仕事で測定器を扱う機会がけっこうあるのですが、いろいろな測定器を扱っていて強く感じることは、古くからある原始的な構造をしている測定器ほど長持ちするということです。
アナログ電圧計の方が寿命が長い
長持ちする測定器の1つに、針が指すメータを読み取るタイプの、アナログ電圧計なんかがあります。
現代では、アナログ電圧計に代わって、電流計や抵抗計などの機能をあわせ持った、デジタルマルチメータと呼ばれる製品が多く用いられるようになりましたが、アナログ電圧計は30年以上使える物が多くある一方で、デジタルマルチメータの類は、30年以上使えるものはごくごく一部で、20年も使えれば良い方です。
アナログ電圧計は、たとえ壊れても修理のサポート期間が20年以上あるなどして、比較的容易に直すことができるのですが、デジタルマルチメータなんかは数年で修理のサポートが打ち切られ、使い続けることが難しくなります。
また、性能面を見ても、単に電圧を計るだけの用途としては、アナログ電圧計で十分です。
しかしながら、デジタルマルチメータの方がメータを読まずに、直接数値を読めるので便利だとか、多機能で色々使える方が役立つからといった理由で、新しいものを買おうとするのが実情なんですね。
単純構造の方が長持ち
さて、新しいものといえば、WindowsなどのOSを搭載した測定器なんかが結構あるもので、ソフトウェアによるデータ処理がいろいろできて便利なところがあるのですが、OS自体が起動しなくなったり、ハードディスクが壊れたりして、あまり長く使えない傾向にあります。
このように、構造が原始的で単純な製品ほど壊れにくい訳ですが、この傾向は家電製品にもいえることで、最近の製品は以前と比べると、単に市場の製品サイクルが短くなっただけでなく、寿命そのものも短くなっていると感じます。
以前、私の実家にあった冷蔵庫は20年以上使えて、処分するまで全く調子が悪くなることがなかったのですが、8年ほど前に我が家で購入した多機能・高性能をうたった冷蔵庫は、昨年故障して使えなくなってしまいました。
また、学生時代に買ったシチズン製のアナログ腕時計は、二十数年間使う事ができましたが、社会人になってから購入したシチズン製の電波腕時計は8年ほどで使えなくなりました。
これらは一例ですが、単純な構造のものほど長持ちする製品は、挙げればキリがありません。
便利さと製品寿命は反比例
最近は何でも、多機能化、高機能化、高性能化が進み、便利で且つ、楽しめるようにはなったのですが、その反面、故障しやすくなったのが現実でありましょう。便利さと製品寿命は反比例する傾向にあるということですね。
故障しやすくなった理由ですが、製品の進化に伴って自然と構造が複雑化したり、使用部品点数が増加したりしますので、その分、確率的に、どこか一ヶ所でも不調になる可能性が高くなり、結果としてそれらが全体の動作に支障を来たして問題となるわけですね。
そんな壊れやすい理由、理屈では分かるのですが、もう少し何とかならないものかなと、つくづく思うものです。