語源で明解!喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶ・楽しい・愉しい・嬉しい・面白いの違い

意味が似通っている喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶ・楽しい・愉しい・嬉しい・面白いは、微妙な違いを問われると意外と答えられません。

いざ、調べてみても、分かったような分かんないような中途半端な状態。

でも、この記事を読めば、言葉の微妙なニュアンスの違いが明確になることでしょう。

以下、違いを理解する鍵である語源に注目して解説します。

違いを端的に言えば

まず、違いを直ぐに知りたい人のために、端的に解説します。

喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶ・楽しい・愉しい・嬉しい・面白いのうち、喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶは動詞で、楽しい・愉しい・嬉しい・面白いは形容詞です。

品詞が異なるので、分けて説明しましょう。

「動詞」喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶの違い

4つの動詞の違いを簡単に言えば

喜ぶ:広くよろこびの感情を表す言葉でうれしがること
悦ぶ:心のしこりが取れ、満ち足りて嬉しくなること
歓ぶ:そろってにぎやかに声を上げてよろこぶこと
慶ぶ:めでたいことを明るい気持ちで祝いよろこぶこと

のようになります。

喜ぶ

「喜ぶ」は、「優勝を喜ぶ」「出産を喜ぶ」「無事を喜ぶ」のような使い方をします。

喜ぶは、一般的なよろこびを表すため、色々なよろこびを表す場合に使えます。

また、たいていの場合、「悦ぶ」、「歓ぶ」、「慶ぶ」の代わりに使うことができます。

悦ぶ

「悦ぶ」は、「不安が無くなり悦ぶ」「願いが叶って悦んだ」「子の成長を悦ぶ」のような使い方をします。

悦ぶは、心のつかえが取れて嬉しい場合の表現に適し、喜ぶに次いでよく使われています。

よろこぶ時は、何らかの心のつかえが取れるものなので、実際は色々な場面で使えます。

歓ぶ

「歓ぶ」は、「劇的な勝利を歓ぶ」「感動の再会を歓んだ」「会場には歓ぶ人の声があふれた」のような使い方をします。

歓ぶは、声を発してよろこぶことが特徴で、思わず声を上げてしまうほどの躍り上がるような気持ちを表すのに適しています。

実際に声を発しなくても抑えきれないほどの嬉しい感情を表現する時に使います。

慶ぶ

「慶ぶ」は、「新年を慶ぶ」「門出を慶ぶ」「結婚を慶ぶ」のような使い方をします。

慶ぶは、めでたいことをよろこび、お祝いの意を込める場合に使います。

特に、「○○○お慶びを申し上げます」の言い回しは、慣用句として、お祝いや挨拶などで常用します。

上記4つのうち、喜ぶの「喜」のみが常用漢字で、他の3つの漢字(悦・歓・慶)は常用外です。

従って、上記の使い分けはありますが、実際は「喜ぶ」を使うのが普通です。

慣用的なフレーズで用いる「慶ぶ」を除いては、「喜ぶ」を使っても差し支えない場合がほとんどです。

「形容詞」楽しい・愉しい・嬉しい・面白いの違い

次は、4つの形容詞についてです。

違いを簡単に言えば、

楽しい:にぎやかで心がうきうきして満ち足りること
愉しい:不快な心が抜き取られて気持ちがやわらぎ快いこと
嬉しい:喜ばしいことがあり笑みがでるような思いであること
面白い:心が晴れ晴れして楽しく愉快なこと

