「品」、「森」、「晶」は、見てすぐ分かるように、それぞれ「口」、「木」、「日」が3つ合わさった漢字です。
品、森、晶は身近な漢字ですから、割と分かりやすいのですが、これらと同じように3つの同じ漢字から構成される漢字は、㐂、蟲、鑫、聶、焱、磊、轟、姦をはじめ、まだまだたくさんあります。
ここでは、このような漢字を200個以上挙げて一覧にまとめ、それぞれの画数、部首、文字コード、読み方、意味などを詳しく説明します。
3つの同一の漢字から成る字
3つの同じ漢字から構成される漢字の中で最も馴染み深い字は「品」と言えます。
このことから、この種の漢字は古くから「品字様」と呼称されてきました。
「晶」を見ても分かりますが、品字様は、上部に元の漢字「日」が1つ、下部に元の漢字が2つ(下部の左右に「日」がそれぞれ1つずつ)の合計3つの漢字で成り立っています。
しかし、同じ「日」という漢字3つで構成される字には「晿」と言う別な字もあります。
「晿」の場合、漢字の構造が「品」や「晶」とは異なり、元の漢字「日」が偏として左側に1つに加えて、右側に2つ(右側の上下に「日」がそれぞれ1つずつ)の合計3つの漢字で構成されています。
「晿」などの場合、字体の構造が「品」とは異なることから「品字様」には含まれないのが一般的です。
しかし、古くからある歴史書の中には、「晿」など「品」とは異なる構造の字体も含めて品字様としてまとめた書物が散見されます。
このことから、この記事では、「品」とは異なる構造でも、3つの同一の漢字から成る字については含めることにしました。
中国では三叠字と呼ばれる
さて、われわれ日本人が用いている漢字は、中国から伝来した文字です。
従って、中国でも品字様と同じような漢字の分類があるのではないかと考えると思います。
実際、中国では品字様に相当する漢字の分類があり、これを三叠字と呼称します。
三叠字の「叠」は、日本の漢字の「畳」の異体字で、たたむ、積み重ねる、重複するなどの意味があります。
三叠字を意訳すれば、「同じ物が3つ重なった字」となりますので、「晿」のように「品」とは構造が異なる字も含むことになります。
また、三叠字の場合、3つの漢字で構成される漢字だけではなく、3つの部位で構成される漢字も含むため、この記事でもこれらを含んで列挙することにしました。
3つの同じ漢字・部位から成る漢字一覧
では、実際に一覧にまとめます。
表中には、日本では使われることがまずない漢字や、中国でもほとんど使われない漢字も含め、可能な限りの漢字を掲載しました。
掲載した順番は、画数の小さい漢字から列挙しましたので、調べたい漢字の画数を考えながら見れば分かりやすいでしょう。
この一覧表では、端的に漢字のみを列挙していますので、その漢字の詳細(読み、部首、意味、画数など)を知りたい場合は、下線箇所をクリックして下さい。
詳細解説に飛ぶことができます。
各漢字の詳細説明
ここでは、上記の一覧表に掲載した各漢字について、その詳細について説明します。
漢字が使われる国や地域は、日本や中国以外にもアジア圏に多く存在し、国によっては同じ漢字と定義されていても書体が異なることや、画数が異なることがあります。
そのような背景を考慮した上で、ここに記載する画数は日本で筆記した場合を想定したものとしました。
また、読み方については日本で一般に使われない漢字については、中国における発音を日本語で発音した場合に近くなるようにカタカナで表記してピンイン発音記号を括弧に併記しましたが、中国などでも読み方が不明な漢字については記載していない場合もあります。
更に、部首については諸説があるものがあるため、最適と考えられる部首を記載しました。
列挙した漢字の中には、意味が記載されていない字がありますが、これは、ほとんど使われず意味が明瞭でないことを意味します。
文字コードについて万国に通用できるようにUnicodeのみを記載しましたが、一部の漢字についてはフォントが普及していないことから文字として記載できないものもあります。
そのような漢字については、画像で字体を表していますのでご注意下さい。
巛
【画数】3画
【部首】巛部(まがりかわ)
【読み方】セン、かわ、まがりがわ
【Unicode】5DDB
【意味】かわ。
【解説】川の異体字で、小さな水の流れを表す「く」(ひらがなの「く」ではない)の組合せでできています。
彡
【画数】3画
【部首】彡部(かみかざり、さんづくり)
【読み方】サン、セン、かみかざり、さんづくり
【Unicode】5F61
【意味】糸や毛の飾り。模様。
【解説】払う筆画を3回繰り返してできた指示漢字に分類される漢字です。
三
【画数】3画
【部首】一部(いち)
【読み方】サン、セン、み、み(つ)、みっ(つ)
【Unicode】4E09
【意味】みっつ。
【解説】横線三本で三(さん)を表した指示漢字です。異体字に弎があります。
【画数】3画
【部首】丶部(てん、ちょぼ)
【読み方】イー(yi)
【Unicode】2007C
【意味】人や物を表す指示代名詞。
【解説】日本では用いられず、中国で「伊」の異体字として指示代名詞の用法がありました。
【画数】3画
【部首】乙部(おつ)
【読み方】チ(qǐ)
【Unicode】30030
【意味】ー
【解説】日本では使われず、中国でも意味は不詳ですが、「气(気)」と関係あるのではという説があります。
卅
【画数】4画
【部首】十部(じゅう)
【読み方】ソウ、さんじゅう、みそ
【Unicode】5345
【意味】さんじゅう。三十。
【解説】「十」が3つ横に並んで省略されて4画になりました。「丗」や「世」、「卋」なども3つの「十」から生まれています。
【画数】6画
【部首】十部(じゅう)
【読み方】キ、くさ
【Unicode】20984、2F82C
【意味】くさのこと。
【解説】日本では卉の異体字と考えられ、くさの意がありますが、中国では三十の意味です。
【画数】6画
【部首】十部(じゅう)
【読み方】ソウ、さんじゅう
【Unicode】20983
【意味】さんじゅう、三十(=30)。
【解説】「十」が3つ合わさり数字の三十(30)を意味します。上述「卅」の異体字です。この字は、「卅」の元の字とも言われ、現代では「卅」の方を使います。
㐂
【画数】6画
【部首】一部(いち)
【読み方】キ、よろこぶ
【Unicode】3402
【SJISコード】87A1
【区点】③1403
【意味】よろこぶ(喜と同じ)。
【解説】㐂は、「七」の字形を品字様のように3つ合わせた字体の漢字です。しかし、漢数字の「七」とは全く関係がありませんので、会意文字とは言えません。
㐂は、喜の草書体を楷書化した漢字で、日本で広まった俗字とも言われています。従って、中国に古くからある《説文解字》や《玉篇》などの字書や《廣韻》や《集韻》などの韻書にも掲載されていません。
また、近年になって中国で発刊された漢語大辞典にも掲載はなく、日本における最大規模の大漢和辞典には、あくまで補足する漢字として掲載されています。
㐂は、読みも意味も「喜」と同じでなので、IMEなどで「キ」や「よろこぶ」と入力して変換すると「㐂」が選択候補として表示されます。
喜の草書体(下図)が、「七十七」に見えることから、77歳の長寿のお祝いを喜寿と言い、「喜の字の祝い」とも言います。
喜の草書体は、㐂にも近い字形ですが、㐂にある3つの七のうち、左下の字形が「十」に見えることから「七十七」と読んで77歳の年寿を祝う喜寿として江戸時代に広く普及して行きました。喜の草書体は七が3つにも見えることから、字体としては㐂が定着したと考えられます。
㐂は、読みも意味も「喜」と同じなので、喜の代わりに㐂を使う場合もありますが、多くは人名などの固有名詞で使われるのが一般的です。なお、㐂は見方によっては「ヒ」が3つ、或いは「匕」(漢字の1つ)が3つに見えてしまうかも知れませんが、そのような漢字はありません。
【画数】6画
【部首】乙部(おつ)
【読み方】ジ(jí)
【Unicode】2B864
【意味】集まること。
【解説】日本でも中国でもあまり使われませんが、九が3つあることから集まる意があると言われています。
劦
【画数】6画
【部首】力部(ちから)
【読み方】キョウ(ケフ)、ギョウ(ゲフ)、リョウ(レフ)、かなう
【Unicode】52A6
【SJISコード】ED69
【区点】④0335
【意味】力を合わせる。あわせる。かなう。
【解説】劦は、「力」3つで、一緒に力を合わせることを意味する会意文字です。劦は、協のもとの字(原字)で、劦をのちに協と書くようになったと言われています。
劦について、中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、「同力也。从三力。」と書かれています。これは、「力を同(あつ)むるなり。三力に從ふ。」或いは「力を同(とも)にするなり。三つの力に從ふ。」と読み、劦は、力を合わせる義がある会意文字であることを示しています。
劦の音読みは、漢音がキョウ(ケフ)で、呉音がギョウ(ゲフ)です。リョウ(レフ)という読みもありますが、これは漢音でもあり呉音でもあります。字音のキョウは、劦を含む恊、勰、協などの漢字(全てキョウの音読み)の形声となっています。
劦の訓読みは、「かなう」と読みます。特殊な読み方として、「ととのう」や「あわせる」のように読ませる場合もあります。
劦の意味としては、その字義である「力を合わせる」ことから、単に「あわせる」という意味や、「かなう」という意味も表すようになりました。また、宋時代の韻書《集韻》に「力不輟也。」(力(つと)めて輟(やま)ずなり。)と書かれているように、劦には「つとめて止めない」意味もあります。更に、南朝時代の字書《玉篇》に「急也。」(急なり)と書かれているように、「にわかに」、「いそぐ」、「ゆとりがない」などの意味もあります。古訓に「たちまち」との読みがありますが、この意味と言えます。
劦を用いた熟語は特にありませんが、のちに劦のかわりに書くようになった「協」を用いた熟語は、「協力」、「協会」、「協議」、「協業」、「協賛」などたくさんあります。
字体に「劦」を含む漢字は多くあり、馴染みのある漢字としては、協(Unicode:5354)、脅(Unicode:8105)、脇(Unicode:8107)などが挙げられます。
協は、「キョウ」、「あわせる」、「かなう」と読み、力を合わせる、かなう、一致する、ともにする、などの意味があります。《説文解字》では、協は会意文字であると書かれていますが、「十」+「劦」の形声文字です。協の中の「十」は多い意味を表し、「劦」はキョウという音符を表します。協は、劦の声義をうけた「多くの力を合わせる」という義を持つ漢字です。
「劦」を含む漢字に恊(Unicode:604A)がありますが、これは協の異体字です。《説文解字》では、協を衆人が力を合わせる意とし、恊を衆人が心を合せる意と説明していますが、協と恊は同字とされています。
脅と脇は、共に「月」+「劦」の形声文字で、もともと同字とされ、中国語ではどちらも胁の異体字として、「おどかす」と「わきばら」の両方の意味を持ちます。日本では、脅は「おどかす」意味として、脇は「わきばら」の意味として2つの漢字を使い分けていますが、もともとは同じです。
脅と脇は、どちらも音符である「劦」を持ち「キョウ」と読みます。「月」はもともと肉の象形で身体を表します。脅と脇の音「キョウ」は挟(キョウ)のことを指し、両肘で、力で挟む部位である脇腹を表すという解釈が従来から言われて来ましたが、最近では「劦」を肋骨の相並ぶ形に比したものと考えるようになっています。
また、「おどかす」については、「力で挟むことで脅す」との解釈が一部にありますが、字音の「キョウ」は却(キョウ)にも通じるので、おびやかすの意味も表すと考えるのが自然です。
ちなみに、脅の異体字に脋があることから、「劦」は刀3つで構成される品字様「刕」(Unicode:5215)の異体字と解釈してしまうことがあるようですが、「劦」と「刕」は全く別な字です。
字体に「劦」を含む漢字は、上記の協(恊)、脅、脇の他にもまだあります。日本でわりと使われる漢字を挙げると、勰(Unicode:52F0)、嗋(Unicode:55CB)、姭(Unicode:59ED)、愶(Unicode:6136)、荔(Unicode:8354)、蛠(Unicode:86E0)などがあります。
勰は、「劦」+「思」の形声文字でキョウやギョウと読み、かなう、心があう、思いが合う、和合する、和らぐ、等の意味があります。「劦」が持つ”合わせる”意味と、「思」の意味から、”気持ちが一つにまとまる”ことを表しています。
嗋は、「脅」+「口」の形声文字でキョウやコウと読み、吸うという意味があります。「劦」が持つ合わせる意味と身体を表す「月」、具体的な部位を指す「口」とで、”口が合う”こと、つまり吸うことを表しています。嗋には、あう、おどす、等の意味もあります。
姭は、「劦」+「女」の形声文字でケンと読み、見目(みめ)よいさまを意味します。中国の宋時代の韻書《廣韻》には、「好貌。」(好(よ)い貌(すがた))とあるように、見た目が良いことを示しています。「劦」が持っている、”ととのう”意味とつながっているようです。
愶は、「忄(心)」+「脅」の形声文字でキョウやコウと読み、脅と同じく、おびやかす、おびえる意味があります。
荔は、「艹」+「劦」の形声文字でレイやライと読む茘と同じ字で、通常は熟語を形成して草の名を表します。群生する性質を持つ草であることから、集まる意味の「劦」を含んでいます。茘は、果樹の名も表します。
蛠は、「虫」+「劦」の形声文字でレイやライと読み、珕(後述)と同じく、貝の名(おおはまぐりの一種)を表します。
字体に「劦」を含む漢字は、更にあり、日本であまり使われない、下記のような字もあります。
漢字 | ユニコード | 意味 |
拹 | 62F9 | 引っ張る |
搚 | 641A | 砕く、折る |
栛 | 681B | 木の名 |
熁 | 7181 | 燻り焼く |
燲 | 71F2 | 火気 |
珕 | 73D5 | おおはまぐり |
㙝 | 365D | 土手、堤防 |
㶸 | 3DB8 | 燻り焼く(=熁) |
䅄 | 4144 | 穀物の一種 |
䝱 | 4771 | 財産 |
䬅 | 4B05 | はげしい風 |
いずれの漢字も、「劦」が持つ意味と繋がっていると言えます。
更に、日本でも中国でもほとんど使われない漢字が、下記のように多くあります。
字の構成 | ユニコード |
(1)「口」+「劦」(劦の左に口) | 20C7F |
(2)「劦」+「木」(劦の下に木) | 20877 |
(3)「圥」+「劦」(劦の左に圥) | 20882 |
(4)「口」+「䝱」(䝱の左に口) | 2103A |
(5)「巾」+「劦」(劦の左に巾) | 22090 |
(6)「思」+「劦」(劦の左に思) | 228E2 |
(7)「劦」+「日」(劦の下に日) | 23195 |
(8)「劦」+「欠」(劦の右に欠) | 238A9 |
(9)「脅」+「欠」(脅の右に欠) | 238F2 |
(10)「䝱」+「欠」(䝱の右に欠) | 23925 |
(11)「氵」+「劦」(劦の左に氵) | 23D1A |
(12)「氵」+「脅」(脅の左に氵) | 23E69 |
(13)「牛」+「劦」(劦の左に牛) | 24652 |
(14)「田」+「劦」(劦の左に田) | 24C77 |
(15)「荔」+「廾」(荔の下に廾) | 26DAD |
(16)「走」+「劦」(劦の左に走) | 27ED2 |
(17)「馬」+「劦」(劦の左に馬) | 2CCEB |
(18)「月」+「脅」(脅の左に月) | 2E32F |
(19)「忄」+「荔」(荔の左に忄) | 3047E |
(20)「风」+「劦」(劦の左に风) | 310DA |
これらはどれも、限定的な使われ方しかしません。具体的な字体は下記の通りです。
刕
【画数】6画
【部首】刀部(かたな)
【読み方】リ、レイ、ライ、さく
【Unicode】5215
【SJISコード】87DB
【区点】③1461
【意味】さく(割く)。姓に用いる。
【解説】刕は、「刀」が3つでできている会意文字で、割(さ)くという字義があります。明時代の字書《正字通》に、「刕、割也。」(刕は、割(さ)くなり)と書かれている通りですが、通常は割くという意味で使われることはほとんどありません。南朝時代の字書《玉篇》に「刕、姓。」(刕は姓)とあるように、中国において主に姓(苗字)に使われます。
「刀」の異体字に「刁」がありますが、この「刁」3つからなる品字様があり、刕の異体字とされています。また、「刀」を横に3つ並べた漢字もありますが、ほとんど使われない漢字です。
刕を含む漢字としては、「茘」(Unicode:8318)があります。茘は、レイやライと読み、荔の異体字で草の名を表します。
この他にも、刕を含む漢字には下記のような字がありますが、いずれも通常は使いません。
字の構成 | ユニコード |
①「十」+「刕」(刕の左に十) | 209A2 |
②「石」+「刕」(刕の左に石) | 254A2 |
③「芔」+「刕」(刕の上に芔) | 26D18 |
④「風」+「茘」(茘の左に風) | 29621 |
①は、キョウと読み、協の異体字とされ、協と同じ意味を持ちます。②は、レイと読み、瑪瑙(めのう)のことを意味すると言われています。③は、カイと読み、解と同じとされています。④は、レイと読み、激しい風の意味だと言われています。これらの漢字の実際の字体は下記の通りです。
【画数】6画
【部首】刀部(かたな)
【読み方】―
【Unicode】31415
【意味】割く。
【解説】刀が横に3つ並んだ字ですが、日本や中国では使われていません。韓国の古典に出てくる刕と同じとされる漢字で、割(さ)く、切るなどの意で使われます。
众
【画数】6画
【部首】人部(ひと、ひとがしら)
【読み方】ギン、ゴン、シユウ
【Unicode】4F17
【意味】大勢が立つさま。多いこと。大勢であること。
【解説】「人」が三人並ぶ姿を表現した象形文字で、衆の簡体字です。
㐺
【画数】6画
【部首】亻部(ひと、にんべん)
【読み方】ギン、シユウ、ツォン(zhòng)、イン(yín)
【Unicode】343A
【意味】衆と同じく、大勢であること等。
【解説】「众」と同じく人が並ぶ姿を描いた漢字です。
【画数】6画
【部首】亻部(ひと、にんべん)
【読み方】ツォン(cóng)
【Unicode】30067
【意味】したがう。
【解説】「從」の字が簡略化された漢字であると類推されています。「從」は「従」の旧字で、異体字に「从」があります。この字は、前の人が後について行く姿を表しています。
厽
【画数】6画
【部首】厶部(む)
【読み方】ルイ、サン
【Unicode】53BD
【意味】土を積み重ねて垣を造る意。
【解説】三つの印を重ねることや、三つの印が重なることを表します。「厶」は、カナカナの「ム」とは違います。
叒
【画数】6画
【部首】又部(また)
【読み方】ジャク、ニャク、シャク、したがう
【Unicode】53D2
【意味】若木(じゃくぼく)、したがう。
【解説】大きな葉をつけた三本の枝を表現した象形文字です。
【画数】6画
【部首】亅部(はねぼう)
【読み方】ナイ(nǎi)
【Unicode】20115
【意味】乃と同じ。
【解説】日本では馴染みがなく、中国でもあまり使われませんが、中国では乃(ついに、やっと等の意味)と同じ意味と考えられています。
【画数】6画
【部首】卩部(ふしづくり)
【読み方】ジー(jì)
【Unicode】20A15
【意味】ー
【解説】日本、中国ともにほとんど使われず、「㔾」の字もあまり使われないため、中国でも詳細は不明です。
【画数】6画
【部首】巛部(まげかわ)
【読み方】チュアン(chūan)
【Unicode】21FE6
【意味】川と同じ。
【解説】日本では馴染みが無く、中国では巛(川)の異体字と言われています。「坤」の異体字という説もあります。「く」のような元の漢字は、現在では正式な漢字としては残っていません。
【画数】6画
【部首】一部(いち)
【読み方】―
【Unicode】2CEC4
【意味】ー
【解説】丁が3つで構成される字ですが、日本でも中国でも使われていません。漢字が伝来する歴史の中でベトナム語やチワン語の文字として使われていました。
【画数】6画
【部首】巛部(まげかわ)
【読み方】コン
【Unicode】21FED
【意味】坤と同じ。
【解説】「く」が縦に2つ並ぶ字体が横に3つ組み合わさったような字体ですが、実際は巛が2つで構成されています。この字は、坤と同じで、八卦の一つ、土、土地、西南(方位)など色々な意味があります。
【画数】6画
【部首】刀部(かたな)
【読み方】―
【Unicode】2D0CA
【意味】割く。
【解説】刁が3つの品字様ですが、刁が刀の異体字と言われるのと同じく、刕の異体字とされています。刀と同じく切るや割くの意があります。
【画数】7画
【部首】口部(くち)
【読み方】ヒン
【Unicode】20BEE
【意味】しな、等級や格差、人柄など品と同じ意味。
【解説】口3つからなる品と同じ字とされています。品の筆記が略された俗字で画数も7画になっていますが、意味は品と同じです。
【画数】8画
【部首】山部(やまへん)
【読み方】ク(kū)
【Unicode】21D8F
【意味】山が高い様子。
【解説】旁(つくり)は「出」ですが、もとは山が2つと考えられています。日本ではほとんど使われず、中国では「崫」などの異体字ともされ、古くは崛と同じであったとも考えられています。
【画数】9画
【部首】山部(やま)
【読み方】シユウ、シ(shì)
【Unicode】21DC8
【意味】山が重なるさま。
【解説】あまり使われない字で諸説がありますが、山が重なるさまの意が最も有力な説です。「澀」や「涩」、「歮」などの異体字だとの説もあります。
【画数】9画
【部首】丨部(たてぼう)
【読み方】チー(qí )
【Unicode】2006D
【意味】長短高低大小がまちまちである。ふぞろいである。リズムが合わない。
【解説】个は、1本の竹を描いた象形文字で、これが3つでできた漢字で、ふぞろいであることを意味します。
【画数】9画
【部首】入部(いる、いりやね)
【読み方】チー(qí )、ヂー(jī)
【Unicode】204EA
【意味】長短高低大小がまちまちである、ふぞろいである。リズムが合わない。
【解説】この字は、字体の変化の過程で前述の字と異なる字体の漢字となっただけだと考えられています。
姦
【画数】9画
【部首】女部(おんな)
【読み方】カン、ケン、みだら、よこしま、かしま(しい)
【Unicode】59E6
【JISコード】342F
【SJISコード】8AAD
【区点】①2015
【意味】よこしま。道理を犯している。道理を犯す行い。わるい。わるもの。悪事。いつわる。わたくしする。盗む。みだす。みだれ。おかす。みだら。男女間で不義を犯す。淫行。かしましい。やかましい。
【解説】姦は、3つの「女」で構成される会意文字で、異体字に姧があります。また、姦の代わりに奸を使う場合もあります。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、姦について「厶也。从三女。」と書かれています。これは、「私(=厶)するなり。三女に從ふ。」と読み、姦は、”私情のために道理にはずれたことをする”意を持ち、三つの女から成る会意文字であることを示しています。
姦の読みは、音読みがカン(漢音)、ケン(呉音)で、訓読みは、みだら、よこしま、かしま(しい)です。「みだら」や「かしましい」はIME漢字変換でも出てきます。字音の「カン」には、干(カン)や奸(カン)と同じく「道理をおかす」、「道にはずれた行為をする」意があります。
姦には、いろいろな意味があることから、その意味を表した古訓は多く、「かしがまし」(囂し)、「あざむく」(欺く)、「かまびすし」(喧し)、「いつはる」(偽る)、「みだりがはし」(濫りがわし)、「さはく」(騒ぐ)、「ぬすむ」(盗む)、「をかす」(犯す)などがあります。
姦は、”三女を合わせて私する義”を表し、その字義から”よこしま”等、たくさんの意味を持つようになりました。いずれも広く悪事の意に用いられますが、かしましい、やかましい等については、中国語にはなく日本語だけにある意味です。
三国時代の魏の辞典《廣雅(広雅)》には、姦について「僞也」(偽(=僞)るなり)や、「盜也」(盗(=盜)むなり)と書かれています。また、南朝時代の字書《玉篇》には「邪也」(邪なり)と書かれ、明時代の字書《字彙》には、「淫也」(淫らなり)と書かれています。これらから、姦には、道理を犯す様々な行いの意味があることが分かります。
姦を含む熟語は無数あり、代表的なものには下記があります。
姦悪(かんあく):悪者。心がねじけていて悪いこと。
姦淫(かんいん):男女が道義に背いた肉体関係をもつこと。
姦黠(かんかつ):悪賢いこと。狡猾。
姦計(かんけい):よこしまな謀りごと。
姦詐(かんさ):計略や嘘で人を陥れようとすること。
姦才(かんさい):悪事に関する才能。
姦策(かんさく):奸計。悪だくみ。
姦邪(かんじゃ):心が曲がっていて、よこしまなこと。
姦商(かんしょう):心の正しくない商人。悪徳商人。
姦心(かんしん):ひねくれて悪賢い心。
姦臣(かんしん):邪悪な心を持った臣下・家来。
姦人(かんじん):腹黒くて悪賢い人。
姦賊(かんぞく):心のねじけた人。
姦智(かんち):悪知恵。悪賢い知恵。
姦通(かんつう):既婚者が配偶者以外と肉体関係をもつこと。
姦徒(かんと):悪者ども。悪徒。
姦佞(かんねい):心が曲がっていて悪賢く人に媚びへつらうこと。
姦夫(かんぷ):他人の妻と密通する男。
姦婦(かんぷ):配偶者以外の男と密通する女。
姦物(かんぶつ):悪知恵のはたらく心の曲がった者。
姦謀(かんぼう):邪悪な謀。悪だくみ。
姦民(かんみん):よこしまな民。
姦雄(かんゆう):悪知恵を働かせて英雄となった者。!
