円滑な業務遂行には「スルーする力」が欠かせない。

どこの企業においても、日々の業務は時間との戦いという面を持っています。

限られた時間内にどれくらいの仕事をこなせるかどうかが、その企業がどれだけ成長できるかどうかのカギにもなります。

従って、できるだけ無駄を省いて、密度の濃い仕事をしていくことが求められます。

しかし、実際の職場では、無駄なことに労力を費やすことがけっこうあり、特に「スルーする力」が弱い場合には、余計な作業を抱え込んでしまう傾向にあります。

円滑な業務遂行にはスルーする力が重要

つまり、作業効率を上げて、円滑に業務を遂行するにはスルーする力が重要なのです。

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業務は無量

企業は利潤を追求する組織ですから、需要に合う製品やサービスを提供する努力をすると同時に、同業他社との競争に勝つためにも、常に前進し続けるものです。

従って、そこで働く人々も日々の業務をこなす一方で、色々な課題に取り組んで行くことが求められるものですから、仕事は忙しくて当然といえます。

逆に言えば、仕事が忙しくもなく、ゆとりのある状態が続いているようであれば、その企業の将来性には疑問が残るといえるでしょう。

さて、業務が忙しいと、全てをこなして行くことはなかなかできないもので、重要度の高い作業から優先して処理するのが一般となります。

しかし、実際には優先する作業は山ほどあり、加えて割り込みで発生する作業もありますから、いかに無駄を省いて効率的に業務を遂行するかが重要になります。

円滑な業務遂行にはスルーが大切

そこで大切なのが、

本当に必要な業務なのか、
絶対回避できない作業なのか、
急いで処理する仕事なのか

正確に見極めることです。

しかし、どんなケースであれ業務を円滑に遂行するためには「スルーする」ことがカギとなります。

やるべきことがたくさんあり、それらを全て真面目にこなそうとすると無理が生じますから、「スルーすること」で余計な作業を排除し、効率的に業務を遂行することが肝心になります。

簡単に言えば、真面目過ぎると損をする、換言すれば、バカまじめに全てをこなそうとすると苦しくなるということです。

さて、この「スルーすること」は、組織の上層部からくる作業の依頼や、他部署からの要請に基づく業務などに対しては特に有効です。

逆に言えば、うまくスルーする力を持たないと、単に業務が円滑に遂行できないでけでなく、時には業務がまわらないという事態も招きかねません。

特に、他部署が依頼して来る作業というものは、とかく必要のない作業が多く含まれる傾向があり、また、日常業務を大きく圧迫するような要素となるものなので、特に注意が必要です。

スルーは手抜きや業務放棄とは違う

ところで、「スルーする」というと、

仕事をせず、手抜きすることではないか

という疑問がわくかと思います。

ともすれば、それは業務放棄ではないかと考える人もいるかも知れません。

「スルー」という言葉には、「聞き流す」、「気にしない」、「無視する」など、いろいろな意味で用いられますが、ここでは「バカ正直に、業務を引き受けない」ことを意味します。

従って、「スルーすること」と「手抜き」とは意味が違います。もちろん、何でもかんでもスルーしていたら、それは業務放棄にもなり兼ねません。

大事なことは、全体の業務を念頭に、重要度、緊急性、必要性などを考えて総合的に判断することです。

業務の効率を考えた上でスルーすべきとの判断をするのであれば、それは無駄を排除したひとつの合理的な姿でもあるのです。

まさに、効率を考えるからこそ自然と「スルーする」わけで、これこそ円滑な業務遂行に当たるのです。スルーと手抜き、業務放棄は全く違うものなのです。

あなたも、「せっかく、多くの時間を費やしたのに・・・」などと、苦労してこなした作業が無駄になった経験が何度もあるかと思います。

業務を進める前に、そのまま作業を開始するのか、スルーすべきかのか、いったん立ち止まって考えることから始めるべきです。

どのようにスルーするか

まず弁えること

では、実際にどのようにスルーすれば良いかですが、それを考える前に弁えておくべきことが2つあります。

それは、下記の2点です。

  • 一部だけスルーする選択肢がある
  • 業務上のスルーは無視することではない

まず、1つ目の一部だけスルーする選択肢があるですが、業務の依頼や要請があった場合、それに対する処置の仕方には、「依頼や要請に応じる」と「依頼や要請に応じない」の2つだけでは無く、他に「依頼や要請に一部応じる」という選択肢もあるということです。

要は、「スルーする」ことの他に「一部スルーする」という選択肢があるのです。

そして、2つ目の業務上のスルーは無視することではないですが、依頼や要請があった場合、それに「応じないこと」と「スルーすること」は、意味は同じですが、「スルーすること」と「無視すること」は決して同じではありません。

