老後破産する34個の原因~老後破産の万全な対策は原因全ての見極め

自分は老後破産なんかしない」と思っていないでしょうか。

しかし、老後破産の大きな潮流が流れつつある現代では、無関係と言える人はいません。

そんな現実を見据え、誰もが隣り合わせている老後破産の原因とその対策について細かくまとめました。

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目次

誰にも関わる老後破産

老後破産が話題になり始めたのは、何年も前のことですが、それ以来、ニュースでも度々その実態が紹介されて来ました。

そして、現代では200万人以上が老後破産、又はそれに近い状態にあると言われています。

しかも、予備軍はそれ以上いると考えられていて、その数は増加傾向にあります。

老後生活に必要な貯蓄額は2000万円とも3000万円とも言われていますが、実際にそれほどの準備が出来ている人は殆どいません。

このような現状を見た時、果たして「自分には関係ない」と言えるでしょうか。

老後破産が無関係だと言える人は、ごく一部だけなのです。

自分に無関係とは言えない実態や背景がある

ピント来ない人もいるかと思います。まず、下記の3項目を見てみて下さい。

  • 経済低迷が長期に渡り収束する気配が全くない
  • 少子高齢化が急速に進み年々その加速度が増している
  • 国家の借金も増加傾向にあり改善の見込みがない

これらは、日本人に直接関係ある現実で、我々はその中に身を置いています。

そして、これらの現実は、老後破産を生み出す大きな要因として作用していて、老後破産という大きな時代の潮流を生みだしているのです。

どんなに「大丈夫」と言ってみても、大きな潮流に身を置いていることに変わりはありません。
その潮流がいつ大きな力で迫って来るかは、誰も否定できません。

老後破産は、あなた自身に関係ある大きな問題で、決して楽観できないのです。

実際、あなたの今の生活の状態を見ていて、定年退職後のゆとりある生活をイメージできるでしょうか。
イメージ出来る人は殆どいないと思います。

それでも、「貯金が十二分あるから大丈夫」などと考える人もいるかも知れません。

しかし、

もしあなたが100歳まで生きたなら、果たして今の貯蓄で充分でしょうか?

自分が老後を迎えた時に、未だ健全な親が経済苦に陥ったとしたら十分な支援ができるでしょうか?

長い老後生活の途上で、定年を迎えた子供が経済的な問題を抱えていたら対応できるでしょうか?

超高齢化社会と言うべき現代だからこそ、今までの常識では考えられないこともあり得るのです。

老後破産を回避する対策は、早ければ早いほど得られる効果が大きくなります。

他人事と考えず、原因を知り、対策を考えて行くべきでしょう。

単なる資産運用などでは防げない

さて、老後破産の原因や対策についてネットを検索してみましょう。

すると、資産運用を手掛ける企業や、老人向けの金融サービスを提供する企業の運営サイトが目立ちます。

しかし、資産運用の類は、あくまで方法のひとつであって、根本的に見直す点が他にたくさんあります

しかも、資産運用等は、”運用方法の枠”を超えませんから、どちらかと言えば対処療法です。

また、老後破産する人のほとんどは、現役時代から運用するほどの大きな資産はありません。

あくまでも原因ひとつひとつを分析して、老後を想定した適切な計画を立てることが最も効果的な対策と言えるのです。

全ての原因を1つ1つ見極めてこそ防げる

では、一般に言われている老後破産の原因は何でしょう。

簡単に言えば、

  • 老後のための貯金が充分でない
  • 受給できる年金額が少ない
  • 老後の支出の負担が大きい

などなどです。

ただし、これは主な原因や直接的な要因をあげているに過ぎません

一般に原因は一つではなく、大きな原因が小さな原因に結びついている場合もあれば、小さな原因が集まって大きな原因となっている場合もあります。

また、直接的な原因もあれば、間接的な原因もあり、そういった原因は相互に複雑に絡んでいるのが一般的です。しかも、人によってその原因が影響する度合も異なります。

つまり、老後破産はいくつもの原因によって起きるものですから、原因としての大小はあっても、原因となりうる要素を一つ一つ見極めてこそ本当の対策になるのです。

換言すれば、老後破産は1つや2つの方策で解決するものではなく、細分化された原因を見つめて、その原因に対する対策を積み重ねてこそ大きな改善が期待できます。

例えば「貯金が不足」と言っても、必要な額がいくらなのかは人によっても違いますし、不足する原因も人によって異なります。その人の立場で細かく見て行かないと解決の糸口は見えません。全ての原因を1つ1つ見極めてこそ防げるのです。

老後破産を回避するためには、一般論で考えるのではなく、その人の状況にあった細かな原因分析が重要なのです。

この記事の利用の仕方

さて、この記事の利用方法についてですが、チェックリストのように使うのが便利です。

記載した原因34個は、下記の4つの主要因に大別して列挙してあります。

  • 現役時代の収入に関する原因(現役時代の収入が少ない)
  • 現役時代の支出に関する原因(現役時代の支出が多い)
  • 老後の収入に関する原因(老後の収入が少ない)
  • 老後の支出に関する原因(老後の支出が多い)

そもそも破産する時の、直接的な原因は、収入よりも支出が多いことによります。
従って、収入と支出とを2つに大別すると原因を分析しやすくなります。

また、一般に現役と老後(以下、定年退職後を老後の意味とする)とでは収入は大きく変わりますし、生活スタイルも大きく変化しますから、現役時代と老後とに大別することで要因を把握しやすくなります。

以上のことから、この記事では老後破産の原因をそれぞれ「収入と支出」、「現役時代と老後」とに大別して、上記4つの主要因に分けて記載しました。

そして、4つの主要因ごとに、細分化された原因を可能な限り列挙しています。

原因を列挙する上では、近年の経済の動向や少子高齢化社会などの観点からまとめています。
それは、単なる貯蓄方法や節約ノウハウなどを取り上げただけでは、一般論に終始してしまうためです。

ちなみに、貯蓄のための一般的な対策を検討したい場合は、下記の記事にまとめてありますので参考にして下さい。

ここにまとめた34個の原因については、まずチェックリストのようにチェックしてみて下さい。(目次を利用すると便利です)
要は、あなたの老後破産の原因となり得る要素とその重要度を抽出するのです。