姦濫(かんらん):よこしまで、みだらなこと。
姦吏(かんり):心のよこしまな役人。
強姦(ごうかん):暴力などで強制的に婦女を犯すこと。
和姦(わかん):合意のうえで男女が肉体関係をもつこと。
これらの熟語の多くは、「姦」を「奸」に置き換えることができます。
「女」で構成される漢字には、「女」を横に2つ組み合わせた「奻」(Unicode:597B)や縦に2つ組み合わせた「㚣」(Unicode:36A3)があります。「奻」はダンやネンと読み、言い争う、口げんかするなどの意味があります。「㚣」はコウやギョウと読み、美しい、魅惑的な、かわいい、みだらな、放縦ななどの意味があります。
字体に「姦」を含む漢字には、「葌」(Unicode:844C)があり、カン、ケンと読み、ふじばかま(キク科の多年草)の意味があります。また、あまり使われない字ですが、他にも下記のような漢字があります。
字の構成 | ユニコード |
①「姦」+「大」(姦の下に大) | 217D7 |
②「姦」+「男」(姦の下に男) | 218B9 |
③「姦」+「馬」(姦の右に馬) | 29926 |
④「姦」+「干」(姦の右に干) | 2D48B |
①はカンと読み奸と同じで、②はヨウと読み妖と同じ、③はカンと読み熟練する意があり、④は中国語でガン(gān)と読み、奸の異体字とされています。これらの実際の字体は下記の通りです。
なお、②については下記の記事が参考になります。
品
【画数】9画
【部首】口部(くち)
【読み方】ヒン、ホン、しな
【Unicode】54C1
【意味】しな。等級や格差。人柄。評価する。きまり。制度。種類。物を数えることば。
【解説】品は、3つの「口」で構成される会意文字です。口3つによって色々の名の物を表したと言われています。また、3人集まって、判定、評価したことから等級や種類などの意味が生まれたと言われています。品定めと言う言葉はその名残と言えます。口ではなくて、四角い形状を3つで色々な物を表したという説もあります。
【画数】9画
【部首】口部(くち)
【読み方】リン(líng)
【Unicode】20C60
【意味】群がる、集まる。騒がしい。
【解説】元は、鳥の口が三つから生まれた漢字で、鳥が群がる意味から人や鳥の集まりを表すようになりました。多くの会話や鳴き声の意味も含まれるため、騒がしいという趣を持っています。
孨
【画数】9画
【部首】子部(こ)
【読み方】セン、ジュウ、ニュウ
【Unicode】5B68
【意味】弱い。身を小さくする。慎む。
【解説】「子」が3つであることから、小さくて弱い意味を持ちます。同義語に「孱」があります。
【画数】9画
【部首】子部(こ)
【読み方】ニイ(nǐ)
【Unicode】21966
【意味】孨と同じく弱い意。
【解説】中国では、「孨 」の異体字とも考えられていて、弱小の意があります。
芔
【画数】9画
【部首】艸部(くさ)
【読み方】キ、ケ、くさ
【Unicode】8294
【意味】くさ(草)。
【解説】芔は卉の異体字で、草の芽の形(屮)を3つあわせた会意文字です。元々は、丸くかたまって生えた草花のことで、転じて諸々の草を意味するようになりました。
【画数】9画
【部首】大部(だい)
【読み方】タイ
【Unicode】21619
【意味】太い意。
【解説】この字は、大が3つからなる漢字ですが、太の俗字・異体字と言われ太い意味を持っています。
壵
【画数】9画
【部首】士部(さむらい)
【読み方】そう、ジュアン(zhuàng)
【Unicode】58F5
【意味】壮と同じく壮大の意。
【解説】本来の意味は、身体が大きく筋肉などがしっかりしていることで、中国では壯の異体字と言われています。
垚
【画数】9画
【部首】土部(つち)
【読み方】ギョウ
【Unicode】579A
【JISコード】2358
【SJISコード】F1EB
【区点】④0477
【意味】土が高いさま。土をうずたかく盛るさま。たかい。
【解説】垚は、土が3つからなる会意文字です。中国最古の後漢の漢字字書≪説文解字≫には、「土高也。从三土」(土の高きなり。三土に従う。)と書かれています。これは、垚が土の高いさまを表し、三つの土からなる会意文字であることを示しています。
読みは、呉音でも漢音でもギョウ(音読み)と読み、中国語では、ヤオ(yáo)と発音します。
意味は、土の高いさまや、土をうずたかく盛るさまですが、山が高いさまを表したり、単に高いことを表したりもします。日本ではあまり使われる字ではなく、中国でも通常は使われず主に苗字に使われています。
「垚」のように「土」を組み合わせた漢字は他にも幾つかあります。
「土」を縦に2つ並べた「圭」(Unicode:572D)は、ケやケイと読み、垚と同じく土を盛ることを示した会意文字です。「圭」は、天子が諸侯に領土を与えたしるしとして与える玉器の意味のほか、きちんとかど目がたっているさまや、一升の十万分の一の容量の単位を表します。また、「土」を横に2つ並べた漢字(Unicode:2A8B4)は、中国の少数民族の言語でのみ使われ、ふさぐ、せきとめる、うめる等の意味があります。
「土」を3つ組み合わせた字は、「垚」以外に土へんを部首とする漢字(Unicode:212E3)がありますが、意味は不明とされていて、中国でも人名や地名のみに使われます。
「土」を4つ組み合わせた字には、「㙓」(Unicode:3653)があり、土の意味を持っています。
「㙓」は「垚」の下に「土」を加えた漢字なので、「垚」を含む漢字の1つですが、「垚」を含む漢字は他にも多数あります。
「垚」を含む漢字のうち、「堯」(Unicode:582F)は「垚」の下に「兀」(高いの意がある)を加えた漢字で、「垚」よりも馴染みがあります。「堯」は、「尭」の旧字でギョウと読み、たかい、けだかい等の意味があるほか、中国古代の聖天子(五帝のひとり)の諡号でもあります。
そして、「垚」を含む漢字の殆どは、「堯」を含んだ字体になっています。日本で使われる「垚」を含む漢字を挙げると、下記の通りです。
漢字 | 部首/画数 | 読 み |
ユニコード | 意 味 | |
字 源 | ||
僥 | 亻部/14画 | ギョウ、キョウ |
50E5 | 非常に高いことを求める、願う。 | |
「人」+「堯」で、高い望みを持って背伸びすることを表す | ||
嘵 | 口部/15画 | ギョウ、キョウ |
5635 | 恐れ泣き叫ぶ声の形容。 | |
「口」+「堯」で、声を高く上げるさまを表す | ||
墝 | 土部/15画 | コウ、キョウ |
589D | かたい土、石があり作物が育たない痩せ地。 | |
「土」+「堯」で、かたい土石を表す(堯はかたい意がある) | ||
嬈 | 女部/15画 | ジョウ、ニョウ |
5B08 | たおやか。なぶる。たわむれる。 | |
「女」+「堯」で、女性が体をくねらせるさま | ||
嶢 | 山部/15画 | ギョウ |
5DA2 | たかい。山が一段とたかいさま。 | |
「山」+「堯」で、たかい山のこと | ||
漢字 | 部首/画数 | 読 み |
ユニコード | 意 味 | |
字 源 | ||
嶤 | 山部/15画 | ギョウ |
5DA4 | 嶢と同じ(嶢の異体字) | |
「山」+「堯」で、たかい山のこと | ||
撓 | 扌部/15画 | ドウ、ニョウ、トウ |
6493 | たわめる。たわむ。ためる。みだす。みだれる。 | |
「手」+「堯」で、柔らかく曲げることを表す | ||
曉 | 日部/16画 | ギョウ、キョウ、あかつき |
66C9 | あかつき。夜明け。さとる。明らかになる。 | |
「日」+「堯」で、空が白むことを表し、転じて明白にする意 | ||
橈 | 木部/16画 | ドウ、ニョウ、トウ、ジョウ |
6A48 | しなった木。たわめる。曲げる。くじく。 | |
「木」+「堯」で、高く伸びて曲がる、たわむ意を表す | ||
澆 | 氵部/15画 | ギョウ、キョウ |
6F86 | そそぐ。うすい。勢いが衰え弱いさま。 | |
「水」+「堯」で、高いところから水をふりかけるさま | ||
漢字 | 部首/画数 | 読 み |
ユニコード | 意 味 | |
字 源 | ||
燒 | 火部/16画 | ショウ、や(く) |
71D2 | やく。やける。もえる。火事。(焼の旧字) | |
「火」+「堯」で、高く炎・煙をあげてもえるさまを表す | ||
獟 | 犭部/15画 | ギョウ |
735F | 狂った犬。狂う。 | |
「犬」+「堯」で、首を高くたげるさまを表す | ||
皢 | 白部/17画 | ギョウ、キョウ、あかつき |
76A2 | 曉と同じ(曉の異体字) | |
「白」+「堯」で、空が白むことを表し転じて明白にする意 | ||
磽 | 石部/17画 | コウ、キョウ |
78FD | 土地がやせて、石がごつごつ突き出ているさま。 | |
「石」+「堯」で、高く突き出るさまを表す | ||
繞 | 糸部/18画 | ジョウ、ニョウ |
7E5E | まとう。まつわる。めぐる。とりまく。 | |
「糸」+「堯」で、糸がまとうさまを表す | ||
漢字 | 部首/画数 | 読 み |
ユニコード | 意 味 | |
字 源 | ||
翹 | 羽部/18画 | ギョウ、キョウ |
7FF9 | 雉の尾羽。あげる。特に優れたさま。つまだつ。 | |
「羽」+「堯」で、鳥が尾羽を高くかかげるさまを表す | ||
膮 | 月部/16画 | キョウ |
81AE | 豚肉のあつもの。 | |
「肉」+「堯」で、肉を表す | ||
蕘 | 艸部/15画 | ジョウ、ニョウ |
8558 | 燃料用のしば。かりくさ。きこり。しばかり。 | |
「艸」+「堯」で、折りたわめたしばを表す | ||
蟯 | 虫部/18画 | ギョウ、ジョウ、ニョウ |
87EF | 寄生虫。ぎょうちゅう。 | |
「虫」+「遶(グネグネとまわる意)」を略した字体 | ||
趬 | 走部/19画 | キョウ |
8DAC | 足をあげて軽やかに進むさま。上に向けて高くあげる。 | |
「走」+「尭」で、足を高くあげるさまを表す | ||
漢字 | 部首/画数 | 読 み |
ユニコード | 意 味 | |
字 源 | ||
蹺 | 足部/19画 | キョウ |
8E7A | あげる。つまだつ。つま先で不安定に立つ。 | |
「足」+「堯」で、つま先を上げるさまを表す | ||
遶 | 辵部/16画 | ジョウ、ニョウ |
9076 | かこむ。めぐる。グネグネととりまく。 | |
「辵」+「堯」で、まわりを回ることを表す | ||
鐃 | 金部/20画 | ドウ、ニョウ |
9403 | どら(楽器)。さわがしい。うるさい。 | |
「金」+「堯」で、余韻がうるさく残る打楽器を表す | ||
饒 | 食部/21画 | ジョウ、ニョウ |
9952 | ゆたか。にぎわう。ゆとりがある。ゆるす。 | |
「食」+「堯」で、食糧事情がよくてゆとりがあるさまを表す | ||
驍 | 馬部/22画 | ギョウ、キョウ |
9A4D | 背の高い馬。すぐれた馬。勇ましい。強い。 | |
「馬」+「堯」で、背が高く秀でていることを表す | ||
髐 | 骨部/22画 | コウ、キョウ |
9AD0 | かぶらや(矢の一種)。 | |
「骨」+「堯」で、骨が高く浮き出たさまを表す | ||
漢字 | 部首/画数 | 読 み |
ユニコード | 意 味 | |
字 源 |
上記の漢字のほとんどは会意兼形声文字で、「堯」が表す”高い”意味と関係しています。
ちなみに、4番目に記載した「墝」(Unicode:589D)は、土へんなので字体の中に4つの「土」を含んでいます。
「垚」を含む漢字は他にも下表のようにたくさんあります。
字の構成 | ユニコード |
「牛」+「堯」(堯の左に牛) | 3E53 |
「目」+「堯」(堯の左に目) | 4071 |
「鬼」+「堯」(堯の左下に鬼) | 4C2B |
「堯」+「鳥」(堯の右に鳥) | 4D03 |
「齒」+「堯」(堯の左に齒) | 4DA7 |
「彳」+「堯」(堯の左に彳) | 5FBA |
「忄」+「堯」(堯の左に忄) | 61A2 |
「禾」+「堯」(堯の左に禾) | 7A58 |
「衤」+「堯」(堯の左に衤) | 8953 |
「言」+「堯」(堯の左に言) | 8B4A |
「阝」+「堯」(堯の左に阝) | 96A2 |
「堯」+「頁」(堯の右に頁) | 9864 |
「魚」+「堯」(堯の左に魚) | 9C59 |
「危」+「堯」(堯の左に危) | 20A2A |
「堯」+「多」(多の左下に堯) | 215C9 |
「多」+「堯」(堯の左に多) | 215CA |
「堯」+「攴」(堯の右に攴) | 22FE3 |
「枲」+「堯」(堯の左に枲) | 2380E |
「歹」+「堯」(堯の左に歹) | 23A66 |
「堯」+「殳」(堯の右に殳) | 23AC1 |
「畕」+「堯」(堯の左に畕) | 24D00 |
「立」+「堯」(堯の左に立) | 25AAF |
「羽」+「堯」(堯の左に羽) | 26492 |
「艹」+「翹」(翹の上に艹) | 2710D |
「堯」+「貧」(堯の右に貧) | 27E45 |
「門」+「堯」(堯の周りに門) | 28DC1 |
「髟」+「堯」(堯の上に髟) | 29BC6 |
「浄」+「堯」(堯の左に浄) | 2AE0A |
「苦」+「堯」(堯の左に苦) | 2B290 |
「毛」+「堯」(堯の左下に毛) | 2C1C6 |
「堯」+「見」(見の左下に堯) | 2D406 |
「有」+「堯」(堯の左に有) | 305CF |
「堯」+「木」(木の左下に堯) | 30628 |
「米」+「堯」(堯の左に米) | 31E5E |
実際の字体は、下記の通りです。
これらの漢字は、日本でも中国でもほとんど使われません。
このように、「垚」を含む漢字は非常に多くありますが、その殆どは「堯」を含む字体です。また、「堯」を含む漢字の中には、「堯」の部分を「尭」に置き換えられる漢字(例:燒→焼)がけっこうあります。
【画数】9画
【部首】土部(つちへん)
【読み方】クイ(guī )
【Unicode】212E3
【意味】人名や地名に使われる。
【解説】この字は日本では通常、使われず、中国でも人名や地名のみに使われます。意味も不明で、珪や洼(日本では窪に相当)が崩れて生まれた字という説があります。
尛
【画数】9画
【部首】小部(しょう)
【読み方】マ、モ(mó)
【Unicode】5C1B
【意味】極めて小さいこと。微小、微小、最小、微細であること。
【解説】「小」が3つであることから、とても小さいことを意味します。細かくかすかを意味する麽の古代の文字が尛であったと言われています。
【画数】9画
【部首】小部(しょう)
【読み方】モ、マ
【Unicode】21B6F
【意味】尛と同じく、とても小さいこと。
【解説】この字は「尛」と同様、とても小さい意味です。
【画数】9画
【部首】竹部(たけ)
【読み方】ー
【Unicode】25AEE
【意味】人名用の漢字。
【解説】上述の个が3つでできた字の異体字として、ふぞろいである意だとの説もあります。
【画数】9画
【部首】乙部(おつ)
【読み方】ー
【Unicode】2B869
【意味】地名用の漢字。
【解説】「也」が3つで構成される字ですが、意味のある漢字としては使われていません。
【画数】9画
【部首】十部(じゅう)
【読み方】チエン(qiān)
【Unicode】2B9E2
【意味】人名用の漢字。
【解説】「千」が3つで構成される字ですが、意味のある漢字としては使われていません。
【画数】9画
【部首】巾部(はば)
【読み方】フイ(huì)
【Unicode】303D7
【意味】卉と同じく、草などの植物の意。
【解説】「巾」が3つで構成されますが、巾と関係のある意味はありません。
【画数】9画
【部首】一部(いち)
【読み方】シャン(shàng)
【Unicode】3000E
【意味】ー
【解説】「上」が3つで構成される漢字ですが、意味は不明です。
【画数】9画
【部首】弓部(ゆみ)
【読み方】ジョウ(zhōu)
【Unicode】223DD
【意味】ー
【解説】「弓」が3つで構成される漢字ですが、意味は不明です。
骉
【画数】9画
【部首】马部(うま)
【読み方】ヒュウ、ヒョウ
【Unicode】9A89
【意味】たくさんの馬が駆けるさま。
【解説】骉は、「马」が3つの会意文字です。马は馬の簡体字で骉は驫の簡体字ですから、骉は中国で使われ、驫は日本でが使われます。驫の詳細は「馬」の品字様「驫」を参照して下さい。
また、「马」を3つ横に並べた字(Unicode:31152)や馬を3つ横に並べた字(Unicode:299E2)もあり、共に馬がまっしぐらに走ることを意味します。
【画数】9画
【部首】马部(うま)
【読み方】チョン(chěng)
【Unicode】31152
【意味】馬がまっしぐらに走ること。
【解説】马は馬の簡体字ですから、この漢字は字体が異なるだけで馬を3つ横に並べた字(Unicode:299E2)と同じです。騁(骋)の異体字でもあります。また、「馬」の品字様「驫」や「马」の品字様「骉」もあり、共に、たくさんの馬が駆けるさまを意味します。
【画数】9画
【部首】巛部(まげかわ)
【読み方】シュウ、ス、す
【Unicode】2D600
【意味】砂がたまって水面に出た陸地のこと。川の中の小島。なかす。大陸。
【解説】この字は、州と同じ意味の漢字とされています。州の異体字で、俗字とも考えらています。
【画数】9画
【部首】厶部(む)
【読み方】ザイ、シ、サイ
【Unicode】20AF8
【意味】ととのう。ひとしい。そろって。調和した。
【解説】この字は、日本で使われることはほとんどありませんが、齊と同じ意味の漢字だと言われています。齊には、斉、亝、斊などの異体字があり、いずれも◇印が三つそろったさまを描いた象形文字で、のちに下方に板または布の形を添えるようになったのが字源です。
【画数】9画
【部首】厶部(む)
【読み方】サン
【Unicode】20AF0
【意味】加わる、そろわない、朝鮮人参、なまこ、二十八宿の一つ
【解説】日本では馴染みがない漢字ですが、參の異体字(古字)と言われています。參は参の異体字ですので、参と同じで色んな意味を持ちます。
【画数】9画
【部首】止部(とめる)
【読み方】シュウ、スイ、サ、ソウ
【Unicode】2CF2B
【意味】なめらかでなくしぶいさま。
【解説】この字は、歮の異体字と言われて、このことから部首は止部となっていますが、中国では乙部と解釈されています。心が3つで構成された字体とは点が1つ少ない分だけ異なっていますが、3つの心で構成された字体が変化してできた字と考えられています。
惢
【画数】12画
【部首】心部(こころ)
【読み方】サ、スイ、ズイ、ヌイ、うたが(う)
【Unicode】60E2
【区点】(補)3017
【意味】あれこれ疑う。惑う。いくつか重なった花のしん(蕊と同じ)。しべ。良い。古代の祭りの名。
【解説】「心」3つで心が多いことを示す会意文字で、惑い疑うことを表します。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、「心疑也。从三心。」(「心疑ふなり。三心に從ふ」)とあります。これは惢が、心が幾つもあれば色々と不安を感じて疑いが生まれるという字義を持つことを示したものです。
惢の読みは、音読みがサ、スイ、ズイ、ヌイで、訓読みがうたが(う)です。音読みのサは漢音かつ呉音、ズイは漢音、ヌイは呉音です。中国語では、スオ(suǒ)やルイ(ruǐ)と発音します。
訓読みは、「うたが(う)」ですが、蕊と同じ「しべ」と読ませることもあります。
惢には、「うたがう」や「まどう」等のほかに、「しべ(蕊)」や「よい(良い)」の意味があり、更に、中国では古代の祭りの名や星の名の意味もあります。
