長野市に引っ越して来てから、感じることの一つに、天気予報が当たらないことがあります。
以前、東京や埼玉に住んでいた頃は、天気予報は外れる場合があったとしても、基本的には予報通りという感覚がありました。
しかし、長野では何かが違うのです。
ある日、小学校に通う息子が登校する時に、雨は降らないだろうと判断して、傘を持っていかなかった事がありました。
しかし、登校するだけのわずかの間に、あっという間に雨が降り出して、慌てて傘を届けたことがありました。
それくらい、天気が急変するんですね。
職場に、天気予報士の資格を持った方がいましたので、色々と話を聞いてみました。
結論として、予報が当たりにくい理由は、主に3つあることが分かりました。
以下、それら3つの理由について説明します。
理由1:長野は山の天気
1つ目の理由は、長野市は山の天気、すなわち山間部の気候と同じだということです。
山登りの時に、晴れていたのに急に雨が降って来た、なんて経験をされた方も多いと思いますが、山間部はそれだけ天気が変わりやすいのです。
長野市は山々に囲まれた盆地になる訳ですが、山からの距離があまり離れていないこともあって、山の天候に近くなるんですね。
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実際に、ふだんから空を見上げていると、同じ日でもけっこう空模様が変化するのを感じます。それ位、変わりやすいのです。
週間天気予報などを見ていても日ごとに変化することも多く、ほとんど当てになりません。
理由2:予報地域の範囲が広い
また、予報が当たりにくい2つ目の理由は、予報対象となる範囲が山間部を含めた広い地域になっているからです。
例えば、長野市の天気予報を見ようとしても、長野市は山間部も含んだ広い地域となっているため、予報も市内全域を含んだ平均的な予報になってしまうのです。
予報機関にもよりますが、一般に、予報を公開する場合、少し天候が悪る目になるような発表をする傾向があります。
例えば、降水確率が25%と予測したならば、実際に公開する数値は30%にしたり、同一市内で20%の地域と30%の地域があれば、実際に公開する発表は30%にしたりするのです。
これは、「天気が良くなると予想して悪くなる場合」と、「天気が悪くなると予想して良くなる場合」とでは、後者の方が不満が起きにくいからです。
ようするに、同じ長野市でも、盆地の中心部、山沿い部、山間部などでは全く違う天気になることも多くあるのですが、長野市の天気予報として発表する場合、異なる地域を全て含んだ総合的な判断で予報が発表されるので、どうしても実際の天気との差異が生じてしまうのです。
理由3:山脈が連なり雨雲を遮る
そして、予報が当たりにくい3つ目の理由は、長野市の西側に北アルプス山脈等の山々が連なっているためです。
天候は西側から変わってくるわけですが、西部から流れてきた雨雲などが、その山脈に遮られて脇にそれるか、或いは山脈を通過して来るかによって、全く天気が変わって来るのです。
また、仮に北アルプスを越えて来ても、長野市内のすぐ西方にある飯縄山等の山々に遮られて天気が変わってしまうこともあるのです。
つまり、雨雲があって西側から東側へ移動してきても、山々を超えるか超えないかで全然変わってきてしまうのですが、その雲が山を越えるか超えないかについてまでは予測しきれない面があるのです。
実際にネットで公開されている雨雲レーダの映像などを見てみると、西から移動してきた雲が、山脈などがある地域で移動しなくなる姿などを観測することができます。
長野市の天気予報が当たらない理由を3つ述べてきましたが、天気予報士の説明を聞いて、なるほどなぁと納得してしまいました。
天気って単なる上空の気圧や前線だけではなく、その土地の形状なんかも大きく作用するんだなぁ、面白いものだなぁと思いました。
長野県全体にも当てはまる
さて、今まで述べてきたことは、私が住んでいる長野市についてのことですが、実は同様のことが長野県全域についても当てはまります。
まず、「山の天気」についてですが、長野県はほぼ全域が山間部となっています。山に囲まれているってことですね。
従って、あらゆる地域が山の天気の傾向を持ち、天気が変わりやすく予報が当たりにくくなるのです。
次に、「長野市は広範囲」についてですが、長野県は都道府県としても面積が広いこともあり、長野市に限らず県内に存在する市町村は比較的面積が広くなっています。
加えて近年の市町村の合併や、山間部を含む領域であることもあって、各市町村の面積が広いだけでなく入り組んだ地形になります。
その結果、市町村ごとの予報といっても厳密には場所によって差異が生じて、予報が当たりにくくなります。
更に、「山脈が連なる」についてですが、長野県は全域に山々が連なっています。
北アルプスだけでなく、高低の違いはあっても尾根が連なる地域は多く、影響の大小はあるものの、それらはいずれも雨雲の進行を妨げる要因になります。
こうした要因によって、長野市に限らず、長野県のほぼ全域において天気予報が当たりにくくなっているのです。
対策としては…
では、天気予報が当たりにくいのであれば、対策についても知っておきたいところです。
具体的な対策を大別すれば、
- より正確な予報情報を得ること
- 天気の急変に予め備えておくこと
の2つです。
正確な予報情報
まず、「より正確な予報情報を得ること」についてですが、これはよりローカルな情報を得ることを意味します。
例えば同じ長野市でも、盆地や山間部を含むため、地域によって天候が異なります。また、同じ山間部でもどちらの山間部なのかによっても違ってきます。
従って、長野市のどこの天気を知りたいかをまず考えて、その地域の天気予報情報を得ることです。
私がおススメな方法は、気象庁(https://www.jma.go.jp/jma/index.html)の雨雲レーダー(高解像度版)を見ることです。
これは市町村に限らず、その地域の雨雲の発生状況や移動の仕方(過去も予測も)を観察できますので、ピンポイントの予報がしやすくなります。
具体的には、気象庁のトップページから「防災情報」-「気象」-「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」をアクセスすれば見られます。(直接のリンク先は、https://www.jma.go.jp/jp/highresorad/です)
このページを開くと雨雲を観測できる地図が表示されますから、あとは場所を絞り込むだけです。詳しい使い方は地図右上の「使い方」ボタンをクリックすれば分かります。
これは短時間の予報にはなりますが、高解像度なのでかなり正確に分かります。
もし、もう少し先の予報を把握したければ、同じく気象庁のトップページから「防災情報」-「気象」-「今後の雨(降水短時間予報)」へアクセスすれば、より長期的な予報を確認できます。(直接のリンク先は、https://www.jma.go.jp/jp/kaikotan/です)
予め備えておく
次に、「天気の急変に予め備えておくこと」についてですが、どんなに細かい情報を得ても、急激な天気の変化があればどうしようもありません。
山の天気ですから、急に雨雲が発生することも珍しくないからです。
特に大気が不安定な時は、急に雨雲が発生して突然雨が降り出すことが多くあります。
上記で紹介した雨雲レーダーでも、今まで存在していなかった場所に、突如として雨雲が発生・発達して見えるような状態ですので、予測しえない場合もあるのです。
だからこそ、雨が降ることを想定した備えが大切です。
具体的には、職場や車中に置き傘をしておく、カバンに折り畳み傘を入れておくなど当たり前の方法が基本です。
荷物がかさ張って邪魔になるのであれば、大気が不安定な日だけでも傘を携帯するようにしましょう。
また、大切なのは服装です。長野は山間部なので天気の変化に伴って気温の変化が無視できない場合もけっこうあります。
状況によって、ちょっとした上着を備えておくことも重要だと、頭に入れておきましょう。
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