そして、抽出した要素に対して、対策の取り組みやすさを検討しながら、ひとつひとつ改善して行くことが大切です。

個々の原因には、その原因に対する簡単な対策法やヒントを併記していますので、ぜひ役立てて下さい。

先にも述べましたが、老後破産は一つの原因から生じるものではありません。
また、主原因に対して対策を採ったとしても十分と言えるものでもありません。

ここに列挙した多くの原因を一つ一つすべて見つめ直して検討、対策し、来るべき老後生活に備えて行きたいものです。

老後破産する34個の原因

それでは、具体的な原因を列挙します。

列挙した原因の中には、大別した4つの主要因に分類しにくいものもありましたが、最も結びつきが強いと考えられる主要因に含めて記述しています。

現役時代の収入に関する原因

まず、一つ目の主要因「現役時代の収入に関する要因」についてです。

老後破産は、現役時代の収入不足によって老後の蓄えが充分にできないことで生じます。

収入不足となる要因を細分化すると、以下のような原因があります。

原因その1:給与が伸びない、減少する

まず、そもそもの要因として、現役時代からの給与が少ないことがあげられます。

多くの人は、給与から収入を得ていますから、その収入が少なければ将来に対する蓄えも満足にできず、老後破産に直結するのは当然です。

また、単に給料が少ないだけではなく、給料が増えないこと、場合によっては給料が減ることも問題です。

バブル経済がはじける前は、給料は右肩上がりが当然でした。また、終身雇用という雇用制度が根強くあり、長年勤めていれば、それなりの収入が確実でした。

しかし、現代においては、雇用も不安定で給料も安定せず、絶対的な収入が低いだけでなく、昇給なども期待できません。

そのため、現役時代の生活に余裕がなく、老後のための貯蓄ができないことも少なくありません。

もし、現在の給与が少ない、安定していない、或いは、将来的な昇給があまり期待できないのであれば、老後を見据えて今から対策すべきでしょう。

具体的な対策としては、転職や副業、起業或いは投資などです。

転職は難しいという人でも、現代は、副業を正式に認める企業なども増えています。

また、パソコンを利用するなどのサイドビジネスの起業は、とてもハードルが低くなっています。

これらの対策は、年をとればとるほど困難になって行きますので、若いうちに将来を考えて手を打っておくことが大切です。

老後になってからでは、対策の幅が狭くなるだけでなく、可能性すら失ってしまう場合もあります。

老後なんて、まだまだ先のこと」などと考えず、できる限り若いうちに対策しておきましょう。

原因その2:不景気が続いている

不景気が続いているという現実が、老後破産の大きな要因になります。

間接的だからこそ分かりにくいのですが、その原因としてはとても大きい要素です。

例えば、老後に備えて資産を蓄えようとしても、低金利であるため資産形成が難しい状況にあります。

また、そもそも給与収入が少ないのも、景気が低迷していることに起因しています。

そして、世の中が不景気であると、そのしわ寄せは様々な形で生活に影響します。

一例をあげれば、不景気に伴って増加した国家の財政赤字により、長期的な増税傾向を招いています。

近年、じわじわと消費税率があげられている姿を見てもこのことはよく分かります。

このように、景気が低迷していることは、間接的ではあっても老後破産の大きな要因になっているのです。

ここで問題になるのは、その対策方法ですが、もちろん、個人で景気を変えることはできません。
従って、何か直接、打てる対策がある訳ではありませんが、景気動向を見据えて諸々の対策を柔軟に考えることは重要と言えます。

将来の景気動向については不明というのが正直なところでしょうが、世界的に続く景気の低迷や、日本の国家財政の厳しさを考える時、急激に景気が回復するとは考え難いのが現実です。

だからこそ、老後破産の対策を考える上で、景気低迷がどのように影響するかを考慮した老後の計画が大切といえます。

原因その3:退職金が出ない、少ない

退職金が出ない、或いは退職金が少ないことも老後破産を招く要因になっています。
それは、退職金が老後のための資金として重要な役割を果たしているからです。

従来からある終身雇用という雇用形態は、今でもまだ残っていますが、たとえ同じ会社に勤めていても、退職時に貰える退職金の額は減少傾向にあり、今後もこの傾向が続くと考えられています。

そして、このことは、「退職金はもっと貰えると思っていた」という現実を生み、当てにしていた退職金が十分に得られないという問題にぶつかります。

また、従来からあった終身雇用という雇用形態は、過去のものとなりつつありますので、途中で転職する人も多くなりました。

その結果、退職時に手にできる退職金の額は少なくなり、老後のための資金が少なくなる傾向にあります。

近年では、退職金制度を廃止する企業も増えています。

更に、そもそも退職金などのないアルバイトなどで生計をたてる人も少なくありません。

このように、「老後の生計に欠かせない」と言われて来た退職金が減少する傾向、支給されなくなる傾向にあります。

これをしっかり認識しておかないと、いざ退職を迎えた時に、「大きくあてが外れた」なんてことになり兼ねません。

対策としては、退職を迎える前から、退職金の金額をきちんと試算しておくことです。

最近の企業は、退職金額が事前に把握できる仕組みを取り入れていますから、具体的な金額を早めに算出して、計画的に老後の生計を考えて行きましょう。

もし、退職金そのものが出ない、あるいは金額として不足しているのであれば、退職金が出ない分だけ余分に貯蓄するなど、それを考慮した貯蓄計画が必要です。

いずれにしても、老後のための資金を漠然と考えるのではなく、具体的な金額を試算することが何より大切です。

原因その4:給与収入のピークを自覚しない

この原因は、わりと盲点になりやすい要因と言えます。

定年退職すれば、収入が大きく減少することは、全ての人がその認識・自覚を持っています。

しかし、現役時代にも給与のピークを過ぎてからは給与収入が減少に転じて、その差額が意外と影響するのですが、その影響は見えにくく気付きにくいからやっかいなのです。

一般に給与のピークは、会社にもよりますが、50歳前後だと言われています。
ピークを過ぎると、徐々に給与収入が減る傾向にありますが、それは最も支出が多くなる時期でもあります。

子供の学費などは、給与のピークを越えても負担が続くことが多く、従来の給与を想定していると、計画が大きく狂ってしまうこともあります。

給与のピークから実際の定年までは、数年から十数年の期間がありますが、それだけの期間に渡って想定よりも給与が少なくなれば、老後のために計画していた貯蓄計画が崩れてしまいます。

そして、給与収入のピークとの額の差は、年功序列制度が無くなって来ている今日では、大きくなる傾向もあります。

現役時代から既に給与収入の減少が始まることをしっかりと自覚し、それを想定して老後の計画を考えることが対策として大切です。

原因その5:社会保障費の負担が増加

この原因は、厚生年金保険料、健康保健料、介護保険料などの保険料を始めとした、社会保障費の負担増加のことです。これらの負担が増加することで、実質的な手取りの給料が減るからです。

少子高齢化が加速していますから、現役世代が負担する年金保険料は増加傾向にあります。また、従来は無かった介護保険という制度は、近年になって導入されるようになりました。

