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ウォーターサーバの経営の姿は携帯大手3社の経営の姿と酷似している。

行政指導を受けるなど、なかなか経営体質が改まらない携帯大手3社ですが、ウォーターサーバの経営の姿勢も、これらの携帯大手3社と酷似していると感じます。

こういった類似点は色々な面に現れていますが、ウォーターサーバ事業が今後、大きく発展して行けるかどうかは、「携帯大手3社のような過ちを犯さないで行けるかどうか」にあるのではないでしょうか。

ここでは、携帯大手3社とウォーターサーバ事業者との類似点を見てみることで、「何かが違う」という点に迫ってみました。

酷似している

さて、現代社会においては、携帯電話は既に必須のアイテムにもなっているので、携帯事業者の経営において多少の問題点があったとしても、それなりの需要があることに支えられて、事業経営の安定性はある程度、確保できる面があります。

一方、ウォーターサーバの場合は、水道設備が充実していること、水道水が諸外国と比べて高品質であること、市販のミネラルウォーターで代替できることなどから、需要そのものが割と低く、普及が思うほど加速していないのが現実です。

従って、今後、ウォーターサーバの事業がどこまで伸びて行くかは、「事業者がどれほどユーザ視点に立って事業を展開して行けるどうか」に掛かっていると言っても過言ではないでしょう。

しかし、現状のウォーターサーバ事業の経営体質を見る限り、携帯大手3社の経営体質によく似ていて、とりわけユーザ視点に立てていない点がよく似ています

このことから、ウォーターサーバ事業が大きく発展して行くためには、これら酷似している問題点を、いかに解決して行くかが重要だと言えるのではないでしょうか。

では早速、両者の似ている点をいくつかあげて、見て行きたいと思います。

契約の縛り

携帯大手事業者もウォーターサーバ事業者も、基本的に契約期間の縛りがあります。俗に言う「2年縛り」などと言われるものなどがそれですが、契約期間が満了しないうちに契約を解除すれば、違約金が発生します。

言い方を変えれば、契約期間が満了しないと、契約を解除しにくい仕組みがあると言えます。携帯大手事業者の場合、通常は2年を超えると更に2年などと契約が自動更新されて、更新月などと呼ばれる期間以外に契約を解除すると、違約金が発生します。

一方、ウォーターサーバ事業者の場合、通常は2年を超えると、いつ契約を解除しても違約金は発生しないので、この点においては、携帯大手事業者とは少し趣が違います。

これらの契約の仕組みは、いずれも事業者が赤字にならないための手段のひとつといえます。

つまり、携帯大手事業者の場合は、販売した端末の代金などを回収する必要がありますし、ウォーターサーバ事業者の場合は、サーバ代などを回収する必要がありますから、一定期間、一定の料金を売り上げとして確保しないと事業が成り立たない訳です。

しかし、問題は端末やサーバなどの料金を回収した後も、契約者の費用の負担をあまり軽減しようとしない姿勢があることです。この姿は、携帯大手事業者の方が重症ともいえ、契約の縛りで利益を確保しようとする、営利主義的な異常体質ともいえるものを感じます。

その点、ウォーターサーバ事業者の場合は、2年経過後はいつでも解約できるのが普通なので、まだ軽症といえるでしょう。

しかし、もし今後、利益を重視するあまりユーザを軽視して携帯大手事業者のように2年毎の契約形態にするような動きが出てくるとすれば、「ユーザ無視」との批判は免れないでしょう。

また、両事業者に共通して言えることとして、ライバル会社から契約者を奪って目先の契約者数を増やそうとする戦略があります。具体的には、乗り換えを推進するために、違約金を負担する制度を導入している点ですが、こういう姿を見た時、「何か違う」という感覚が湧いてくるのを拭えません。

