誰でも赤信号で長く待たされた経験はあると思います。
時には、何でこんなに待たされるのか、理解に苦しむことすらあるでしょう。
しかし、信号の切り替えは全てきちんと考えられていて、長く待たされるのには必ず理由があります。
目次
長い赤信号
理由も分からず、赤信号で長い時間待たされると、急いでいる時などにはイライラすることもあります。
「交差する道路はずっーと青信号なのに、こちらばかり待たされるの?」と、不公平さを感じる場合もあるでしょう。
また、「この信号、故障してんじゃないの?」そう思うこともあるかも知れません。
信号待ちが長い理由が分からなければ不可解に思えますが、そこには必ず「理に叶った理由」というものがあります。
そして、しっかりとその理由を理解すれば、「なるほど」となる筈です。
以下、誰しもがナットクできるように、その理由を細かく説明します。
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赤信号が長い理由
ここでは、直接・間接を問わず、また、要因の大小に関係なく赤信号が長い理由を全てあげます。
理由が一つではなく、複数の要因がある場合も多くありますので、ひとつひとつの理由をしっかりと理解して下さい。
幹線や優先道路と交差する
これは、最も一般的な理由です。
交差する路線が幹線或いは、自走する路線よりも優先的な道路の場合、交通量の違いによって信号の待ち時間に差が生じます。
分かりやすい例をあげれば、交通量がとても多い国道と交差する道幅の狭い市道などの場合です。
この場合、交通量に大きな差がありますから、円滑な交通を実現するためには、国道を優先的に通行させる必要がありますので、国道側の青信号の時間を長くし、狭い市道の青信号の時間は短くします。
その結果、市道の赤信号の時間は相対的に長くなり、必然的に待たされる時間も長くなります。
交通量の多い方の道路が優勢される結果として、交通量が比較的少ない道路は、どうしても信号の待ち時間が長くなるのです。
信号は連動して動作する
これも、主な理由のひとつです。
信号機は至る所に設置されていますが、ひとつひとつの信号は独立して切り替わるとは限りません。
むしろ、隣接する多くの信号は、お互いに連動して動作し(切り替わり)ます。
例えば、交通量の多い国道などで信号機が続く場合、信号が連続で青信号になるように管理されます。
これは、信号機があるたびに赤信号で待たされると、交通量が多い分だけ、円滑な通行が大きく妨げられるからです。
連動して切り替わる信号があると、その影響により、交差する側の道路が、本来の理想的な信号切り替えタイミングではなくなり、必要以上に赤信号が長くなる場合が出てくるのです。
スクランブル交差点
これは、分かりやすい理由のひとつです。
十字路(交差点)を例にあげると、通常の信号では交差する縦方向と横方向の路線の信号は交互に切り替わります。
しかし、スクランブル交差点では、縦方向の路線の信号、横方向の路線の信号、歩行者専用の信号、の3種が順番に切り替わりますので、その分だけ待たされる時間が長くなります。
今ここで、具体的な説明のため、仮に30秒ごとに信号が切り替わるとします。
通常の信号では、縦方向と横方向の路線が30秒間隔で切り替わりますから、待たされる赤信号の時間は30秒です。
しかし、スクランブル交差点の場合、交差する路線が青信号の期間(30秒)と歩行者専用信号が青信号の期間(30秒)の合計である60秒待たされることになります。
スクランブル交差点の場合、信号の切り替わりが3種類以上あるため、必然的に赤信号が長くなります。
上記の例のように、通常の交差点の待ち時間が30秒でもスクランブルになると60秒にまで長くなるわけですから、「長く持つ」という感覚を持つのも無理はありません。
複雑な構造の交差点
これは、上記のスクランブル交差点と似ている理由です。
分かりやすい例は、5本以上の道路が交わる交差点で、例えば十字路に加えて更に斜めから別な道がもう1本交わる場合です。
この例の場合、縦方向、横方向、斜め方向の各路線の信号が順番に切り替わるなどするため、信号の切り替わる種類が3種となるため、スクランブル交差点などと同様の理由で、赤信号が長くなります。
これは、交わる路線の数だけではなく、たとえば”Kの字”のような構造が複雑な交差点などでも生じます。
通常の十字路では、縦方向と横方向の信号を順番に切り替えるだけで済むのが普通です。
しかし、”Kの字”のような交差点では、縦方向の信号、南西へ向かう斜め方向の信号、北西へ向かう斜め方向の信号、のように3種の信号を順番に切り替えるケースが出てきます。
これは、安全な通行を確保するための信号の切り替えですが、交差点の構造次第では、更に信号が切り替わる種類が多くなって、より長く待たされる場合もあります。
このように、複雑な構造を持つ交差点では、信号が切り替わる種類が増加するため、必然的に待つ時間が長くなります。
交通の流れの影響
これは、少し理解しにくい理由のひとつです。
道路の構造や交通量によって、ある特定の路線で著しい渋滞が発生することがあります。
この場合、渋滞を緩和させるために、渋滞している路線を優先させようとした信号の制御がされることがあります。
具体的には、渋滞を解消するための信号の青信号の時間が長めに確保されるようになりますので、交差する路線ではその反動で待たされる時間が長くなります。
また、渋滞とは直接関係の無い信号でも、連動して動作する近隣の信号機においてもその影響を受ける場合もあります。
信号機の切り替わりは、交通状況に応じて変化することがあり、その影響を受けて赤信号が長くなることがあるのです。
感応式のため