現役時代に負担する社会保障費は、かなりの金額になりますからその負担はバカになりませんが、問題は、今後もその傾向が長期に渡って続くということです。

これは、急激に加速する高齢化に伴って、高齢者に支給する年金の財源を確保するための時代の流れでもあります。

こういった負担は、法律や制度で定められる以上、避けられないところですが、肝心なことは、今後も負担額が増加することを想定した計画を立てることです。

つまり、今のままの負担が継続すると考えるのではなく、「今後はこれくらいの負担が求められるだろう」ということまで想定して、老後生活を設計することが大切と言えます。

原因その6:定年時期が早く、変わらない

人生80年。そんな言葉も死後になりつつあります。
寿命が長くなり、90歳、100歳まで長生きすることも珍しくなくなりました。

そんな長寿や高齢化社会を背景に、65歳定年、70歳定年という言葉が出て来ています。

実際、政府は65歳まで働ける環境を求めており、その年齢は今後も高まる傾向があります。

定年時期が後ろにシフトすれば、給与収入を得られる期間が長くなりますので、老いてからの生活も楽になります。

しかし、実際には定年の時期はなかなか変わって行きません。その理由は、企業が人件費の増加を嫌うからです。

従って、「もっと長く働いて老後生活を楽にしたい」と考えても、務める会社の定年制度が変わらいことによって、収入が制限されてしまうのです。

たとえ、退職年齢が延長されても、現実は延長雇用という別な雇用形態がとられて賃金が大きく抑えられることが多く、十分な給料を期待することは出来ません。

これに対する対策としては、定年年齢の高い会社や高齢者でも待遇の良い会社に転職する方法が考えられます。

また、現在勤めている会社に労働組合があれば、組合を通して、定年制度の改善を働き掛けて行くのもひとつの手です。

社会全体としては、定年年齢を引き上げる流れがありますので、交渉で改善できる見込みは充分あります。

また、農業などの定年のない仕事に変えたり、定年後に続けられる副業を始めたり、定年後にも細々と続けられる事業を始めておくなども有効な手段と言えます。

原因その7:大病を患い人生設計が狂う

健康な時は、あまり意識しない要因ですが、実際に老後破産する人の中には、大病を患ったことに起因する人が多くいます。

誰しも健康でありたいと願うものですが、願わずとも大病を患ってしまうことはあります。
病気は、本人の意志に関わらずに発生するものですから厄介なのです。

大病を患うと、治療費や療養費、リハビリ費用の負担が大きく、老後のための貯蓄に影響します。下手をすると、大事な貯蓄を大きく崩さなくてはならないかも知れません。

また、病気によっては今までの仕事を続けることができない場合や、長期間に渡って休職せざるを得ない場合も出てきます。そんな場合、一時的に収入が減少したり、途絶えたりしますから、その影響は甚大です。

最悪の場合、離職せざるを得ない場合もあり、想定していた老後の生活設計が根底から覆されかねません。

対策としては、保険に加入するなどが考えられますが、保険料の負担を伴いますので、その人の生活にあった、コストパフォーマンスに優れた保険を選択することが大切でしょう。

大病はリスクとしては低くても、いざ患ってしまうと人生設計そのものが完全に狂わされてしまいます。

可能性は低くても、きちんと想定しておくことが大切です。

以上、一つ目の主要因「現役時代の収入に関する原因」について見てきました。

ここに挙げた様々な要因は、現役時代の収入だけでなく、支出や老後の収支などとも密接に結びついています。他の主要因との繋がりを考えながら検討しましょう。

現役時代の支出に関する原因

では、二つ目の主要因「現役時代の支出に関する原因」について見てみましょう。

老後破産は、現役時代の支出過多によって老後のための蓄えを充分できないことで生じます。

支出過多となる要因を細分化すると、以下のような原因があります。

原因その8:生活レベルが高い

一般に、収入が少ない人ほど老後破産しやすいと考えられがちですが、そうとは限りません。

収入が多いことは、老後破産がしにくい一要因ではありますが、実際に老後破産を起こす人の中には、けっこうな収入を得ている人も多くいます

それは、高収入であっても、生活レベルが高いと支出が多くなり、結果として充分な老後の貯蓄ができないことによります。
また、生活レベルが高いと、その分だけ老後に生活レベルを落としにくくなります。

要するに、生活レベルが高いと、現役時代には必要な貯蓄をする妨げとなり、同時に、老後生活で出費を増加させる要因にもつながるのです。

大切なことは、収入相応の生活レベルにすることです。
老後に向けた貯蓄を充分できるような生活レベルのことですね。

老後に必要な資金を貯めるためには、月々いくら貯蓄へ回さなければならないのか。
そのためには、月々の出費をいくらまでに抑えなければならないのか。

それらを考えた結果、許容される出費の範囲になるような生活レベルに抑えることが重要なのです。

原因その9:増税が進む(国の財政赤字)

先にも挙げましたが、現代は増税が進む時代です。
これは、国家の財政赤字と言う現実がある以上、どうしても避けられない要因です。

最も分かりやすい例は、消費税が導入された当初の税率は3%でしたが、その後は段階的に5%、8%、10%と引き上げられています。どうしても税収を増加しないと国家の財政が持たないのです。

そして、税金というのは、年をとったから免税される訳ではありませんから、これは現役時代に限らず、老後にも関わる大きな問題でもあります。

脱税をする訳には行きませんから、この要因に対する対策は無いように思えます。
しかし、節税対策や、免税制度を上手く活用する余地はあります。微々たる対策でもつもり重なれば大きな額になります。

できる節税・免税などを積極的に取り入れ、少しでも老後の貯蓄に回すようにするのが最善策と言えるでしょう。

原因その10:計画性のない出費

これは、多かれ少なかれ多くの家庭に当てはまる要因です。
実際、家計簿などをきちんと記録・管理している人は限られた人でしょう。

計画性のない出費は、浪費を招きますから、その分だけ貯蓄へ回せるお金は減少します。

日々の家計をしっかり計画的なものにして、老後のための貯蓄を少しでも確保することが重要と言えます。

ひとりの人(或いは、ひとつの家庭)が一生涯に稼げるお金の総額には限度がありますが、その総額の多くは、住居費、養育費(教育費)、老後の生活費が占めていると言われています。

住居費の多くはマイホームの購入で、養育費は子供が自立するまでに掛かる費用ですから、実際にそれらに消費するお金は、現役時代が中心となります。

現役時代は、どうしても目先の住居費や養育費に目が行ってしまいますが、それらの金額と変わらないほど多くのお金を必要とするのが老後の生活費です。

従って、日々の家計をやりくりする場合も、老後の資金をその計画に含めることが大切です。
毎日、家計簿をつけている人でも、老後資金が計画に含まれていなければ、それを含めて再計画するのが賢明でしょう。