明時代の字書《字彙》には、「惢華也」(惢は華なり)と説いて、惢にも「しべ」の意味があることを説明していますが、この《字彙》の中では惢を「象形」と説明しています。つまり、「心」の字体はしべの形で、惢はしべの集まる形を表した象形文字とも考えられていて、惢は後の蕊の字に繋がって行ったと解釈しています。また、「しべ」の意味を持つ、蘂、橤、繠なども同じ流れと言えます。
「心」を組み合わせて構成される漢字に、心を2つ横に並べた漢字(Unicode:225F0)があり、中国語でファン(fǎn)と読みますが、意味(字義)は不明となっています。
字体に「惢」を含む漢字には、上述の「橤」(Unicode:6A64)、「繠」(Unicode:7E60)、「蕊」(Unicode:854A)、「蘂」(Unicode:8602)があり、いずれも「しべ」の意味を持っています。「惢」を含む漢字は、他にも下記のような字がありますが、いずれも通常は使われません。
字の構成 | ユニコード |
①「亦」+「惢」(惢の上に亦) | 228EB |
②「惢」+「戍」(惢の下に戍) | 228F3 |
③「木」+「惢」(惢の左に木) | 236DA |
④「犭」+「惢」(惢の左に犭) | 24867 |
⑤「疒」+「惢」(惢の左上に疒) | 24EAB |
⑥「竹」+「惢」(惢の上に竹) | 25CDD |
⑦「艹」+「繠」(繠の上に艹) | 2711C |
⑧「豸」+「惢」(惢の左に豸) | 27D15 |
⑨「氵」+「蕊」(蕊の左に氵) | 2C261 |
⑩「虫」+「蕊」(蕊の左に虫) | 30CE5 |
①は、台湾で使われる人名用の漢字です。②は、橤と同じと解釈され、蕊の意味を持ちます。③は、植物(木)の名前を表すと同時に、橤と同じ意味も持ちます。④は、雌の狢(むじな)を意味します。⑤は、悩ませるやイライラさせるの意味があります。⑥は、新鮮なタケノコの意味のほか、「蕊」と同じ意味もあります。⑦は、蘂と同じとされ蕊の意味があり、また集まる意味もあります。⑧は、雌のタヌキの意味があります。⑨は、固有名詞でのみ使われる漢字です。⑩は、中国の少数民族チワン族だけが使っている特殊な漢字です。これらの漢字の実際の字体は、下記の通りです。
【画数】12画
【部首】爪部(つめ)
【読み方】シュア(shuǎ)
【Unicode】24519
【意味】ー
【解説】「爪」が3つで構成される漢字ですが、意味は不明です。
犇
【画数】12画
【部首】牛部(うし)
【読み方】ホン、ひしめ(く)、はし(る)。
【Unicode】7287
【JISコード】6036
【SJISコード】E0B4
【区点】6422
【意味】はしる。おどろきはしる。ひしめく。大勢の人が一か所にすきまなく集まる。押しあって騒ぐ。押しあいへしあいする。すき間なく密着するさま。
【解説】犇は、牛が三つからなる会意文字です。牛がおどろいて、いっせいに走り出すのが字源で、そこから色々な意味を持つようになり、日本ではひしめく意味でも使われるようになりました。中国語でも日本と同じような意味で使われます。
中国の宋時代の韻書《廣(広)韻》には、「牛驚也(牛驚くなり)」とあり、牛が驚いて奔る意であることが示されています。
同じく宋時代の韻書《集韻》には、中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》を引いて「奔は走るなり」と説明した上で、「奔古作犇」と解釈しています。これは、「奔は、古(いにしへ)犇に作る」と読み、犇から奔の字が生まれたかのように説明していますが、奔は元から別の字と考える方が自然です。
奔も犇も”はしる”意味を持ち、音読みも同じで似たような使い方もしますので、《集韻》の解釈のように考えてしまいがちですが、奔は人を表す「大」と足を表す「卉」で”人の走る形”を表現した会意文字です。奔は、《説文解字》や《集韻》が書かれた時代に未だ発見されていなかった金文にも見られるので、もともと別な字が同じような使われ方をするようになったと考えるべきです。
犇の読みは、音読みの場合、呉音・漢音ともにホンで、これは奔と同じ読みです。中国語でも、犇と奔は同じ発音(bēn)をします。
訓読みは、犇(ひし)めく、犇(はし)るという読み方があります。送りがなを、犇(ひしめ)くと書く事例も見られますが、本来は犇(ひし)めくです。「犇めく」は動詞ですが、名詞「犇めき」や副詞「犇(ひし)と」のような表現も使います。
犇を使う熟語には、犇々(ひしひし)や犇走(ほんそう)があります。犇々(ひしひし)は犇犇(ひしひし)とも書き、強く身に迫るさまを表す副詞としてよく使われます。犇走は奔走と同じで、忙しく走り回ることを意味します。中国語で、犇と奔は異体字と解釈されることもありますので、奔走(=犇走)のように「ほん」と読む音読みの熟語の場合、奔の代わりに犇を使うこともあります。
「牛」3つで構成される漢字は犇しかありませんが、「牛」2つを横に並べた「牪」(Unicode:726A)という漢字(牛が連なる意)や、「牛」を縦に2つ並べた牛と同じ意味の漢字(Unicode:24627)があります。また、燚の字体のように「牛」4つを四方に並べた漢字(Unicode:246ED)もありますが意味は不明です。
なお、「牛」と字体が似ている「午」3つで構成される品字様(Unicode:2D166)もありますが、これは犇の異体字と考えられています。
森
【画数】12画
【部首】木部(き)
【読み方】シン、もり
【Unicode】68EE
【意味】多くの樹木が密に茂ったさま。また、そのところ。こんもりとして暗いさま。こもった感じで陰気であるさま。混み合った木の茂み。
【解説】3つの「木」で、樹木が密に茂った様子を表します。
【画数】12画
【部首】木部(き)
【読み方】ジン(jìn)
【Unicode】234CF
【意味】―
【解説】意味は不明ですが、麓や森などの異体字とするのが有力な説です。
焱
【画数】12画
【部首】火部(ひ)
【読み方】エン(エム)、ほのお
【Unicode】7131
【SJIS コード】F592
【区点】④7982
【意味】ほのお。ひばな。ともしび。火のようなあつさ。火が盛んに燃え上がるさま。とぶひ。
【解説】焱は、「火」が3つで、火が燃え盛るさまを表す会意文字です。中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、「火華也。从三火。」(火花(華)なり。三火に從(从)ふ。)と書かれていますので、焱は火花の意味がある会意文字であることが分かります。
説文解字を解説した清時代の注釈書《説文解字注(段注説文解字)》には、「凡物盛則三之」とあり、焱は、三つの火によって火が盛んなることを表したと説明しています。
中国の宋時代の韻書《廣韻》には、焱には火華(火花)の意味があると示した上で、「火焔也。」(火焔(かえん)なり)と、火焔(かえん)の意味もあることを記しています。火焔とは、盛んに燃える火、つまり炎のことです。
また、宋時代の韻書《集韻》には、焱について「火盛皃。」(火の盛んな貌(すがた))と書かれていますので、焱には火が盛んなさまの意味があることが分かります。
このように、焱は「火」3つで火が盛んなさまを表し、ほのお(炎)、ひばな(火花)の意味も持ちますが、転じて、火のようなあつさやともしび等の意味にも使われます。ちなみに、焱は会意文字と解釈するのが一般的ですが、火が盛んなさまを表した象形文字だと解釈する学説もあります。
焱の読みは、音読みがエンで、訓読みがほのおです。音読みのエンは漢音でもあり呉音でもあります。字音のエンは、上揚の意を持つとされる炎(エン)、焰(エン)、爓(エン)、燄(エン)などと同じ流れです。
焱には、ヒョウという音読みもあると考える場合がありますが、これは犬3つの品字様「猋」(ヒョウ)から来ています。「猋」は焱と字の形が似ていますが、異体字などではなく、あくまで別な漢字です。
古文などで誤って使われたことによるためですから、ヒョウは焱の本来の音読みではありません。ただし、実際に多くの書物に誤用があることから、ヒョウも音読みの1つに含める場合もあります。
焱の訓読みは、「ほのお」ですが、古訓としては「ひばな」や「ひのはな」等の読みがあります。
焱を含む熟語には、
焱涼(えんりょう):あつさと寒さ。
焱焱(えんえん):ほのおがあがるさま。ひかりかがやく。
焱絶(えんぜつ):文辞がかがやくことから文章の立派さをいう。
焱橐(えんたく):ふいご(ふいごう)。ほのおを起こす道具。
などがあります。現代では使われない熟語を含めると他にいくつもあります。なお、熟語の中には、焱をヒョウと読む熟語も存在します。
「火」で構成される漢字は下記のように色々あります。
火炎炏焱㷋燚
炎(Unicode:708E)は、「火」2つで構成される会意文字で「エン」や「ほのお」と読み、盛んにもえるさまを表すほのおの意味があります。
炏(Unicode:708F)は、「火」2つで構成される会意文字で「カイ」や「エン」と読み、燃え盛るやほのおの意味があります。
㷋(Unicode:3DCB)は、「火」3つで構成される火編の漢字で「タ」や「ダン」と読み、残り火の意味があります。
燚(Unicode:71DA)は、「火」4つで構成される会意文字で「イツ」と読み、火が燃えるさまを意味します。
字形に「焱」を含む漢字には、㲭、歘、燊、飈、飊、飚などがあります。
㲭(Unicode:3CAD)は、「タン」と読み、毛織の敷物の意味があります。㲭の中の焱は単なる音符なので、火とは関係ありません。
歘(Unicode:6B58)は、欻の異体字で「クツ」や「コチ」と読み、たちまち、にわかにおこるさまの意味があります。歘は、「焱+欠」で火を短時間にふっと消す様子を表しています。
燊(Unicode:71CA)は、「カ」などと読み、盛んなさまの意味があります。燊は、かがり火で木をとりまく様子で、木に咲く花が目立って華やかになることを表していると考えられています。
飈(Unicode:98C8)と飊(Unicode:98CA)は、共に「ヒョウ」と読み、いずれもつむじかぜの意味があります。飆(Unicode:98C6)の異体字ともいわれ、他の異体字に飇(Unicode:98C7)があると言われています。
焱が猋の字に似ていることからこのような色々な字体ができたと考えられますが、猋(ヒョウ)には「軽々と舞いあがる」の意があり、焱(エン)には「上揚」の意がありますので、どちらの字音も「吹きあげる風」(つむじ風)と繋がっています。
飚(Unicode:98DA)は、「飈」の簡体字(中国で使われる漢字)なので飈と同じ意味がありますが、日本では使われない漢字です。
字形に「焱」を含む漢字は、殆ど使われない字を含めると、下記のように他にもまだあります。
字の構成 | ユニコード |
①「焱」+「刂」(焱の右に刂) | 207E1 |
②「火」+「勞」(火の下に勞) | 208B8 |
③「扌」+「焱」(焱の左に扌) | 22D35 |
④「焱」+「草」(焱の下に草) | 27123 |
⑤「貝」+「焱」(焱の左に貝) | 27DFC |
⑥「焱」+「阝」(焱の右に阝) | 28787 |
⑦「焱」+「面」(焱の下に面) | 29245 |
⑧「焱」+「見」(焱の右に見) | 2E5DD |
①は、地名で使わる漢字で、②は、台湾の人名用の漢字です。
③は、掞(Unicode:639E)と同じでかがやく、かがやかす等の意味があります。
④は、燒(Unicode:71D2)と同じく燃焼する意があります。
⑤は、贆と同じで陸に住む貝の名を表します。
⑥は、郯(Unicode:90EF)と同じで古い地名に使われます。
⑦は、台湾の人名用の漢字です。
⑧は、閃(Unicode:9583)と同じくひらめく、ぴかりと光る、の意があります。
①~⑧のいずれも、通常は使われることはありません。
これらの実際の漢字は下記の通りです。
㷋
【画数】12画
【部首】火部(ひ、ひへん)
【読み方】タン、ダン
【Unicode】3DCB
【意味】残り火。燃え残り。
【解説】㷋は、「火」3つで構成されますが、焱とは別な漢字で、読みや意味も異なります。
㷋について、南朝時代の字書《玉篇》には「燼也」(燼なり)と書かれ、また、宋時代の韻書《集韻》にも「燼也」(燼なり)と書かれています。
燼(Unicode:71FC)は、異体字に烬(Unicode:70EC)があり、ジンやシンと読んで、燃え残りの意味があります。つまり、㷋は、発音は違うものの、燼と同じ意味を持ちます。
㷋は、音読みでタンやダンと読みますが、訓読みはありません。中国語では、日本語と近い音でタン(tán)と発音します。日本でも中国でも㷋を使うことは稀で、同じ意味を持つ燼(烬)を使うのが一般的です。
㷋を含む熟語は特にありませんが、「火」で構成される字は、火、炎、炏、焱、㷋、燚のように幾つもあります。炎、炏、焱については、火の品字様の漢字「焱」に記載しています。
燚については、下記が参考になります。
掱
【画数】12画
【部首】手部(て)
【読み方】シュ、パ(pá)
【Unicode】63B1
【意味】すり。
【解説】「手」が3つで、スリ(盗み)のことを意味します。
毳
【画数】12画
【部首】毛部(け)
【読み方】ゼイ、セイ、サイ、セツ、セチ、けば、にこげ、むくげ、けがわ、そり、もろ(い)、やわ(らかい)
【Unicode】6BF3
【JISコード】5D5E
【SJISコード】9F7D
【区点】6162
【意味】にこげ。細くて柔らかい毛(特に羊毛)。けば。むくげ。はらげ。けがわ。毛織物。フェルト。やわらかい。細くてもろい。よわい。切れやすい。そり。
【解説】毳は、「毛」を三つ重ねた会意文字で、字義は、”密生した細かくて柔らかい獣毛”をあらわします。中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、「獸細毛也。从三毛。」と書かれています。これは、「獸(獣)の細毛なり。三毛に従う。」と読み、3つの毛の会意文字で、獣の細かな毛が字義であることを示しています。
毳の読み方は、上記のように音読み・訓読みともに色々あります。セイとセツは漢音で、慣用的な読み方となっているゼイも漢音に相当します。上記以外にカツという漢音もあります。サイとセチは呉音で、上記に記していないセ、ネ、ケチなどの呉音もあります。
訓読みの「けば」(紙面等にこすれなどでできる細かな毛のようなもの)は、「毛羽」と書くのが普通ですが、毳とも書きます。「にこげ」(鳥獣の柔らかい毛の意味)は、「和毛」と書くのが自然ですが、単に「毳」と書くこともできます。「むくげ」(薄く生えた柔らかな毛)は、一般にひらがなで書きますが、「毳」と書くこともあります。
「けがわ」は、毳には毛皮の意味があることからの読み方で、「そり」は橇(そり)に当てた用法です。橇は今日では雪を滑る道具を表しますが、元々は泥道を歩くために用いた舟形のはきもののことを指していました。「もろ(い)」や「やわ「らかい」」は、字義が持つ”柔らかい毛”から来ていますが、字音である「セイ」にもやわらかな意(耎(ゼン)や脆(ゼイ・セイ・サイ))があります。
毳の意味は、読み方が示す通り色々ありますが、これらは字義から転じたものです。にこげ、むくげ、けば、はらげ、けがわ等は、わりと字義に近い意味で、毛織物やフェルトも獣毛から作られるものなので意味としては理解しやすいところです。
やわらかい、細くてもろい、よわい、切れやすい等の意味は、獣毛が柔らかくてもろいものだからですが、前述のように脆(もろ)い、耎(やわらか)、脃(もろ)いなどのやわらかな意を持つ漢字の字音に通じています。また、そりは橇(そり)と書く代わりに毳の字を借りて表現する場合です。
毳を含んだ熟語には、下記のようなものがあります。
毳毳/毳々(けばけば):紙や布などの表面にこすれなどでできる細かい毛のようなもの。
毳毛(ぜいもう/ぜいまう):鳥獣の細くて柔らかい毛。
毳衣(ぜいい):毛織の衣服、着物。(「ぜいえ」と読むのは、僧服の名称)
毳幕(ぜいばく):毛織の幕。匈奴(キョウド)が用いたフェルトの幕のこと。
毳冕(ぜいべん):周代に、天子が身に付けた毛織の着物と冠のこと。
毳帳(ぜいちょう/ぜいちやう):毛織の幕。(毳幕の別称)
毳褐(ぜいかつ):毛織の僧衣。
毳客(ぜいきゃく):僧侶のこと。
毳衲(ぜいどう):毛織の僧衣。毳褐。
毳布(ぜいふ):毛布のこと。
このうち毳毳や毳毛以外は、日常ではほとんど使いません。また、毳毳はどちらかと言えばひらがなで「けばけば」と書くのが一般的です。これと似た言葉に、”品がなく派手なさま”を意味する「けばけばしい」という表現があり、従来はひらがなで表記するのが普通でしたが、最近では「毳毳(毳々)しい」と書くこともあります。
「毛」で構成される漢字としては、「毛」を横に二つ並べた「㲎」(Unicode:3C8E)があります。この字は「ル」と読み、動物の毛を使った毛織物のことを意味します。また、毳の上部の「毛」を「羊」のような字体にした漢字(Unicode:23BE0)や、毳の上部の「毛」を「自」に置き換えた漢字(Unicode:23BDD)がありますが、これらはいずれも「毳」の俗字と言われています。
「毳」を含む漢字としては、木偏に旁が毳である「橇」や、手偏に旁が毳である「撬」などがあります。「橇」は「そり」と読み、雪や氷の上を滑らせる乗り物や道具のことで、「撬」は「キョウ」と読み、起き上がる、跳ね上がる、テコを用いて物を動かすなどの動詞の意味があります。
これら2つ以外にも、毳を含む漢字は下記のように多くあります。
字の構成 | ユニコード |
「毳」+「心」(毳の下に心) | 398C |
「毳」+「木」(毳の下に木) | 3BD4 |
「毳」+「示」(毳の下に示) | 411F |
「非」+「毳」(毳の上に非) | 4A41 |
「穴」+「毳」(毳の上に穴) | 7AC1 |
「月」+「毳」(毳の左に月) | 81AC |
「口」+「毳」(毳の左に口) | 20F76 |
「宀」+「毳」(毳の上に宀) | 21AA3 |
「白」+「毳」(毳の上に白) | 23C17 |
「氵」+「毳」(毳の左に氵) | 23FBD |
「石」+「毳」(毳の左に石) | 25579 |
「竹」+「毳」(毳の上に竹) | 25CC8 |
「毳」+「米」(毳の下に米) | 25F1B |
「耳」+「毳」(毳の左に耳) | 265E8 |
「赤」+「毳」(毳の上に赤) | 27E7A |
「身」+「毳」(毳の左に身) | 28289 |
「毳」+「灬」(毳の下に灬) | 2AE6E |
「亦」+「毳」(毳の上に亦) | 306B3 |
「毳」+「非」(毳の下に非) | 3106F |
「衤」+「毳」(毳の左に衤) | 32044 |
これらのうち、㦌、㯔、䄟、䩁、竁、膬の六字は、日本では普段使われることがない漢字です。また、六字以外の漢字については、日本はもちろん、中国でもほとんど使われることがありません。上記の漢字の具体的な字体は下記の通りです。
晶
【画数】12画
【部首】日部(ひ、にち)
【読み方】ショウ、セイ、あき(らか)
【Unicode】6676
【意味】あきらか。澄みきって輝いている。きらきらする。水晶の略称。きらきら光る鉱石である。
【解説】晶は、星が三つ光るさまを描いた象形文字で、澄みきった意を含みます。
晿
【画数】12画
【部首】日部(ひへん、にちへん)
【読み方】ショウ
【Unicode】667F
【意味】人名用の字。
【解説】晿は、「日+(音符)昌」の形成文字と言われています。
【画数】12画
【部首】月部(つき)
【読み方】ジン(jīng)
【Unicode】26733
【意味】明るくあきらかな意。
【解説】日本ではあまり使われませんが、中国では晶の異体字とされています。
淼
【画数】12画
【部首】水部(みず)
【読み方】ビョウ(ベウ)、ミョウ(メウ)、はるか
【Unicode】6DFC
【SJISコード】EDE6
【区点】③8686
【意味】広々と遥かに広がる水。大水。水面などが広くて果てしないさま。遥かで見えにくいさま。果てしなく広がるさま。広い。
