小さい子供を連れて、自然豊かな高い山に登山したいと思っても、幼稚園くらいの小さな子供が一緒だと躊躇してしまうことがあるかと思います。
そんな場合にぴったりの場所が、白馬の山々です。
小さい子供には高難度な登山
私がそのように言うのは、実際に自分の子供を連れて登山して、実感したからです。
これなら小さな子供でもぜんぜん問題ない。
しかも、とても楽しむことができる。
そのように実感したのです。
しかし、実を言うとそういう私も、連れて行く前にはちょっと躊躇がありました。
小さい子供には、ハードルが高すぎではないかと。
登山をよく知らない人は、山登りを安易に考える人もいると思います。
しかし、ナメテかかってはいけないのが登山です。
ここで、ちょっと例を2つあげてみます。
まず私の体験。
私が初めて「高い山」と言える山に登ったのは、小学4年生の夏休みのこと。
それは、火打山と呼ばれる標高2462メートルの山でした。
火打山は、登山のために山道が整っていましたから、本格的な装備などは必要ありませんでした。しかし、それでも相応の標高でしたから、けっこう体力を消耗したと記憶しています。
次に、中学2年の時の私の同級生のできごとです。
私が中学2年生の時、林間学校で八ヶ岳を訪れました。
その際、同じクラスの野球部員で運動能力ではクラスの中で3本の指に入っていた者が、登山の途中にバテ切って登山を断念してしまったことがあったのです。
話しを聞けば、登山を完全にナメテかかっていたようで、登山開始から全力で走って掛け上がり、途中で体力が完全に続かなくなったとのことです。
こうした例を見ても、幼稚園児と比べて体力的に優位であるハズの者でも、登山を安易に考えると失敗することがよく分かると思います。
まして、幼稚園児であれば、たとえ安易に考えなくても体力的な面が心配になるのは当然です。
だから私も、2000m級の山に子供を連れて行くことには、かなり抵抗があったのです。
「バテて、動けなくなってしまうのではないか」
と心配だったわけです。
高い山の魅力
では、低い山にすればいいのでは。
そう思う人も多いハズです。
しかし、高い山にしかない魅力って色々あります。
まずは、何と言っても景色が最高です。
高いところから見下ろせる光景は素晴らしいもので、とても気持ちがよくなります。
場合によっては雲海なんかを見ることができますし。
そして、その景色は見下ろす景色だけではなく、山々に囲まれた壮大な大自然は圧倒されるほどの魅力があります。
高い山ほど、周辺に連なる山も多く、それが更に見応えを強めてくれます。
そして、豊かな自然そのものに囲まれる点も素晴らしいですね。
周辺は全て自然。空気もキレイでおいしいです。
普段は見られない植物もたくさんあります。
ビルなんてありません。(世の中、ビルがない町なんかもありますが…)
大自然に囲まれるのです。
建物に閉じ込められ、パソコンとにらめっこして、朝から晩まで飼いならされた家畜のように働く日々の生活から解放され、大きくリフレッシュできるんです。
大げさに言えば、異次元空間で心身ともにリセットできるんですね。
だから、高い山にこだわるんです。
高尾山(都民が小学校時代に行く、遠足の目的地の定番)なんて、山じゃないです。丘ですよ、丘。
高尾丘と言うべきです。登山ではなくて、「丘めぐり」です。
高尾山(知らない人、ごめんなさい)に登って、まともにリフレッシュできますか?
疲労がたまるだけです。場合によっては、却ってストレスになったりするかも知れません。
要するに私が言いたいことは、高い山ってそれだけ魅力があるってことです。
なぜ白馬が向いているのか・実際に登って実感
という訳で、2000mくらいの山には行きたいと思ってたわけですが、やはり、子供の体力が心配。
そう思っていた私が、行こうと決断したのは、ゴンドラやリフトが充実していて、登山開始地点が標高の高いところにあったからです。
これなら幼児でも登れる。体力的にも無理はない。そう判断したのですね。
で、実際にゴンドラに乗って、リフトを2本乗り継いで、到着した場所は八方池山荘という場所。
ここは既に、標高1800メートルを超える地点で、2000メートルまでは残りわずか200メートルくらい。
登山開始地点から、もうゴールに手応えを持てるんですね。
でも、残り200メートルだからと言っても安易に考えない方がいいですね。
傾斜のきつい場所が、ところどころありますし、石がゴロゴロあって歩きにくいところ、少し滑りやすい場所もあります。要するに、登山らしい道が続くんですね。
そして、ペース配分など出来ない子供は、急にバテて動けなくなることもあるかも知れません。
だから私は、子供達に、
「慌てるな、無理するな、ゆっくり登れ」
と、常に声を掛けつつ登って行ったのです。
しかし現実は、まったく聞く耳を持たずに、駆け上がるように走って登って行きましたが…。
内心は、
「下山はこの子をオブって歩くのか…」
という恐怖心に襲われながら後をついて行きました。
目標は、絶景と呼ばれる八方池。
体力持つのかこいつ等は…。と、常に脳裏にその思いがよぎる中、八方池山荘から数十分で八方池まで到着。