原因その11:教育費の負担・増加

一般家庭の支出のうち、子供の教育に当てる費用は、とても多くを占めます。

その額は、子供が何人いるのか、大学まで進学するのか、大学院まで進学するのか、公立か私立かなどで大きく変わります。

また、塾に通わせたり、習い事をさせたりすれば、その分だけ出費も増加します。

大事な子供だから、「お金を掛けてでもよい学校に通わせたい」、「色々な能力や経験を身に付けさせたい」、などと思うのが親の心情です。

しかし、いくら大事な子供のためとは言え、親自身の将来(老後)の生活に支障を来たすのであれば考えものです。

教育費は費用が掛かるだけに、「必要な部分は出す、抑える部分は抑える」と言ったメリハリが重要です。

どうしても、学費が不足するのであれば、他の出費を節約するなどして、老後のための貯蓄には影響のないようにしましょう。

また、場合によっては、学資保険や奨学金制度などをうまく利用するのもひとつの手段です。
子供に何かの才能があれば、特待生を考えてみるのもいいかも知れません。

いずれにしても、具体的な出費額をきちんと計算して、計画的にやりくりすることが必要です。

以上、「現役時代の支出に関する原因」について挙げて来ましたが、他にも細かな原因は無数あります。

突き詰めて言えば、日々の浪費を防止して、節約に努め、少しでも老後の資金に回すことが重要です。

そのために役立つ記事がありますので、下記をぜひ参考にして下さい。

老後の収入に関する原因

さて次は、三つ目の主要因「老後の収入に関する原因」についてです。

老後の収入が支出に対して不十分であれば、老後破産を招くことは自明の理です。

老後の収入を少しでも増やそうとするならば、現役であるうちに必要な対策を早めに講じておくことが大切です。

老後の収入に関する原因をあげると、以下の通りです。

原因その12:老後は仕事がない、少ない、限られる

まず、何と言っても老後は仕事がありません。
あったとしても職種などを選ぶことができず、選択できる職業も限られます。

そして、どのような仕事に就くにせよ、支給される給料は現役時代と比べると格段に低くなるのが一般的です。
高齢者にとって、収入の多い仕事を見つけることは困難なのです。

確かに、高齢化が進む今日では、定年後のシニアの就職をサポートする動きが盛んになっています。
従って、仕事そのものを見つけることはそれほど難しくはないでしょう。
しかし、望むような仕事を見つけるのは簡単ではないのです。

少なくても、現役時代と大きく変わらない給与体系の会社に就職するのは、ツテなどが無い限り無理と考えるべきです。

また、年をとれば老化が進み体力も衰えて来ますから、身体的な理由から就労できる仕事が限られてきます。

働きたくても思うように働けない」、「充分な給料を得たくても得られない」、そういう状況に陥ります。

たとえ、本人がどんなにやる気を持っていても、それを受け入れてくれるような会社などはまずありません。

このような理由ですから、この要因に対する直接的な対策はないと言っていいでしょう。
しかし、老後の再就職を少しでも有利にすることは現役時代に充分可能です。少なくても可能性を広げられます。

例えば、現役時代にしっかりキャリアや実績を積めば、老後を迎えても、少しでも有利な再就職の可能性が出てきます。

また、現役時代に技能などを会得しておけば、それを活かした事業を展開できる可能性も出てきます。

定年退職した後の収入源をどう確保していくか。

現役時代にこそ、その手段を模索して、その土台つくりに励むのが大切と言えましょう。

原因その13:給与収入が少ない

この要因は、前掲の原因と似ていて、表裏一体の原因とも言えます。

前掲の原因は、仕事そのものが無い、少ないという視点から説明しましたが、ここでは仕事があっても給与収入が少ないという視点で論じています。

一般にシニアは、給与が安い現実があります。それは、多くの場合、非正規雇用や嘱託、或いはアルバイトやパートなどの時間給であるからです。

仮に、うまく正社員として再就職が叶ったとしても、現役時代と同等の給与が得られることはまずありません。

本給以外の各種手当なども減らされる傾向がありますので、実収入という見方をすれば、思いのほか大きく減収します。

高齢者は、体力的にも劣り、あらゆる能力も衰退傾向にありますから、もらえる給与が少なくなるのは、ある意味当然です。

従って、「老後に給料のいい会社に再就職しよう」などと考えるのはあまり賢くはありませんが、少しでも条件のよい仕事を願うなら、現役時代に再就職の基盤を作ることも大切でしょう。

むしろ、個人で年金積立保険に加入するとか、老後のための貯蓄を増やすとか、老後にできる個人事業の環境を整えて行くなどの対策を進めておく方が現実的です。

原因その14:年金額が少ない

一般に老後には年金が支給されますが、そもそもその支給額は充分ではありません。

支給される年金額は、国民年金や厚生年金、納めて来た年数、受給開始年齢などによって様々ですが、一般に必要とされる家計の収入という基準から考えると大きく不足します。

端的に言えば、「年金だけを頼りにして生活することは無理」と考えるべきです。

そもそも年金額が十分であれば、老後破産などという大きな問題は発生しませんが、少子高齢化である現在においては、この現実はどうしようもありません。

これに対する対策としては、しっかり年金を納めて受給資格を得て、満額もられるようにしておくことです。

また、働ける限りは働いて、年金受給開始年齢を遅くすることで、受給額を増やす方法もあります。

しかし、これらの対策だけでは決められた公的な制度なので限界がありますし、年金額が少ないこと自体に変わりはありません。

従って、個人で老後に備えて貯金をする、個人年金に加入するなどが有効な手段と言えます。

原因その15:年金額が減少

この原因は、前掲の原因と同じと感じる人もいると思いますが、そうではありません。

年金額が少ないことが老後破産の原因になりますが、更に少なくなる、減少傾向が続くということは分けて考えるべき原因です。

年金手帳を見れば、自分が老後を迎えた時にどれくらいの年金を受給できるかが分かります。従って、この受給額を元に老後の生計を考えることになると思います。

しかし、この受給額は保証額ではなく、あくまで目安と考えるべきです。自分自身が老後を迎える未来において、年金制度がどのように変化しているのかは想像つかないハズです。

現実の問題として、現在年金を受給している人の受給額は、わずかではありますがジワジワと減少しています。
事実、私の両親も年金の受給を始めてから何年も経ちますが、受給額が少なくなったと嘆いています。

現在、急速に進んでいる少子高齢化や、国の財政状態を考えた時、現在想定している年金受給額を将来そのまま貰えると考えるのは危険です。しかも、現時点で想定できる受給額そのものが少ないだけに、僅かな減少でもその影響は無視できません。

