長野に越して来てから、ずうーと感じていたことの1つに、ガソリン価格が高いということがあります。
引っ越して来たときの印象は、リッター当り10円は高いという感覚でしたが、ガソリンスタンドの店頭表示価格が高めに設定されていたり、居住地付近に安いガソリンスタンドがなかったりするだけなのかなぁとも思っていました。
長野のガソリン価格は高い
しかし、長野市内を色々走るようになっても、店頭表示価格に大差はなく、10円高いという相場に変わりはありませんでした。
また、色々なガソリンスタンドで給油して来ましたが、店頭価格と実際の価格の差は、以前住んでいた地域のそれと、ほとんど変わりはありませんでした。
そして、松本市、上田市、佐久市、飯山市などの長野市周辺の市町村へ足を運ぶ機会があるたびに、気にして価格を見てみたり、実際に給油してみたりしますが、たまにほんの少し安いところを見かける程度です。
それでもせいぜい2円くらい安いだけで、ほとんどの場合は長野市内と変わりません。
そんな経験を重ねて行った結果、長野そのものがガソリンの高い地域なのだと思わざるを得なくなり、ガス代や水道代だけでなく、ガソリンも高いのかとの嘆くような思いを抱きました。
首都圏の方が価格競争が激しい
今回、東京、埼玉、群馬の1都2県の幹線道路を走り抜ける中に、いろいろなガソリンスタンドを気にしながら見て来て、改めて気付いたことがありました。
それは、1都2県においては、価格の安いガソリンスタンドと価格の高いガソリンスタンドが入り混じって存在していて、その価格差が比較的大きいのです。
価格の競争があるから、当たり前と言えば当たり前なのですが、長野の場合、ガソリンスタンド間での価格差があまり無く、ほとんどのガソリンスタンドでは、ほぼ同じ価格になっているのです。
これを見て感じたことは、長野は市場の価格競争が弱い地域なのだということです。
1都2県の場合は、平野部であり隣接地域間での行き来もしやすいので、市場も広く、また結果として、競争相手も多くなることから、そこに自然と価格競争が生まれて、安く提供するガソリンスタンドがいくつも出来るということなのでしょう。
これに対して、長野の場合は、隣接地域も山間部や盆地にあって、周辺地域とは閉じた地形構造になっていて、結果として市場も狭くなり競争相手も少なくなることから、価格競争が弱くなるのでありましょう。
輸送コストも影響
また、もう1つ気付いた点があるのですが、1都2県において高いとされるガソリンスタンドでも、長野に比べれば2~4円くらいは安いということです。
これは、競争原理が働くとか働かないとかに関係なく、ベースとなるガソリン価格が、1都2県よりも長野の方が高いということを意味しています。
これについて考察すると、ガソリンは、輸入された原油を海岸付近にある製油所で製油してから輸送するので、長野のように内陸にある地域ほど、輸送コストが掛かってしまうからでありましょう。
特に長野の場合は、海岸からの距離の影響もあるのですが、陸路が充実していない交通網の影響もあるのでしょう。
実際の価格データを見ると
さて、ここまでは実体験を元に、長野におけるガソリン価格の動向をまとめたものです。
やはり、実際のデータがどうなのかが気になるところですので、今回(2021年1月)の追記に伴い、調べてみました。
その結果、上記を裏付けるようなデータが得られました。
データは、利益が絡まない公的な情報として、資源エネルギー庁が公開しているサイトを選びました。
このサイトでは、ガソリンの他、エネルギーに関する様々なデータが公開されています。
ガソリンの小売価格
そのうち、まずはレギュラーガソリン(2021年1月4日付け)の都道府県別の小売市況調査結果を示します。
これは、同庁が委託して一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センターがとりまとめたデータです。
このデータは隔週ごとに更新されていますので、その時点の価格が反映されたものですが、都道府県別の動向を見るのには充分だと考えました。