業務である以上、一般的な「『スルーする』=『無視する』」という考え方は持つぺきではなく、

「『スルーする』=『依頼を断る』」

と解釈すべきで、応じられない理由を明確にして断ることが大切です。

このように、「一部スルーする」という選択肢があるということと、無視はするものではないことの2点をまず、きちんと弁えることが大切です

他部門からの業務依頼

さて、具体的なスルーの仕方ですが、それはまず、依頼、要請のあった業務がどのような内容であるかを、しっかり把握することから始まります。

具体的には、「依頼元が依頼してきた業務内容が適切なのか」、「何を意図して何を期待して依頼してきたのか」、をしっかりと理解し、きちんと判断することが重要になります。

適切な依頼か

依頼者が他部門の場合は、こちらの業務の詳細をよく知らずに、的外れなことをお願いしてくる場合が多々あります。

また、こちらの業務とは関係はあるものの、依頼の仕方が筋違いな場合もよくあります。

こういったケースでは、依頼してきた内容が適切とは言えませんから、的外れであることや筋違いであることをハッキリと伝えて、「対応できない」と明確に断りスルーしましょう。

また、的外れでもなく筋違いでもない、けれども要点から外れている、本筋とは少し異なるというような少しズレたような依頼であれば、ズレた部分を指摘して、一旦断るのが有効な手段です。

もし依頼部門にとって業務上、本当に必要なことであれば、断っても再びお願いや相談にくるものですが、重要度が低いことであれば、その依頼は諦めるものです。

要は、理由を付けて一旦断ることで、依頼のあった業務の重要度を、相手に再考させるのです。

全てを引き受ける必要はない

さて、依頼してきた業務が的外れでなく適切な内容であった場合、依頼部門が何を意図して何を期待して依頼してきたのかを分析・把握することがとても重要です。

それは依頼されるままにただ作業を進めた場合、必要以上に時間を要するケースが非常に多いからです。

依頼をしてくる部門は、こちらの業務の詳細を知らずに、こちらの業務内容を憶測して依頼してくる部分が多いのです。

従って、相手が求めている結果は、必ずしも相手の依頼通りに遂行して出てくるとは限りません。

相手が依頼してきたことをそのまま遂行するのではなく、まず、相手が依頼してくる意図の本質を見極めることです。

つまり、相手が求める結果を正確に把握して、こちらがやり易い方法に変えた上で、可能な限り相手の意に沿うような結果を出すようにするのです。

これは、依頼に対して「一部スルーする」というケースに該当しますが、結果として依頼して来た部門に欲しい結果を提供できるので、業務上は問題は起きません。

むしろ、依頼元にとって、よりよい結果を出せることもあるでしょう。

また、スムーズに進めるためにも、「これはできない」と断るような言い方ではなく、「こうならできる」というポジティブな言い方をすることも大切です。

上層部から業務依頼があったら

では、依頼が組織の上層部からくる場合はどうしたらよいでしょう。

この場合の基本的な考え方は、他部門からの依頼の場合と同じです。

上層部とは言え、現場のことは知らないことも多いですし、業務の詳細については意外と知らないものですから、同じ対応でスルー、または一部スルーしましょう。

とはいえ、上層部からの依頼の場合、的外れな依頼や筋違いの依頼などは少ないですし、組織の構成上、やたらとは断れないケースが多いのが現実です。

従って、いかに「一部スルーする」かがカギとなりますが、上層部からの依頼の場合、組織下部への過度な負担はさせまいとの認識は持っているものですから、これを上手く利用するのです。

具体的には、

依頼通りに遂行すると、日常業務に大きく負担がかかり支障を来します。この範囲なら何とか対応可能です

というように、業務上の負担増加を極力抑え、且つ、依頼元が求める結果に可能な限り近い形で結果を出す対応を提案して行くのです。

こうすれば、たいていの場合は理解が得られ、「一部スルーする」ことが可能になります。

以上、業務上、無駄を排除して業務効率を上げるには「スルーすること」が大切であることを述べて来ましたが、このことは私自身、長年、会社員として働いて来た結果、とても強く感じるところです。

それは、依頼のあった業務を馬鹿正直にこなすことが、どれ程の無駄を招くことかを、我が身に染みて幾度も経験してきたからなのです。

スルーすべき業務はきちんとスルーし、応えるべき業務はきちんとこなす。このようなメリハリをしっかりと持ち、効率的かつ円滑に業務を遂行して行くことが大切なのです。

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