要は、「支給額は大幅に減らされる」と想定しておくくらいが丁度よいのです。
これは、危機管理をする上で、あらゆる状況を想定しておくのと同様です。

この想定が無いと、「こんなハズでは無かった」ということになり兼ねません。

老後生活では

年金受給額=保証される最低限の収入

と考えるのが一般的ですから、年金受給額が減少することは、保証される収入が減ることを意味します。

受給できる年金額を、少な目に見積もっておくことの大切さがよく分かると思います。

原因その16:貯蓄がない、少ない

これは、老後破産する主原因のひとつです。

少ない年金収入を補う意味で、老後のための貯蓄はとても重要ですが、その貯蓄をしてこなかった人・していない人は意外と多くいます。

仮に貯金をしてきていても、十分では無かった例も少なくありません。

年金受給額はとても少なく、不十分です。
にも関わらず、それを補うための貯蓄をしない、たとえ貯蓄があってもとても少ない訳ですから、老後破産に直結するのは当然です。

老後のための貯蓄は必須と考えるべきです。
むしろ、老後のための貯蓄こそが最も重要な現役時代の支出と位置づけるくらいが丁度よいのです。

貯蓄がなかなかできないことこそが大きな問題とも言えますが、現役時代の支出計画に必ず一定の貯蓄枠を設ける以外、根本的な対策はありません。

未来のことだから後回しにしがちな老後のための貯金ですが、その未来は必ずやってきます。
そして、その未来は、「気づいたら定年を迎えていた」という感じで、あっという間に訪れて来ます。
先延ばしは決してすべきではありません

今から家計を見直して、一定額を貯蓄するように努めましょう。一定の貯蓄枠を設けられないのであれば、他の原因に対して効果的な対策を採ることで、その枠を確保しましょう。

原因その17:収入増加の手段が限定される

人間は、若ければ若いほど、将来に対する可能性は大きくあります。
逆に言えば、年をとればとるほど、可能性は狭まって行きます。

これは、全ての物事に当てはまる共通の理ですが、「収入を得よう、収入を増やそう」とする手段においても、老後はその可能性が狭まり限定されます。

キャリアを積んで、老後でも給料の良い仕事ができるようにしようと考えても、キャリアは一朝一夕で積み上げられるものではありませんから、老後から取り組んだのでは自ずと限界があります。

また、「資産をうまく運用して、増やして行こう」と考えても、元手となる資産を所有していなければうまく行きません。年老いてから元手となる資産を形成しようとしても無理があります。

副収入を得るために、小さな事業を起こすとしても、年老いてから始めたのでは大きな困難を伴います。現役の時に基盤を作ってこそ大きな収益も期待できます。

老いれば「身体さえ衰えていなければ、まだまだできるのに・・・」そんな思いを抱く場面が多々でてきます。
年をとってからは、収入を増加させようと思ってもやれることが限定される、制約されるのです。

若い時と同じ考えで、何とかなるなどと安易に考えると、後(あと)からは取り返せない事態になるかも知れません。

老後は、何ごとも現役時代のようには行かないことをよくよく弁えるべきです。

原因その18:個人事業主である

フリーター、或いはフリーランスなどの個人事業主として働くと、収入が不安定になりがちなため、現役時代から収入不足の問題が生じやすくなります。

しかし、老後破産につながるという見方をした場合、むしろ老後の収入に大きく影響すると考えるべきです。

個人事業主などの場合、国民年金の第1号被保険者に該当するため、自分で国民年金の保険料を納付しなければ年金を受給できません。仮に納付したとしても不備があれば一部受給できなくなる可能性もあります。

また、厚生年金がないため、受給できる金額も少なくなる傾向にあります。

そのため、個人年金などの代替手段をとることが望ましいのですが、実際にそこまできちんと出来ている人は少なく、結果として老後破産になる人も出ています。

該当する人は、将来受け取れる年金額をしっかりと把握して、個人年金や老後に備えた貯蓄をするなどの対策を考えるべきです。

原因その19:配偶者と分れる

離別でも死別でも、配偶者と分れると実質的な年金額が減少し、老後破産を招きやすくなります。

特に近年では、熟年離婚と言われる、高齢期における離婚が増加しています。
定年を迎えた途端に離婚を言い渡されて、人生設計そのものが狂うケースも見られます。

年金は、夫婦それぞれに支給されるものですから、夫の年金と妻の年金を合わせた金額がその家計における収入額となります。つまり、夫婦の年金の合計額でやりくりすれば良いことになります。

ところが、もし配偶者と離別することになれば、それぞれが受給する年金の範囲内で家計をやりくりする必要が出てきますので、経済的に負担となります。

世帯を一つ構えるのと、世帯を二つ構えるのとでは必要となる費用は大違いですから、経済的な負担がいかに大きいかがよく分かると思います。

配偶者と死別した場合も同様です。

配偶者が亡くなった後は、自分一人しか年金を受給できなくなりますから、家計という見方をした場合、絶対的な収入が減る訳ですからその影響は無視できるものではありません。

但し、死別の場合に限って、一定の条件さえ満たせば遺族年金の受給はできます。しかし、受給額が十分とは限りませんので、老後破産の要因になり得ることに変わりはないと考えておきましょう。

この原因については、対策が採れるものではありませんが、死別に関しては、いつかは避けられないことだと想定しておくことが大切でしょう。また、遺族年金の受給資格を満たすかどうかの確認や、需給仕込み額がどれくらいかを試算しておくことも重要でしょう。

離別については、将来に渡って夫婦円満でいられるように日々努力することが大切です。

原因その20:元本非保証型の金融商品に手を出す

これは、実際にけっこうあるケースです。

楽をしたい、ゆとりを持ちたい」という思いから、ついついハイリスクの金融商品に手を出してしまうのです。経済的な苦しさのあまり、冷静さを失ってしまったり、老化に伴って判断力が低下したりするようです。

投資の失敗は、現役時代ならまだ取り返すこともできますが、老後にまとまった資産を失うのは致命的で、老後破産に直結します。

細々とヤリクリすればまだ破産せずに済んだケースでも、この種の商品に手を出して破産する実例は少なくありません。

もちろん現役の人にも影響する問題ですが、現役であれ老後であれ「世の中にうまい話などない」と心得ましょう。
ハイリターンな金融商品は、ハイリスクでもあるのです。

年をとってからリスクの高い金融商品に手を出すと、取り返しのつかない事態につながります。よくよく心得えておくべきことが何よりの対策と言えましょう。

ここまで、3つ目の主要因「老後の収入に関する原因」について見てきましたが、老後(定年後)の収入の厳しさを理解して頂けたことだと思います。

よくよく原因を分析して、早目の対策で改善して行きましょう。

老後の支出に関する原因

最後に、四つ目の主要因「老後の支出に関する原因」についてです。

老後は収入が少ないですから、生活にかかる出費は、しっかり抑える必要があります。

老後は現役とは違って、あまり活動もしなくなるから、生活費も少なくて済む」などと考えがちです。しかし、思った以上に出費が多いのが現実で、これが盲点になって破産に繋がって行くのです。

