専門書は読むのと熟読とは大違い。だが熟読と熟知とでは更に大差がある。

ノウハウなどが書かれた専門書をよく読むことがありますが、本を読むことと熟読することは大きく違うと感じます。

そして、熟読することと、熟知することは更に大きな違いがあると感じます。

専門書を読むことと熟読は違うが、熟知は更に異なる。

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専門書は中身が濃い

専門書は、ある分野について詳細が書かれている書籍ですから、一般にその内容は深く濃くなります。

専門書の中には、広く浅く説明・解説しているような書籍もありますが、これも、広い知識のための本ということで、自ずと内容は濃くなります。

つまり専門書は、狭く深く解説した書籍でも、広く浅く解説した書籍でも、いずれの場合も、その内容が自然と濃くなるのが一般的です。

そして、その種の本を読もうとする読者は、その分野に関して知識を深める目的がありますから、書かれている内容をよく理解しようとしながら読みます。

筆者の意図をつかむには熟読が大切

そのために、まずはその書を普通に読むと思いますが、一度読んだだけでは意味がなかなか理解できないことはよくあります。

特に専門性が強い分野の書籍や、難易度の高い書物の場合はなおさらで、繰り返し読んでこそ初めて理解できるようになって行きます。

ところが、専門性がそれほど強くない書籍や、難易度の低い書物の場合でも、筆者の意図するところや、本当の深い意味をつかもうとすると、一度や二度読んだくらいでは不十分です。

このことを最初に私が実感したのは、まだ二十代の頃、ある書籍を読んだ時のことでした。

その書籍は、広く且つ深い内容の専門書であったため、繰り返し何度も何度も読んだのですが、当時、その都度、奥の深さを再認識させられました。

そして、読むたびに

「読んだつもりでいたが、全く分かっていなかった。分かったつもりになっていた」
「この記述部分の意味と、あの記載箇所の説明がこのように関連するんだ」
「読んだはずなのに分かっていなかった、見落としていたような感覚だ」

等というような思いを、味わっていました。

まさに、その都度、新たな発見をしたような感じでした。

その書籍は結局数十回も通して読むことになり、本当にその内容の広さ深さに驚嘆すら覚えました。

そして今、色々な専門書を読むたびに、このような思いを強く実感しています。

筆者の意図、内容の深さを本当につかもうとした時、何度も繰り返し繰り返し読むこと、即ち「熟読」は本当に大切です。

単なる熟読では不十分

さてここで、「熟読は、何度も繰り返し読むことではないのでは?」との疑問を抱く人もいると思います。

確かに、熟読の言葉そのものの意味はその通りでしょう。
念のため辞書で確認してみます。

熟読とは、(デジタル大辞泉)

文章の意味をよく考えながらじっくり読むこと。

です。

やはり、繰り返し読むという意味はありません

熟読と似た言葉に、精読(せいどく)と味読(みどく)がありますので、それぞれ調べてみましょう。

精読とは、(同上)

細かいところまで、ていねいに読むこと。熟読。

です。

また、味読とは、(同上)

内容や文章をよく味わいながら読むこと。

です。

いずれも、繰り返し読むと言う意味はありません。

熟読、精読、味読。

いずれも微妙に意味は違いますが、「しっかり読む」という意味では同じです。

では、専門書を通して専門知識をきちんと身につけようとする場合、単にしっかり読むだけで充分でしょうか。

私は、絶対に不十分だと感じます。

その分野のことを本気で身に付けようと考えるならば、自然と繰り返し読むことになる筈です。

要は、何度も繰り返し繰り返し読むことが大事なのです。

筆者の意図を実感してこそ熟知

そして、更に最近強く感じることは、専門書に書かれていることを熟読しても、それはあくまで理論や理屈として知識を身に付けるに過ぎないということです。

本当の意味でその内容を会得・熟知するためには、体験や実践などを含む理論を超えたものを伴わなければ十分ではありません

体験や実践を伴うからこそ、「なるほど!」というリアルな実感が持てる訳です。

得られた知識は実践で使えてこそ体得できた、吸収できたとも言えます。体験や実践がない場合、どこかで「分かったつもり」になっているものです。

また、実用で使えないような理論・理屈は役に立つものでもありません。

単純な例をあげれば、スポーツのルールブックを熟読して、そのスポーツが上達できるかといえば、その答えはノーです。全く別な話です。

体で体得してこそルールが定められた真意もつかめるものです。

専門書は、その分野の専門家が、長年の経験や広い知識をもとにして書き表した書籍です。いわば、その分野の一部を文字で表しただけと言っても過言ではありません。

少しでも筆者(専門家)のレベルに近づこうと考えるならば、同じ感覚、視点、コンセプトに立つべく、熟読を重ねながら、実感を伴えるように努力すべきです。

専門書を読む場合、繰り返し熟読することが大切ですが、それを可能な限り実体験と重ねあわせ、実感を持てるようにして行くことが何より大切です

そして、その先にこそ本当の熟知が待っているのです。

以上、ノウハウ書などの専門書に関して、最近特に強く感じることを述べて来ました。

あなたが過去に読んだ本でも、改めて掘り下げながら繰り返して読んでみると、新たな発見があるかも知れません。

そして、その書籍の内容を自身の経験に照らしあわせながら更に読み進めると、更にそこには別な発見を見出すことでしょう。

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