これは、理由としては理解しにくいかも知れません。
感応式の信号機とは、車両が交差点に到達したことをセンサーで感知して信号機を切り替える方式です。
感応式の場合、センサーが感知した直後に切り替わる信号もありますが、探知したあと一定時間が経過しないと切り替わらない信号もあります。
一定時間が経過してから切り替わる信号の場合、「センサーが感知しているのに」という意識が働けば、長く待たされていると言う感覚を強く持つこともあります。
また、この「一定時間」が、隣接する信号機と連動して動作する場合は、思いのほか長く待たされるケースも出てきます。
一般に、感応式のセンサーが設置される路線は、通行する車両が存在する時だけ青信号に切り替えるという考えがあります。
従って、そのような路線は交通量が少ない場合が多く、交差する交通量の多い路線の方を優先しようとしますから、赤信号が長くなる傾向を持つのです。
なお、感応式の信号機の場合、車両の通行の仕方によってはセンサーが車両を認識しないことがあります。
そんな時は、必要以上に待たされることもありますし、場合によっては、いつまで待っても青信号に切り替わらない場合すらあります。
曜日や時間帯の影響
これは、理由としては理解しやすいと思います。
信号が切り替わるタイミングは、曜日や時間帯などで変化することがあります。
それは、曜日や時間が変わると、交通量や混雑するルートも変わるため、円滑な交通を推進するために状況に応じた信号の制御がされるからです。
同じ信号機でも、曜日や時間帯によって信号が切り替わる間隔は変化します。従って、ふだん昼間通行することが多い路線を夜間に走行するなどすれば、「何でこんなに待たされるの?」という思いも湧いてきます。
日中は30秒ごとに赤信号と青信号が切り替わっていた信号でも、夜間は60秒ごとに切り替わるように変化すれば、待ち時間も30秒から60秒と倍も変わりますから、けっこう差は大きいものです。
そしてこういう信号が、幹線道路と交差する信号に設置されている場合、日中でも長く待たされる傾向にあった信号が、夜間になって、より長く待たされるようになり、なおさら長い時間だと感じるようになります。
交通の流れが大きく変化する路線にある交差点などでは、思いのほかに待たされるケースがあるのです。
切り替わる間隔が長い
さて、この理由は簡単で、しかも他のあらゆる理由とも絡みます。
例えば、道路幅が同じで交通量も同じ十字路に信号があった場合、通常は青と赤の信号間隔は同じになります。
しかし、信号が切り替わる間隔としては、30秒毎、50秒毎、100秒毎など様々で、この間隔の違いは待たされる時間に影響します。
一般に信号の切り替わる間隔は、10秒や20秒など比較的短い間隔ではなく、ある程度の長さになります。それは、円滑な交通を実現するために必要だからです。
そして、この間隔の違いは、道路の構造や交通状況などを考慮して、けっこう長い時間を設定している場合があります。
仮に間隔が60秒の場合、赤信号と青信号が60秒ごとに切り替わるため、待ち時間は60秒になります。30秒ごとに切り替わる信号と比べると倍も違いますので、長いと感じるのも無理はありません。
踏切などと連動
さて、信号の中には、電車(踏切)や路面電車などと連動して動作するものがあります。
例えば、信号の前後に踏切がある場合、遮断機が下りている場合にはその前後にある信号機も赤信号のままにする、或いは赤信号の時間を長くするなどと言った動作です。
これは、踏切を電車が通行している間は、例え青信号にしても車両は通行することができないため、無駄に青信号にするよりも、交差する路線を青信号にした方が円滑な交通になるからです。
踏切の遮断機が上がるまで待たされることが多いため、都市部などでは非常に長い時間になることもあります。
このような信号は路面電車などにも言えることで、特に通勤時間帯など運行本数が多い場合ほど大きな影響を受けます。
ただし、このような制御が行われる信号は、電車や路面電車の路線付近に限られていますので、限定的なケースです。
イベントなどによる交通規制
信号を待たされる要因のひとつに特殊なケースがあります。
例えば、近くで大きなイベントがある、要人が来日する、大規模な工事があるなど、交通規制を行う場合に、通常の信号切り換えを行わず、状況に応じた信号制御に変更されるケースです。
こういうケースでは、ある区域や路線の規制を伴うため、信号の切り替えに偏りを生じることが多く、結果として赤信号が長くなることが珍しくないのです。
ただし、交通規制のほとんどは、信号機を停止して警察管が手動で誘導する措置をとるので、信号機の制御そのものを変える場合は稀です。
まとめ
以上、赤信号で待たされる時間がなぜ長いのか、その理由・要因を細かく説明してきましたが、実際は、複数の要因が絡んでいることが多く、各要因が相互に影響しているものです。
これらの説明を読んで、円滑な交通を実現するために、全体の交通量のバランスを考慮しながら色々な措置が取られていることも理解できたのではないでしょうか。
信号の管理の仕方は、現在では管理センターで集中管理されていて、より円滑で安全な交通を実現するために、日々改良が加えられています。
その結果、信号の切り替わりの仕方も複雑化していますから、待たされる要因も複雑化します。
しかし、待たされる要因が複雑化しても、基本的には上記の要因が全てもとになっていることに変わりはありません。
また、実際の待ち時間だけではなく、感覚的に長く感じる場合もけっこうあるのだと、理解して頂けたのではないでしょうか。
信号が待たされる理由をしっかり理解してイライラを解消し、安全運転に徹して行きたいものですね。