車両追突によるムチ打ち。症状が少しでも残るなら絶対に安易に示談を完結するな!

先日、職場の先輩が、首に手を当てて調子悪そうにしていたので、どうしたのかと尋ねてみたところ、「以前、交通事故で追突された時のムチ打ちによる症状がまだ残っている」とのことでした。その交通事故のことは、当時その人が急遽、欠勤したので記憶にあったのですが、それから1年半も経っていて、未だにムチ打ちの症状が残っているとは、大変だなぁと思いました。

そして、その交通事故の示談は成立したのかと問うと、「煩わしかったから、早々に示談を完結させた」とのことで、1年半前に交通事故に遭ってから未だに後遺障害が残っているにもかかわらず、しっかりと賠償して貰わなかったことは一種の「泣き寝入り」だと感じ、交通事故によるムチ打ちの場合は、症状が少しでも残るのなら絶対に示談を完結してはいけないと強く感じました。

事故の概要

この職場の先輩が遭った交通事故は、今から約1年半前に、自家用車で市内を移動していた際、信号待ちの時に後部から来た車両に追突されたものでした。加害者は前方不注意ということで、100%の過失となり、当然、全ての被害に対して賠償する責任を負うことになったものです。

しかし、被害者である職場の先輩は、交渉が長引くことが煩わしいとの理由で、1ヶ月余りの通院で治療、療養を打ち切り、早々に示談成立の書面に署名、捺印して示談を完結させたとのことです。

それから1年半が経過した今でも、日々首まわりの状態が思わしくなく、重たい感じだそうで、「そんな状態なら、泣き寝入りと同じではないですか?」との私の問いにも、「確かに 」と答えていました。

実は、これと同じような経験は以前、私の妻がしており、その先輩とは対照的に、徹底して治療に努めたことで、しっかりとした賠償をしてもらったことがありました。

妻のムチ打ち経験

それは、私がまだ埼玉に住んでいたある平日、妻が自動車で移動して信号待ちをしている時に、後続車両に追突され、やはりムチ打ち状態になったのでした。事故当時、勤務先にいた私は、事故直後に妻から電話を受け、「動けるからと安易に考えないで、しっかりした病院で、きちんと検査を受けるように」と伝えたのでした。

車両追突によるムチ打ちなどは、症状が後から悪化する場合や、日数が経過してから症状が出る場合、改善してもなかなか完治しないで長引く場合などがよくあるので、安易に示談を完結してはいけないことは以前から耳にしていました。それは、示談が成立してから被害の大きさに気付いても、それは後の祭りで、それ以上の賠償を求めることが出来なくなるからです。

従って、この時はそれら耳にしていた話を思い出して、とにかく徹底して検査を受け、必要な治療はきちんとして、完治するまでしっかりリハビリも続けるべきだと判断し、その後、妻とよく話あって、安易に示談を急がないようにすることにしたのでした。

ムチ打ちとは

そもそもムチ打ちとは一般には「頸椎捻挫」のことをいい、外的な衝撃により身体に異常を生じるもので、具体的な症状としては頸部などの痛みですが、神経などに影響が及ぶと、手足のしびれやめまい、頭痛や不眠につながるケースもあります。

症状の程度は軽度、中度、重度と様々ですが、症状が重い場合は、完治が困難な後遺障害扱いとなることもあります。ムチ打ちの詳細については専門家に任せますが、一般人がムチ打ちに関して最低限、心得るべきことは 「絶対、安易に考えないこと」です。ともすると、筋肉痛や打ち身、打撲、或いは寝違えるなどの症状などと一緒だと考えて、時間が経過すればそのうち治るだろうと思いがちですが、決して同じように考えてはいけません。

ムチ打ちの場合にとてもよくあることは、レントゲンやCT検査、脳波検査など、医学的観点から異常を確認ができないにも関わらず、症状だけは歴然と存在するということです。レントゲンなどの検査で異常が見られるようなケースは、本当に重度の場合だけで、ごく稀といって良いでしょう。逆に言えば、検査で異常は見られないものの、自覚症状が残って長く続く、などといったケースはかなり多いといえます。

以上、ムチ打ちになった場合の注意点を簡単に述べましたが、特に加害者がいて損害賠償の問題が絡む場合は、安易な判断は絶対に避けるべきです。

実際に私の妻も、事故直後に首の周りに痛みを覚え、日に日に痛みは緩和して行きましたが、痛みが弱くなっても、事故以前にはなかった違和感のようなわずかな痛みが残り、ずーっと首から肩にかけて、変な感じが続いて取れませんでした。

もちろん軽度の場合には、簡単に治る場合もありますが、妻のように、なかなか完治しないケースはとても多いようです。

示談までの経緯

妻は、事故直後に救急車で大きな病院に行き、そこでの検査は異常なしとのことでした。その後、地元から通える整形外科へ通い、改めてひと通りの検査をして治療を開始しました。検査としては、頸部、背部、腰部等のレントゲン及びCTスキャン、さらに脳波に異常がないかも確認しました。結果は、全て異常なしだったのですが、痛みがあることから通院治療が始まったのでした。

