イギリス滞在中にどうしても理解できなかった不思議なこと2点。

国内では何ら違和感のない当たり前のことでも、海外から見れば「どうして?」と不思議に思えることってあるものです。それらは、文化や価値観の違いが原因であったり、生活習慣の差から生じるものであったり、歴史的な背景によるものであったりして、理由は様々あります。

しかし、私が以前イギリスを訪れた時に目の当たりにした2つのことについては、どんなに理由を考えても、どうしても理解できない不思議なことで、今でも私の心の中に強い印象として残っています。

スポンサーリンク

2つの何で?

それら2つのことというのは、1つは「電車の往復運賃が片道運賃より安いこと」、もう1つは「修理費用より新品購入が安くても敢えて修理すること」です。

「電車の往復運賃が片道運賃より安いこと」というのは、遠距離を結ぶ幹線などにおいては、片道切符を1枚購入するよりも、往復切符を1セット(往路1枚+復路1名)購入した方が安くなる (1枚当たりの値段ではなく、往復分が安くなる)ケースが多々あることです。

実際に私が、地方都市からロンドンに移動する際に購入した切符がそういった切符で、往復切符を購入して片道分のみを使い、復路分は破棄したことがありました。

また、「修理費用より新品購入が安くても敢えて修理すること」というのは、現地に住むイギリス人が、家庭内で使用している機材が壊れたので修理することになり、修理費用がどれ位するものなのか気になり尋ねたところ、新品を買い替える費用より高かったのです。ちょっと、不可解に思い、その理由を聞いたところ、「修理して使えるものを、処分してしまうのは勿体ない」とのことでした。

この人はとても偏屈な人だなぁと思ったのですが、詳しくいろいろと聞いてみると、イギリスでは修理が可能なものは、修理費用の額に関わらず修理するのが当たり前で、普通の人はみなそのようにしているとのことでした。

不合理な電車賃

さて「電車の往復運賃が片道運賃より安いこと」については、どうしても理解しがたいことであったので、なぜそのようになっているのか知り合いに聞いたところ「分からない」とのことでした。また、往復切符の復路分の切符を使用しないことで、ペナルティや罰則などは無いのか確認したところ、「何も問題ない」とのことでした。

あまりのことに、「じゃあ、往復切符方法が安い場合は、片道切符などを買う人などはいないのではないか?」と聞いたところ、「そうだね」との返事がかえって来たのには驚きました。

日本では、往復割引といって、往復分を同時購入すると割り引かれて、片道当たりの値段が安くなることはありますが、トータルの値段が安くなることは見たことも聞いたこともありません。

例えば、片道2000円の切符が、往復切符だと1割引きになって片道当たり 1800円になり、往復分だと1800円× 2枚(往復)=3600円なので、4000円(2000円×2枚)よりも安くなるというような割引は見かけるところです。

しかし、このイギリスの例を当てはめるならば、片道2000円の切符を往復分購入すると、1800円(片道当たりは900円)になるという具合で、片道切符を買う理由がなくなってしまいます。

なぜこのような不合理な電車賃になっているのかは、時を経た今でもその理由が理解できず、私の中では永遠の謎のひとつになっています。敢えて考えられるとすれば、実際に電車を利用するか否かは別として、売上としての往復の実績が上がれば、業績評価などで何らかの利点が生まれ、安くしてでも往復切符を購入してもらった方がよいケースがあるのかも知れません。

そして、この話が、イギリス特有のものなのかどうか、また、今でもこのような運賃制度が残っているのかどうかは定かではありませんが、いずれにしてもこのような不合理な運賃設定が当時あったのは事実で、その理由は如何なることによるのか、本当のことは未だに分かりません。

敢えて高額な方を選ぶ

さて、もう1つ不思議に感じた「修理費用より新品購入が安くても敢えて修理すること」については、やはり理解に苦しむことであったので、いろいろ話を聞いてみたところ、どうも古いものを大事にするというイギリスの文化の1つみたいに思えます。

この典型的な姿は、レンガ造りの家を改築して使い続けるところによく現れていて、基礎のレンガがきちんとしているうちは、通常、建て替えなどはせず、内装工事などを中心とした改築をすることで住居を使い続けるのが一般的です。

従って、中には築100年、200年などといった家屋も珍しくなく、そのような家屋は、何度となく所有者が変わっては改築を繰り返し、使われ続けます。私は、実際に現地でそんな建築物を多く見てきました。

つまり、「高額になるとはいえ、古いからという理由で、使い続けられるものをどうして廃棄してしまうのか」という感覚が、イギリス国民の常識として身に付いている感覚なのでしょう。

私もそうですが、日本人、特に現代人から見たら、「新品に買い替えた方が安くて、きれいなだけでなく、高性能、高機能になるのだから、高い修理費を払って無理に修理をする理由など微塵もない」という感覚が普通でしょうから、イギリス人の持つこの感覚は、やはり理解しがたいものがあります。

但し、名車であるとか、人気製品であるとか、こだわりの商品なんかについては、個人的に高い修理費を払ってでも使い続けるような人は、日本でもよく見かけるところですから、そう考えれば、なんとなく分からなくもない気もします。

以上、私がイギリスで見た不可思議なことを2つ紹介してみました。みなさんはどのように思われるでしょうか。

スポンサーリンク