事業として成り立たせるためには、原価を割らないようにするのは鉄則ですが、契約で縛ってユーザに不便を味あわせて平然としている体質に、問題を感じます。

ユーザ視点に立ってユーザにより良いサービスを提供する結果として、契約者が増加して利益を得る」という、当たり前のことがなぜできないのかと不思議なくらいです。

長期利用者が損

さて、両事業者の経営体質として、長期利用者、長期契約者が損をするという非常識な側面があります

損をするという言い方は少し変かも知れませんが、新規利用者を優遇するあまり、新規利用者が得をする分を、長期利用者が実質上負担しているという構図があるのは事実です。

携帯大手事業者の場合、端末代を支払い終わっても、あまり通信料金は安くならないのが一般的ですが、それは利益の確保を長期契約者に依存しているからです。

換言すれば、新規契約者や乗り換え契約者を増やそうとするには、契約当初のしばらくの間(通常は2年)は、ギリギリまで月額料金を抑える必要があります。それは、もし料金が高いと新規契約者や乗り換え契約者を獲得できないからです。

しかし、利益を確保するためにはギリギリの料金設定では不十分ですから、利益の不足分を長期契約者に負担してもらうシステム、構造が必要になってくるわけです。

この姿は、端末料金の支払いが終了しても、月額料金が安くならないという点に端的に現れていて、端末を大事に使おうとしても、それによるメリットはユーザに還元されないという、理に適わない実態を生んでいます。

一方、ウォーターサーバ事業者の場合も、サーバ代を支払い終わっても、料金は基本的に安くなりません。一部の事業者では長期利用者に対して若干安くしようとする動きはありますが、ごく一部に限られています。

従って、状況は携帯大手事業者と大差はなく、結局、利益の確保を長期契約者に依存する構図になっています。これらの構造は、言い方を変えれば「長期利用者が負担するお金で新規契約を獲得しようとしている」ということです。

しかし、よくよく考えればこれほど理不尽な仕組みは無いハズです。

例えば、何か商売をしようとした場合、世間では、常連客やお得意さん、リピータや長期利用者などのユーザは「大切なお客さん」として扱うのが常識です。

しかし、これらの業界に於いては、長期利用者という大事なお客さんをいわば「食い物にしている」のが実態で、非常に営利主義的な醜さを感じてなりません。

そこに思うことは、本来あるべき姿として、「事業者はユーザを大切にする」→「ユーザ満足度が上がる」→「ユーザは現在の契約を継続する」という、本来のあるべき経営がどうしてできないのかという疑問です。

ユーザもバカではありませんから、単なる目先の損得だけではなく、「長期的視野に立った時に、本当に得をするのはどの事業者なのか」という視点で判断することができます。

しかし、そういう視点に立てない経営を続けるのであれば、どこかで破たんする方向に進むのではないでしょうか。ユーザ視点に立って、ユーザを大切にした結果、契約者が増加するという、当たりまえの経営をして貰いたいと思うものです。

小細工で安く見せる

ところで、どちらの事業者も、料金を少しでも安く見せようとして、小細工をしています。

携帯大手事業者の宣伝文句を見ると、「家族4人で年間最大10万円お得」「ずーっと基本料金1000円引き」などと言ったフレーズが目につきます。

これらはパッと見たところは、何か大きく値引きされて得するのかなと思う (正確には勘違いする)のですが、少し考えれば決して安いという訳ではありません。

家族4人で年間最大10万円お得」と言っても、実際に特になるのは、あくまである特定の条件で比較した場合における「最大の差額」というだけのことで、実際にはそこまで安くなることはあまりありません。

また、何かの基準に対しての差額の合計なので、もとの基準額が高ければ、料金としては安いわけではありはせん「10万円」という額に惑わされてしまうだけです。

更に、「ずーっと基本料金1000円引き」と言っても、もとの基本料金が高額であれば、意味のないことで「ずーっと」という言葉に惑わされてしまうだけです。

基本料金が3000円のところ1000円引きで2000円になることも、もとの基本料金が2000円で値引きがないことも、実態は同じで何も変わりありません。

もし基本料金が4000円なら、例え1000円割り引いたとしても3000円ですから、もとの基本料金が2000円の場合の方がむしろ安いことになります。

いずれの場合も、「結局、月額いくらなの?」ということに集約されます。値引き前の料金設定が高ければ、値引きが多くても結果としての月額料金は何も変わりません。

このように、たいして安くもないのに安く見せようとする小学生を騙すような「子供だましのようなフレーズ」などを見聞きして、「恥ずかしくないのか?」とも言いたくなります。