のようになります。

楽しい

「楽しい」は、「遠足は楽しい」「楽しい夏休み」「楽しい旅行」のような使い方をします。

楽しいは、うきうきする気持ちを表現する場合に使います。

特に、にぎやかさを伴う場合に最適で、広く使われます。

愉しい

「愉しい」は、「仕事を終えた愉しいひと時」「ゆとりある余暇は愉しい」「着こなしは愉しい」のような使い方をします。

愉しいは、気持ちがやわらぎ充実している場合に適しています。

ただし、現代では「楽しいに統一する」とされていますから、通常は楽しいを使います。

嬉しい

「嬉しい」は、「君に会えて嬉しい」「評価されて嬉しい」「嬉しい昇格」のような使い方をします。

嬉しいは、思わず笑みがこぼれるような喜ばしい気持ちを表現する時に使います。

楽しいなどと比べると、一時的な気持ちを表す傾向にあります。

面白い

「面白い」は、「面白い遊び方」「面白いバカンスだった」「批判されて面白い人はいない」のような使い方をします。

面白いは、目の前が明るくなるような晴れ晴れして楽しく愉快な時に使います。

但し、興味深い、滑稽だ、風流だなど、少し異なる意味もありますので、使い方には注意しましょう。

これら4つの違いを端的に言えば、楽しいはうきうきする気持ち、愉しいはやわらいだ気持ち、嬉しいは喜ばしい気持ち、楽しく愉快な気持ちです。

但し、「たのしい」については、楽しいに統一するとされていますので一般的には愉しいは使いません

やわらいだ気持ちを表現したい時だけ、愉しいを用いるのがよいでしょう。

そして、瞬間的な気持ちを表す場合は嬉しいを使い、晴れ晴れとした愉快さを含む場合は面白いを使います。

感情を表す意味では動詞も形容詞も同じ

以上、喜ぶ・悦ぶ・歓ぶ・慶ぶは動詞、楽しい・愉しい・嬉しい・面白いは形容詞として2つに開けて説明しました。

しかし、よく考えてみると、

私は喜ぶ
私は嬉しい

のように、形容詞でも動詞でも、共に感情を表す言葉として使うことができます。

これは、日本語の特徴のひとつですね。

だから、もし品詞を分けて考えると、「喜ぶ」と「嬉しい」などの違いはよく分かりません。

そこで、これらを一緒に考えてみることにしましょう。

上記の説明を簡単に1つにまとめてみます。

喜ぶ:広くよろこびの感情を表す言葉でうれしがること
悦ぶ:心のしこりが取れ、満ち足りて嬉しくなること
歓ぶ:そろってにぎやかに声を上げてよろこぶこと
慶ぶ:めでたいことを明るい気持ちで祝いよろこぶこと
楽しい:にぎやかで心がうきうきして満ち足りること
愉しい:不快な心が抜き取られて気持ちがやわらぎ快いこと
嬉しい:喜ばしいことがあり笑みがでるような思いであること
面白い:心が晴れ晴れして楽しく愉快なこと

品詞(動詞と形容詞)が異なっても、気持ちや感情を表す意味では同じことが分かります。

そして、これらはとても似たような意味であることも分かります。

語源を見れば微妙な違いが明確

では、これら似たような言葉の違いを明確にするにはどうすればいいでしょうか。

それには、微妙なニュアンスを知ることが大切で、そのカギは語源にあります。

さっそく、1つ1つの漢字の語源を見て行きましょう。

喜の語源は音楽やごちそう

「喜」は、2つ漢字「壴」と「口」から生まれました。(「喜」=「壴」+「口」)

「壴」はトウと読み、その語源は象形文字で、”台座を含む飾り付きの太鼓”、または、”食物(ごちそう)を盛るための台の付いた器”と解釈されています。

このことから、「喜」は、”太鼓をたたいて音楽を奏するよろこび”、又は、”ごちそうを飲食するよろこび”、或いはその両方のよろこぶから、よろこぶ意になったと言われています。

また、ある説では、楽器を奏して神に供え物をして祈ることで神をよろこばせたとの解釈もあります。

いずれにせよ、音楽とごちそうは誰しもが楽しめ、よろこべることから一般的なよろこびを意味するようになったと考えられます。

「誰でも喜べる音楽やごちそう」→「一般的な喜び」
のように考えると分かりやすいですね。

悦の語源は心のわだかまりを取り去ること

「悦」は、2つの漢字「忄(心)」と「兑(兌)」から生まれました。(「悦」=「忄」+「兑」=「心」+「兌」)

