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「竜とドラゴン」訳は同じだが実は全く正反対の生き物!違いはここ!

和英辞典で竜を調べるとdragon(ドラゴン)で、英和辞典でdragonを調べると竜です。

従って、これだけを見ると「竜=ドラゴン(dragon)」だと考えるのが自然です。

しかし、竜とドラゴンは訳こそ同じでも本来は全く別なものであり、むしろ正反対の生き物と言えます。

竜とドラゴンは同じ?!

東洋の竜と西洋のドラゴンは正反対?

そう言われてもピンと来ない人も多いと思います。

違いがあることはイメージできるけど、正反対なんてあり得ないのでは?むしろ同じと言えるくらい似てるでしょ!

と考えるかも知れません。

ではまず、竜とドラゴンが同じものかについて調べてみましょう。

冒頭で述べたように、竜とドラゴンをそれぞれ和英・英和辞典で調べると、竜=ドラゴンのように掲載されています。

したがって、これでは違いがよく分かりません。そこで、

竜は中国で生まれたもの
ドラゴンは西洋で生まれたもの

という観点から、まず中国語の国語辞典を見てみます。

现代汉语大辞典現代漢語大詞典)には、竜の説明として、

传说中的一种神异动物,身长,形如蛇,有鳞爪,能兴云降雨,为水族之长。也以你似龙之动物。

とあります。

これを意訳すれば、

伝説の中の神秘的な動物で、身長、形は蛇のようで、鱗と爪があり、雲を起こして雨を降らせる力があり、水中に住む動物の中の頂点に立っている

です。

つまり、中国古来の竜の説明になっていて、西洋のドラゴンの特長は出て来ません。(ドラゴンに雨を降らせる力はありません)

では、英語の国語辞典をみてみましょう。

ケンブリッジ英英辞典にはドラゴン(dragon)の意味として、

a big, imaginary creature which breathes out fire

と記載されています。

これを意訳すれば、「大きな想像上の火を吐く生き物」となりますから、これは西洋のドラゴンを意味して、中国の竜を意味していません。(竜は火を吐きません)

では、双方の言語をお互いに訳した場合はどうなるでしょう。

中国語英語辞典と英語中国語辞典でそれぞれを調べてみます。

すると、汉英大词典漢英大詞典)すなわち中国語英語辞典には、竜(龍:中国語ではと書く)の意味として、

(1){动}(古代传说中的神异动物)dragon

(2)(古代巨大的爬行动物)a huge extinct reptile」(後略)

と記述してあります。

また、英漢大詞典(英語中国語辞典)には、dragon(ドラゴン)の意味として、

「1.」(後略)

と記述してあります。

上記の引用中で「後略」と記述したのは、いずれも派生した意味に関する説明だけで、ここでは無関係なためです。

さて、漢英大詞典では(1)(2)の2つありますが、(1)がここで言う竜のことを直接意味していて、(2)は恐竜のことを意味します。

つまり、(1)では、古代の伝説の中に出てくる架空の神秘的な生き物古代传说中的神异动物)の意味でdragonと英訳し、(2)では、古代の巨大な爬虫類の生物(古代巨大的爬行动物)の意味でa huge extinct reptile(大きな絶滅した爬虫類)と英訳しています。

そして、英漢大詞典では単に(龍の簡体字)とだけ訳されています。

これらを見て分かるように、単に訳した言葉として見た場合、竜はドラゴン、つまり「竜=ドラゴン」となるのです。

竜とドラゴンは同じではない

上記のように説明すると、

やっぱり、竜とドラゴンは同じではないか
結局、違いという違いはないではないか

このように思う人もいるかも知れません。

しかし、これらはあくまで広い意味で同じに訳されているだけのことです。

日本語でも中国語でも竜を英語に訳せばdragonになりますし、逆にdragonを日本語や中国語に訳せば竜(龍・)になるのです。

その理由は、語訳をする場合、お互いの言語の適切な言葉を割当てますが、竜とドラゴンとの間に共通点が多かったため、便宜上、双方の言葉を結びつけたと言えます。(もちろん竜とドラゴンは源が違いますから別なものです)

