定年について考えてみた。単なる65歳定年は無理でも準ずる制度は直ぐ必要と感じる。

市内を歩いていたある日、70歳を超えたくらいの男性が朝から、用水路の水を田んぼへ流し込む作業をしている姿が目に付きました。

その時、頭に思い浮かんだことは、高齢者なのに朝から、ちから仕事とは大変なことだという思いと同時に、農業の場合は、一般の会社員とは違って、定年などがなく、農業という仕事を辞める時期は、全て自分の意志で決められる点が大きく異なるということでした。

定年について考えてみた

昨今、定年の年齢を引き上げるといった議論は、いろいろなところでされていますが、今の高齢化社会を見れば、今後、議論が活発化することは間違いないでしょう。今回、ふとしたきっかけで、定年の事を少し考えてみることにしました。

農家は事業主

農業といえば、個人や家族で経営していることが多いと思いますが、これらは言ってみれば事業者のひとつですから、事業主という個人で見た場合は、本人が辞めない限りは事業を継続できるわけです。

従って、肉体的に大変とはいっても、継続して自由に働けるという意味では、めぐまれているとも言えます。

ところで、今回、その男性を見たことで、長野県内に住む遠い親戚のことを思い出しました。

その人はリンゴを中心に専業農家として夫婦で農業を営んでいて、既に七十代の半ばに差し掛かる年齢ですが、3年ほど前に尋ねて行った時、朝から晩まで作業をしていて大変そうだという記憶がありました。

その後の便りでは、痴ほう症がだいぶ進み、作業にも支障を来すようになってきたことを耳にし、さすがに老化が進むと年齢には勝てなくなるものだと感じました。

このように、農業のような個人事業主であれば、さすがに年齢には勝てないものの、健康にさえ問題がなければ、自ら事業を辞める時期を決められますが、会社員の場合は、会社の雇用規約や雇用契約によって年齢が決まってしまうので、ある意味、自由度がないと言えます。

60歳定年が主流

さて、現在では一般企業では、60歳が定年というのが相場だと思いますが、そんな企業の中には本人がのぞめば、60歳を超えても延長して雇用する制度を取り入れているところも多くなってきています。

しかしそのような制度を取り入れているのは一部の企業ですし、あくまで延長雇用なので、一旦定年退職という形をとってからの再雇用になります。

従って、60歳を境に賃金体系も変わり、通常は定年前よりも大幅に給料がダウンするのが現実です。しかし、そのー方で、定年を60歳から65歳に引き上げるような動きも出て来ていて、一部の企業では既に導入しているところもあります。

年金開始年齢の問題

ここで問題なのが、年金の支給開始年齢が65歳であるということで、60歳で定年を迎えた後、65歳までの間に、どのように生活をやり繰りするのかが、多くの国民の課題のひとつになっています。

定年に備えて貯蓄をしている人、個人的な年金に加入している人、再就職をする人、再雇用制度を利用する人など、人によって様々なことをしていますが、いずれにしても、定年後の収入を確保することが一つの大きな課題であることには変わりありません。

近年、老後破産という言葉が頻繁に使われるようになったのも、現実の問題として、定年後の収入を確保するのが難しいという背景が、直接間接を問わず影響していることは間違いないでしょう。

65歳定年への動き

日本は今後、かつてない程の高齢化社会を迎えると言われていますが、このことは、国民の年齢分布をみると、高齢者の比率が年々増加していることからも良く分かります。

この偏りは極端なため、労働者不足は大きな問題にもなって行くことが懸念されていますが、そのための対策として、定年の年齢を引き上げる動きがあります。

かつて昭和の時代は、定年の年齢は五十歳代で、会社員であった私の父の場合は、当時、57歳が定年でしたし、実際にどこの会社もそれ位が相場でした。

父は、退職後も、再就職の斡旋を受けて、しばらく働いていましたが、当時なりに生活費を確保するための手段であったようです。

その時代から時を経て、今や60歳が定年の相場となっているわけですが、高齢化社会とはいえ、これをいきなり65歳に引き上げるのは、さすがにやはり少し無理があるかと感じます。

長寿国である日本は、高齢でも健康でいられる人も比較的多いので、高齢者が働くのには諸外国よりもハードルは低いと感じますし、人間の寿命は少しずつ伸びて来ていることを考えれば、定年の年齢を引き上げるのは、ある意味自然ともいえます。

定年の年齢について理論的な考えをするならば、寿命の延びに比例するように、定年の年齢を引き上げるのが最も理に適った方法だと思います。

しかし、現実には、寿命の延びはほぼ横ばいで、長期的に見た時に少しずつ上がっているだけなので、定年の年齢をいきなり5年も引き上げるのは厳しいとみるべきでしょう。

しかし、雇用される側としてはしっかりと生活して行かなければならず、安定した収入源を確保するという意味では、60歳と65歳の間をつなぐような、何らかの制度が必要だと思います。

その一方で、雇用する側から見れば、賃金が比較的高い世代に継続して従来なみの給与を支払い続けるのは負担が大きいですし、健康保健組合などを持つ場合は、高齢な分だけ医療費がかなり大きな負担になります。

私が考える基本的な制度

さて私の個人の見解ですが、高齢化社会の現実を考えた場合、有無を言わさず定年を引き上げることが必要だと考えます。理由は簡単で、60歳の定年から65歳の年金支給年齢までの5年間に、収入源が途絶える空白期間が存在するからです。

制度導入には課題が多く簡単ではないと思いますが、対策としての基本的な考えとしては、人事制度を見合った内容にすべきだと思います。

具体的には、日本はまだまだ古い体質を持った企業が多く、終身雇用制度や年齢に応じた昇給制度などが根底に根強く残っていますので、そこを見直すのです。

長年の実績や貢献、経験による技量に対して評価し、年齢に応じた評価をしてそれを給与に反映することは基本的な考えとしては間違ってはいないと思います。

しかしながら、そのー方で、組織にあぐらをかいている人がいても、降格制度が整っていないために、野放しにされているケースも珍しくありませんし、仕事がほとんどできない人や怠けている人でも、年齢と共にいたずらに昇給して行く体質も残っています

つまり、会社に貢献していないような人はしっかりと減給し、その一方で60歳を超えた人でも活躍するような人には相応の賃金を支払うような、ある種、当たり前のことを当たり前に制度に採り入れることが大切だと思います。

そして、加齢に伴って従来の能力を発揮できなくなるのは当たり前のことですから、その分だけ高齢者に対して減給するのも自然なことだと考えます。

しかし、60歳を境に能力がいきなり低下するわけではありませんから、60歳から徐々に賃金が下がるような自然なカーブとなる賃金体系を確立することが求められるでしょう。

従って、会社で行う健康診断の結果を、何らかの形で人事考課に反映する仕組みも、それなりに理に適っていて検討の余地もあるでしょう。

以上を端的にまとめると、会社に貢献するものは年齢に依らずに評価して、そうでないものは厳しく減給しそれを徹底してゆくこと。そのなかで年齢による不自然な格差が生まれないように、年齢別の給与分布が65歳まで自然な曲線を描くような形にすれば、経営者にとっても賃金の負担を抑えることができ、制度導入のハードルは下がるのではないでしょうか。

このような賃金体系を目指すことを基本として、制度としてはまず直ぐにでも60歳から65歳に定年の年齢を変更し、その中で、給与分布曲線を徐々に理想形に変更して行くことが、現実的でかつ最良の方法だと考えます。

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