【解説】淼は、「水」を三つ重ねた、「広々と続く果てしない水」を表す会意文字です。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》の解説書として10世紀に著された書物に追記された《説文新附》には、淼について、「大水也。从三水。或作渺。」と書かれています。
これは、「大水なり。三水に從(从)ふ。或ひは渺と作(な)す。」と読み、淼が、大水を表す会意文字であることを示し、また、渺と同字の意もあると説明しています。渺は、「氵(水)」+「眇」の会意文字で、「眇」には見えにくい意味がありますので、見渡せないほど果てしなく広がるさま、遥かで見えにくいなどの意味があります。
淼の読みは、音読みが漢音でビョウ、呉音でミョウです。中国語では、ミャオ(miǎo)と発音します。訓読みは、「はるか」ですが、「ひろい」と読ませる場合もあります。古訓としては、「はるかなり」、「おほいなり」、「ひろし」、「おほみづ」(大水)と言った読み方がありました。
淼を用いた熟語には、下記があります。
淼浩(びょうこう):水が広々としたさま。
淼淼(びょうびょう):水面が果てなく広がるさま。
淼渺(びょうびょう):広くてはるかなさま。
淼茫(びょうぼう):水などが広々としたさま。
淼漫(びょうまん):水が果てしなく広いさま。
いずれの熟語も似たような意味があります。
「水」で構成される字としては、「水」を横に二つ並べた「沝」(Unicode:6C9D)があります。「沝」は、水と同じ意味がありますが、あまり使われる字ではありません。
また、「水」3つで構成される字として淼の他に、「水」を横に三つ並べた「㴇」(Unicode:3D07)があります。「㴇」は、ショウと読み、「渉」と同じ意味があると言われています。
更に、「水」4つで構成される「㵘」(Unicode:3D58)があります。「㵘」は、バンやマンなどと読み、水が多いことを意味します。
「水」に関係する漢字としては、水を表す「氵」と「水」2つを組みあせた漢字「渁」(Unicode:6E01)もあります。「渁」は、エンなどと読み、「淵」と同じく、水が深くたまったところを意味します。
字体に「淼」を含む漢字には、下記があります。
字の構成 | ユニコード |
「口」+「人」+「淼」(淼の左に口、上に人) | 2108A |
「女」+「淼」(淼の左に女) | 2187A |
「門」+「淼」(淼の周りに門) | 28DBA |
これらの字は、いずれも意味はよく分かっておらず、日本でも中国でも通常は使われない漢字です。上記の実際の字体は、下記の通りです。
㴇
【画数】12画
【部首】水部(みず)
【読み方】ショウ(セフ)
【Unicode】3D07
【意味】水のあるところをひと足ひと足と歩いてわたる。わたる。
【解説】㴇は、涉の古字です。
㴇について、中国の遼代の字書《龍龕手鑑(りゅうがんしゅかん)》には「古文涉字。」と書かれ、同じく明代の字典《字彙》を清代に補足訂正した《字彙補》にも「古文涉字。」と書かれています。
古文とは古字のことですから、㴇が涉の古字であることを意味しています。涉は、渉の旧字に相当し、「氵」+「歩(步)」で、川をひと足ひと足ふみしめて進むことを表し、「わたる」という意味を持ちます。
渉(涉)は、「干渉」「交渉」という熟語が表すように、「かかわる」意味がありますが、これは、川を渡って距離のある向う岸に至ることから「離れた先方にまで関係する」意が転じたものです。但し、㴇はあくまで涉の古字ですから、通常、「かかわる」意味で㴇が使われることはありません。
「水」で構成される字には、「水」を横に二つ並べた「沝」(Unicode:6C9D)や「水」3つで構成される品字様の「淼」(Unicode:6DFC)、更に「水」4つで構成される「㵘」(Unicode:3D58)があります。
歮
【画数】12画
【部首】止部(とめる)
【読み方】ジュウ、シユウ、ソウ、しぶ、しぶ(い)、しぶ(る)
【Unicode】6B6E
【意味】しぶい。なめらかでないさま。舌がなめらかに動かず、しぶい味がする。
【解説】「渋」と同字(異体字)で、しぶる、なめらかに動かず、グズグズする、しぶ、しぶい味等々、多くの意味を持ちます。
猋
【画数】12画
【部首】犬部(いぬ)
【読み方】ヒョウ(ヘウ)、つむじかぜ、はしる
【Unicode】730B
【区点】(補)4306
【意味】掠(かす)めるように勢いよく走るさま。速く走る。つむじ風。旋風。渦を巻きながら吹きあげる風。
【解説】猋は「犬」3つで、犬がさっと走りぬけることを表した会意文字です。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》の犬部には、猋について「犬走皃。从三犬。」と書かれています。これは、「犬の走る貌(すがた)。三犬に從(したが)ふ。」と読み、犬の走るさまの字義を持つ会意文字であることを示しています。
また、北宋時代の韻書《広韻》には「群犬走皃。」(群犬の走る貌(すがた))とあり、明時代の字書《字彙》の犬部には「犬疾走貌」(犬の疾走する貌(すがた))とあります。これらから、猋には多くの犬が勢いよく走るさまの意味があることがよく分かります。
猋は、羊3つで構成される「羴」、鹿3つで構成される「麤」、馬3つで構成される「驫」、牛3つで構成される「犇」などと同じ造字法で、その動物の特徴や特性によって字義を得ています。犬は、舞いあがるように走り抜けたり、群れて勢いよく掠(かす)めるように通り抜けたりするので、これらが漢字の義になっています。
猋は、音読みがヒョウ(ヘウ)ですが、これは呉音でもあり漢音でもあります。字音のヒョウには、票(ヒョウ)や漂(ヒョウ)などと同じく、「軽々と舞いあがる」、「目だって軽々と浮きあがる」などの意があります。
訓読みは、「つむじかぜ」や「はしる」と読み、「はし(る)」のように送りがなを付けて使う場合もあります。
猋には、字義が示すように「犬が走るさま」の意味がありますが、そこから「はしる」や「速く走る」の意を表すようになり、犬の走るすがたから転じて「つむじかぜ」「旋風」の意味も持っています。
つむじかぜを表す漢字としては、「猋」の代わりに「飆」(Unicode:98C6)や「飄」(Unicode:98C4)を使うこともあります。また、「飆」の異体字とされる「飇」(Unicode:98C7)、「颷」(Unicode:98B7)、「飈」(Unicode:98C8)や、「飄」の異体字とされる「飃」(Unicode:98C3)も同様に使われます。
「猋」を使う主な熟語には、下記があります。
猋忽(ひょうこつ):風が舞い上がってはやく吹くさま。疾風。飄忽とも。
猋起(ひょうき):つむじ風が吹き上るように、にわかに起こる。疾風のように起る。飆起とも。
猋迅(ひょうじん):つむじ風のように速いこと。
猋風(ひょうふう):急に激しく吹く風。つむじ風。はやて。
他にも、猋発、猋疾、風猋など色々ありますが、あまり頻繁には使われません。
字体に「猋」を含む字には、上述の「飆」や「飇」の他にも、「贆」(Unicode:8D06)や「飙」(Unicode:98D9)があります。「贆」は陸に住む貝の名前で、「飙」は「飆」の簡体字ですが、いずれも日本ではほとんど使われません。
また、これ以外にも「猋」を含む漢字には、下記①~⑧があります。(丸数字の隣の数字はユニコード)
このうち、⑦は「贆」の簡体字とされ、⑧は「飇」の簡体字とされていますので、日本で使われることはありませんが、中国でも通常は使われません。①~⑥は日本・中国を問わず、ほとんど使われない漢字です。
また、「犬」を3つ含む漢字として、丙の下に犬を横に3個並べた字体の漢字(Unicode:2C348)があり、日本国外の人名用に使われています。更に、「犬」2つで構成される「㹜」(Unicode:3E5C)があり、噛み合う2匹の犬を意味します。そして、「犬」4つで構成される漢字もありますが、読み方も意味も不明です。
ちなみに、犬に限らず牛、馬、羊、鹿など、動物に関する品様字が多いので、猫が3つからなる漢字なども思いつきますが、実際はありません。
【画数】12画
【部首】大部(だい)
【読み方】ジャオ(jiǎo)、ミャオ(miǎo)
【Unicode】2164E
【意味】白く光る意。はるかで遠いこと。
【解説】白く光る意味を持つ「皎」や、はるかで遠い意味を持つ「渺」の異体字と考えられています。
【画数】12画
【部首】大部(だい)
【読み方】ジャオ(jiǎo)、ミャオ(miǎo)
【Unicode】302E9
【意味】白く光る意。はるかで遠いこと。
【解説】この字は、前述の天の品字用が変化した漢字で、読みも意味もこれと同じと言われています。日本では使われない漢字です。
【画数】12画
【部首】小部(しょう)
【読み方】ミャオ(miǎo)
【Unicode】21B8F
【意味】人名用の字。
【解説】「少」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】12画
【部首】人部(ひと、ひとがしら)
【読み方】ゴン(gòng)
【Unicode】20315
【意味】ー
【解説】「介」が3つで構成される漢字ですが、意味は不明です。
【画数】12画
【部首】文部(ぶん)
【読み方】ウェン(wén)
【Unicode】23055
【意味】人名用の字。
【解説】「文」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】12画
【部首】大部(だい)
【読み方】ティエン(tiān)
【Unicode】21652
【意味】ー
【解説】「太」が3つで構成される漢字ですが、意味は不明です。
【画数】12画
【部首】欠部(かける)
【読み方】チェン(qiàn)
【Unicode】238D3
【意味】欠と同様に不足の意。
【解説】日本ではほとんど使われず、中国では欠の古い文字で、欠の異体字とも言われています。
【画数】12画
【部首】斗部(と)
【読み方】ー
【Unicode】2307E
【意味】ー
【解説】「斗」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】12画
【部首】戸部(と)
【読み方】シュ(xū)
【Unicode】22A55
【意味】ー
【解説】「戸」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
赑
【画数】12画
【部首】贝部(かい)
【読み方】ヒ、ビ、ヒイ、いかる
【Unicode】8D51
【意味】いかる。鼻息あらくおこる。
【解説】赑は、贝(財物)を3つあわせた会意文字で、重い荷物を背負うことを表します。贝は貝の簡体字で、赑は贔の簡体字です。詳細は贔と同じです。
【画数】12画
【部首】方部(ほう)
【読み方】モウ(mǒu)
【Unicode】2C009
【意味】人名用の漢字。
【解説】「方」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】12画
【部首】十部(じゅう)
【読み方】ベン(bēn)
【Unicode】2D166
【意味】牛が走る、速く走る
【解説】この字は3つの午で構成され、日本で使われることはありませんが、犇の異体字と言われています。
【画数】12画
【部首】玉部(たま)
【読み方】シェン(shèng)、ヤオ(yáo)
【Unicode】2ED21
【意味】徳のある人、聖人、賢人
【解説】王が3つで構成される漢字ですが、部首としては玉部です。日本で使われることはなく、中国でも古書に出てきただけで通常は使われませんので、読みも定かではありませんが、聖(中国語では圣)の俗語とされています。
【画数】12画
【部首】風部(ふう)
【読み方】シウ(xiū)
【Unicode】310DD
【意味】強い風。驚いて逃げる意。
【解説】この字は风が3つで構成され、飍が簡略化された漢字で、日本では使われません。部首は、風部ですが中国語では風の簡体字である「风」が部首(风部)となります。意味は、飍と同じです。
【画数】12画
【部首】车部(くるま)
【読み方】ホン(hōng)
【Unicode】2EDDB
【意味】(轟と同じ)
【解説】この字は、車の簡体字である车の字が3つで構成された漢字です。日本で使われることはなく、中国でも使われていないため発音や意味は不明ですが、轟と同じだと考えられます。字体が車(车)3つで構成されていることから、轟の簡体字に対応させるための字と思われます。
磊
【画数】15画
【部首】石部(いし)
【読み方】ライ
【Unicode】78CA、F947
【JISコード】627D
【SJISコード】E1FB
【区点】6693
【意味】石がごろごろしているさま。石の積み重なっているさま。多くの石のさま。大きな石のさま。ものの大きなさま。あけすけでしつこさのないさま。心が広くて小さな事にこだわらないさま。
【解説】字体が似ているので、「右」が3つで構成されている漢字に見えてしまうかもしれませんが、「石」が3つで構成される会意文字で、本来の意味は石が多いことを表します。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、「眾石也」(衆石なり)、「從三石」(三石に従う)と書かれていますが、これはこの字が多くの石を意味し、三つの石からなる会意文字であることを示しています。
説文解字を解説した清時代の注釈書《説文解字注(段注説文解字)》には、「眾石皃」(衆石の皃(かたち))と書かれていることから、字が持つ本来の意味として”多くの石のさま”や”多くの石が重なりあうさま”を表していることが分かります。そこから、石がごろごろしているさま、大きな石のさま、ものの大きいさま等の意味としても使われるようになりました。
また、人の心の大きなことの形容としは、磊落(らいらく)という熟語が一般的ですが、磊だけでも同じような意味で使われます。
読みとしては、音読みのライ(呉音・漢音)だけです。中国語では、lěi(レイ)と発音します。訓読みはありませんが、古典に出てくる古訓には「こいし」「おほきなり」「さざれいし」等いろいろな読みが出てきます。これらの訓読みは現代では使われませんが、苗字などの固有名詞には「こいし」の読みが残っています。
ユニコードは、78CA(CJK統合漢字)とF947(CJK互換漢字)の2種類ありますが、文字としては同一と扱われます。CJK統合漢字では「…磈、磉、磊、磋、磌…」のように石部の漢字の1つとして定められ、CJK互換漢字では「…聾(lóng)、牢(láo)、磊(lěi)、賂(lù)、雷(léi)…」のように、ピンインの「l」(エル)で表される音を持つ漢字の1つとして定められています。
本来は、CJK統合漢字に統合されるべきところ、既存文字コードとの互換性のためにCJK互換漢字が定められた結果、同一の文字でありながら2つのユニコードを持つことになりました。従って、どちらのコードでも間違いではありませんが、日本では、78CAを使うのが自然と言えます。
磊を用いた熟語はいくつもあり、主なものを挙げると以下の通りです。
磊塊(らいかい):石のかたまり、胸中が穏やかでないさま。
磊磈(らいかい):高大なさま。
磊嵬(らいかい):高く険しいさま。
磊佹(らいき):高大で険しいさま。
磊砢(らいら):大小の石の相重なるさま。ごつごつとするさま。壮大なさま。才知のすぐれているさま。
磊磊/磊々:(らいらい)多くの石が積み重なっているさま。心が広くて小さな事にこだわらないさま。
磈磊(かいらい):石などがごろごろして平らでないさま。
磊浪(らいろう):すぐれて大きいさま。
磊落(らいらく):度量が広く小さなことにこだわらないさま。大きくてすぐれているさま。
いずれの熟語も、「磊」が持つ意味と同様のものが多くあります。四字熟語もいくつかあり、主なものを挙げると下記の通りです。
磊磊落落/磊々落々(らいらいらくらく):心がとても大きく小さなことを全く気にしないさま。非常に磊落なさま。
豪放磊落 (ごうほうらいらく):度量が大きく、大胆で、小さいことにこだわらないさま。
磊落豪宕 (らいらくごうとう):気持ちが大きく小さなことにこだわらず思うままに振る舞うさま。
磊落闊達 (らいらくかったつ):度量が広くて、小さなことにこだわらないさま。
不羈磊落 (ふきらいらく):小さなことに縛られず自由に振る舞うさま。
「石」3つで構成される漢字は磊だけですが、「石」2つで構成される「砳」(Unicode:7833)と言う字があります。これは、日本でも中国でもあまり使われませんが、石がぶつかる音(擬音)の意があります。
また、燚の字体のように「石」4つを四方に並べた漢字(Unicode:255C9)があり、意味や読みは磊と同じとされています。更に、偏が石で旁が磊で構成される漢字(Unicode:255D0)もありますが、読みも意味も不明です。一説によれば、この字も「磊」と同じではないかと考えられています。
「石」を3つ含む漢字としては、例えば、りっとう(旁に「刂」を持つ)の構造をした「㔏」(Unicode:350F)、手篇(篇に「扌」を持つ)の構造をした「㩡」(Unicode:3A61)、木篇(篇に「木」を持つ)の構造をした「㰁」(Unicode:3C01)、草かんむりの構造をした「藞」(Unicode:85DE)などがあります。これらは日本で使われることはほとんどありませんし、中国でもあまりつかわれません。
更に、「石」を3つ含む漢字は、通常は使わない字を含めるととても多くあります。
字の構成 | ユニコード |
「串」+「磊」(磊の左に串) | 2007B |
「亻」+「磊」(磊の左に亻) | 2041E |
「口」+「磊」(磊の左に口) | 210B3 |
「土」+「磊」(磊の左に土) | 214C3 |
「士」+「冖」+「磊」(磊の上に士と冖) | 2154E |
「好」+「磊」(磊の上に好) | 2191F |
「屵」+「磊」(磊の左上に屵) | 21FB7 |
「屵」+「磊」+「木」(磊の左上に屵、下に木) | 21FDB |
「广」+「磊」(磊の左上に广) | 222E7 |
「忄」+「磊」(磊の左に忄) | 22921 |
「氵」+「磊」(磊の左に氵) | 240AC |
「火」+「磊」(磊の左に火) | 2446D |
「犭」+「磊」(磊の左に犭) | 248BF |
「疒」+「磊」(磊の左上に疒) | 24EF3 |
「立」+「磊」(磊の左に立) | 25ACC |
「竹」+「磊」(磊の上に竹) | 25DB2 |
「糸」+「磊」(磊の左に糸) | 261D2 |
「䖵」+「磊」(磊の上に䖵) | 2758C |
「足」+「磊」(磊の左に足) | 281D2 |
「身」+「磊」(磊の左に身) | 2829A |
「車」+「磊」(磊の左に車) | 283D2 |
「食」+「磊」(磊の左に食) | 297EC |
「馬」+「磊」(磊の左に馬) | 299CD |
「髟」+「磊」(磊の上に髟) | 29BF9 |
「魚」+「磊」(磊の左に魚) | 29F4A |
「黒」+「磊」(磊の左に黒) | 2A4BD |
「磊」+「土」(磊の下に土) | 2A92C |
「磊」+「亇」(磊の右に亇) | 2AFF8 |
「磊」+「串」(磊の右に串) | 2B84E |
「寻」+「磊」(磊の左に寻) | 2BD37 |
「车」+「磊」(磊の左に车) | 30EA2 |
「把」+「磊」(磊の上に把) | 31853 |
「阿」+「磊」(磊の上に阿) | 32266 |
具体的な字体は下記の通りです。
これらの漢字は、日本、中国を含め、通常は使われません。その多くは、古典に出て来る特殊な字や地名や人名などの固有名詞に使われ、意味が不明な漢字もあります。
皛
【画数】15画
【部首】白部(しろ)
【読み方】キョウ(ケウ)、ギョウ(ゲウ)、ハク、ヒャク、ケイ、しろい、あきらか
【Unicode】769B
【SJISコード】EE57
【区点】③8865
【意味】あきらか。しろい。はっきりしている。まっ白なさま。打つ(パンとたたく)。