「忄」は「心」の字を立てて偏(りっしんべん)にした部首で、「兑」はもとの字である「兌」の字体が変化した漢字です。

「兌」はダと読み、その語源は「八」と「兄」から生まれ(「兌」=「八」+「兄」)、人の衣服を左右に分けてぬがすようすを示し、はぎ取って分解する、取り去る、抜き取るなどの意味を持ちます。

ちなみに、「八」には開く、分ける、抜けるなどの意味があり、「兄」は人の姿をえがいた象形文字です。

「悦」は、心のしこりやわだかまりが取り去られることから、よろこぶの意味を持つようになりました。

「心のしこりやわだかまりが取り去られる」→「心がスッキリして満ち足りる」
のように考えると分かりやすいですね。

悦を用いる熟語に、愉悦(心から喜び楽しむこと)や悦服(心から喜んで服従すること)がありますが、いずれも心がスッキリする意味が込められているのが分かります。

なお、悦の「兄」は、神に仕えてのりとをあげる人(祝・はふり)を表し、その上に神の感応が現れた様子が「兑(兌)」で、その時の心のよろこびを表したという説もあります。

歓の語源はにぎやかな発声

「歓」は、旧字である「歡」から変化した字で、2つの漢字「雚」と「欠」から生まれました。(「歡(歓)」=「雚」+「欠」)

「雚」は、風雨を予知して口々に鳴きかわすと言われている鳥のことを指し、「欠」は、人が口を開けて体をくぼませた様子を表した象形文字です。

「歓」は、人が身体を曲げて大声でにぎやかに話す姿から、喜ぶ意味を表すようになりました。

「人が身体を曲げて大声でにぎやかに話してよろこぶ」→「皆でにぎやかによろこぶ」
のように考えると分かりやすいですね。

歓を用いる熟語に、歓呼(喜んで、大きな声をあげること)、歓声(喜びを抑えきれずに叫ぶ声)がありますが、いずれも声を発する意味を持っています。

また、歓迎(喜んでむかえること)は、声をあげて喜び受け入れる姿が思い浮かびます。

「歓」は、声を発する点がポイントですね。

ちなみに、「歓」の語源には、飲食物にむかって口をあけていることからよろこぶ意になったという別な説もあります。

慶の語源はお祝いに行くこと

「慶」は、3つの漢字「鹿」と「心」と「夊」から生まれました。(「慶」=「鹿」+「心」+「夊」)

「鹿」は、動物の鹿の象形文字で、下部が省略された字体に「心」と「夊」が加えられて「慶」となったと言われています。

「心」は文字通りこころの意味を持ち、「夊」は足を引きずる様子を表した象形文字で、足を運ぶ(行く)意味を持っています。

「慶」の下部は、「夂」のように見えますがこれは別な字で、あくまで語源は「夊」です。(「夂」≠「夊」ですが、よく混同される)

つまり、「慶」は、鹿の皮(お祝いの品)を持ってお祝いに行くことを意味します。

「お祝いの品を持ってお祝いに行く」→「めでたいことを祝いよろこぶ」
のように考えると分かりやすいですね。

慶を用いる熟語に、慶賀(よろこび祝うこと)、慶事(祝いごと)がありますが、いずれも祝いよろこぶ意が含まれていることが分かります。

ちなみに、上記の「鹿」は語源ではなく、「廌」の一部が省略された字体が語源だとする説もあります。

「廌」はタイと読み、牛に似ている一角獣の動物の象形文字で、古代の裁判(神判)において勝者が提出した「廌」の胸に心の字形を文様として加えて慶賀していました。

このことから、この説では、神判における勝者を賀し喜ぶ意を表すと言われています。

楽の語源は楽器の演奏

「楽」は、旧字である樂が変化した字で、「幺」と「白」と「木」から構成され、弦楽器を引く様子を表した象形文字と言われいます。(「樂(楽)」=「幺」+「白」+「木」)