破産につながる要因を細分化すると、以下のような原因があります。

原因その21:寿命が延び、必要な費用が増加する

少し前まで「人生80年」という言葉がよく言われていました。

しかし、医療技術の進歩により長寿化が進んだことで、80代、90代でも元気な生活をしている人が増えて来ました。

実際、あなたの身の回りにも後期高齢者と言われるような高齢者が多くいることだと思います。

老後生活では、貯蓄を切り崩しながら生計を立てるのが一般的ですから、思ったより長生きすれば、十分だと思っていた貯蓄が底をついてしまいます。

当然、自分が何歳まで生きのかは分かりませんから、寿命を想定して少しずつ貯金を費やして行くのが普通です。

しかし、その想定が外れれば老後破産を招くわけですから、「思った以上に長生きする」という想定をして計画を立てることが唯一の対策です。

ゆとりがあって困ることはありませんが、貯金が底をつけば必ず困ります

まさか、この年齢まで長生きするとは思ってもみなかった」というような話は、本当によく耳にします。

寿命を長めに想定し、ゆとりを持った計画を立てましょう。

原因その22:住宅ローンが残る

定年退職後に住宅ローンが残っている(完済していない)と、それは老後の大きな負担になり、老後破産につながります。

人生の中で最も大きな出費のひとつが住宅ローンですから、収入の少ない老後まで返済時期が長引くことはとてもリスクの高いことです。

住宅ローンと言えば、月々の返済額を低く抑えた「フラット35」が有名ですが、この住宅ローンの場合、35年もの長期返済となりますから、多くの場合は返済期間が定年後に及びます。

仮に、30歳でマイホームを建ててこのローンを組んだとしても、完済する時期は65歳になりますから、定年が65歳でもギリギリとなります。

しかも、30歳で既にマイホームを建てる人は早い方ですし、65歳の定年まで一定の給与が期待できる会社もまだまだ少ないのが現実です。

目先の返済額の低さに目を奪われて、長期の住宅ローンを組むことは、老後破産のリスクを高めるのです。

この原因に対する対策としては、住宅ローンを定年退職までに全て完済することが最善策となります。

これからマイホームを建てる方は、ローンの開始時期、ローンの期間、月々の返済額などを総合的に考え、定年退職以降にローンの残高が残らないようにしましょう。

また、既にローンを組んでいる方は、利率の有利な別な金融機関に借り換えたり、繰り上げ返済して完済時期を前倒ししたりする方法を考えましょう。

とにかく、「老後は住宅ローンを残さない」を目指して、改善することが大切です。

また、世の中には退職金を住宅ローンの一括返済に充てようと考えている人が多くいますが、安易にそのように考えるのは危険です。

退職金は、退職後の生活費を補う意味がありますから、そのまま老後の生活資金に充てるのが理想です。

老後のための貯蓄は、最低でも2000万円や3000万円は必要だとも言われています。

老後の貯蓄の大きな元手になり得るのが退職金ですから、住宅ローンに多くを費やしてしまうと、老後の生活費に回せる分が大きく減り、影響が無視できなくなります。

たとえ万一、老後に住宅ローンが残ってしまったとしても、極力、残額が少額になるような努力が重要です。

原因その23:生活レベルを変えられない

生活レベルを変えられないというのは、思いのほか大きい要因となります。

人間は、日々の生活に慣れる習性がありますが、生活レベルも同じことが言えます。

長い人生で身に付けた生活レベルは、強く意識して行動に移さないと変えらるものではありません。

定年を迎えると、間違いなく収入は減少しますから、収入の減少に合わせて出費も抑えるべきです。

ところが、慣れてしまった生活レベルはなかなか落とせないもので、身に付いた金銭感覚も簡単には変えられません。

チリも積もれば山となるという諺がありますが、日常の生活費に1万円の差があれば年間で12万円の差、もし老後生活が20年間あれば、240万円の差にもなります。

日常で消費する生活費は長い目で見た場合、無視できない程大きな額になります。それは、日々の積み重ねだからです。

対策としては、まず、生活レベルを変える(落とす)必要性をしっかり自覚することです。

そして、日々の買い物で「この商品が必要だろうか。グレードの低い商品でよいのではないか。」という自問自答を常に繰り返して行くことです。これを繰り返すことで、徐々にですが生活レベルを下げることができるでしょう。

生活レベルは急に変えることは簡単ではありませんから、現役時代から背伸びをせず、必要以上に生活レベルを上げないことも大切です。

また、定年を迎える以前から、徐々に生活レベルを下方にシフトする「慣らし」も重要でしょう。

原因その24:経済的に独立しない子供がいる

老後に経済的に独立しない子供がいると、非常に大きな負担になります。

老後の収入は多くを望めないことは既に述べましたが、そのような状況で扶養者が一人でも多くいるのであれば、家計を圧迫するのは当然です。

近年では、ニートという就労しないだけでなく、その意思もないような子供も増えています。
また、就労したとしてもフリーターとなり、自立できない子供も多くいます。

特殊な事情を除いては、早く子供を自立させて、親の負担を取り除くべきです。
自立させることは、親の老後の生活を守るだけでなく、子供の成長や子供の将来にとっても非常に重要なことです。

この要因は、老後に限らず現役時代にも関わるかも知れません。給与収入のある現役時代であったとしても、自立すべき年齢を迎えたならば、いつまでも子供を甘やかせることなく、きちんと経済的に自立させましょう。

そして、見落としがちですが、子供の経済的な問題は、子供が定年を迎えた場合にも発生します。

高齢化が進む現在では、単に自分自身が老後生活になるだけでなく、子供を含めた親子が共に老後生活になるケースも増えています。

親子そろって老後生活となれば、お互いに経済的な支援をするのは難しくなりますが、子供を守ろうとする親の心情があるため無理しがちになります。

子供が老後生活で困らないよう、日頃から親として見守ってあげることも大切でしょう。

また、逆に子の収入をあてにする姿勢も望ましくありません。
子供が面倒を見てくれないのは当然」くらいに思っておくべきでしょう。

原因その25:定年後も子供が学生

この原因は、広い意味では前項の「経済的に独立しない子供がいる」に含まれます。

しかし、ここで言う原因は、初めから必要となる学費がある程度、想定できるという点で趣が違いますので、原因として別にしました。

子供がどこまで進学するかは、親子で話し合っていれば自ずと判断がつきます。たとえ浪人することがあったとしても、学費がいつまで必要であるかは分かります。問題は、学費が必要となる時期と老後生活の時期が重なっている点です。