あいにくその日は、曇っていて絶景と呼ばれるほどの景色は見られなかったのですが、子供たちは大喜び。
「また来る、また来る」
の連続でした。
きちんと下山できるかな。そんな心配が脳裏に残っていましたが。な、なんと、長男も次男も、殆ど駆け足に近いくらいのペースでイッキニ下までって感じでした。
それこそ、次男は大きな石と石の間をピョンピョン飛び移り、行き交う人に「忍者みたい」なんて言われるくらいに元気でした。
人並み以上に体力のある次男ですが、それでも幼稚園児。でも、そんな心配は吹っ飛びました。
そしてその日は、けっこう登山客でにぎわっていましたが、次男と同じ幼稚園児くらいの子供が、けっこういました。それだけ、幼児にとってもハードルが低いってことですね。
そして、ゴンドラ乗り場が混雑してかなり待たされましたが、息子たちはずーっと駆け回っていました。(どこから来るんだ、この体力は…)
「2000メートルの山、幼時に登れるかなぁ」
なんて、不要な心配でした。
無事下山した私たちは、帰路につき途中で食事。
気に入った食事処「味菜」へ行きました。白馬と長野市の中間あたりにありますが、この店、絶対おすすめです。
下記に詳しく書いてありますので、近くを通るならぜひ一度行ってみて下さい。
もちろん、長男・次男、二人とも凄い食欲でした。
二人の胃袋こそ異次元空間みたいな。
で、家に戻ると風呂に入って就寝。
いつもは早く寝なさいと言っていますが、その日は、ベッドに入った瞬間に睡魔の餌食になっていました。
「登山は凄い睡眠薬だ!」
と感じた私は、絶対にまた行こうと心中深く決意しました。
気軽に白馬へ登山を
さて、白馬が登山の超初心者や幼時などに向いていることが分かって頂けたかと思います。
白馬に関する観光情報は公式サイトを始め、様々なサイトに充実していますので、それらをご覧下さい。
ここでは、私が大事なポイントだと思う点について簡単にまとめます。
アクセス方法は2つ
まずはアクセス方法です。
私がここでおススメする登山は、幼児などの小さい子供連れや超初心者向けです。
従って、あくまで八方池山荘(標高約1800m)から登山を開始する方法になります。
そして、その八方池山荘までのアクセス方法には下記の2つがあります。
(1)黒菱駐車場―黒菱第3リフト―グラートクワッドリフト
(2)八方駅―ゴンドラリフトアダム―アルペンクワッドリフト―グラートクワッドリフト
(1)は黒菱駐車場まで自動車で行き、無料駐車場に駐車してリフトを2本乗って八方池山荘まで行きます。(1)の方が料金は安くなりますが、繁忙期は駐車場が満車で利用できないことがあります。また、冬場は通行禁止になります。
(2)はゴンドラ駅である八方駅(周辺に無料駐車場あり)からゴンドラに乗り、リフトを2本乗り継いで八方池山荘まで行きます。(2)の方が料金は高くなりますが、駐車場の心配はあまりなく(1)より確実です。
リフト等の料金は大人・子供やセット価格などもありますので、公式サイトで確認下さい。(割引なども色々あります)
いずれもリフト利用が必須ですから、リフトに乗れないくらいの小さい子供の場合は、登山は無理と考えたほうがいいでしょう。
また、基本的にスキー場エリアなので、リフトと同じルートを、山道を通って登ることはできません(一部ルートを除く)
ちなみに、ゴンドラリフトアダムの終着点であるうさぎ平には、スターバックスコーヒーが飲めるカフェ店があります。
ここで1杯のコーヒーを飲むののも悪くないですよ。
可能な地点まで登山
次に、八方池山荘からのアクセスですが、いくつか分岐した登山道があります。詳細を知りたいかたは公式サイトが便利です。小さい子がいる場合は、ゆるやかなルートを選ぶのがいいでしょう。
そして、白馬登山の利点は、子供の体力に合わせて目標地点を変更しやすい点にあります。
専用の登山グッズなしで登山できるのは八方池付近までですが、そこに到るまでには何か所もケルンと呼ばれる目標地点があります。(下記)
八方池山荘:1820m地点
石神井ケルン:1974m地点
第2ケルン(息ケルン):2005m地点
八方ケルン:2035m地点
第3ケルン:2080m地点
八方池:2060m地点
(ちなみに、第1ケルンがないのは、グラートクワッドリフトを利用しないで山道を利用する場合に、その途中にあるケルンだからです)
「〇〇ケルンまで行こう」などと、子供の年齢や体力、状況などに合わせて目標を定めやすいのですね。
途中で、子供に疲れが見えたら、目標地点を変更するのもひとつの方法です。
白馬は、状況に応じて目標地点を自由に設定しやすい点がとても便利なのです。
早目に休息
最後にあとひとつ。ぜひ頭に入れて置きたいことは、最初の休息を早めにとることです。
これは、登山などでは鉄則と言われていることでもあります。
子供は大人よりも体力はありませんから、これを徹底することが大切でしょう。
途中で体力尽きて、抱っこするなんて大変なことですからね。
以上、私が白馬で実感した体験をまとめてみました。
それでは皆さん、楽しい登山をお楽しみ下さい!!