【解説】皛は、「白」3つで構成される会意文字です。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、皛について「顯也。从三白。讀若皎。」と書かれています。これは、「顯(あき)らかなり。三白に從(=从)ふ。讀(よ)みて皎(けう)の若(ごと)く。」と読み、皛は、あきらかな字義があり、三つの白からなる会意文字で、皎と同じくキョウ(ケウ)のように読むことを示しています。
また、南朝時代の字書《玉篇》には、「皛、明也。」(皛は、明らかなり)とあり、皛には、明らかな意味があることがここからも分かります。
皛の読み方としては、漢音としてキョウ、ハク、ケイがあり、呉音としてギョウ、ヒャクがあります。ギョウは、ギャウからの流れと、ゲウからの流れの2通りがあります。
訓読みは、「しろい」と読みますが、「あきらか」と読ませることもあります。古訓としては、「あらはす」との読みがよく使われていました。
皛は、字義が持つ「あきらか」が本来の意味ですが、それ以外にも、「しろい」や「パンとたたく」等の意味があります。
南北朝時代の字書《廣雅》や《博雅》には、皛について「白也。」(白なり)と書かれていますので、白い意味もあることが分かります。また、宋時代の韻書《集韻》には、「打つ」意味もあると書かれていますが、これは「拍」に通ずる用い方のことを指し、「手のひらをパンとたたく」意味があります。
皛を使った熟語としては、皛を二つ重ねた皛皛(きょうきょう)という語(白くて明るい、鮮明なさま、の意味)がありますが、あまり使われません。ほかにも中国の古典には幾つか熟語が出てきますが、日本語として使われるものはほとんどありません。
「白」で構成される字には、「白」を横に2つ並べた、「㿟」(Unicode:3FDF)があります。この字は日本では、あまり使われませんが、ハクやビャクと読み、「白」と同じ”白い”や”白色”の意味があります。
字体に「皛」を含む字としては、氵(さんずい)の「㵿」(Unicode:3D7F)、下部に土を持つ「皨」(Unicode:76A8)、草かんむりを持つ「藠」(Unicode:85EO)があります。
「㵿」は、日本ではあまり使われない漢字で、キョウやギョウと読み、通常は渺㵿という熟語として、水の流れが長く遠いさまを表します。
「皨」は、「星」の異体字でセイ、ショウ、ほし、と読み、「星」と同じ意味があります。「皨」の中の「皛」は、白く清らかにきらめく三つの星を表わしています。
「藠」は、キョウやギョウと読み、ユリ科の草の名を表します。字体に「皛」を含んでいるのは、その草の実が白いことからです。
字体に「皛」を含む字は、これ以外にも下記のような漢字があります。
字の構成 | ユニコード |
①「皛」+「大」(皛の下に大) | 24FAA |
②「皛」+「鳥」(皛の右に鳥) | 2B6D8 |
③「月」+「皛」(皛の左に月) | 2C097 |
①は、セイと読み、星(皨)と同じ意味ですが、実際はほとんど使われない漢字です。
②は、訓読みで「しじゅうから」(=四十雀)と読み、しじゅうからを意味します。この字は、国字なので中国では使われない漢字ですが、日本でも使われ方は限定的です。四十雀の腹部が白いことに由来すると考えられます。
③は、訓読みで「はれる」(=晴れる)と読む国字ですが、あまり使われることはありません。
「白」を含む漢字3つで構成される品字様は4つあります。
例えば、「百」は部首が白部で白と同じくヒャク、ハクと読み、白を音符(白い意味とは無関係)とする形声文字ですが、この「百」3つで構成される品字様があります。
また、「白」と「水」からなる「泉」は、穴から水が流れ出る様子を表した象形文字と言われているので、”白”部分の字形は同じものの漢字の「白」とは直接は関係ありませんが、この「泉」3つで構成される品字様もあります。
更に、泉には字体の似ている異体字とされる漢字がいくつかありますが、そのうち「白」+「巛」の字体の品字様と、「白」+「小」の字体の品字様の2つがあります。
これら4つの品子様の実際の字体は、下記の通りです。
畾
【画数】15画
【部首】田部(た)
【読み方】ライ、ルイ
【Unicode】757E
【意味】雷(かみなり)。土を運ぶ道具。ふご。もっこ。土を積み重ねたとりで。石をころがし落とす。
【解説】「田」が3つで構成される字で、同じ物が重なることを示します。
瞐
【画数】15画
【部首】目部(め)
【読み方】バク、マク、モ(mò)
【Unicode】7790
【意味】綺麗な目の意。そこから転じて綺麗なさまの意。まなざしが深く、遠くを見ることができる意もある。
【解説】「目」が3つで構成される漢字で、語義から転じて色々な意味を持ちます。
【画数】15画
【部首】目部(め)
【読み方】ボウ、モウ
【Unicode】2525E
【意味】目が見えない。はっきりしない。
【解説】この字は、目が3つで構成される漢字ですが、矒(瞢)と同じ字とされています。矒の字体にある草かんむりは、目を覆っている様子を表わしていて、目が見えないことを意味します。
【画数】15画
【部首】用部(もちいる)
【読み方】チュアン(chuán)
【Unicode】24C0C
【意味】ー
【解説】「用」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】15画
【部首】田部(た)
【読み方】チャ(chà)
【Unicode】24CC5
【意味】ー
【解説】「甲」が3つで構成される漢字ですが、意味は不明です。
【画数】15画
【部首】立部(たつ)
【読み方】リ(lì)
【Unicode】2B06A
【意味】人名用、地名用の漢字。
【解説】「立」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】15画
【部首】儿部(にんにょう)
【読み方】ル(lù)
【Unicode】204B6
【意味】圥と同じ意味で、きのこの類をいう。
【解説】この字は、3つの「圥」から構成されますが、圥の異体字で同じ意味を持ちます。
【画数】15画
【部首】网(罒)部(あみがしら)
【読み方】モ(mò)
【Unicode】262F9
【意味】瞐と同じく、きれいな目などの意。
【解説】この字は、3つの「罒」で構成され、瞐の異体字と言われ、瞐と同じ意味を持っています。
【画数】15画
【部首】口部(くち)
【読み方】ー
【Unicode】20FB3
【意味】ー
【解説】「可」が3つで構成される漢字ですが可に関連する意味は不明です。中国では賢人の名の意味と言われています。
【画数】15画
【部首】巾部(はば)
【読み方】ナオ(nǎo)
【Unicode】22148
【意味】市場や街、都市などの意。転じて、騒がしい意味も持つ。
【解説】この字は、3つの「市」でできた漢字で、日本では使われません。中国でもあまり使われる漢字ではありません。
【画数】15画
【部首】厶部(む)
【読み方】チュ(qǜ)
【Unicode】20B11
【意味】行くの意。
【解説】この字は、「去」3つで構成され、日本ではほとんど使われることがありませんが、中国では行くと言う意味を持つ「去」と同じ意味を持つと言われています。
【画数】15画
【部首】 凵部(かんにょう、かんがまえ)
【読み方】クァイ(kuài)
【Unicode】2069B
【意味】土の塊のこと。
【解説】この字は、3つの「凷」で構成されますが、意味は凷と同じです。日本ではほとんど使われることがありません。
㽓
【画数】15画
【部首】生部(いきる)
【読み方】シェン(shēng)
【Unicode】3F53
【意味】ー
【解説】「生」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】15画
【部首】瓜部(うり)
【読み方】ユ(yǔ)
【Unicode】24B11
【意味】人名用の漢字。
【解説】「瓜」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】15画
【部首】鸟部(とり)
【読み方】ニャオ(niǎo)
【Unicode】2A253
【意味】鳥(鸟)と同じ意味。
【解説】この字は、3つの「鸟」でできた漢字ですが、意味は鸟と同じです。鸟は鳥の簡体字で、簡体字と繁体字とでは字体が上下逆になっています。
【画数】15画
【部首】玉部(たま)
【読み方】ヤオ(yáo)
【Unicode】2C37C
【意味】人名用の漢字。
【解説】「玉」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】15画
【部首】玉部(たま)
【読み方】ヤオ(yáo)
【Unicode】3088A
【意味】白く美しい玉。玉のように美しいさま。
【解説】この字は、玉を3つ横に並べた漢字ですが、日本では使われません。中国でもほとんど使われることはありませんが、瑶と同じ字と解釈され、ヤオ族(少数民族の名)の意味のほか、人名にも使われます。
【画数】15画
【部首】田部(た)
【読み方】シェン(shēn)
【Unicode】2C3CD
【意味】人名用の漢字。
【解説】「申」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】15画
【部首】力部(ちから)
【読み方】ー
【Unicode】2B9B9
【意味】断じて、必ずの意。
【解説】「加」が3つで構成される会意文字です。
【画数】15画
【部首】一部(いち)
【読み方】ー
【Unicode】3001D
【意味】ー
【解説】意味は明確ではありませんが、中国では力が強いなどの意味を持つ贔の俗字ではないかとの説があります。
【画数】15画
【部首】口部(くち)
【読み方】ジョウ(zhōu)
【Unicode】2D2B2
【意味】ニワトリを呼ぶ声(擬声語)。
【解説】この字は、日本では使われず、中国でも一般に使われていませんが、喌と同じ(異体字)と解釈されています。口が3つと州から生まれた形声文字で、州の部分は単に音声を表しているだけです。
【画数】15画
【部首】止部(とめる)
【読み方】(zhèng)
【Unicode】2ECBF
【意味】―
【解説】この字は、正が3つで構成される漢字で、意味や読みは不明ですが、正(zhèng)と同じ発音と考えられています。固有名詞を表現するために文字コード化されたようです。
【画数】15画
【部首】龙部(りゅう)
【読み方】ダ(dá)
【Unicode】2EE5D
【意味】(龘と同じ)
【解説】この字は、龍の簡体字である龙の字が3つで構成された漢字です。日本で使われることはなく、中国でもほとんど使われていないため発音や意味は不明ですが、龘(龍が3つの品字様)と同じだと考えられます。字体が龍(龙)3つで構成されていることから、龘の簡体字に対応させるための字と思われます。発音は不明なものの、龘(dá)と同じと考えられています。
【画数】15画
【部首】冂部(けい)
【読み方】ジン(jīng)
【Unicode】300ED
【意味】―
【解説】この字は、日本で使われず、中国でも一般に使われません。意味は不明ですが、読みについては汉语大字典に精(jīng)と同じだと書かれています。
舙
【画数】18画
【部首】舌部(した)
【読み方】カ、ワ、ゲ、たばか(る)
【Unicode】8219
【意味】しゃべる。はなす。あれこれと人の悪口をいう。
【解説】舙は、3つの「舌」で構成される会意文字です。
【画数】18画
【部首】舌部(した)
【読み方】フア(huà)
【Unicode】269F5
【意味】話や言葉の意。
【解説】日本では使われず、中国でもあまり使われませんが、「話」の異体字と言われていて、話や言葉の意味があります。
蟲
【画数】18画
【部首】虫部(むし)
【読み方】キ(クヰ)、ケ(クヱ)、チュウ(チウ/チュウ)、ジュウ(ヂウ/ヂュウ)、むし
【Unicode】87F2
【JISコード】6A35
【SJISコード】E5B3
【区点】7421
【意味】むし。昆虫類の総称。動物の総称。
【解説】蟲は虫を三つあわせた会意文字で、多くのうじむしを意味していましたが、そこから転じて色々な動物を表すようになりました。また、虫の旧字とされていますが、本来は別な字です。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、蟲について「有足謂之蟲。無足謂之豸。从三虫。」と書かれています。これは、「足有るもの、之れを蟲と謂(い)ふ。足無きもの、之れを豸(ち)と謂ふ。三虫(き)に從(したが)ふ」と読み、足のあるムシが蟲で、足のないムシが豸で、蟲は三つの虫から成る会意文字であることを示しています。豸は、動物の象形文字なので足があるように思えますが、中国語で豸はミミズなどの足がない生き物の意味もあります。
虫については《説文解字》に、「一名蝮、博三寸、首大如擘指。象其臥形」と書かれています。これは、「一つの蝮(まむし)と名ずく、博(はく)は三寸(さんすん)、首の大きさ擘指(おやゆび)の如く。その臥(ふ)せた形を象(かたど)る」と読み、広がりが三寸ほどで首の大きさが親指くらいある一匹の蝮が臥せた姿を表した象形文字であることを示しています。つまり、虫の漢字はもともと蝮(まむし)を表現した象形文字です。
蟲は虫三つの会意文字ですが、これは蝮を三つと解釈すべきではなく、小さな虫が多く集まるさまを表した字です。字音の「チュウ」には、クネクネして細長い、クネクネと細長く伸びている意があり、蟲は元々うじ虫が多く集まった姿を表現した字です。
虫と蟲は本来あくまで別の字で、蟲を省略した字体として虫の字を用いるようになりました。換言すれば、蟲の代わりに虫の字が代用されていると言えます。現代では、蟲は虫の旧字という位置づけになりますので、蟲は使わず虫を使うのが一般的です。
蟲の読みに関しては、音読みのキ(クヰ)やチュウ(チウ/チュウ)は漢音、ケ(クヱ)やジュウ(ヂュウ)は呉音です。ジュウ(ヂュウ)は、短くジュ(ヂュ)と表現することもあります。訓読みは、むしと読みます。蟲の一般的な読みは、音読みがチュウ、訓読みがむしです。
蟲の意味は、むしや昆虫類の総称ですが、動物の総称の意味も含んでいます。羽蟲(虫)は鳥類を、毛蟲(虫)は獣類を、甲蟲(虫)は亀等の甲羅を持つ生物を、鱗蟲(虫)(りんちゅう)は魚類など鱗を持つ生物を、裸蟲(虫)は人類をそれぞれ意味します。
また、日本語の場合、”疳(かん)の虫が起きる”など子供の病気を表したり、”勉強の虫”など何かに夢中になる人を表したり、”泣き虫”や”弱虫”など人をあざける意味で使うこともあります。
虫を含む熟語は青虫、油虫、芋虫、毛虫、玉虫、幼虫、松虫、弱虫、蓑虫、成虫など非常に多くありますが、その多くは虫を蟲に置き換えることができます。但し、蟲はあくまで虫の旧字に当たりますので、通常は、虫を使います。
「虫」で構成される漢字には、蟲の他に「虫」を2つ横に並べた䖵(Unicode:45B5)があります。この字は、あまり使われませんが虫類の総称の意味があります。
また、「虫」の異体字である「䖝」を3つ横に並べた漢字(Unicode:27517)がありますが、これは単に「舌」が「䖝」に変化してできた漢字だという説が有力で、虫とは無関係だと言われています。
蟲を含む漢字は幾つかあり、日本で使われる字としては「蟲」の下に「皿」を付けた「蠱」(Unicode:8831)があります。この漢字は、穀物に付く虫や人体内の虫の意味のほか、まじないに用いる虫やのろいや毒薬の意味もあります。
蟲を含む漢字は、これ以外にも下記のように幾つもあります。
字の構成 | ユニコード |
「文」+「蟲」(蟲の上に文) | 4607 |
「天」+「蟲」(蟲の上に天) | 4609 |
「火」+「蟲」(蟲の左に火) | 721E |
「勹」+「蟲」(蟲の右上に勹) | 2090B |
「忄」+「蟲」(蟲の左に忄) | 2295E |
「忄」+「蠱」(蠱の左に忄) | 22983 |
「氵」+「蠱」(蠱の左に氵) | 24171 |
「疒」+「蟲」(蟲の左上に疒) | 24F16 |
「蟲」+「㇈」(蟲の右上に㇈) | 274A2 |
「冬」+「蟲」(蟲の上に冬) | 27514 |
「弔」+「蟲」(蟲の上に弔) | 27528 |
「艹」+「蟲」(蟲の上に艹) | 27534 |
「比」+「蟲」(蟲の上に比) | 2753B |
「蟲」+「戈」(蟲の右に戈) | 2753C |
「矛」+「蟲」(蟲の上に矛) | 27551 |
「弗」+「蟲」(蟲の上に弗) | 27552 |
「兓」+「蟲」(蟲の上に兓) | 2757D |
「非」+「蟲」(蟲の上に非) | 2757F |
「巾」+「蠱」(蠱の左に巾) | 27582 |
「毗」+「蟲」(蟲の上に毗) | 27588 |
「鬲」+「蟲」(蟲の左に鬲) | 27593 |
「ニ」+「門」+「蟲」(蟲の周りに門、その上にニ) | 27594 |
「囟比」+「蟲」(蟲の上に囟比) | 27595 |
「兟」+「蟲」(蟲の上に兟) | 2759F |
「金」+「蟲」(蟲の左に金) | 28C0D |
「門」+「蟲」(蟲の周りに門) | 28DF7 |
「高」+「蟲」(蟲の上に高) | 29AF2 |
「蟲」+「土」(蟲の下に土) | 2BBC0 |
これらの具体的な字体は、下記の通りです。
これらは、日本でも中国でも普段は使われません。
また、「冫」の左に「䖝」と「䖵」(「蟲」の上に「ノ」)、その下に「皿」を付けた漢字(Unicode:20626)や、「比」の下に「虫」を横に3つ並べた漢字(Unicode:2752F)、「毗」の下に「虫」を横に3つ並べた漢字(Unicode:2758E)などもあります。
これらの漢字も通常は使われません。
羴
【画数】18画
【部首】羊部(ひつじ)
【読み方】セン、なまぐさい
【Unicode】7FB4
【JISコード】―
【SJISコード】―
【区点】(補)5319
【意味】なまぐさい。羊の肉がなまぐさい。羊のにおい。凄くこってりしてしつこい羊の生肉。羊の生肉の臭気。
【解説】羴は、3つの「羊」で構成される会意文字で、羶の異体字です。中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、羴について「羊臭也。从三羊。」と書かれています。これは、「羊の臭(におい)なり。三羊に従う。」と読み、字義が”羊のにおい”であること、3つの羊を組み合わせた会意文字であることを意味しています。
羴の読みとしては、音読みが「セン」で、訓読みが「なまぐさ(い)」です。音読みの「セン」は、漢音でもあり呉音でもあり、現代中国語では「shān」と発音します。訓読みは「なまぐさ(い)」ですが、古くは「なまぐさ(し)」或いは単に「くさ(し)」のように読ませる古典などもありました。
羴の字義は”羊のにおい”ですが、実際の用法としては「生臭い」を表す形容詞として使ったり、「生臭さ」を表現する名詞として使ったりします。また、羊の生肉そのものの意味としても使われます。
羴を含んだ熟語は一般的に使われるものはありませんが、羶を含んだ熟語には下記があります。
羶肉(せんにく):生臭い肉。(特に羊の肉)
羶香(せんこう):生臭いにおい。
羴を含む漢字としては、尸冠(しかばねかんむり)の構成をした「羼」(Unicode:7FBC)があります。この字は、「サン」や「セン」と読み、「まじる」や「わりこむ」と言った動詞の意味を持ちます。
この他に、「羴」を含む漢字には、通常は使われませんが、下記のような字があります。
字の構成 | ユニコード |
「羼」+「刂」(羼の右に刂) | 2082E |
「扌」+「羼」(羼の左に扌) | 22E9F |
「馬」+「羼」(羼の左に馬) | 2CCF2 |
「广」+「羴」(羴の左上に广) | 2D68E |
このうち、”「羼」+「刂」”は「剗」と同じ、”「扌」+「羼」”は「插」と同じ意味と解釈されていますが、他の2つの漢字については詳細は分かっていません。
また、羊を3つ含む漢字としては、3つの「尸+羊」からなる品字様(Unicode:316C3)がありますが、読みも意味も不明です。