学費は、家計における三大出費とも言われ、現役時代ですら負担が大きいため、既に別な原因として上記でも説明しました。

しかし、現役時代と老後とでは、その負担の大きさと言う意味で全く異なることから、別な原因として分けたのです。

換言すれば、ただでさえ大きな負担となる学費を収入の少ない老後に支出しなければならないことは、絶対に無視できない大きな要因となるのです。

これの対策としては、やはり学資保険や奨学金制度などをうまく利用することですが、現役時代からしっかりと計画を立てておくことが何より重要です。

原因その26:晩婚化により出費が老後にずれ込む

晩婚は、あらゆる面で老後破産につながっています。

現代では晩婚化が進み、ジワジワと老後破産の要因として大きくなりつつあります。

結婚前(独身時代)は、自分自身の生計だけを考えればよいため、家計と言う概念は持ちません。
従って、晩婚の場合、家計と言う概念で収支を考える期間が自ずと短くなりますから、その分だけ支出が偏りがちになります。

例えば、独身時代に、将来、生まれて来る子供のことを考えて、学費を準備する人は殆どいません。
また、結婚も決まってないうちにマイホームを建てるような人もあまりいません。

結婚してから、将来の学費のことを考えたり、マイホームの計画を立てたりするものですから、実際に必要となる学費や住宅ローンなどの出費は後ろにずれ込むことになり、結果として老後に負担が掛かってくる傾向となります。

これは、学費やマイホームに限ったことではなく、家庭として消費するもの全般に当てはまります。

この原因の本質を言えば、独身時代に漠然と費やしてきた支出分が、家計の収支として有効に使われなくなる点にあります。

独身時代に「収入は全て自由に使える」と考えて漠然と浪費してしまうと、いざ結婚した後にその分のしわ寄せが来るわけです。

未だ独身で、将来は結婚しようと考えているのであれば、独身のうちにコツコツ貯蓄をしておくことが賢い対策と言えます。

原因その27:晩産化が進む

これは、晩婚化とも関係する原因ですが、結婚した全ての人が子供を授かる訳ではありませんので、原因として分けました。

先にも述べましたが、晩産化が進むと、子供の進学時期が後方にずれますから、子供の学費の負担が老後に差し掛かってきます。
老後生活において、学費の負担が掛かってくることは、経済的にとても大変なことです。

また、子供に掛かる費用は、学費以外にも養育費があります。
経済的に自立する時期が後ろへずれ込めば、その分だけ老後の負担が増えるのは自明です。

そして、晩産化は、老後の出費の増加だけではなく、実は現役時代の収支にも影響します。

例えば、少子化を背景に子育てを支援する制度が色々ありますが、それらの制度には所得に応じて、免税枠や支援額を変える仕組みが存在します。

一般に、現役時代は、加齢に伴って所得は大きくなって行きますから、晩婚の場合、わりと所得の多い時期に子育て支援制度を利用することになります。

その結果、若ければより優遇された支援を受けられるところ、年をとったことで事実上の支援額が減らされることになります。

老後における学費の負担に比べれば大きな額では無いかも知れませんが、目に付きにくいところに、このような影響もあるのです。

子を授かるのであれば、可能な限り早めにするというのが対策になります。

とは言え、諸事情もあって思い通りに行かないケースが多いでしょうから、やはり結婚前や出産前から地道に貯金をしておくことが万全な対策と言えます。

原因その28:税金の負担が大きい

これは、老後に税金の負担額が大きくなるという意味ではありません。
出費に対する税負担の割合が増える可能性が高いと言う意味です。

税金には色々と種類があり、納める対象者や金額は変わってきます。
身近なものをあげると、所得税、住民税、消費税、固定資産税などがあります。

このうち、所得税や住民税は、その人の所得に応じて課税されますので、老後に収入(所得)が減れば、課税額も減少します。また、消費税額は、消費する額によって変わりますので、収入が減ることで消費も減れば、自然と納税額も減少します。

課税額が減少するとは言え、年金生活でも所得税、住民税、消費税などは免税される訳ではありませんから、税の負担はバカにならないと心得ましょう。

しかし、税金に関して本当に問題になるのは、所得が減少しても課税額が下がらない税金があることです。

例えば、マイホームがあれば固定資産税として資産に応じた額が課税されます。
また、自動車を所有していれば、自動車税や自動車重量税が課税されます。

これらは資産価値が高ければ高いほど課税額も高くなりますし、相応の金額が定期的に課税されますので、出費としてかなり負担になります。

従って、老後を迎えるに当り、資産のスリム化を図っておくことが、対策のひとつとなります。

資産価値が高くて、課税対象となるものについては、現役時代からしっかりと意識しておくべきでしょう。

原因その29:高齢に伴う医療費の増加

どんな人でも老いて行けば、身体は自然と衰えて病弱になります。
また、身体の色々な部分で不調を訴えるようになり、治療が必要なケースも増えてきます。

若い時は、自然の治癒力に任せて通院せずに済ませる場合も多々ありますが、高齢の場合は無理が効かなくなり、医療機関を受診する機会はどうしても増加します。

従って、医療費は老後における大きな負担となり、老後破産の要因となります。
もし、大病を患えば、その費用負担は直に老後破産の引き金にもなり兼ねません。

たとえ現役時代に病気知らずだった人でも、老後は身体の衰えに伴い少なからず医療費は掛かります。
要は、今まで想定していた医療費では収まらない可能性が高く、それが老後破産につながるのです。

これに対する抜本的な対策法はありませんが、若いうちから健康管理に徹し、また、老化を防ぐための努力をしていくことが大切です。

生身の身体ですから、防ぎ切れるものではありませんが、現役時代の身体へのいたわりは、老後の健康に大きく影響します。
健康は財産でもありますから、日々気にかけて行きたいものです。

また、高額な医療費を必要とする病の場合は、それがそのまま老後破産に直結します。
必要に応じて治療費のための保険に加入しておくこともひとつの方法と言えます。

原因その30:親の養育が必要

上記で、「経済的に独立しない子供がいる」という原因を挙げましたが、これを逆に見たのがここで挙げる「親の養育が必要」という原因です。

これは、自身が定年を迎えた時に、扶養しなければならない親が未だ健全でいる場合です。
高齢化は凄い勢いで進んでいますから、親子そろって老後生活というのは珍しくないのです。決して他人事ではありません。

