以前、長野市の水道料金はなぜ高いのか?という記事を書き、次いで、やっぱり長野のガス料金は高かったという記事を書きました。
これらの記事では、私が以前住んでいた首都圏における料金と比較したところ、水道料金もガス料金も、共に長野の方が高いという内容でしたが、ここで気になるのが、「では、電気代はどうなの?」ということです。
そこで、今回は電気代の差がどれ程なのか、簡単に調べてみることにしました。
事実上は東電と中電との比較
電気の比較の場合は、水道やガスと違って、東京電力と中部電力という、大きな企業が広いエリアをカバーしています。
電力の自由化が開始されたとはいえ、シェアの多くはこれら大手電力会社が占めているので、首都圏と長野を比較しようとすると、事実上は東京電力と中部電力の差はどれくらいなのかという話になります。
従って、ここでは単純に東京電力と中部電力を比較してみることにします。
比較に当たっては、同じ条件になるように、料金の調整分や、2年契約などによる割引、支払方法による差などを考慮しない、基本となる料金のみを対象として、プランの中でも比較的契約者が多いと思われる従量電灯40Aの通常契約について調べることにしました。
基本料金は同じで使用料の単価が異なる
両者が公開している料金をさっそく比較してみて分かったのですが、基本料金については、どちらの電力会社も全く同じでした。
そればかりでなく、使用料に応じて変化する料金の範囲(130kW以下、300kW以下、300kW超の3段階で分類)についても同じで、唯一異なる点は料金の範囲ごとの単価の設定料金でした。
実際に、2つの電力会社が3月3日現在に公開している電気料金は下記のようになっています。
区分 | 単位 | 中部電力[円] | 東京電力[円] |
基本料金 | ひと月 | 1,123.20 | 1,123.20 |
~120kWh | 1kWhにつき | 20.68 | 19.52 |
~300kWh | 1kWhにつき | 25.08 | 25.98 |
300kWh超 | 1kWhにつき | 27.97 | 30.02 |
料金に大差はなく、使用量でその差が異なる
これを、使用量に応じた実際の金額で見てみると、下記のグラフのようになります。
グラフ中、横軸は使用電力量[kWh]、縦軸は電気料金[円]を示します。
このグラフだけ見ると、料金にほとんど差がないことが分かります。
もう少し分かりやすく見るために、差額だけをグラフにしてみます。
このグラフの横軸は使用電力量[kWh]、縦軸は電気料金の差額[円]、すなわち中部電力が東京電力に対してどれくらい高いかを示しています。
比較すると、274kwを分岐点として、使用料が少ない場合は東京電カの方が安く、逆に使用料が多い場合は中部電力の方が安いことが分かりました。
中部電力の方が最も高い場合は、120kW使用した場合でその差が139円(東京電力: 3465円、中部電力: 3604円)でした。
逆に、東京電力の方が高い場合は、使用料が多ければ多い程その差が大きくなるのですが、仮に、ひと月500kW使用した場合でも、433円(東京電力: 14146円、中部電力: 13713円)の差で、水道やガスのように高いわけではないと言えるでしょう。
料金差が小さいのは政府認可制の影響
電気については、なぜあまり料金差がないのかを考察すると、やはり、電気料金については政府が認可する仕組みがあるからでしょう。
都市ガスについても、同様に、政府が認可する仕組みを持ってはいますが、都市ガスの場合は、大小含めて二百を超える事業者があり、事業者の規模の違いによって差が生じやすくなっているのでしょう。
これに対し、電気の場合は、事業者の数が少ない上、いずれも大規模な事業者であるとともに、カバーするエリアも広くなっているので、料金の差が生じにくくなっているのでしょう。
以上、見てきたように、長野と首都圏との電気代の差は、使用する電力量によって変わってくるものの、通常の使用範囲であれば、大差はなく、ほとんど同一といって良いでしょう。
水道料金やガス料金とは背景が違う分、差が生じにくくなっているのですね。