なお、中国語では「膻」が正字で、「羶」や「羴」は異体字の位置づけになります。
【画数】18画
【部首】儿部(にんにょう)
【読み方】グァン(guāng)
【Unicode】204C9
【意味】人名用の漢字。
【解説】「光」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
嚞
【画数】18画
【部首】口部(くち)
【読み方】テツ、テチ、あきらか
【Unicode】569E
【SJISコード】885A
【区点】③1527
【意味】明らか。賢い人。賢い。言動が明快に断ち切れ適切であること。(=哲)
【解説】嚞は、3つの「吉」で構成され、哲(Unicode:54F2)の古字にあたります。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、「嚞、古文哲从三吉」と書かれいることから、嚞は、三つの吉に従(=从)った漢字で、哲の古文(古い文字)であることが分かります。
哲の異体字に、啠(Unicode:5560)や喆(Unicode:5586)がありますが、これらと同じく、嚞も哲の異体字に含めて解釈する場合もあります。
嚞の読みは、漢音でテツ、呉音でテチと読み、「あきらか」と訓読みすることもできます。哲は、「さとる」や「さとい」のような訓読みをすることもありますが、嚞はあくまで哲の古字なので、このような読み方はしないのが普通です。
読みだけでなく、哲には、さとる、さといと言った意味もありますが、古字である嚞を、この意味で使うことはありません。また、嚞が使われる熟語は特になく、字体に嚞を含む漢字も見当たりません。
字体が「吉」で構成される漢字には、「吉」を横に2つ並べた喆(上述)があります。喆は、哲の異体字ですから、読みや意味は哲と同じです。
また、「吉」3つで構成される漢字としては「嚞」の他に、「吉」を横に3つ並べた漢字(Unicode:21547)があり、これも「哲」と同じだと考えられています。
【画数】18画
【部首】口部(くち)
※中国では、部首を士部(さむらい)と解釈する場合があります。
【読み方】ジェ(zhé)
【Unicode】21547
【意味】事理に明るく賢い。非常な賢人。
【解説】日本では馴染みがない漢字ですが、中国では喆と同じく哲の異体字とされています。
中国における最大規模の漢字辞書《漢語大辞典》には、「同、”哲”。」と書かれ、哲と同じ意味であることが示されています。
日本語としての読みは音読みも訓読みもなく、中国語でも、発音に関する情報は少ないのですが、ジェ(zhé)と読むとされています。
「吉」で構成される字には、上述の「喆」の他に、「吉」3つで構成される品字様があります。
聶
【画数】18画
【部首】耳部(みみ)
【読み方】ショウ(セフ)、ジョウ(デフ)、ニョウ(ネフ)、ささや(く)
【Unicode】8076
【JISコード】6663
【SJISコード】E3E1
【区点】7067
【意味】ことばを口中に含んで小さな声で話す。ひそひそとささやく。とる。ちぢむ。
【解説】聶は、「耳」3つで構成される会意文字で、囁と同じく、耳を寄せあってひそひそと話すことを表します。中国最古の後漢の漢字字書≪説文解字≫の耳部には、「附耳私小語也。从三耳。」と書かれています。これは、「耳に附けて私(ひそ)かに小語するなり。三耳に従う。」と読み、耳三つで、耳を寄せあってひそひそと話すことをあらわした会意文字であることを示しています。
聶の読み方において、音読みのジョウ(デフ)は漢音、ニョウ(ネフ)は呉音、ショウ(セフ)は慣用的な読みとなったものです。中国語では、聶よりも聂が使われニエ(niè)と発音しますが、一般的でない「zhé」との発音もあり、この発音の流れをくむ音読みとして、チョウ(テフ)やジョウ(デフ)があります。この場合、チョウ(テフ)は漢音、ジョウ(デフ)は呉音です。
訓読みとしては、「聶(ささや)く」がありますが、口へんの”囁”を用いて「囁(ささや)く」と表現する方が一般的です。また、古くは「ほのきく(=仄聞く)」(「かすかに聞く」という意味)と訓読みさせた古典などもあります。更に、聶は攝(摂の旧字)の代わりとして用いることがあるので、「とる(摂る)」と読ませる場合もあります。
聶は、「小さな声でささやく」意味で使いますが、漢字としては、「とる(摂る)」「持つ」「ちぢむ」「しわがよる」「ととのえる」などの字義を持っています。これらの字義は、(耳を)「寄せる」意味と同様の、(耳を)「くっつける」、(耳を)「重ねあわせる」、(耳を)「そえる」、(耳を)「そろえる」などから来ています。中国では、聶は主に姓(苗字)に使われ、日本語ではこれを「聶(じょう)さん」や「ニエ(niè)さん」のように呼称します。
聶を用いた熟語には下記があります。
聶許(しょうきょ):ささやきを聞き入れる。
聶聶(しょうしょう):静かなさま。ひっそりとしているさま。
「耳」で構成される字には「聶」の他に、「耳」を横に2つ並べた「聑」(Unicode:8051)があります。聑は、 日本語では使いませんが、安定してきちんとしている意味や、耳たぶの意味があると言われています。
また、耳偏に「聶」の旁を持つ「耳」4つで構成される漢字(Unicode:2E300)もありますが、読みや意味は不明とされています。
「聶」を含む漢字は非常に多くあり、日本で使われる漢字としては、下記があります。
漢字 | 部首/画数 | 読み |
ユニコード | 意味 | |
囁 | 口部/21画 | ショウ、ジョウ、ニョウ、ささやく |
56C1 | ささやく。ヒソヒソと話す。 | |
懾 | 忄部/21画 | ショウ、おそれる |
61FE | 恐れる。おじける。 | |
攝 | 扌部/21画 | セツ、ショウ、とる、かねる、かわる、はさまる |
651D | とる。代わる。兼ねる。はさまる。 | |
欇 | 木部/22画 | ショウ |
6B07 | 木の名。 | |
灄 | 氵部/21画 | ショウ |
7044 | 川の名。 | |
襵 | 衤部/23画 | ショウ |
8975 | 衣類のひだ、しわ。 | |
躡 | 足部/25画 | ジョウ、ニョウ、ふむ |
8EA1 | 踏む。履物をはく。 | |
鑷 | 金部/26画 | ジョウ、ニョウ、けぬき、ぬく |
9477 | 毛抜き。抜く。かんざし。 | |
顳 | 頁部/27画 | ショウ、ジョウ、ニョウ |
9873 | 目のわきの部分。こめかみ。 |
いずれの漢字も、「聶」の(耳を)「寄せる」意味と同じような、「くっつける」、「あわせる」、「そろえる」等から転じた意となっています。
「囁」は、「口」+「聶」で、口に耳を寄せてヒソヒソ話す様子を表現しています。
「懾」は、「心」+「聶」で、他人を恐れてヒソヒソとそささやくことを表して、恐れる等の意味になっています。
「攝」は、「扌(=手)」+「聶」ですが、ここでの「聶」は”耳を寄せる意”ではなく”耳をくっつける”或いは”耳をそろえる”意から、物を合わせて手に持つ、又は、手で揃えて持つ姿を表しています。
「欇」は、「木」+「聶」で、木の名称(楓・ふう)の別名を表しています。楓が風に揺らぐ音がヒソヒソとささやく音に似ているためだと考えられていますが、楓の葉の形が三つに避けた形状をしているから「聶」を用いているとも考えられます。
「灄」は、「氵(=水)」+「聶」ですが、字の成り立ちについての詳細は不明です。
「襵」は、「衤(=衣)」+「聶」ですが、ここでは「聶」を”重ね合わせる”意味で用い、重ね合わせた衣のひだ、しわを表しています。
「躡」は、「足」+「聶」で、「聶」を”くっつける”や”そろえる”意味で用いています。足を”くっつける”ことから足を踏むこと、足を履物の上に”そろえる”ことから履くことを表しています。
「鑷」は、「金」+「聶」で、「金」は金属の道具を表し、「聶」は”寄せる”或いは”くっつける”ことを意味します。毛を抜く道具は、握り部を寄せて使い、かんざしは髪にくっ付けて使うことからこのような字になったと考えられています。
「顳」は、「頁」+「聶」で、「頁」はあたまを意味します。ささやく時に目のわきの部分が動くことがこの字の成り立ちと言われています。
「聶」を含む漢字は、日本で使われないものも多く、他に下記のような字があります。
字の構成 | ユニコード |
「亻」+「聶」(聶の左に亻) | 34A4 |
「聶」+「欠」(聶の右に欠) | 3C4C |
「火」+「聶」(聶の左に火) | 3E0E |
「糸」+「聶」(聶の左に糸) | 4330 |
「豕」+「聶」(聶の左に豕) | 4755 |
「馬」+「聶」(聶の左に馬) | 4BC0 |
「言」+「聶」(聶の左に言) | 8B98 |
「聶」+「刂」(聶の右に刂) | 20828 |
「口」+「攝」(攝の左に口) | 21184 |
「土」+「聶」(聶の左に土) | 214F3 |
「女」+「聶」(聶の左に女) | 21919 |
「聶」+「攵」(聶の右に攵) | 23033 |
「日」+「聶」(聶の左に日) | 2330D |
「聶」+「木」(聶の下に木) | 2381E |
「毛」+「聶」(聶の左下に毛) | 23C3C |
「犭」+「聶」(聶の左に犭) | 248D2 |
「目」+「聶」(聶の左に目) | 25349 |
「聶」+「禾」(聶の下に禾) | 2590B |
「竹」+「聶」(聶の上に竹) | 25DE8 |
「竹」+「攝」(攝の上に竹) | 25E13 |
「月」+「聶」(聶の左に月) | 268C0 |
「虫」+「聶」(聶の左に虫) | 27569 |
「身」+「聶」(聶の左に身) | 2829E |
「車」+「聶」(聶の左に車) | 283F4 |
「辶」+「聶」(聶の左下に辶) | 28653 |
「阝」+「聶」(聶の左に阝) | 28F66 |
「雨」+「灄」(灄の上に雨) | 291CB |
「魚」+「聶」(聶の左に魚) | 29F6A |
「米」+「聶」(聶の左に米) | 2C5C2 |
「山」+「聶」(聶の左に山) | 2D5F5 |
「石」+「聶」(聶の左に石) | 2E056 |
「ネ」+「聶」(聶の左にネ) | 2E0A8 |
「王」+「聶」(聶の左に王) | 3089A |
「風」+「聶」(聶の左下に風) | 310D2 |
「皮」+「聶」(聶の左に皮) | 31C89 |
実際の字体は、下記の通りです。
これらは、中国でも馴染みの薄い漢字が多く、通常は使われない字がほとんどです。
【画数】18画
【部首】木部(き)
【読み方】ザオ(zǎo)
【Unicode】2376F
【意味】人名用の漢字。
【解説】「朿」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】18画
【部首】白部(しろ)
【読み方】ダン(dèng、dēng)、タン(téng)
【Unicode】24FA9
【意味】人名用の漢字。
【解説】「百」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。主に香港など一部の地域で人名に使われます。
【画数】18画
【部首】老部(おい、おいかんむり、おいがしら)
【読み方】ション(xiòng)
【Unicode】264C8
【意味】老弱の意。
【解説】この字は、3つの「老」で構成された会意文字です。
【画数】18画
【部首】人部(ひと、ひとがしら)
【読み方】ー
【Unicode】204FE
【意味】ー
【解説】「全」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。限られた地域だけで使われます。
【画数】18画
【部首】至部(いたる)
【読み方】ジィ(zhì)
【Unicode】2694F
【意味】ふさぐ。ふさがる。詰まる。
【解説】この字は、3つの「至」で構成された漢字で日本では用いられません。ふさぐ、ふさがる、詰まると言う意味を持つ「窒」と同じ意味と考えられています。
【画数】18画
【部首】人部(ひと、ひとがしら)
【読み方】チ(qì)
【Unicode】20430
【意味】人名用の漢字。
【解説】「企」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】18画
【部首】口部(くち)
【読み方】イン(yīn)
【Unicode】21232
【意味】ー
【解説】「因」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】18画
【部首】竹部(たけ)
【読み方】ジィ(zhì)
【Unicode】25D12
【意味】ー
【解説】「竹」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】18画
【部首】米部(こめ)
【読み方】ロン(róng)
【Unicode】25F2C
【意味】ー
【解説】「米」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】18画
【部首】子部(こ)
【読み方】チャン(chán)
【Unicode】30331
【意味】虚弱。弱い。貧弱。
【解説】㞌が3つで構成されますが、意味は孱と同じく、虚弱、弱い、貧弱のほか衰弱など様々あります。
【画数】18画
【部首】八部(はち)
【読み方】―
【Unicode】313F7
【意味】―
【解説】この字は、共が3つで構成された漢字ですが、意味も読みも不明です。一説では、集める、合わせる、帰する等の意味があると言われています。
【画数】18画
【部首】子部(こ)
【読み方】キュウ
【Unicode】219AA
【意味】―
【解説】この字は、子が縦に並ぶ字が3つで構成された漢字ですが、子が6つで構成されたとも言えます。読みは知られていますが、意味は不明です。
【画数】18画
【部首】艸部(くさ)
【読み方】ル(lù)
【Unicode】21D2A
【意味】きのこ類。
【解説】日本では使われませんが、中国ではと同じく、きのこ類のことを意味します。この字は、「屮+六」からなる字が3つで構成されていますが、次項の字と異なり「六」の上の点がありません。しかし、語源としては「屮+六」が3つでできていると考えられています。
【画数】21画
【部首】艸部(くさ)
【読み方】ル(lù)
【Unicode】21D2B
【意味】きのこ類。
【解説】中国では、「屮+六」からなる字と同じく、きのこ類のことを意味します。
贔
【画数】21画
【部首】貝部(かい)
【読み方】ヒ、ビ、ヒイ、いかる、ひいき
【Unicode】8D14
【JISコード】6C5D
【SJISコード】E6DB
【区点】6C5D
【意味】はげしくいかる。鼻息あらくおこる。つよく力をいれる。ひいき。
【解説】贔は、貝を3つあわせた会意文字です。正字は、「罒+大」(「罒」の下に「大」)で構成される漢字(Unicode:2627C)を3つ組み合わせた品字様(Unicode:216A4)です。(下図)
「罒+大」で構成される漢字は、見開いた目・怒る目を表した象形文字であると考えられ、この字を略した「貝」の字三つで構成した漢字が贔ですが、贔屓(ひき)という熟語として使われて来ました。
南朝時代の字書《玉篇》の貝部には、贔屓の説明として「贔屓作力也」と書かれています。これは、「贔屓は力を作(おこ)すなり」と読み、はげしく怒って力が入ることを表しています。
贔もこれと同様の意味を持ちますので、贔の本来の字義は、”目を見聞いて鼻息をはずませていかること”を表します。そこから、はげしくいかる、鼻息あらくおこる、つよく力をいれる等の意味として使われるようになりました。
贔は、日本では気に入った人を特に引き立てる意味を持つ贔屓(ひいき)という熟語として使うことが多いのですが、これは、元々”怒って力をふりしぼる”意味の「ひき(贔屓)」の発音が変化したものです。力が強い意味から「力添えをする」、「味方をする」という今日のヒイキの意として定着して行きました。
贔の読みは、音読みとして漢音の「ヒ」、呉音の「ビ」、慣用的な読みとなった「ヒイ」があります。贔の簡体字「赑」は、呉音に近い「bì」(ビー)という発音です。訓読みは、意読として「いかる」があります。また、特殊な読み方として「ひいき」と読むこともありますが、これは、本来「贔屓(ひいき)」と書くところを一文字で表す場合です。
「ヒ」の字音は、鼻息を力を込めて吐く音、或いはその擬声音から来ていると言われていますが、一説では、鼻(漢音:ヒ)の字音から来ていると考えられています。
贔を使った熟語には、下記のようなものがあります。
贔怒(ひど):鼻息を荒くして怒る。
贔屓・贔屭(ひき):ひいひいと鼻息を吹いてがんばるさま。力を入れるさま。(中国では、カメに似た伝説上の動物の意味もある)
贔屓・贔負(ひいき):自分が気に入った人を特に引き立てて支援すること。
このうち贔屓(ひいき)については、「贔屓(ひいき)の引き倒し」という言い回しがあり、ひいきのし過ぎで却って相手を不利にしたり迷惑をかけたりすることを意味します。また、贔屓を含む三字熟語や四字熟語も下記のようにけっこうあります。
身贔屓(みびいき):自分に関係ある者を特別ひいきすること。
贔屓目(ひいきめ):ひいきをした見方。
贔屓贔屓(ひいきびいき):おのおの自分の好みでひいきすること。
贔屓偏頗(ひいきへんば/ひいきへんぱ):えこひいき。
依怙贔屓(えこひいき):特定の人だけを取り立てて味方すること。
判官贔屓(ほうがんびいき/はんがんびいき):才能が認められない不遇な人に同情して贔屓にすること。また、その気持ち。
貝で構成される字としては、貝の字を2つ横に並べた「賏」(Unicode:8CCF)があり、貝を連ねた首飾りの意味を持っています。
貝3つで構成される贔には簡体字「赑」(Unicode:8D51)があり、ほぼ日本語と同じような意味です。
贔を含む漢字に「屭」(Unicode:5C6D)がありますが、これは、力を出すとか引き立てる意味があります。他にも、「贔」の下に「大」と書く漢字(Unicode:27E48)があり、意味は不明ですが、一説では「奰」の異体字ではないかと考えられています。また、雁垂れ「厂」を持つ構造の漢字(Unicode:20ACD)があり、「屭」と同じ字だと解釈されています。さらにまた、病垂れ「疒」を持つ構造の漢字(Unicode:24F1F)があり、㿙と同じ意味だと考えられています。
なお、頁の品字様(Unicode:2958F)、負の品字様(Unicode:2E6B0)、且の品字様(Unicode:3001D)は、贔の異体字と解釈されることがあります。
轟
【画数】21画
【部首】車部(くるま)
【読み方】ゴウ(ガウ)、コウ(クヮウ)、とどろく
【Unicode】8F5F
【JISコード】396C
【SJISコード】8D8C
【区点】①2576
【意味】雷、車、爆発、地響きなどの大きな音やその形容。大きな音が鳴り響く。響き渡る。物事が盛んで激しいさま。名前が広く知れわたる。有名になる。
【解説】轟は、3つの「車」で構成された多くの車が往来することを表す会意文字で、異体字に軣があります。中国最古の後漢の漢字字書≪説文解字≫の馬部には、「羣車聲也。从三車。」と書かれています。これは、「群車の声(おと)なり。三車に従う。」と読み、轟が多くの車の音を意味し、3つの車からなる会意文字であることを説明しています。
轟の音読みは、ゴウ(ガウ)とコウ(クヮウ)でどちらも漢音かつ呉音で、慣用的にはゴウと読みます。中国語の場合は、ホン(hōng)と発音します。
訓読みは、”とどろく”と読みますが、音が大きく鳴り響くさまを表す副詞として単に轟(とどろ)と読ませたり、大きな音が鳴り響く意味の動詞として、轟(とどろ)くのように轟(とどろ)と読ませたりもします。とどろくことやその音を表す名詞として”とどろき”と読むこともあり、また、特殊な読み方として”どめき”という読み方もあります。
轟のもともとの意味は、多くの車が走る音の響きを表す擬声語でした。古代中国の戦(いくさ)では車が多く使われ、一斉に車が走る音は大きな轟音となったと言われています。
