業務上のコミュニケーションでは言葉より意図をくみ取ることが大切。

職場の業務を円滑に遂行する上では、コミュニケーションをきちんと取ることが大切です。

しかし、そんなコミュニケーションにおいても、単なる言葉上の意味を解釈するだけでは無く、相手の意図をきちんとくみ取ることが要求される場面が多くあり、時として言葉の解釈以上に重要になることもあります。

コミュニケーションでは相手の意図を汲み取ることが大切

言葉そのものは、その言葉が表現する意味しか持ちませんが、その話し手の考えや、業務の状況、言葉が発せられた背景など、様々な要素により、その意図は変わってくるものです。

コミュニケーションにおいては、聞き手がそういった様々な要素をきちんと把握して、その言葉の意味を、「本来の意図するところは何か」という観点でとらえることが重要です。

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意図を考える

職場におけるコミュニケーションでは、色々な会話が飛び交いますが、以下、意味を取り違えると問題に発展する可能性がある、典型的な例をいくつか見てみましょう。

「納期を目指して頑張る」

これは、言葉そのものを解釈すれば、納期を目指して頑張ってくれるんだと安易に解釈してしまうかも知れませんが、一般に、そのように解釈してしまってはいけません。

業務上の納期というのは本来、死守すべきものですから、それが「頑張る」程度では困ります。従って、この言葉を解釈する場合は、「納期には間に合わないかも知れないけど、できるだけ頑張る」との意味と解釈すべきです。

「時間ができたらやる」

これを、「時間ができた時にやってくれる」と解釈してはいけません。この意味は通常「時間がないからやらない」という意味であって「やる」の意味ではありません。「やらない」の意味を「やる」と解釈してしまうと取り返しがつかない場合もあります。「時間ができたら」という表現は、やらないための口実というのが一般的です。

「100点満点を目指す必要はない」

この場合の解釈としては、「(完成度は求めないから)とにかく遂行して欲しい」とくみ取るべきでしょう。もしこの言葉が、業務が遅延気味の時に発せられた上司の言葉であれば、「いいから早くやれ!」を意味するかも知れません。

いずれにしても、「出来栄えは多くを求めないが、手を付けること、遂行すること、あるいは急いで処理することを優先せよ」との意味です。

「そのやり方はお勧めできない」

これはズバリそのやり方は止めなさい!」の意味と受け止めるべきです。表現だけを見れば、「あまり良い方法ではないから、お勧めできるやり方ではない」と解釈できますが、表現を柔らかくしただけで「止めろ!」を意図することが多いです。

「君のためにならない」

これは「やるべきだ」「やりなさい」を意図することが多いです。つまり、「やるべき重要なことなので、もしやらないと君の立場が危うくなるかも知れない」ことを意味します。同様の内容に「君のために言っているんだ」という表現がありますが、これも同様です。ただし、この表現の場合、実は「立場上、私が困る」との上司の意図が隠されている場合もありますので注意が必要です。

「考えさせて欲しい」

これは対応しかねる」の意図だと解釈する方が無難です。従って、考えさせて欲しいと言っているその意味は「対応の可否」を考えるのではなく、「断る妥当な言い訳」を考えるという意味になります。

似たような表現に「検討します」という言葉がありますが、この場合は本当に検討して貰えるケースが多いです。但し、中には「対応しかねる」を意味する場合もありますので、注意が必要です。

以上、意味を取り違えると問題に発展する可能性がある典型的な例をいくつか挙げてみました。もちろん、ここで挙げた意図になるとは限りませんが、心得として肝心なことは、言葉を鵜呑みせずに「意図をくむ」ことが大切だということです。

自分の評価の指針になる

さて、話し手の意図を組むように心掛けることで、周りとのやりとりがスムーズに行くようになるものですが、上司の言葉に対してこのような心掛けを強く持つことで、更に大きなメリットが得られます

上司が頻繁にかけてくる言葉の裏には、その人に対する「期待」が込められていたり、「成長を願う部分」が含まれていたり、「欠けている部分の指摘」を意味したりします。

従って、これら上司の意図をくむことで、自分に期待されていることは何なのか、どこの部分が成長課題なのか、更に、克服すべき短所が何なのかを知ることができます。

換言すれば、自分が評価されるために必要な要素が何なのかを、日常業務の会話の中で知ることができるため、自身が成長して高い評価を受けて行くチャンスが広がります

上司に評価されることは、人事上の考課につながるものですから、それは昇進や昇給、抜擢などにもつながって行きます。

日常生活にも通じる

そして、日常生活における人と人とのコミュニケーションにおいても、このことは有用で、様々な会話において、相手の意図をくもうとする姿勢が大切になります。

話す相手が、「何でこのような言葉を発するのか」を頭で描きながらコミュニケーションを取ると、会話が円滑になり、誤解なども防止できます。

また、言葉の意図をくんでくれる相手は、話し手から見れば、聞き上手な人に見えるもので、「話していて楽しい」との好感を抱いてくれるものです。

そして、コミュニケーションが円滑になれば、人と人とのつながりも深まり、よりよい人間関係の構築に寄与することはもちろん、豊かな日常生活のための一助となることでしょう。

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