囲碁や将棋は老後の趣味としてとても有意義です。
その理由は、時間を忘れて夢中になれるだけでなく、認知症の予防に効果が期待できるからです。
しかし、囲碁や将棋の向かない人がいるのも事実で、そのようなタイプの人はやるべきではありません。
安易に「老後の趣味に…」と考えていれば、再考の余地すらあります。
囲碁・将棋が大好きな筆者が、その理由を分かりやすく説明します。
目次
囲碁や将棋がなぜ老後の趣味にいいのか?
まず最初に、囲碁や将棋が老後の趣味として、とても意義がある理由を説明しておきます。
その理由には、冒頭でも述べた通り、下記の2つがあります。
(1)時間を忘れて夢中になれる
(2)認知症の予防に効果が期待できる
老後に余暇を持て余すようでは、生活は充実しません。
囲碁や将棋なら、時間を忘れて夢中になれるので、老後生活を楽しみ切れます。
また、老後は加齢に伴って記憶力も落ち、頭の回転も低下して行きます。
その最も深刻な問題の1つが認知症ですが、囲碁や将棋はこれを予防する効果が期待できます。
頭脳を使えば認知症の予防になるとは言われていますが、その研究も、まだ初期段階で未解明な点も多くあります。
しかし、囲碁や将棋が有効であることは、証明されて来ているのも事実です。
では、認知症の予防に効果が期待できる点を、もう少し詳しく説明しましょう。
認知症の予防効果が期待できる理由とは
神戸大大学院保健学研究科の古和久朋教授は、あるインタビューの中で
普段から脳を鍛えておけば、多少老人斑ができて脳の機能が落ちても、年齢的に要求されることはできます。
と述べ、能を鍛えておくことが、認知症の予防につながることを示しています。
着目すべきは、そのインタビューの続きの中で、
長く楽しめる趣味や友人とのおしゃべりの方がより効果的です。
と述べている点です。
囲碁や将棋は、長く楽しめる趣味で、相手とおしゃべりをしながら対局できます。
これらのことから、囲碁や将棋が、認知症予防に期待できることがよく分かります。
そして、東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典氏は、その公式サイトの中で
知的活動が認知機能の低下抑制に有効であることは認められつつある
との認識のもと、認知症防止のためには
・認知機能を使用する活動
・新しい学習が含まれる
・他者との交流・会話が豊富
・満足・楽しみがある
・継続することができる
の5要素が重要として研究を進めた結果、
(脳の)海馬の萎縮が抑制されていることが明らかになった
との成果を発表しています。
着目すべきは、認知症予防に重要とされている上記5つの要素が、囲碁や将棋にそのまま当てはまることです。
このように最近の研究から、頭脳を使うことが認知症予防に効果があることが徐々に明らかになっていますが、中でも囲碁や将棋が適していることも分かると思います。
道理の上からも実例を見ても効果は理解できる
では、難しい研究はとりあえず置いておき、道理の上から効果を考えてみます。
人間は運動をすれば筋肉や体力を維持できますが、逆に運動不足になれば筋力も体力も衰えます。
これは老後も同じで、よく身体を動かす人とそうでない人とでは、身体的な若さに差が出ます。
身体を使うことが肉体の若さの維持につながるのであれば、知能を使うことが脳機能の若さの維持につながると考えるのは、とても自然なことと言えます。
難しい研究を述べるまでもなく、道理の上からも知能を使うことが認知症の予防に役立つことが理解できると思います。
そして、このことは私の身の周りを通して、実感したことでもあります。
私には、囲碁が大好きな3人の伯父がいて、3人とも実力がかなりありました。
3人ともアマチュア五段以上の力はあり、そのうち1人は県大会で優勝した経験すらありました。
そんなことから、3人共、老後は囲碁に没頭する毎日を過ごしていたのです。まさに囲碁三昧って感じでした。
私も、機会があると対局していましたが、どの伯父も意識はハッキリして物忘れもほどんどなく、脳機能において衰えを感じることはまず無かったのです。
一般の老人と接していると、
- トンチンカンな言動をする
- 話が噛み合わない
- 同じ話を繰り返し語る
などは当たり前で、加齢とともに物忘れも徐々にひどくなります。
実際、私が接して来た多くの老人は、少なからずそういう傾向がよく目に付きました。