その後、車に限らず、雷鳴や爆発、地響きや物が壊れる音など、大きく響く音や、それらの音の形容を表すようになり、大きな音が鳴り響く、大きく響き渡るなどのように動詞としても使われるようになりました。
また、物事が盛んで激しいさまなど、程度が甚だしいことを表したり、広く名前が世間に知れわたる(有名になる)意としても使われたりします。
轟を含む熟語は幾つもあり、主なものを挙げると下記の通りです。
轟音(ごうおん):大きく響き渡る音。鳴り響く大きな音。
轟豗(ごうかい):騒がしい。かしましい。騒々しい。やかましく非常に耳障りである。
轟渇/轟輵(ごうかつ):多くの車がゴロゴロ音を立てるさま。やかましい。
轟轟(ごうごう):音が大きくとどろき響くさま。音が大きくとどろき渡るさま。
轟笑(ごうしょう):大声を上げて笑う。
轟酔(ごうすい):とても酔う。思いきり酔っぱらう。
轟然(ごうぜん):大きな音が鳴り響くさま。とどろき響くさま。
轟沈(ごうちん):艦船が爆撃などで一瞬に沈没すること。また、沈没させること。
轟霆(ごうてい):激しい雷。雷霆。
轟雷(ごうらい):雷が大きな音で鳴り響く。激しく音が響く雷。
轟駆(とどろが-け):馬が蹄(ひづめ)の音を荒っぽく響かせて進むこと。
轟轟(とどろとどろ):音がとても大きくり響くさま(「とどろ」を強めた表現)。
いずれの熟語も、大きな音や程度の甚だしいことを表現しています。
轟は、固有名詞でもよく使われ、人名のほか轟貝塚(熊本県)や轟滝(徳島県)のように地名でも使われています。
「車」の簡体字(簡略化された中国の漢字)は「车」ですが、车が3つで構成された品字様も存在します。但し、中国では通常は使われることはなく、代わりに「轰」(中国における轟の簡体字)が用いられます。
また、「車」4つで構成される漢字もありますが、日本でも中国でも意味は不明で、台湾において人名用に使われています。
「轟」を含む漢字は下記のように幾つかあります。
字の構成 | ユニコード |
「亻」+「轟」(轟の左に亻) | 2046D |
「口」+「轟」(轟の左に口) | 21180 |
「扌」+「轟」(轟の左に扌) | 22EA9 |
「轟」+「金」(轟の下に金) | 28C35 |
実際の字体は下記の通りです。
これら4つの漢字は、日本、中国いずれでも通常は使われません。4つの漢字のうち2つは、台湾で人名に用いられ、1つは俗語、もう1つは広東語でのみ使われています。
【画数】21画
【部首】木部(き)
【読み方】シュ(shù)
【Unicode】23806
【意味】人名用の漢字。
【解説】「束」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
譶
【画数】21画
【部首】言部(げん)
【読み方】トウ、ドウ、チュウ、ジュウ
【Unicode】8B76
【意味】口早にしゃべりまくるさま。
【解説】譶は、3つの「言」で構成された、たくさんのことばを立て続けにしゃべるさまを示す会意文字です。
【画数】21画
【部首】言部(げん)
【読み方】タ(tà)
【Unicode】27B5B
【意味】言葉を早口で話す意。
【解説】この字は、言が3つで構成されますが、譶とは字体が異なります。意味は、譶と同じだと考えられています。
【画数】21画
【部首】足部(あし)
【読み方】チュオ(chuò)
【Unicode】281AC
【意味】急いでいくこと。
【解説】この字は、3つの「足」で構成された会意文字です。
【画数】21画
【部首】田部(たんぼ)
※中国では、力部に分類されることがあります。
【読み方】たばかる、たばかり
【Unicode】2A7E7
【意味】謀(たばか)る。謀(はか)り欺(あざむ)く。謀り。謀ること。
【解説】この字は、「男」3つで構成され、男が三人集まって謀議する字義を持つ会意文字と言えます。
この字について、平安末期に源があると言われる日本の漢和辞書《類聚名義抄》(るいじゅみょうぎしょう)には、「タハカリ」(謀り)と書かれています。また、室町時代に成立したと言われる国語辞書《節用集》(せつようしゅう)には、「タハカル」(謀る)と書かれています。
このように、この字は、謀ることを意味しますが、国字であるため、中国など海外では通常、使われません。従って、古来から中国にある字書《説文字解》や《字林》、《玉篇》、或いは、韻書である《集韻》や《廣韻》などには掲載されていません。また、近代の中国における最大規模の漢和辞典《漢語大辞典》にも掲載されていません。
中国ではこの字は、意味が分からないとされていますが、発音としては、ナオ(nào)のように読むと言われています。
「男」で構成される字としては、男を横に2つ並べた漢字(Unicode:24CB6)があり、双子やまとわりつく等の意味があります。
なお、「男」と「女」で構成される字はいくつもあります。
【画数】21画
【部首】爪部(つめ)
【読み方】ソウ(sǒu)
【Unicode】24547
【意味】ー
【解説】「妥」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】21画
【部首】豕部(いのこ、ぶた)
【読み方】ビン(bīn)
【Unicode】27C8F
【意味】命がけでやる意。
【解説】この字は、3つの「豕」からなる漢字ですが、意味は豩と同じです。豩の異体字とも言われています。
【画数】21画
【部首】走部(はしる)
【読み方】ベン(bēn、bèn)
【Unicode】27F9C
【意味】走る、駆けるの意。
【解説】日本では使われませんが、奔の異体字です。
【画数】21画
【部首】虫部(むし)
【読み方】シュエ(xuè)
【Unicode】27517
【意味】話や言葉の意。
【解説】䖝は虫の異体字で、䖝が3つからなる「䖝䖝䖝」という1字の漢字は、舌が3つからなる「舌舌舌」という1字が変化して、話や言葉の意味があるという説が有力です。
【画数】21画
【部首】見部(みる)
【読み方】イン(yīng)
【Unicode】2789B
【意味】ー
【解説】この字は、「見」に似ている漢字3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。部首は見部なので「見」に関係あるのではないかと考えられています。
【画数】21画
【部首】宀部(うかんむり)
【読み方】バオ(bǎo)
【Unicode】21B00
【意味】人名用の漢字。
【解説】中国では、宝が3つで構成された字(後述)の異体字とされ、人名に使われます。宝の点がありませんが、「宝」が3つで構成された字と考えられています。
【画数】21画
【部首】口部(くち)
【読み方】―
【Unicode】2D333
【意味】―
【解説】この字は、告が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも使われず、読みも意味も不明です。韓国において、人名用の漢字として使われています。
鑫
【画数】24画
【部首】金部(かね)
【読み方】キン(キム)、コン(コム)、クン、シン(xīn)
【Unicode】946B
【JISコード】(補)6985
【SJISコード】EF6A
【区点】③9343
【意味】金が増える。金や財産が多い。富み栄える。
【解説】鑫は、3つの「金」で構成される会意文字で、金や財産が増えることを意味します。
明時代の字書《篇海類編》には、鑫について「金長」と書かれていて、「金(きん)長(ちょう)ず。」と読みます。ここで「長ず」は”増す”の意なので、「金が増す」という意味になります。金が増えることは、財産が増えること、富み栄えることでもあるので、鑫にはそのような意味もあります。
実際は、”富み栄える”、”繁栄する”のような願いを込めて、専ら人名や屋号に用います。また、同じく《篇海類編》には、鑫について「盂器」とも書かれています。これは、鑫には”口の大きい鉢や碗のような器”の意味もあることを示しています。
鑫には訓読みはなく、漢音のキン(キム)や呉音のコン(コム)、クンのように音読みします。中国語では、シン(xīn)と発音します。
鑫のように金で構成される字は他にもあります。例えば、金を横に二つ並べた「鍂」(Unicode:9342)は、鉛(なまり)と同じ意味を持っています。この字には、簡体字(簡略化された中国の字体)とされる字(Unicode:30F91)もあります。
また、金を四方に4つ並べた漢字(Unicode:28C3B)もありますが、意味はあまりハッキリしていません。(宝と同じ意味との説あり)
鑫を含む漢字としては、下記があります。
字の構成 | ユニコード |
①「氵」+「鑫」(鑫の左に氵) | 2417A |
②「鑫」+「車」(鑫の下に車) | 28403 |
③「鑫」+「车」(鑫の下に车) | 32143 |
①は、香港でのみ使われ一般的な漢字ではありません。②は、俗字とされていて通常は使われません。③は、②の簡体字と言われています。これらの実際の字体は、下記の通りです。
【画数】24画
【部首】木部(き)
【読み方】イエン(yàn)
【Unicode】23855
【意味】ー
【解説】この字は、3つの「林」で構成されますが、明確な意味は不明です。「木」で構成される字にはの他にも、色々あり、いずれも木が多いことの義がありますので、この字も語源にはその意義があると思われます。
【画数】24画
【部首】宀部(うかんむり)
【読み方】バオ(bǎo)
【Unicode】21B0F
【意味】人名用の漢字。
【解説】「宝」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】24画
【部首】門部(もん)
【読み方】フオ(huō)
【Unicode】28DEE
【意味】ー
【解説】「門」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】24画
【部首】木部(き)
【読み方】ルァン(ruǎn)
【Unicode】23857
【意味】枝が分かれる意。
【解説】この字は、3つの「果」で構成される漢字で、意味の詳細は不明ですが、枝が分かれることを表すのが有力な説です。
【画数】24画
【部首】宀部(うかんむり)
【読み方】ミ(mí・mǐ)
【Unicode】21B10
【意味】適切である。ふさわしい。
【解説】この字は、3つの「宜」で構成されますが、宜と同じく、適切である、ふさわしいなどの意味があります。
【画数】24画
【部首】人部(ひと、ひとがしら)
【読み方】シン(xīn)
【Unicode】20470
【意味】ー
【解説】「舍」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
䖃
【画数】24画
【部首】艹部(くさかんむり)
【読み方】ヤク、ラ、ユエ(yuè)
【Unicode】4583
【意味】風が吹いて水が波立つさま。
【解説】䖃は、3つの「若」で構成される漢字です。
【画数】24画
【部首】穴部(あな、あなかんむり)
【読み方】トン(tóng)
【Unicode】25A4C
【意味】風の音。
【解説】この字は、3つの「空」で構成される漢字です。
雥
【画数】24画
【部首】隹部(ふるとり)
【読み方】ソウ、ゾウ、ザ(zá)
【Unicode】96E5
【意味】鳥の群がり。集まること。
【解説】隹は鳥のことを意味し、これが3つの雥は、鳥の群がることを意味します。転じて、集まることを表します。
雦
【画数】24画
【部首】隹部(ふるとり)
【読み方】シユウ、チョウ(chóu)、ジ(jí)
【Unicode】96E6
【意味】集まる意。
【解説】中国では、集の異体字ともされ、集まる意義を持ちます。
【画数】24画
【部首】儿部(にんにょう)
【読み方】フ(fù)
【Unicode】204D7
【意味】急いで速くいく。急ぐさま。
【解説】この字は、3つの「兔」からなる漢字ですが、兔がすばやく走る動物であることから、急ぐことを意味します。
【画数】24画
【部首】尸部(しかばね)
【読み方】シエ(xiè)
【Unicode】21CFB
【意味】贔と同じ意味。
【解説】屃(屓)の異体字で贔と同じ意味ですが、中国での贔の意味は日本とは少し異なり、力をいれるさまや、伝説上のウミガメの一種を意味します。「眉」には、尸の中に縦棒があるため字体が少し異なりますが、この字は3つの「眉」で構成されたと考えられています。
【画数】24画
【部首】大部(だい)
【読み方】ビ(bì)
【Unicode】216A4
【意味】怒る。壮大だ。
【解説】もとは奰の異体字で、奰と同じく、怒る、壮大だなどの意味を持ちます。
【画数】24画
【部首】巛部(まげかわ)
【読み方】ハ(hé)
【Unicode】2200E
【意味】川。河川。
【解説】この字は、「河」と同じ川や河川の意味があります。元の漢字に相当する「白+巛」という字は、現代では正規の漢字としては存在しません。
【画数】24画
【部首】止部(とめる)
【読み方】ベン(bēn、bèn)、フェン(fèn)
【Unicode】239B4
【意味】走る。駆ける。
【解説】この字は奔の異体字で、走る、駆けるの意味があります。
【画数】24画
【部首】走部(はしる)
【読み方】ベン(bēn、bèn)
【Unicode】27FAD
【意味】走る。駆ける。
【解説】この字は、奔の異体字で、前述の漢字と同じく走る、駆けるの意味があります。
【画数】24画
【部首】白部(しろ)
【読み方】ー
【Unicode】24FC1
【意味】ー
【解説】泉のような字が3つで構成される漢字で、日本でも中国でも意味は不明ですが、河と同じ意味だとする説があります。
矗
【画数】24画
【部首】目部(め)
【読み方】チク、そびえる、そばだつ、なお(い)
【Unicode】77D7
【意味】そびえる。そばだつ。まっすぐに高くそびえたつ。まっすぐにたすさま。
【解説】矗は、「直」を3つあわせた漢字で、ものがまっすぐたつさまを表す会意文字です。転じて、他にも多くの意味を持っています。
【画数】24画
【部首】鱼部(さかな)
【読み方】シエン(xiān)
【Unicode】3121C
【意味】魚の肉が生で新しいこと。
【解説】鱼は魚の簡体字ですから、鱻の簡体字に相当します。従って、意味は鱻と同じです。
【画数】24画
【部首】虍部(とら)
【読み方】ー
【Unicode】31FD7
【意味】地名用の漢字。
【解説】この字は、虎が3つで構成される漢字ですが、通常は使われず昔の地名に使われていた字です。読みは、ピンインでbiángと表記されますが、現代では使われない発音です。
飍
【画数】27画
【部首】風部(かぜ)
【読み方】キュウ(キウ)、ク、ヒュウ(ヒウ)、ヒュ(ヒユ)、シウ(xiū)
【Unicode】98CD
【意味】驚いて走るさま。かぜ。強いかぜ。大風の起るさま。
【解説】飍は、3つの「風」で構成される漢字です。
南朝時代の字書《玉篇》の風部には、飍について「驚走皃」と書かれています。これは、「驚き走る貌(すがた)」と読み、飍が”驚いて走るさま”を意味することを示しています。
また、宋時代の韻書《集韻》には、飍について「風也」(風なり)と書かれていることから、飍には”風”の意味があることが分かります。
更に、明時代の字書《字彙》の風部には、飍について「大風起貌」と書かれています。これは、「大風の起る貌(すがた)」と読み、”大風の起るさま”の意味もあることを示しています。
六書で漢字を分類した、中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には飍は掲載されていませんが、風を3つ組み合わせて上記の意味を表していることから、飍は会意文字と言えます。
飍の読み方は、音読みだけで訓読みはなく、中国語ではシウ(xiū)と発音します。
「風」を組み合わせた漢字には、風を二つ横に並べた「䬕」(Unicode:4B15)があり、”風の音”という意味があります。また、「風」を4つ組み合わせた漢字(Unicode:29661)があり、”風”の意味があります。
「風」の簡体字(簡略化された中国の字体)は「风」(Unicode:98CE)ですが、この「风」を3つ組み合わせた品字様の漢字(Unicode:310DD)もあります。この字は、中国のみで使われ、飍の簡体字とされています。
【画数】27画
【部首】貝部(かい)
【読み方】ー
【Unicode】2E6B0
【意味】ー
【解説】この字は、負が3つで構成される漢字ですが、読みも意味も不明です。一説では、「頁」が3つで構成される漢字や「貝」が3つで構成される品字様と同義と考えられています。負が3つではなく、「刀+貝」が3つのような下記の漢字も、書体が異なるだけで、同じ字と解釈されます。
【画数】27画
【部首】尸部(しかばね)
【読み方】ー
【Unicode】316C3
【意味】ー
【解説】この字は、「尸+羊」が3つで構成される漢字ですが、韓国の古典に出て来る字で、日本でも中国でも使われず、読みも意味も不明です。
灥
【画数】27画
【部首】水部(みず)
【読み方】シュン、ジュン、セン、ゼン
【Unicode】7065
【意味】三つの泉。多くの流れ。泉に同じ。
【解説】灥は、3つの「泉」で構成される会意文字で、豊富な水源を意味します。
【画数】27画
【部首】目部(め)
【読み方】シエン(xiàn)
【Unicode】25359
【意味】行政単位のひとつ。
【解説】この字は、3つの「県」からなりますが、意味は県と同じです。
馫
【画数】27画
【部首】香部(かおり)
【読み方】キュウ、コウ、シン(xīn)
【Unicode】99AB
【意味】かおる。におう。芳ばしい香り。
【解説】馫は、「香」が3つで構成され、馨と同じ意味を持ちます。馨の異体字とも言われています。
【画数】27画
【部首】宀部(うかんむり)
【読み方】ジ(jǐ)
【Unicode】21B1A
【意味】込み合う。ぎっしり詰まる。集まる。押しあいをする。押し込む。
【解説】この字は、客が3つで構成された漢字で込み合う意から転じて色々な意味を持ちます。
【画数】27画
【部首】面部(めん、おもて)
【読み方】フイ(huì)
【Unicode】29256
【意味】顔を洗う意。
【解説】この字は、3つの「面」で構成される漢字で、靧や頮と同じく顔を洗う意味を持ちます。
【画数】27画
【部首】頁部(おおがい)
【読み方】ビ(bì)
【Unicode】2958F
【意味】贔と同じ意味。
【解説】中国では贔の異体字とされ、日本の贔の意味とは異なり、伝説上のウミガメの一種を意味するほか、力をいれるさまを表します。
【画数】27画
【部首】卜部(ぼく)
【読み方】ティアオ(tiáo)、ヨウ(yǒu)
【Unicode】20A0B
【意味】草木の果実が垂れ下がったさま。
【解説】この字は、肉に少しにた3つの漢字で構成されますが、元の漢字と同じく草木の果実が垂れ下がった姿を意味します。肉に似た元の字は日本では馴染みがなく、字体が肉に似ていることから「肉」が3つで構成される漢字に見えてしまうかもしれません。
【画数】27画
【部首】羊部(ひつじ)
【読み方】ヤン(yǎng)、チャイ(chài )
【Unicode】263F1
【意味】病がいえる意。
【解説】この字は瘥の異体字とされ、病がいえる意味を持っています。羗は日本では馴染みのない漢字なので、この字は「鬼」が3つで構成される字のように見えてしまうかもしれません。
飝
【画数】27画
【部首】飛部(とぶ)
【読み方】ヒ、フェイ(fēi)
【Unicode】98DD
【意味】ものすごく速く空に向かって飛んでいくこと。
【解説】飝は、3つの「飛」からなる会意文字です。
【画数】27画
【部首】十部(じゅう)
【読み方】ザオ(zǎo)
【Unicode】30182
【意味】ー
【解説】意味は不明ですが、ナツメを意味する棗の誤字から生まれたという説があります。
【画数】30画
【部首】辛部(しん、からい)
【読み方】タ(tà)
【Unicode】28442
【意味】口早にしゃべりまくるさま。