最新の情報(データ)については、同庁のサイトをご覧下さい。
では、レギュラーガソリンの小売価格の比較結果(リッター当たりの税込額)です。
順位 | 都道府県 | 価格[円] |
1位 | 徳島 | 128.3 |
2位 | 宮城 | 130.4 |
3位 | 埼玉 | 131.6 |
4位 | 香川 | 131.7 |
5位 | 兵庫 | 131.9 |
6位 | 秋田 | 132.0 |
7位 | 青森 | 132.4 |
8位 | 岡山 | 132.8 |
9位 | 岩手 | 132.9 |
10位 | 千葉 | 133.2 |
11位 | 石川 | 133.4 |
12位 | 茨城 | 133.5 |
13位 | 山口 | 133.5 |
14位 | 神奈川 | 133.9 |
15位 | 愛知 | 133.9 |
16位 | 和歌山 | 134.0 |
17位 | 新潟 | 134.1 |
18位 | 熊本 | 134.2 |
19位 | 奈良 | 134.5 |
20位 | 広島 | 134.6 |
21位 | 栃木 | 134.8 |
22位 | 滋賀 | 134.8 |
23位 | 福岡 | 134.9 |
24位 | 鳥取 | 135.2 |
25位 | 三重 | 135.4 |
26位 | 富山 | 135.7 |
27位 | 大阪 | 135.7 |
28位 | 群馬 | 135.9 |
29位 | 静岡 | 135.9 |
平均 | 全国 | 136.1 |
30位 | 愛媛 | 136.5 |
31位 | 北海道 | 136.6 |
32位 | 宮崎 | 137.0 |
33位 | 岐阜 | 137.5 |
34位 | 山梨 | 137.7 |
35位 | 東京 | 137.8 |
36位 | 福井 | 138.1 |
37位 | 福島 | 138.6 |
38位 | 京都 | 139.5 |
39位 | 島根 | 139.8 |
40位 | 佐賀 | 141.0 |
41位 | 高知 | 142.0 |
42位 | 山形 | 142.6 |
43位 | 大分 | 143.8 |
44位 | 沖縄 | 143.8 |
45位 | 長野 | 144.6 |
46位 | 長崎 | 145.3 |
47位 | 鹿児島 | 146.0 |
表を見て分かるように、47都道府県において長野県は45位(144.6円)ですから、ヒドイものですね。
全国平均136.1円と比べると、長野県は8.5円高いことになります。
私が引っ越して来る前に住んでいた埼玉県(3位)は131.6円ですから、その差は実に13円にもなります。
生まれ育った東京都(35位)は137.8円ですから、それでも6.8円も高いですね。
このように、長野県は全国的に見て、ガソリン価格が高いことがよく分かります。
これは、長野市だけではなく長野県全体に言えることです。また、ハイオクガソリンについても同様の傾向があります。
さらに、こういった傾向は、時間の経過で大きく変わる訳でもないようです。
ガソリンの卸価格
では、ここで卸価格が幾らかを都道府県別に見てみましょう。データの出処は上記と同じです。
では、レギュラーガソリンの卸価格の比較結果(リッター当たりの税抜額)です。
これは、元売会社の特約店向け卸価格で、ガソリンスタンドへの届けの価格です。
順位 | 都道府県 | 価格[円] |
1位 | 愛知 | 100.5 |
2位 | 千葉 | 100.6 |
3位 | 東京 | 100.7 |
4位 | 神奈川 | 100.7 |
5位 | 大阪 | 100.7 |
6位 | 岡山 | 100.9 |
7位 | 大分 | 100.9 |
8位 | 山口 | 101.0 |
9位 | 三重 | 101.1 |
10位 | 岐阜 | 101.2 |
11位 | 滋賀 | 101.3 |
12位 | 京都 | 101.3 |
13位 | 埼玉 | 101.4 |
14位 | 広島 | 101.4 |
15位 | 兵庫 | 101.5 |
16位 | 愛媛 | 101.5 |