ところが、晩年、囲碁に没頭していた3人の伯父については、年齢を感じさせないほど、脳機能の衰えがありませんでした。
たった3人の例と言えばそれまでかも知れませんが、その違いは本当に実感できる体験。
日頃から、脳機能を使うのことの大切さを思い知らされた感じでした。
向かない人はやるべきでない
さて、囲碁や将棋のメリットが大きいことを知れば、ぜひ老後に励んでみたいと思うことでしょう。
実際、私も、晩年は囲碁や将棋を楽しみ切って行きたいと思っています。
とは言うものの、残念ながら囲碁や将棋が向かない人もいます。
決めつける訳ではありませんが、日ごろから対局相手を探すようなことが多かった私は、囲碁や将棋には向き不向きがあることを実感してきたからです。
端的に分ければ、囲碁や将棋に夢中になれるタイプとそうでないタイプの2つに分かれるのですね。
囲碁や将棋は、その奥深さを知り、おもしろさを実感してこそ楽しめますし持続もできます。
また、楽しめてこそ認知機能維持への効果も期待できます。
国語や算数は嫌いだけど、図工や体育は大好きで楽しい。
そんな小学生が抱くような感覚が大事なんですね。
囲碁や将棋も、面白くて楽しめるからこそ夢中になれるし継続できるんです。
どんな人に向くか
では、実際にどんな人に向いているのか例を挙げてみます。
- 将棋囲碁の奥深さや面白さを感じている
- かつて将棋囲碁に夢中になったことがある
- 将棋囲碁には自信がある、或いは段位を取得している
要は、のめり込めるような要素がある人に向いています。
この種のタイプの人は、ぜひ励んで欲しいと思います。
こんな人には向かない
逆に、どんな人に向かないか例を挙げます。
- やったことはあるが面白いと感じなかった
- やったことがなく全く興味も持てない
- やったことはあるがルールをよく覚えていない
要するに、前向きになれず、継続できないようなケースです。
私が今まで見てきた経験から、この種のタイプの人は、囲碁や将棋を楽しむことは難しいですね。
チャレンジする価値がある人
最後に、向き不向きは不明で、チャレンジする価値がある例を挙げます。
- やったことはないがとても興味がある
- ごく身近に対局できる人がいる
- 頭を使うのが好きで他にパッとした趣味がない
これらは、今まで囲碁や将棋と正面から向きあったことがない人など、夢中になれる可能性がある人ですね。
「自分には向かない」と思わない限りは、挑戦してみる価値があります。
そんな人は先ず、日本将棋連盟や日本棋院の公式サイトを覗いてみるのがいいと思います。
少しでも興味があれば、入門書を見ながら考えてもいいでしょう。
そんな方には、下記の書籍がおすすめですね。
どうやって楽しむかが大事
実際に、「始めてみよう!」と思った場合、どのように取り組むかがとても大切です。
囲碁も将棋も対局相手が必要だからですね。
で、楽しむために一番大事なことは、囲碁将棋仲間を見つけることです。
家族や近所など、身近に相手をしてもらえる人がいれば、声を掛けて対局する習慣を作ること。これがベストです。
特に相手がいないのであれば、市町村が支援しているコミュニティの場を利用するのがおススメ。
たとえ囲碁将棋に特化した場がなくても、シニアが集う場は必ずあります。
自治体によって色んな形態があるものですが、そのような場所に足を運んで行けば、余暇を楽しみたいと思っている同世代の人はいるものです。
まず目指すところは、楽しむ相手・仲間を見つけて定期的に対局して行く。これが重要ですね。
場合によっては、碁会所や将棋サロンのような場所に行って、仲間を見つけるのも1つの手です。
とにかく、一緒に対局できる相手を見つけること。これに尽きます。
人と接し触れ合うことができ、また、会話などのコミュニケーションができれば、楽しみも倍増。
しかも、認知症予防に効果的なだけでなく、孤独防止にもなります。
だから、対局相手を見つけることにまず専念しましょう!
しかし、どうしても対局相手が見つからない場合もあります。
そんな時は、ネットを利用してみましょう。
ネット対局も進化していますし十分に楽します。
また、将棋や囲碁のアプリを利用する対局でも、楽しめることに変わりはありません。
対局相手が見つからないなら、とにかく楽しんでプレイできる環境を作ることを目指しましょう。
そして、身体を動かすような別な趣味も持ちたいもの。
頭脳を使うだけでは身体的な衰えを防止するはできないからですね。