仕事上で部下や後輩の話をよく聞いてあげることはとても大切です。もし、機械的な指示や、一方的な業務の押しつけ、やり方の強要ばかりをして、相手の話に耳を傾けないでいると、却って業務効率が低下するばかりか、思わぬ組織内のトラブルなどに発展する場合があるからです。
業務に対して自分が持っている感覚と、部下や後輩が持っている感覚は、同じであるハズは無く、人によってやり方も違えば、考え方も違い、取り組む姿勢も異なって来るのは当然です。
本音が出るまで耳を傾ける
従って、日頃からコミュニケーションを活発にして、よく耳を傾けて聞いてあげることが大切ですが、その際、形だけ聞くのではなく、どのように進めたいと思っているのか、どのようなことに疑問を持っているのか、何に対して不満を持っているのかなど、いろいろと細かなところまで気を配って、親身になって話を聞くべきです。
そうでないと「あの上司は、耳を傾けてくれない、全然理解してくれない」などと、心が離れてしまいます。
しかし、心の中で本当に思っていることは、表に出さない人が多く、耳を傾けるべき肝心な部分は、なかなか表に出てこないものです。
なので、コミュニケーションを取る上で、ポイントとなるのは、本音を出してくるところまで触れることです。最初はなかなか本音を出してこなくても、コミュニケーションを重ねる中に、徐々に出してくることもありますので、粘り強く接して行くことも大事です。
粘り強く接すれば変わる
私の職場に異動してきた部下で、仕事に意欲や積極性がなく、なぜもっと前向きに取り組まないのか、理解に苦しむ人がいました。
何を話しても、形式上の言葉を返すだけで、その言葉には覇気が無く、何を考えているのかよく分からず、どのように活躍してもらおうかと、考える日々が続いていました。
そんな部下と、粘り強く会話を重ねて行くと、次第に本音がちらちらと見えるようになり、本人なりに業務効率を考えて仕事を進めていることが分かってきました。
その結果、本人の能力を活かせる指示ができるようになって、業務に対する姿勢が少しずつ改善して行きました。
気軽に会話を交わせるからこそ注意
さて、話しを良く聞いてあげることで、部下・後輩との円滑なコミュニケーションが取れるようになりますが、そんな場合にこそ、注意すべきことがあります。
それは、しっかりとコミュニケーションが取れていると、部下・後輩は相談のしやすさから、本人が意図する意図しないに関わらず、本人にとって都合の良い提案をして来たりするものです。
本人は、業務の効率が上がるからとか、経費を削減できるからとかの理由で、要望や意見をあげてきたりするわけですが、その際、あまり親身になりすぎて本人の意向ばかりを重視すると、まわりの作業者への影響や、組織全体での効率などを軽視した、誤った判断をしてしまうことにもなりかねません。
また、いらずらに提案などを受け入れれば、甘やかすだけで、却って本人の為にならないこともあるものです。
業務全体を見て的確な判断を
私の部下で、普段から、まめにコミュニケーションを取りながら、共に組織を引っ張って行く者がいますが、気軽に相談に乗ってあげていることもあって、色々な提案をしてくることがけっこうあります。
しかし、提案の中には、業務の分担を明確にしすぎて融通が利かなくなるものや、効率を重視するあまり、全体の作業バランスを欠いたりするものもあったりと、本人の意向を聞き過ぎてはいけない場面によく遭遇します。
円滑に業務を進めるために、部下・後輩の話によく耳を傾けて、しっかりとコミュニケーションを取ることが大事ですが、親身になって耳を傾けるあまり、本人の意向ばかりを聞き過ぎてしまうことがあり、注意が必要です。
親身になって耳を傾けると同時に、しっかりとした判断・指示をして、円滑に業務を進めたいものです。