17位 | 奈良 | 101.6 |
18位 | 香川 | 101.6 |
19位 | 北海道 | 101.9 |
20位 | 岩手 | 101.9 |
21位 | 高知 | 101.9 |
平均 | 全国 | 101.9 |
22位 | 福島 | 102.0 |
23位 | 鳥取 | 102.0 |
24位 | 島根 | 102.0 |
25位 | 和歌山 | 102.1 |
26位 | 宮崎 | 102.1 |
27位 | 宮城 | 102.2 |
28位 | 福岡 | 102.2 |
29位 | 山梨 | 102.3 |
30位 | 富山 | 102.3 |
31位 | 佐賀 | 102.3 |
32位 | 鹿児島 | 102.4 |
33位 | 栃木 | 102.5 |
34位 | 静岡 | 102.5 |
35位 | 福井 | 102.5 |
36位 | 熊本 | 102.5 |
37位 | 沖縄 | 102.5 |
38位 | 秋田 | 102.6 |
39位 | 青森 | 102.7 |
40位 | 茨城 | 102.7 |
41位 | 山形 | 102.9 |
42位 | 新潟 | 102.9 |
43位 | 石川 | 103.0 |
44位 | 徳島 | 103.1 |
45位 | 長野 | 103.4 |
46位 | 群馬 | 103.9 |
47位 | 長崎 | 105.7 |
これから、卸価格も47都道府県において長野県は45位(103.4円)ですから、小売価格と大差なく下位の方であることが分かります。
全国平均101.9円と比べると、長野県は1.5円高いことになります。
けっこう内陸に位置する群馬が46位に位置していることや、数多くの島から構成される長崎県が47位に位置していることを考えると、やはり輸送コストの影響は無視できないと思われます。
しかし、長野県は全国的に卸価格が高いとは言え、小売価格ほどの差ではありません。
実際、小売価格の場合、都道府県間の最大価格差は17.7円(鹿児島:146.0円―徳島:128.3円)であるのに対して、卸価格の場合、その最大価格差は5.2円(長崎:105.7円―愛知:100.5円)です。
これは、価格競争の違いなどによって地域ごとに違う傾向が生じ、大きな価格差につながっていると考えられます。
少しでも安く給油するには
以上のように長野県は、長野市を始め全体的に、ガソリン価格が高めになってしまっているのが現実です。
私の場合、長野に来てから月平均74.4 リットル給油した計算になりますが、年間だと893 リットルなので、ガソリン代が10円高いとして計算すると、以前より、年間8930円分だけ多くのガソリン代を払っていることになります。
年間として考えれば、大きな差とは言えないかも知れませんが、もっと安くなって欲しいものですね。
では、価格が高い地域で、少しでも安く給油するにはどうするかですが、基本的にはアンテナを高く張って常に新しい情報を得るしかありません。
もしも基本価格、しかも単なる店頭表示価格だけでもよいならば、下記のサイトが役立ちます。
このサイトは、リアルタイムの価格情報を提供してくれ、都道府県別に絞って見ることもできますから、参考の情報としては便利です。
しかし、ガソリン販売価格については、店頭表示価格と実売価格はあまり一致していません。
しかも、長野は特にその傾向が強いと感じます。
気になる方は下記の記事を一読して下さい。
一般に、ガソリン価格は、多岐に渡る付加価値や各種サービスで差別化する傾向が強く、実質価格が分かりにくいのです。(特に長野は)
ポイント、クーポン、特売日、粗品進呈、女性限定、期間限定、タイムサービスなどなど、実質価格を下げる要因がたくさんあるのですね。
しかも、こうしたサービス・要因は日々変化して行くから厄介なんです。
私も、以前あったサービスが中止になったなんて、何度も経験しています。
従って、いくつかのガソリンスタンドで実際に給油してみたり、他の人から聞くなどして常にアンテナを高くして情報を集め、更新して行くことが大切なのです。