従って、中国でも日本でも竜(龍)と言えば、中国古来の竜を意味しますが、広い意味では西洋のドラゴンの意味も含むことになります。

一方、西洋でドラゴン(dragon)と言えば、西洋古来のドラゴンを意味しますが、広い意味では東洋の竜の意味も含むことになります。

共通点が多いから混同される

では、本来全く別な竜とドラゴンが、言葉の上で結びついた共通点には何があるでしょう。

主な共通点をあげれば、下記の通りです。

(1)身体がとても大きい
(2)実在しない想像上の生き物
(3)人間を凌ぐ大きな力を持つ
(4)身体の構造が細長い
(5)古来から存在し長い歴史がある

これだけ共通点があるからこそ、竜とドラゴンが混同されやすいのです。

では、上記の5つをもう少し細かく見て行きましょう。

(1)身体がとても大きい

これについては、映画やアニメに出てくるような竜やドラゴンを見ればすぐ分かりますが、基本的にあらゆる生命体の中でも最も大きい身体を持つと言えます。

竜もドラゴンも身体の大きさは、その表現の仕方によってまちまちですが、小さいものでも人間よりも明らかに大きく、大きいものなら最大級の恐竜を凌ぐ大きさがあります。

竜もドラゴンも、「身体がとても大きい」という共通点があるのです。

(2)実在しない想像上の生き物

竜もドラゴンも、実際には存在しない架空の動物、想像上の生き物です。

「登山していたら山中で竜に遭遇した」とか、「夜道を歩いていたらドラゴンに襲われた」などの話は聞いたことがありません。

架空の存在ですから、これらは当たり前ですが、実在しないからこそ却って様々な伝説・逸話・物語などが生まれています。

竜もドラゴンも、共に数々の伝説・逸話・物語などを生み出した「実在しない想像上の生き物」という共通点を持つのです。

(3)人間を凌ぐ大きな力を持つ

そして、大きな力を持っているのも共通点と言えます。

その力も、単にパワーが優れているだけではなく、神的な能力や霊的な能力など超能力の類を有していて、人類を圧倒する力を秘めています。

人間には及ばないはるかに超越した力を有する点で、竜もドラゴンも共通なのです。

(4)身体の構造が細長い

更に言える共通点としては、身体の構造が細長いことです。

竜は首が蛇をイメージしていると言われていますし、ドラゴンはトカゲや蛇をイメージしていると言われていますから、共に身体が細長いという点では同じです。

敢えて違いを言えば、竜の方が全身が細長い感じであるのに対して、ドラゴンはシッポの方が長いことで全体が細長い感じになっている点です。

いずれにしても、竜もドラゴンも身体の構造が細長いという身体的に共通の特長を持っているのです。

(5)古来から存在し長い歴史がある

そして、注目すべき点はこれです。

竜もドラゴンも古来から存在していて、共にとても長い歴史があります。

それらの起源を尋ねると、紀元前二・三千年以前から存在していたと言われています。

竜の場合、中国の最古の文字である甲骨文字(漢字のもとになった文字)にも竜の姿が描かれています。

ドラゴンの場合、ギリシア神話やローマ神話などにも現れています。

これらから、それらの起源がとても古いことが分かります。

竜もドラゴンも、共に古来から存在していて、とても長い歴史を持つ共通点があるのです。

竜もドラゴンも長い歴史がある

実際はぜんぜん違う

このように、竜もドラゴンもこれだけ共通点が多い訳ですから、お互いに同じ訳語が用いられ、同一のものとみなされても無理はないかも知れません。

長い歴史の中で両者はそれぞれ色々な派生を伴いながら、様々な姿として描かれてきましたから、それらの派生を含めた姿としては更に共通のイメージが強くなる一面もあるのでしょう。

しかし、由来を見て行くと、竜とドラゴンは全く違うものです。

この違いを見るのには、権威のあるEncyclopaedia Britannica(ブリタニカ百科事典)が分かりやすいので、その簡易版を引用してみます。

ブリタニカ百科事典の簡易版には、dragonの説明として、

Legendary monster usually depicted as a huge, bat-winged, fire-breathing lizard or snake with a barbed tail. The dragon symbolized evil in the ancient Middle East, and the Egyptian god Apepi was the great serpent of the world of darkness. The Greeks and Romans sometimes represented dragons as evil creatures and sometimes as beneficent powers acquainted with the secrets of the earth. In Christianity the dragon symbolized sin and paganism, and saints such as St. George were shown triumphing over it. Used as warlike emblems in many cultures, dragons were carved on the prows of Norse ships and depicted on royal ensigns in medieval England. In the Far East the dragon was a beneficent creature, wingless but regarded as a power of the air. In China it symbolized yang in the yin-yang of cosmology, and it served as the emblem of the royal family

のように記述されています。

これからドラゴン(dragon)は、

古代中東では悪の象徴(symbolized evil)、
古代エジプト神話では闇の世界の蛇(serpent of the world of darkness)、
古代ギリシアやローマでは時には邪悪な生き物(evil creatures)として時には善行な神としての存在(beneficent powers)、
キリスト教では罪や神の敵としての象徴(symbolized sin and paganism)、
東洋では(竜は)善なる生き物(beneficent creature)

となっています。

つまり、西洋のドラゴンは基本的に悪の存在であるのに対して、東洋の竜は善の存在になっていて、本質的な存在意義を見た時には全く正反対です。

西洋のドラゴンは悪の存在

要は、派生して生まれた一部の竜やドラゴンを除くと、西洋のドラゴンは怪物、怪獣、モンスター、悪の象徴であるのに対して、東洋の竜は神聖な生き物、霊獣、尊ばれる動物、善の象徴なのです。

細かな相違点は

さて、本質的な存在意義を比較した場合、竜とドラゴンは正反対の存在であることが分かりました。

とは言え、上述のように共通点も多く、言葉としても同じ言葉が使われるのも事実です。

そこで、違いがもう少し分かりやすくなるように、竜とドラゴンの典型的な姿をもとに、その違いを比較してみます。

竜もドラゴンも派生したものを含めると多種多様で、非常に区別しにくいのですが、それぞれの典型的な姿を比較すると、違いが分かりやすくなります。

下記に、典型的な竜とドラゴンの比較表を示します。

項目 ドラゴン
種別 霊獣 爬虫類
身体 蛇のように長く巨大 尾の長い恐竜の如く
翼(つばさ) 基本的に翼はなし コウモリのような翼あり
角(つの) 鹿のような角が二本 角はなし
鱗(うろこ) 全身に魚類の鱗 全身に爬虫類の鱗
髭(ひげ) あり なし
爪(つめ) あり(虎のごとく) あり(するどい)
牙(きば) なし あり
あり(通常四本) あり(四本)
特技 雲を起こし雨を降らす 口から火などを吐く

実際には、竜やドラゴンに分類される派生した生物は無数ありますから、上記の表の通りとは限りません。

例えば、中には翼のある竜も存在しますし、翼を持たないドラゴンも存在します。

竜もドラゴンも共に古来から存在していて、とても歴史が長いため、派生して生まれたものが限りなくあるのです。それだけ竜もドラゴンも、とても奥が深いのです。

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