携帯大手3社は、なぜ2年縛りの契約を止めようとしないのか?

携帯大手3社、いわゆるドコモ、au、ソフトバンクは、「2年縛りなどの契約を見直すよう」に、本年6月に政府から行政指導を受けました。

政府が3社に改善を求めた理由は、「2年縛り」など、契約を年数で縛るやり方は、消費者の選択権を奪っているとのことからで、今後どのようになって行くのか、そして消費者の選択の幅が広がって行くのかどうか、注目に値するところです。

しかしながら、3社とも、このような契約制度そのものを廃止することはせずに、更新月などと呼ばれる、違約金が発生しない期間を長くする方向で調整するとのことです。

この話を耳にして「どうして2年縛りなどといった契約制度そのものを廃止しようとはしないのか?」と感じ、この契約制度について考えてみることにしました。

契約制度

まず、問題となっている、2年縛りなどと言われる契約制度がどのようなものかですが、これは、2年間などの一定の期間、継続して利用することを条件に、一定の割引を適用するといった契約で、料金が安くなることや、継続して使う物であることなどから、既に多くのユーザが通常、この契約を結んでいます。

しかし、この契約では、契約更新時期に設けられている、更新月と呼ばれている期間(通常1~2ヶ月程度)以外に解約しようとすると、違約金が発生してしまうため、ユーザは好きな時期に他社へ乗り越えることが困難になります。

実際にこの契約制度があることで、他社に乗り換えようと思っても、余計な違約金は支払いたくはないので、乗り換えをとどまって、更新月を待つことも、よくあることです。

そして、同類の契約方法は、携帯業界だけでなく、固定電話やプロバイダー契約、電気やガス、更にはウォーターサーバなど、継続して利用する事業・業種を中心に広がっていて、当たり前のように定着している傾向もあります。

ユーザから見ると

こういった契約は、ユーザから見れば、契約を結べば少しでも料金が安くなるので、メリットがあるのは事実でしょう。しかし、その反面、他社へ変更したいと思った時などには、違約金が発生するため、簡単には変えることができず、不便を感じることがあるのも事実でしょう。

そして、2年縛り契約等に対するユーザの不満は、似たような契約制度のある固定電話や電力会社等よりも、携帯大手3社に対する方が大きいのも事実です。

例えば、私がかつて契約していたウォーターサーバでは、契約後2年以上を経過していれば違約金は発生しませんでしたが、携帯大手3社の場合は、通常、更新月を除く全ての期間で違約金が発生します。

また、固定電話やプロバイダーは、パソコンや情報端末の購入のタイミングと切り離して考えることができますし、電気や水道も契約期間満了を待っても、実用上の影響はあまりありません。

しかしながら、スマホなどは、SIMフリーを除く通常の端末は、携帯大手3社との契約と端末の購入を、事実上、切りはなすことができないので、端末が不調であるとか、どうしても新端末に変えたいといった状況が生じても、契約に縛られて自由がきかず、とても不便です。

ならば、「SIMフリー端末にすれば」と考えると思いますが、SIMフリーの端末を持ち込んで契約しようとしても、事実上、端末購入込みで契約する料金と変わらないので、SIMフリー端末を別途購入する分だけ却って高くもなり、こんな現状もユーザの不満の要因になっているのでしょう。

事業者から見ると

では、この契約制度を事業者の立場で見るとどうでしょうか。この契約を結べば、取り込んだユーザ、即ち契約相手は容易には解約できなくなりますので、その分だけユーザを食い止めて置く抑止力になるのでしょう。

企業にとっては、もし無条件で基本料金を値引きすれば、契約単価が落ちるのでメリットは小さいですが、2年縛りのような契約を条件にして値引きをすれば、ユーザに通信サービスを安く提供することができる一方で、解約しにくい状況を作って、収益の安定化を図ることができるメリットが生じます。

もし、2年縛りのような契約をしない場合、競合他社の新プラン創設や、新端末の発売などを機として、多数のユーザが一度に解約するなどの動きが発生し得ることになります。このような場合には、その事業者にとってはとても大きな売り上げ減となる可能性があり、事業経営にとっても深刻な影響を与えかねません

逆に、他社がこのような契約をしていると、他社からユーザを取り込もうとしても、一度に多くのユーザを取り込むことは容易にはできないことになります。

つまり、各社が2年縛りのような契約を足並み揃えて行っている状況下では、収益に急激な増加や減少が発生しにくくなり、お互いに大きな収益の変化を生まないため、収益を大きく向上することはない反面、経営を危うくするような状況も生まれにくくなるともいえます。

縛る制度自体の廃止は可能か

既に携帯大手3社が表明しているように、期間を縛る契約制度そのものを廃止するようなことはしないでしょう。

それは、上述した通り、経営を安定させるためとの理由があるからでしょうが、更にいえばその理由の背景には、そうせざるを得ない遠因となる別な理由があるといえるのではないでしょうか。

その遠因とは、携帯電話を取り巻く市場では、サービスの多様化や短い端末製品サイクル、格安スマホの台頭などが背景としてあるため、市場の動きの変化が非常に激しく、何らかの事象が発生した時に、売上の急激な減少を招きやすい状況にあることです。

仮に、3社のうち1社が2年縛りのような契約制度を廃止して、基本料金に対する割引も併せて中止した場合、ユーザは少しでも安くなる他の2社へ自然と流れて行くでしょう。

一方、基本料金に対する割引はそのまま継続して、2年の縛りのみを廃止した場合、縛りが無い理由だけではユーザを取り込むことは容易ではない反面、他社の新たなサービス開始などに伴って、急激な契約者減少を招くリスクを負うことになり、決して得策とは言えないのでしょう。

従って、縛る契約を廃止するのではなく、違約金が発生する時期を短くするのが現実的な対応策ということになるのでしょうが、それだけでは、単に「政府から行政指導を受けたから実施しただけ」との批判は残るのではないでしょうか。

携帯大手3社には、2年縛りのある他の業種においては、あまり非難されることがなく、行政指導の対象となっていない点に着目して、それら業種とは何が違うのかをよくよく考えて対応して欲しいと願うものです。

今回の行政指導に対する正式な改善策については、年度内に各社から示されるとのことですが、ユーザ視点に立った対応を期待するものです。

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