では、レプカの部下として行動していますが、後半では完全にコナンの仲間となってレプカを悪い敵としてその悪事を阻止するために行動するようになります。
レプカの部下として行動していた時は、レプカの直属の部下、忠実な部下としての振る舞いが見られます。
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ラナを捕えてインダストリアに閉じ込めていた時は、レプカと一緒になってラオ博士の居場所を聞き出そうとしていますが、それはレプカの部下として忠実な行動と言えます。
第6話「ダイスの反逆」では、コナンが逃げたことをレプカに直ちに報告し、コナンがレプカを投げ飛ばした時もレプカを医務室へ連れて行くように指示し、その後、レプカの指示のもと逃亡したダイスを追って捜索へ向かいます。
サルベージ船にコナンとラナがいることを知ったモンスリーは直ちにレプカに報告していますし、ファルコが墜落した時も、無線機を修復して直ちにレプカと連絡を取っています。
こうした一連の行動は、レプカが上司、モンスリーは部下という上下関係にあって、その立場における職務を忠実に遂行しています。
そして、第21話で、モンスリーはレプカに対して、武器を捨ててラオ博士の言う通りに平和利用にしようと強く進言していますが、これは、モンスリーが忠臣のような振る舞いをしていると言えるでしょう。
しかし、これに烈火の如く怒りをなしたレプカはモンスリーを反逆者として銃殺するように命じますが、ここを分岐点としてモンスリーは、レプカは野望を阻止すべき敵としての行動をとるようになります。
つまり、たとえかつての上司であっても、悪しき野望を遂行している以上は阻止しなければという理念で行動して行くのです。
第22話「救出」では、ダイスと共にインダストリアのコントロール室を襲って占拠してレプカの支配を解こうとしますし、第24話「ギガント」では、野望を果たそうとギガントを飛ばして逃げようとするレプカに対して、ファルコを操縦して必死にその野望を砕こうとします。
このように、レプカは長年従ってきた上司でしたが、レプカの間違いに気づいてからは、専ら阻止すべき敵として、コナンと共に戦います。
「まとめ」という名の感想
長文を最後まで読んで下さりありがとうございました。
読んでみて如何でしたか。改めて感動して頂けた方がいれば幸いです。
私もこの記事を書いていて、感動が込み上げてたびたび目頭が熱くなりました。
少年の頃、初めて観た未来少年コナン。面白くて、感動して、子供の頃の私の宝物のような存在となりました。
以来、永遠に心の中に閉まっておきたい宝物でもありました。
それから年月を経た今日、改めてこのアニメーションを味わいながら振り返り、モンスリーにスポットを当ててまとめました。
今回、子供の頃しまった宝物を部屋の片隅から発見したような思いですが、そんな感動を届けてくれた人物がモンスリーであったと強く感じます。