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風が吹いても桶屋は儲からないが、農地が広がれば携帯ライトが売れる?!

慣用的な言い回しのひとつに「風が吹けば桶屋が儲かる」という表現がありますが、これは意外なところに影響が出ることや、当てにならない期待をすることのたとえとして使われます。

しかし、この表現はあくまで物事のたとえを表わしているだけなので、現実には、風が吹いても桶屋は儲かりません。

さて、ここでもし「農地が広がれば携帯ライトが売れる」と言った表現をした場合、因果関係があまり良く分からないという面では同じですが、それほど現実からは飛躍してはいないといえるのではないでしょうか。その理由は、農作物と光との間に切っても切り離せない関係があるからです。

風が吹けば桶屋が儲かるとは

まず、冒頭にあげた「風が吹けば桶屋が儲かる」という慣用的な表現の意味を先に説明しておきます。

この表現は上述した通り、意外なところに影響が出ることや、当てにならない期待をすることのたとえとして使われますが、その影響の仕方は下記の通りです。

風が吹く

砂ぼこりが舞う

砂ぼこりが目に入る

失明者が増加する

三味線が売れる (盲人は三味線で生計を立てるため)

三味線を作る猫の革の需要が増加する

(猫が減るので)ネズミが増殖する

ネズミが桶をかじる

桶屋が儲かる

しかし、砂ぼこりが目に入ったくらいじゃ簡単には失明しませんし、盲人の職業は多岐に渡っています。

また、ネコの革で三味線を作るなどは聞いたことがありませんし、今やネズミがかじるような桶なんて殆どありません。

すごい「こじつけ」だらけですね。まぁ意外なことのたとえだから仕方ありませんが…。

さて、この慣用表現はあまりにも飛躍しすぎて、影響は無いといっても過言ではありませんが、「農地が広がれば携帯ライトが売れる」と言った場合には、そこにそれなりの影響を見出すことができます。

農地があると…

今回このことを感じたのには、2つの背景がありました。

一つ目は、長野市では夜間など暗い時に人が歩いていると、携帯用のライトを持っているケースが都市部に比べて多いこと、二つ目は、暗い通り沿いに外灯を設置するように働きかけても農業団体の強い反対によって簡単には外灯を設置できないことです。

1つ目については、夜間や早朝など暗い時に散歩などをしている人を見ると、携帯用のライトを持ち歩いていたり、身に付けるタイプのライトを肌身に付けていたりしている姿を多く見かけ、安全に対する意識の高さかとも思うのですが、通りがあまりにも暗いのでライトを持ち歩かないと危ないという現実があります。

2つ目については、私の知り合いが暗くて歩行が危なく感じて、実際に外灯の設置を自治体に願い出たことがあったのですが、「農業団体の反対があって簡単に外灯は設置できない」旨の説明があって断られたことがありました。

ではここで、これらの背景を元に、「農地が広がれば携帯ライトが売れる」という影響の仕方をまとめてみましょう。

農地が広がる
 ↓
暗い通りが多くなる
 ↓
外灯の設置を要請
 ↓
農地が多く設置許可されない
 ↓
携帯ライトが必要
 ↓
携帯ライトが売れる

となります。つまり

農村だから暗い → 携帯ライトが必要

というような単純な流れではないのですね。

ここでポイントとなるのは、農地があるので外灯の設置が簡単に許可されないところにあるんです。

外灯設置が許可されない理由

さて、長野市内に住んでいると、「こんなに暗いのにどうして外灯を設置しないのか」と不思議に思うような通りがたくさんあります。

もちろん設置しないのは農業団体が反対をするからですが、その具体的な理由は「市内には多くの農地があり、外灯があると農作物がその光の影響を受けて、育成障害を招く」ためだそうです。

実際に、環境省が公表している「光害対策ガイドライン」の中にも、農作物へのさまざまな影響が記載されていて、特にイネやホウレン草ではその影響が大きいとされています。

従って、そのガイドラインには、外灯などの光源となる設備については、明るさ、設置状態、点灯時間帯などをどのようにすべきかといった指針が示されています。

長野に引っ越して来る前の私は、「農村地域は都市部よりも人口が少なく、夜間の活動も比較的少ないことが、外灯をあまり設置しない理由だ」とばかり思っていましたが、このようにかつての私と同じように思っている人はけっこう多いのではないでしょうか。

しかし、外灯が少ない大きな理由には、実は、農業を守ろうとする大きな力が働いていることがあるのです。

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