【解説】中国では譶の異体字とされ、たくさんのことばを立て続けにしゃべるさまを示しますが、言葉を荒げる意もあります。ちなみに「言」は、(「辛」(切れ目を付ける刃物)+「口」)が語源で、「音」も「㖖」もこれと同じ語源です。
驫
【画数】30画
【部首】馬部(うま)
【読み方】ヒュウ(ヒウ)、ヒュ、ヒョウ(ヘウ)、とどろき、はしる、とどろく
【Unicode】9A6B
【JISコード】716A
【SJISコード】E98A
【区点】8174
【意味】たくさんの馬が駆けるさま。多くの馬が群がり走るさま。はしる。馬がはしる。とどろく。
【解説】驫は、3つの「馬」からなる会意文字です。
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》の馬部には、「眾馬也。从三馬。」と書かれています。これは、「衆馬なり。三馬に従う。」と読み、この字が多くの馬を意味し、三つの馬からなる会意文字であることを示しています。
また、三国時代の魏の辞典《廣雅(広雅)》には、「驫驫,走皃也。」と記され、これは「驫驫は走る貌(すがた)なり。」と読みますので、驫はたくさんの馬が走る姿も意味していることが分かります。
更にまた、西晋の漢字字書《字林》には、「眾馬行也。」(衆馬行くなり)とあり、馬が何頭も移動していることを意味するのが分かります。更に、南朝時代の字書《玉篇》には「走貌」とあり、馬が「走る貌(すがた)」、主に馬が走っている様子を指していることが分かります。日本でもこれらと同じく、多くの馬が走るさま、馬がはしる等、同じ意味として用いられ、はしる、とどろくの意味でも使われます。
読みとしては、ヒョウ、ヒュウなどが一般的で、とどろきは難読語です。また、はしる、とどろく等も特殊な読みですが、このほかにも、むらがる、おどろく、のぼる、おどる等の訓読みが古い書物に見られます。上記で、ヒュウ(ヒウ)は漢音、ヒュは呉音、ヒョウ(ヘウ)は漢音と呉音です。日本に伝来した際の漢字の音としては、これ以外にも、呉音としてはジュウ(ジフ)やク、漢音としてはシュウ(シフ)やキュウ(キウ)があります。
古代の中国では「三」は衆多の意味を持つことから、3つの同じ字形により数が多いことを表していました。その1つが「雧」ですが、「驫」におけるシュウ(シフ)の音はこの流れから来ています。また、キュウ(キウ)やヒョウ(ヘウ)の音は、「多く早く移動する(走る)」意を持つ「飍」の音の流れから来ています。
「馬」3つで構成される漢字は、驫以外にも馬を3つ横に並べた字(Unicode:299E2)があり、馬がまっしぐらに走ることを意味します。また、「馬」の簡体字である「马」の品字様「骉」(Unicode:9A89)や、「马」を3つ横に並べた字(Unicode:31152)もあります。
「馬」2つで構成される会意文字「騳」もあり、馬が疾走する意味や、二頭の馬が並んで走るときの音の形容として使われます。「騳」には、「马」を横に2つ並べた簡体字(Unicode:3113F、下図)もあります。更に、「馬」を縦に2つ並べた字(Unicode:2994B、下図)もあり、複数の馬が不規則に走る意があると言われています。
「驫」を含む漢字には、「驫」の下に「木」を付けた「䯂」(Unicode:4BC2)があり、盛んに多いさまを表します。「驫」の下にのぎへん「禾」を付けた漢字(Unicode:25921、上図)もありますが、これは「䯂」の誤字とされていて殆ど使われません。「驫」にさんずい「氵」を付けた漢字(Unicode:24180、上図)は、水の音や水の流れるさまを表しますが、一般には使われません。
また、「驫」をがんだれ「厂」で囲った漢字(Unicode:20AD1、上図)は、現代ではほぼ使われませんが、多くの古い器に刻まれているのが発見されていて、驫の繁字であろうと解釈されています。
【画数】30画
【部首】馬部(うま)
【読み方】チョン(chěng)
【Unicode】299E2
【意味】馬がまっしぐらに走ること。
【解説】この字は、騁(骋)の異体字と言われています。「馬」の簡体字である「马」を3つ横に並べた字(Unicode:31152)もあり、同じ意味を持ちます。また、「馬」の品字様「驫」や「马」の品字様「骉」もあり、どちらも、たくさんの馬が駆けるさまを意味します。
䆐
【画数】30画
【部首】禾部(のぎ)
【読み方】コク、グオ(guó)
【Unicode】4190
【意味】国。
【解説】䆐は、古くは國と同じで、国の意味を持ちます。
【画数】30画
【部首】夂部(すいにょう)
【読み方】シァ(xià)
【Unicode】21583
【意味】夏のこと。
【解説】この字は、3つの「夏」で構成される漢字ですが、意味は夏と同じです。
【画数】30画
【部首】月部(つき)
【読み方】シュオ(shuò)
【Unicode】2C09A
【意味】人名用の漢字。
【解説】「朔」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】30画
【部首】目部(め)
【読み方】チェン(zhēn)
【Unicode】3098C
【意味】ー
【解説】「真」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
【画数】30画
【部首】立部(たつ)
【読み方】トウ
【Unicode】2E13F
【意味】龘と同じ意味。(龍が飛ぶ様子を表す)
【解説】この字は、竜が3つで構成される品字様ですが、龍が3つで構成される漢字「龘」と同じ意味です。龍が2つの龖にも同じ意味があります。
厵
【画数】30画
【部首】厂部(がんだれ)
【読み方】ゲン、ゴン、ガン、みなもと
【Unicode】53B5
【意味】みなもと。水の流れ出るもと。いずみ。みなもと。物事の生じてくるもと。もとをさぐる。おこりをたずねる。
【解説】厵は、3つの「原」で構成される会意兼形声文字で、源の異体字です。
【画数】33画
【部首】厂部(がんだれ)
【読み方】ユエン(yuán)
【Unicode】20AD2
【意味】源と同じ意味。
【解説】この字は、厵とは異なり、3つの「原」の字体が変化(「白+小」→「白+水」)した字です。
鱻
【画数】33画
【部首】魚部(さかな)
【読み方】セン、あたらしい
【Unicode】9C7B
【区点】(補)7556
【意味】魚の肉が生で新しい。生魚。生の多くの魚。なまもの。新しい。広く、鳥獣の肉が新鮮であること。また、その肉。なまにく。小さな魚。ざこ。少ない。
【解説】鱻は、3つの「魚」からなる会意文字です。中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、鱻を説明して「新魚精也。从三魚。不變魚也。」と書かれています。
これは、「新魚の精なり。三魚に從う(从)う。変(變)らざる魚なり。」と読みます。ここに記載されている「不變」の意味について、《説文解字》の注釈書《説文解字注》(清の時代)には、「生新也」(生新なり)と書かれています。これらのことから、鱻は、魚三つを合わせて、いきいきとして新しい多くの魚を表現した会意文字であることが分かります。
鱻の音読みは、呉音でも漢音でもセンと読みます。中国語ではシエンと読みますが、発声(四声)としては「xiān」と「xiǎn」の二通りがあります。字音の「セン」には、なまの、あたらしい、なまぐさい等の意味があり、同じ字音を持つ鮮や羶、羴と同じ流れです。
訓読みは、”あたらしい”と読みますが、これは意味を当てた読み方です。古くは、鱻が持つ意味から「あざやかなり」や「すくなし」のように読ませた古典などもあります。
鱻の意味は、上記のように色々ありますが、もともとは”生で新鮮な魚”から来ています。”新しい”という意味を持つ”鮮”は、鱻と同じ意味を持っていますが、古くは鱻が使われていて、のちのち鱻の代わりに鮮が使われるようになったと言われています。
「魚」で構成される字の1つに「魚」を2つ横に並べた「䲆」(Unicode:4C86)がありますが、この字も「鮮」と同じ意味です。また、「魚」を縦に2つ並べた漢字(Unicode:29EBO)もありますが、これは「魚」や「2匹の魚」の意味を持っています。
「魚」3つで構成される漢字は鱻だけですが、魚の簡体字(簡略化された中国の漢字)である「鱼」3つで構成された品字様の漢字(Unicode: 3121C)はあり、意味は鱻と同様です。
更に、下記のように「魚」3つを含む漢字(Unicode:2AE9A)があり、「䰻」と同じく魚を捕る意味と言われています。
そして、「魚」4つで構成される漢字「䲜」(Unicode:4C9C)もあり、多くの魚のすがたを意味します。
【画数】33画
【部首】力部(ちから)
【読み方】ピ(pī)
【Unicode】2B9BF
【意味】はためく。
【解説】この字は、3つの「動」からなる会意文字です。
【画数】33画
【部首】鳥部(とり)
【読み方】ニャオ(niǎo)
【Unicode】2A23C
【意味】鳥と同じ意味。
【解説】この字は、3つの「鳥」でできた漢字ですが、意味は鳥と同じです。鳥は鸟の繁体字ですが、3つで構成される字の構造は簡体字と繁体字とでは少し異なります。
【画数】33画
【部首】皿部(さら)
【読み方】カイ(kǎi)
【Unicode】250E3
【意味】ー
【解説】「盖」が3つで構成される漢字ですが、日本でも中国でも意味は不明です。
麤
【画数】33画
【部首】鹿部(しか)
【読み方】ソ、ゾ、ス、あらい、うとい
【Unicode】9EA4
【JISコード】7672
【SJISコード】EFEA
【区点】③9476
【意味】ばらばらになる。間がすける。はなれる。遠ざかる。とおい。まばら。あらい。きめがあらい。なめらかでない。こまやかでない。くわしくない。うとい。かすか。粗末である。雑(ざつ)。あらあらしい。はげしい。ほぼ。大体。あらまし。おおきい。
【解説】麤は、鹿を3つあわせた会意文字で、互いに間を空けたまま、まばらに集まっていることを表します。異体字に「麁」(Unicode:9E81)と「麄」(Unicode:9E84)があります。(麁と麄は、俗字とも言われています)
中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》の鹿部には麤について、「行超遠也。从三鹿。」(行くこと超遠なるなり。三鹿に従う。)と書かれています。
これは、鹿が群れて遠くに行く意を表す会意文字であることを示しています。鹿は、群れをなして行く習性を持ちますが、羊みたいに密集することがなく「バラバラに離れる」、「まばらに群れる」姿となるため、”間がすける”、”バラバラになる”、”あらい”などの意味を表わすようになりました。
そこから、”細やかでない”、”うとい”、”粗末である”、”あらあらしい”、”ほぼ”、など様々な意味でも使われるようになりました。麤について南朝時代の字書《玉篇》には、「不精也」(不精なり)、「大也」(大なり)、「疏也」(疏なり)と書かれていることからも、上記のような様々な意味があることが分かります。
麤の読みは、漢音がソで、呉音がス、ゾで、中国語ではツ(cū)と発音します。訓読みは、”あらい”や”うとい”と読みますが、”おろそか”、”そまつ”、”とおい”、”ほぼ”、”おおきい”、などのように意味に応じた色んな読み方をすることもあります。
上述のように、麤には非常に多くの意味がありますが、いずれも、群れて遠くに行く鹿が密集することなくまばらとなる姿が元になっています。上記に示した意味の他にも、あらごめ(くろごめ)、あらぬの(きめのあらい布)、わらぐつ(わらじ)などの意味もあります。
麤の字音である「ソ」には、まばらとなるやバラバラに離れる意味があり、粗(ソ)と同じです。(疏(ソ)や疎(ソ)とも声義が近くなっています)
従って、粗悪を麤悪と書くように、粗と通用されます。中国でも、麤は粗の代わりに使われます。
麤を用いた熟語は色々ありますが、ほとんどは粗の代わりに使われます。具体的に主な熟語を挙げると下記の通りです。
麤悪、粗悪(そあく):粗くてわるい。粗末で質がわるいこと。また、そのさま。
麤衣、粗衣(そい):粗末な着物。粗服。
麤豪、粗豪(そごう):あらあらしく強い。たけだけしいこと。また、そのさま。
麤雑、粗雑(そざつ):いい加減で大雑把。荒っぽくて雑なこと。また、そのさま。
麤品、粗品(そしな):粗末な品物。(へりくだっていう語)
麤大、粗大(そだい):あらくて大きいこと。荒っぽくて大まかなこと。また、そのさま。
麤茶、粗茶(そちゃ):粗末な茶。(へりくだっていう語)
麤飯、粗飯(そはん):粗食。粗末な食事。(へりくだっていう語)
麤布、粗布(そふ):粗末な布。織り目の粗い布。
麤暴、粗暴(そぼう):あらあらしくて乱暴なこと。また、そのさま。
麤笨、粗笨(そほん):大まかで行き届いていないこと。ぞんざいなこと。また、そのさま。
麤末、粗末(そまつ):精巧でないこと。品質などが低いこと。いい加減に扱うこと。また、そのさま。
麤密、粗密(そみつ):粗いことと細かいこと。粗雑なことと精密なこと。
麤野、粗野(そや):品がなくいやしいこと。下品であらあらしいこと。また、そのさま。
麤略、粗略(そりゃく):物事をいい加減にすること。周密でなく軽はずみなこと。また、そのさま。
上記のように、麤と粗とを置き換えることができます。
麤を含む漢字には、下記があります。(丸数字の隣の番号はユニコード)
これらのうち、①は麤と同じ意味です。②と④は、”ちり”や”ほこり”の意味で、いずれも鹿の群れが走り去ったあとに土ぼこりが立つことを示した漢字で、塵と同じです。③は、草かんむりが付くことで草履(ぞうり)の意味を表しています。
䨺
【画数】36画
【部首】雨部(あめかんむり)
【読み方】タイ、ダイ、デ、ドゥイ(duì)
【Unicode】4A3A
【意味】雲のさま。雲の姿かたち。雲のようす。
【解説】䨺は、3つの「雲」で構成される漢字で「雲のさま」を意味します。
䨺について、南朝時代の字書《玉篇》を元に13世紀に編集された字書《五音篇海》には、「雲貌」と書かれています。これは、「雲の貌(すがた)」と読み、䨺が「雲のさま」を意味することを表しています。
読み方は、訓読みは特になく、タイ、ダイ、デの音読みだけで、中国語ではドゥイ(duì)と発音します。
䨺は、「雲のさま」のような意味以外にはなく、日常で使われることはほとんどありません。
䨺の字体と似ている漢字に、「雨」の下に2つの「云」を並べた字(Unicode:2E996)や、「雲」の下に2つの「云」を並べた字(Unicode:29163)(「雨」の下に3つの「云」がつく漢字でもある)がありますが、これらはいずれも䨺の異体字と言われています。
また、「雲」4つで構成される漢字(Unicode:291D4)があり、「雲のひろいさま」を意味します。
更に、「䨺」を含む漢字として、雲の品字様「䨺」と龍の品字様「龘」を組み合わせた、総画数 84画にもなる漢字(Unicode:3106C)があります。
この字は、日本で生まれた漢字なので音読みはなく、訓読みで「たいと」と読み、「だいと」や「おとど」とも読むとされています。人の名前や店名に使われる漢字と言われていますが、不明な点が多いのが現実です。合字のもとの2つの漢字である、「䨺」を「タイ」と読み、「龘」を「トウ」と読むことから、「タイトウ」を「たいと」と読むようにして生まれたとされています。従って、この漢字の字音、字義は無いと言えます。
【画数】36画
【部首】宀部(うかんむり)
【読み方】リン(lǐn)
【Unicode】21B1C
【意味】氷にふれたようにぴりっと実が引き締まるほど冷たいの意。
【解説】中国では、凛の異体字と言われています。
【画数】36画
【部首】火部(ひ)
【読み方】ー
【Unicode】31B33
【意味】ー
【解説】この字は焦が3つで構成される漢字で、詳細は不明ですが、雥に灬(れっか)が付いた漢字或いは雥の下に火がついた漢字の異体字とも言われています。その結果、これらの漢字と同じく、読みはシユウ、意味は焦げると考えられています。
靐
【画数】39画
【部首】雨部(あめかんむり)
【読み方】ヒョウ、ビョウ、ビン(bìng)
【Unicode】9750
【意味】雷の大きな音。
【解説】靐は、3つの「雷」で構成される漢字です。
中国の宋時代の韻書《廣(広)韻》や《集韻》には、「雷聲也。」(雷声(らいせい)なり)のように書かれています。声(=聲)は音のことですから、靐が雷の音を意味することが分かります。
靐の読みは、ヒョウやビョウの音読みだけで、訓読みはありません。また、中国語ではビン(bìng)と発音します。
「雷」は「雨」+「田」で構成されますが、「田」は田んぼを表すのではなく、”雷さまの太鼓”を意味していました。雷の異体字に靁(Unicode:9741)がありますが、もともとは雷ではなく靁が使われていました。古来は、「雨」に「田」が複数付く漢字がいくつもあり、「田」の個数で雷の大きさを表現していましたが、現代では雷に定着しました。
田の代わりに、「口」や「回」で表現した漢字もあり、これらの流れを汲んだ漢字が、下図のように現代でも幾つか残っています。(図中の数字はユニコード)
いずれの漢字も「雷」と同義とされていますが、今日では通常、使われません。
「雷」で構成される漢字には、「雷」4つで構成される「䨻」があります。「䨻」にも「靐」と同じく「雷の音」の意味がありますが、個数によってその程度を表すという点では同様と考えられます。
靐を使った熟語は特にありませんが、中国の古い書物には、「靐靐」や「䨻靐」など、同義の漢字を2つ並べる表現が残っています。
龘
【画数】48画
【部首】龍部(りゅう)
【読み方】トウ(タフ)、ダ(dá)
【Unicode】9F98
【意味】龍(竜)が飛びゆくさま。
【解説】龘は、3つの「龍」で構成される会意文字です。
南朝時代の字書《玉篇》には「龍行也」(龍の行くなり)とあります。また、中国、遼代の字書《龍龕手鑑(りゅうがんしゅかん)》の龍部には、「龖、龘、龍飛之皃也。二同。」とあります。これは、「龖と龘は、龍の飛び之(ゆ)く貌(すがた)なり。二つ(龖と龘のこと)同じ。」と読むことができ、龖と龘は共に、”龍が飛びゆくさま”の意味であることを示しています。中国最古の後漢の漢字字書《説文解字》には、龘は記載されていませんが、龖については「飛龍也」(飛龍なり)と書かれています。
龘には音読みしかなく、訓読みはありません。中国語ではダ(dá)と発音します。
龍で構成される漢字には、上述の「龖」(Unicode:9F96)があり、音読みはトウ(タフ)やドウ(ドフ)です。「龖」の意味は、”龍が飛びゆくさま”の他に、双竜(2つの竜)の意味があります。「龖」の中の2つの「龍」を、龍の簡体字(簡略化された中国の漢字)「龙」に置き換えた漢字(Unicode:31342)もあります。
日本では龍は竜の旧字ですが、龘の中の龍を3つとも竜に置き換えた3つの「竜」で構成される漢字(Unicode:2E13F)もあり、意味は龘と同じです。
また、龍4つで構成される漢字(Unicode:2A6A5)もあり、”言葉が多い”という意味を持っています。
更に、龘を含む漢字として、龍の品字様「龘」と雲の品字様「䨺」とを組み合わせた、総画数84画にもなる漢字(Unicode:3106C)があります。
この字は、日本で生まれた漢字なので音読みはなく、訓読みで「たいと」と読みます。また、「だいと」や「おとど」とも読むとされています。人の名前や店名に使われる漢字と言われていますが、不明な点が多いのが実情です。合字の元の2つの漢字である、「䨺」を「タイ」と読み、「龘」を「トウ」と読むことから、「タイトウ」を「たいと」と読むようにして生まれたと言われています。このような漢字であるため、この漢字には字音、字義などは無いと言えます。
【画数】48画
【部首】臼部(うす)
【読み方】ウォン(wèng)
【Unicode】269C5
【意味】燃やす。燃える。
【解説】この字は、3つの「興」で構成される漢字ですが、日本では使われません。中国では、燃やす、燃えるなどの意味があります。