日常的に使っている「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」という言葉ですが、意味がどこか似ているようで違うものです。
しかし、同じような意味として使うこともあれば、時には混同してふさわしくない使い方をすることもあります。
ここでは、これらの明確な意味と、その違いの詳細を分かりやすく解説します。
ルールとは
ルールの語源は英語の「rule」ですが、日本語としてのルールの意味は、規則、規定、きまりなどのことを指します。
もう少し細かく説明すれば、「行為や手続きなどをどのように遂行するかを一定の形に定めた事柄」を意味していて、それら行為や手続きなどのよりどころとなるものです。
また、ある基準に則って定められているため、行動を規制する働きを持っています。
具体的な使い方としては、「ルールに従う」、「ルールを守る」、或いは「ルールを破る」、「ルールを無視する」、といった言い方をします。
モラルとは
モラルの語源は英語の「moral」ですが、日本語としてのモラルの意味は、道徳、倫理のことを指します。
具体的には、「人が善悪、正邪をわきまえて守り行うべき道、規範」を意味してして、法律などと違って、強制力を伴わずに自発的に行う行為が対象となります。
具体的な使い方としては、「モラルがある」、或いは「モラルに欠ける」、といった言い方をします。
マナーとは
マナーの語源は英語の「manner」ですが、日本語としてのマナーの意味は、礼儀、作法、態度のことを指します。
より分かりやすく言えば、「人間関係や社会生活において、望ましい状態を保つための人が守るべき行動様式やしきたり」を意味していて、主として、気配りや敬意、慎みの気持ちに基く、行動の規範となる心構えや身構えのことを指します。
望ましい状態は、その社会によっても異なりますので、一般的にマナーの内容は国や地域によって微妙に異なります。
具体的な使い方としては、「マナーが良い」、或いは「マナーが悪い」、といった言い方をします。
エチケットとは
エチケットの語源はフランス語の「étiquette」ですが、日本語としてのエチケットの意味は、礼儀作法のことを指します。
端的に言えば、「対人関係や社会生活において、望ましい状態を保つために人が守るべき各種作法」を意味していて、一般に周りの人へ不快感を与えないようにする配慮や思いやりに起因するものを指します。
具体的な使い方としては、「エチケットブラシ」、「エチケット袋」といった、名詞と組み合わせた使い方をすることが多く、「エチケットを守る」というような言い方はどちらかというと少ないです。
違いの概要と区別のポイント
以上、「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」個々の意味を説明しました。
端的に違いが分かるようにそれぞれの意味をまとめると下記の通りです。
ルール・・・ある基準に則って定められた行動規制のための決まりごと
モラル・・・善悪や正邪を弁えた守るべき道徳や倫理
マナー・・・望ましい状態を保つための一般的な行動様式やしきたり
エチケット・・・周りに不快感を与えないための礼儀作法
上記は、それぞれの言葉をシンプルな表現で説明していますので、一目で違いの概要がよく分かると思います。
では、これらの違いをもう少し分かりやすく説明しましょう。
下記が違いを区別するポイントです。
まず、ルールとそれ以外の違いですが、ルールは「明確に定められていて、相応の強制力がある」という点で、他の3つと異なります。
換言すれば、マナーやモラル、エチケットなどは、ルールほど明確に定められたものではなく曖昧さがありますし、強制力も弱く、どちらかと言えば本人の自主性による面が強くなっています。
次に、ルール以外の3つの違いですが、モラルは「背景に対象となる道徳や倫理が明確にあって、善悪や正邪をわきまえる」という点で、マナーやエチケットと異なります。
つまり、マナーやエチケットの場合は、道徳や倫理そのものが背景となるのではなく、社会生活が生み出した秩序や行動規範が背景となり、善悪や正邪という基準ではなく、望ましい状態を保つことが基準になります。
最後に、マナーとエチケットの違いですが、マナーは「望ましい状態を保つための礼儀作法について広い意味を持つ」のに対して、エチケットはどちらかというと、周辺の人々に対して不快感を与えないようにする配慮や思いやりによる礼儀作法を指し、身だしなみ等がその典型となります。
違いの詳細
最後に、「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」の4つの違いがよく分かるように、いくつかの視点からその違いを見て行きます。
強制力
まず、強制力についてです。
「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」の強制力に関する一般的な傾向は下記のような順になります。
強い←「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」→弱い
「ルール」は、明確に決まり事が定められている分だけ比較的、強い強制力があります。
「モラル」は、広く認識されている道徳や倫理が背景にある分だけ、強制力を持ちます。
「マナー」は、一般的に広く認識される望ましい状態であるため、「ルール」や「モラル」と比べると強制力はやや弱い傾向にあります。
「エチケット」は「マナー」よりも限定的な範囲に用いられるため、最も強制力が弱いと言えます。
意識や行動の背景・要素
次に、行動の背景・要素についてです。
「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」の4つには、少なからずそれらに従おうとする意識が働きます。
そして、その意識が実際の行動につながるわけですが、「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」には、それぞれその意識や行動につながる背景や要素があります。
それらの背景・要素をまとめると下記のようになります。
- ルール…規則、規定、きまり、約束、規約
- モラル…道徳、倫理、人道、規範、世道
- マナー…礼儀、作法、秩序、慣習、風儀
- エチケット…礼儀作法、身だしなみ、心得、節度
このように、行動を律する背景・要素の違いを比較すると、4つの言葉の違いが非常によく分かります。
反する時に生じる違いは?
「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」に対しては、一般的にそれに従おうとしますが、もし、ルールを破る、モラルも持たないなど、それらに反することをすると相応の反動を招きます。
では、反した場合に生じる反動はどのように違うでしょう。
それを端的に表現すれば下記の通りです。
- ルール…定まりに応じた不利益を被り、場合により罰則や制裁を被る
- モラル…善悪や正邪を弁えない非常識な者との非難を受ける
- マナー…礼節を欠いているとの非難の対象になる
- エチケット…不快感を抱いた周囲から白い目で見られる
反する対象によって、受ける反動が違ってくることがよく分かります。
以上、「ルール」「モラル」「マナー」「エチケット」4つの違いについて説明しました。
普段はあまりその違いを意識せず使っている言葉ですが、改めて比べてみると違いがよく分かりますね。