現役の時に親が扶養家族となり、気付いたら自分自身も定年を迎え、
自分が定年を迎える時に、親がまだまだ元気でいるなんて思いもしなかった
となるのです。

高齢の親子が二人暮らしをしていて、経済苦に陥り共倒れになったニュースが記憶にあると思います。

親子揃って老後生活となり、共に経済的に余裕がなくなるというケースはこれからもますます増えることでしょう。

家庭の事情は色々ありますから、難しい問題ですが、自分がまだ定年を迎える前から、親の経済力を心配して、日頃から気にかけておくことが重要と言えるでしょう。

原因その31:介護などの費用の発生

年をとると、特段の病はなくても、身体の老化は避けられません。

たとえ、通院の必要がなくても、介護が必要となる可能性は高くなって行きます。

介護状態は人によっても違いますし、老化の度合いや年齢によっても様々ですが、その状態に応じて費用は発生するものです。

無料で受けられる介護サービスなどもありますが、状態が悪化すれば、有償のサービスを受けざるを得ません。
身の回りのことを全て自分でこなせれば良いのですが、身体が老化すれば自ずと限度はあります。

たとえ今は元気だとしても、いつ介護が必要な状態になるかも分かりません。

そして、状況によっては老人ホームなどを利用せざるを得ない環境に置かれるかも知れません。

いずれにしても、老いて行くと介護はなかなか切り離せない問題で、それに伴って発生する費用は少なくないのです。
わずかな収入しかない老後生活には、大きすぎるとも言える費用なのです。

これに対する、抜本的な対策はありませんが、日頃から元気でいられるように健康維持や老化防止に努めることがなにより大切です。

原因その32:見落としがちな定期的な出費

さて、定期的な出費は継続的な支出となることから長い目で見た場合、大きな負担になります。

賃貸物件に住んでいれば、賃貸料は必要ですし、マンションに住んでいれば管理費が発生します。
電気、ガス、水道などの費用も最低でも一定の額が掛かります。

また、自治体費、各種積立金、通信費、受信料、新聞代なども定期的な支出と言えます。

このような定期的な支出は、出費として習慣になっていることからあまり意識しないケースも多いのですが、毎月のように費用が掛かることから負担としてはとても大きくなります。

これは、「老後生活をしている期間に、ずっと支払続ける費用」と言えますから、負担の大きさがよく分かると思います。

定期的な出費は、老後の経済状態を日々圧迫する大きな要素で、間接的な老後破産の要因として見過ごしてはいけません。

原因を取り除くことは困難ですが、見直して対策すれば改善できる可能性は十分にあります。

例えば、以下のような改善策があります。

・家賃の安い物件に引っ越す
・家賃の値引きを交渉する
・供給電力・ガス会社を変更する、プランを見直す
・新聞購読契約を止める
・通信費の安い事業者やプランに変更する
・テレビを廃止する
・子や親などと同居する

いずれの対策についても、老後を迎える前の、より早い時期に見直しする方が賢明です。

それは、現役時代の方が動きがとりやすく、より実効性の高い方策をとりやすいからです。

原因その33:予想外の高額な出費

予想外の高額な出費は、家計を圧迫します。
殊に、老後においては収入が少ない分だけその影響が大きく、これが老後破産の引きがねになり得ます。

現役の時は、想定していなかった高額な出費があっても、一定の収入がありますから、前後の月でやりくりすれば取り戻すのも難しくありません。

しかし、老後に想定外の高額な出費があると、貯金を大きく切り崩していくことになりますから、とても痛手です。一度、切り崩した貯金を取り戻すのは、老後の僅かな収入だけでは容易なことではありません

突発的な出費は生活をしている以上、可能性としてはどこにでもあります。例えば、

・家屋の設備が故障して修繕費が発生した
・ちょっとしたミスによって賠償する責任が生じた
・自動車が調子悪くなり修理費が必要になった
・身内の不幸が続けて起こり、慶弔の費用がかさんだ

などなどです。

これ以外に、別の原因として挙げた大病もその一例です。

突然まとまったお金が必要になることは、たとえ頻度は低くても、必ずあるのです。

これに対する対策としては、老後の支出計画を立てる上で、予備費を充分確保しておくことです。

ゆとりのある計画こそが、想定外の出費に対処するための最善の方法です。

原因その34:振り込め詐欺などにあう

振り込め詐欺にあうなんて一部の人だけで、自分は大丈夫。
そのように思った人もいるかも知れません。しかし、自分は大丈夫と思う過信が危ないのです。

もしも被害に遭ってしまうと、金額が大きいことから、老後破産に直結します。
他人事のように考えず、老後破産の大きな要因ととらえるべきです。

振り込め詐欺の類は、今や社会問題にもなり、警察や公的機関などが連携して被害防止策を徹底しています。
にも関わらず、なかなか減らないのがこの種の詐欺です。

そして、ターゲットとして狙われるのが高齢者なのです。
高齢者が狙われる理由は、

・老後のためのまとまったお金を持っている
・一人暮らしが多くて相談する人が近くにいない
・情報弱者が多く物事に対する判断力も弱い

などです。

そして、常に手口が巧妙化している点も背後にあります。

対策としては、ニュースなどで常に情報を収集し、常に用心深く生活することですが、もし何かあった場合は決して一人で判断せず、警察や身内などの信頼できる人に必ず相談しましょう。

ここまで、四つ目の主要因「老後の支出に関する原因」について見てきましたが、老後の負担が意外と大きいことを理解して頂けたかと思います。

老後に直面する、支出に関する問題は、現役時代にこそ対策を採るべきです。
予め綿密に計画を立て、前もって回避するための行動に出ることが大切です。

まとめ~チェックリストのように使おう

以上、老後破産する原因をひとつずつ細かく見てきました。

上記に挙げた原因の中には、

・別な原因に含まれる原因
・相互に関係する原因
・老後破産への影響が異なる原因

などが多く含まれていることが分かったと思います。

たとえ「別な原因に含まれる原因」だとしても、個別に原因を見つめて対策を考えて行きましょう。
それは、原因としての趣が違いますので、個別に検討した方が効果的だからです。

また、「相互に関係した原因」の場合(ある一時的な原因が別な二次的な原因を生んでいる)、一次的な要因と二次的な要因のどちらの原因に着目して対策すべきかをよく考察しましょう。的を得た対策こそが重要だからです。

そして、「老後破産への影響が異なる原因」は、個人個人にとってもその影響が違いますから、自分にとって、どの原因を重視して対策すべきかをよく思索しましょう。

実際に起きる老後破産は、複数の原因から生じることがほとんどです。

考えられる原因ひとつひとつをしっかりと見極めて、それぞれの原因に対して効果的な対策を採って行くことが大切なのです。

そして、その対策を打つ時期が早ければ早いほど、より大きな効果が期待できます。
また、継続的な対策の繰り返しも非常に重要と言えます。

この記事をチェックリストのように使用して、記載してある多くの原因を機会がある度に見つめ直し、老後破産をしないように万全の対策を進めて行きましょう。

この記事を読んだから解決できる訳ではありません。収入を簡単に増加させる方法や、支出を容易に減らせる手段などはありません。

具体的に数値を出し、綿密な計画を立てると同時に、地味な対策を積み重ねていくことが功をなすのです。

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