その後、何カ月にも渡って治療を継続したわけですが、治療といっても自覚症状があるだけで、医学的な異常がないため、温めたり、微小電流を流したり、マッサージをしたり等するくらいで、あとは日々、湿布を貼って経過を見るくらいしかできませんでした。しかし、実際に事故以前と比較した場合に異変は残り、完治しない状態のまま長期に渡ってリハビリを続ける形になりました

その間、加害者が加入する保険会社からは、定期的に連絡が入り、「お怪我の具合はいかがですか?」との問合せがあり、その都度、なかなか完治しない旨を伝えていました。当初は、こちら側の被害や身体の状態に対して、気遣いをしている感じが伝わって来ましたが、3ヶ月、4か月、5ヶ月と時間が経過するにつれ、保険会社の対応は「早く、示談を成立させたい」との焦りみたいな空気がにじみ出ているのを感じるようになりました。

もちろん、言葉の表面は穏やかな言い回しで「治療が長引いておりますが、その後、お身体の方は如何でしょうか?」という内容ですが、その言葉の端々には、治療が長期化することに対する、保険会社としての焦りみたいなものを感じたのです。

そして半年を経過する頃には、保険会社の担当者が交渉専任の担当者に代わり、様子を直接聞こうと面会まで求めてきました。面会では、事故以前の身体の状態と比べた時、頸の周辺にわずかな痛みを伴う違和感が残ることを伝え、そのまま治療を継続することにしました。

しかし、その頃には、「完治しない状況を見た時、これ以上、治療・ リハビリを継続しても改善の見込みはないのではないか」との限界を感じ始めていました。

そうこうしているうちに、事故から8か月目を迎え、保険会社の代わりに弁護士事務所が出て来て、示談交渉を代理で行うことになりました。既に、これ以上は改善が見込めなさそうな状況であったので、直接、担当医に相談したところ、やはり「これ以上の改善は見込めないだろう」との見解でした。

その医師の言葉に背中を押されて、迷っていた判断に終止符を打ち、症状固定と判断して後遺障害の認定を申請することにしました。

その結果、後遺症害14級9号「局部に神経症状を残すもの」という判断が下され、それを機に保険会社から賠償金が示され、その内容を確認した妻が納得して、示談が成立ということになりました。

後遺障害が認められたとの通知

賠償の実態

以上の経緯を見ても分かるように、保険会社は利潤を追求する団体ですから、賠償する金額は相手が納得する範囲で、出来る限り小さく抑えようとします。そのため、余計な治療費や賠償費用を発生させないように、早目に示談を成立させようとして動きます。

治療が長引けば、治療費は増加しますし、賠償費用も治療期間や通院回数などに基いて計算されますので、早目に治療を完了して示談に持ち込もうとするのは、保険会社としては当然です。

人身傷害の場合、自賠責保険から基準に応じて一定額が支払われるため、保険会社としては賠償に関わる全ての支出を強いられるわけではありませんが、治療が長引けば長引くほど保険会社の負担が増加するため、保険会社の対応の仕方は、こちらがたとえ気付かなくても、変わってくるものです。

私の妻の場合は、これ以上は改善が見込めないという担当医の見解のもと、症状固定との判断に到った段階での示談でしたので、賠償としては充分であったと思います。しかしながら、保険会社の度重なる連絡などで、もういいやと安易に考えて示談を急いでしまうケースも多いのが実態ではないでしょうか。

要は、一般的に「泣き寝入り」するケースは、そのうち治るだろうとの安易な判断で示談をしてしまう場合もありますが、交渉相手である保険会社の誘導に乗せられて、示談を決めてしまう場合も多いのでしょう。

しかし、被害者が加害者に遠慮する必要はなく、被害を受けてムチ打ちで苦しんでいる訳ですから、たとえ相手が保険会社だとしても、あくまで加害者の代理として交渉をしているだけですから、余計な情は必要ありません

賠償してもらうものをしっかり賠償して貰えなければ、それは行きつくところ、泣き寝入りということになってしまいます。くれぐれも、保険会社の誘導には乗せられないように注意すべきです。

示談を決断するのは身体がきちんと直ったかどうか、また、治る見込みがないのであれば、それに見合った賠償をしてもらえるのかが基準で、治療期間の長短ではありません。

たとえ、身体の状況が自覚症状のみであれ、直っていなければ直っていないときちんと主張すべきであります。

実際に、後遺障害14級では、自覚症状のない場合のムチ打ちがその対象となっていて、症状を医学的に証明ができなくても、医学的な説明がつけば、後遺障害の認定審査が通ってきちんと認められるケースもあるのです。私の妻が、その典型的な例です。

ムチ打ちは後々まで症状を引きずるような障害です。くれぐれも安易に示談を完結することがないように気を付けましょう。

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