では、ウォーターサーバ事業者はどうでしょうか。宣伝文句を見ると「サーバレンタル費用無料」「メンテナンス費用無料」「配送料無料」などと、「何かと無料が多くて、安いんだ!」ということを強調しています。これも小学生を騙すような「子供だまし」ですね。

「サーバレンタル費用」も「配送料」も、単に飲料水の費用に上乗せしているだけのことです。

また、「メンテナンス」なんて基本的に不要です。水を沸かしたり冷やしたりするだけの単純機能ですから、基本的に日々のクリーニングだけで十分、耐用年数くらいは使えるものです。

サーバよりも高機能高性能な冷蔵庫や、電気ポットなどでも、日々のクリーニングをする程度で何年も使えることを見れば、よく分かると思います。

大して安くもないのに必死に安く見せようとする姿勢は、見ていてかわいそうになるくらいです。

そして、滑稽なのが飲料水の料金を安く見せるために、500mlのペットボトルの定価と比較していることです。500mlのミネラルウォーターを自動販売機などの定価や、標準小売価格に相当する額で購入した場合の150円や160円という設定で比較しているのです。

150mlのペットボトルの定価と比べることで、ウォーターサーバの飲料水代の方が安くなると演出しているわけです。まさに、子供だましですね。

そのような比較をすることで、ウォーターサーバの飲料水代を安く見せようとするのですが、果たして日常的にミネラルウォーターを飲んでいる人は、500mlのペットボトルを定価で購入するでしょうか。答えは「ノー」です。多くの人は、2リットル入りのミネラルウォーターを安い店を探して買っているハズです。

日々500mlのペットボトルのミネラルウォーターを飲む人は、よほど水にこだわりがあるのか、かなりのお金持ちなのか、といったごくごく限られた一部の特殊な人だけです。

まして、最近では自動販売機でも500mlのミネラルウォーターなら100円くらいで買えるところも多いですし、コンビニでも150円もするものはごく一部の商品だけですし、定価で販売している店舗を探す方が難しいとも言えます。

普通の人が日常飲むためのミネラルウォーターを購入する場合、身近なスーパーやディスカウントショップや格安店などで、比較的安い2リットルのペットボトルを購入するものです。

ちなみに私の場合は、1本約60円の2リットルのペットボトルを購入していますので、標準的なウォーターサーバの飲料水代は、その約5倍も高い計算になります。

実際、2リットル入りのペットボトルなら、安い店を探せば、お茶や清涼飲料、炭酸飲料でさえも、ウォーターサーバの約3分の1の価格で買えてしまいます。

ウォーターサーバ契約者は、コカコーラの3倍近くの価格もする水を買っているとも言えますね。

以上のように両事業者は、結局のところ、安くもないものを安く見せなければいけないから、子供だましのような小細工のフレーズを使うという共通点があることで一致します。

これらは、つまるところ料金が高いことの表れでもあります。

格安スマホの場合、小細工じみたフレーズなどは、ほとんど使っていない姿を見ても、よく分かります。両者共に、もっと真正面から勝負できないものなのかと、飽きれる思いも出てくるくらいです。

以上、携帯事業者とウォーターサーバ事業者との類似点を切り口に、諸問題を考えてみました。改めて、このように比較しながらまとめてみると、滑稽な部分が浮き彫りになって来るものです。

ウォーターサーバ事業が今後、大きく伸びて行くかどうかは、携帯大手3社の悪いところを見習わずに、ユーザ視点に立った当たり前の経営ができるかどうかに掛かっていると言えるのではないでしょうか。

いずれにしても、今後、両事業者が、本来あるべき当たり前の経営の姿になれるかどうか、今後も見つめて行きたいところです。

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