「樂」の中の2つの「幺」は、「木」にはった弦を意味し、中央の「白」の字体はここでは人の爪の形を表しています。

つまり、「樂」は、弦をはじいて弦楽器を引くことを表し、そこから音楽の意味を持つようなりました。

楽を含む楽譜、楽典、楽律などの多くの熟語が音楽と関連しているのはこのためです。

そして、音楽をたのしむことから転じて、たのしい意味を表すようになって行きました。

「弦楽器を引いて音楽をたのしむ」→「広く楽しむ意」
のように考えると分かりやすいですね。

なお、「樂」は、楽器は楽器でも、手に持って振る鈴の形を表しているとの説もあります。
この場合、「白」が鈴の形を表し、その左右に糸飾りをつけていると解釈されます。

愉の語源は心の中のしこりを抜きとること

「愉」は、2つの漢字「忄(心)」と「兪」から生まれました。(「愉」=「忄(心)」+「兪」)

「忄(心)」は、文字通り人の心を意味します。

「兪」は、左に舟をおき(月のような字体の部分)、右にくり抜く刃物の形を添えた漢字で、抜き取る意を持ちます。

つまり、「愉」は、心の中のしこりを抜き取ることから、わだかまりの無いさわやかな気持ちを表すようになって行ったのです。

「心の中のしこりを抜き取る」→「さわやかで快くたのしい気持ち」
のように考えると分かりやすいですね。

嬉の語源は女性と音楽やごちそうを楽しむこと

「嬉」は、2つ漢字「女」と「喜」から生まれました。(「嬉」=「女」+「喜」)

「女」は女性のこと、「喜」は既に上記で説明した通り、音楽やごちそうからよろこぶ意味を持つようになった字です。

「嬉」は、この「喜」に「女」を付けていますので、女性と共に音楽やごちそうを楽しむ姿、或いは、女性が音楽やごちそうを楽しむ姿を表していると言われています。

つまり、にぎやかに笑いながら音楽や食事を楽しむことから、嬉しいという意味で使われるようになりました。

「女性と音楽やごちそうを楽しむ」→「笑みが出るように喜ばしい」
のように考えると分かりやすいですね。

ちなみに、「嬉」が「喜」と「女」から構成されているため、単に女性とあそび楽しむ意から嬉しいの意に転じたとする説もあります。

面白いの語源は目の前が明るくなること

「面白い」は、「面」と「白」を組み合わせてできた形容詞です。(「面白い」=「面」+「白」)

「面」は、あたまの外側を囲う表現をした字で、頭全体を意味する首の字を囲うことで生まれ、顔面の意味があります。

「白」は、中身が白い木の実を描いた象形文字で、白い意味から転じて白くなる、明るくなる意味があります。

つまり「面白い」は、目の前が明るくなることから、愉快で楽しい意味のほか、興味深い、滑稽だ、風流だなど様々意味で使われるようになりました。

「目の前が明るくなる」→「晴れ晴れと愉快で楽しい」
のように考えると分かりやすいですね。

ちなみに、「面白い」を目の前が明るくなる意と解釈せず、明るい顔色になる意味のように解釈する説もあります。

まとめ~8つの言葉の違い

以上、語源を元にそれぞれの言葉の意味を説明してきました。

微妙な意味の違いがよく分かったと思います。

最後にまとめとして、上記にあげた意味の概略を再び示します。

喜ぶ:広くよろこびの感情を表す言葉でうれしがること
悦ぶ:心のしこりが取れ、満ち足りて嬉しくなること
歓ぶ:そろってにぎやかに声を上げてよろこぶこと
慶ぶ:めでたいことを明るい気持ちで祝いよろこぶこと
楽しい:にぎやかで心がうきうきして満ち足りること
愉しい:不快な心が抜き取られて気持ちがやわらぎ快いこと
嬉しい:喜ばしいことがあり笑みがでるような思いであること
面白い:心が晴れ晴れして楽しく愉快なこと

語源が示す意味を思い浮かべながらこれらを見ると、微妙な違いを理解しやすいですね。

以上をもとに現実的な使い方を整理しましょう。

「よろこぶ」については、

  • 通常は「喜ぶ」を使う
  • 心の満足を強調したい場合は「悦ぶ」を使う
  • にぎやかさを強調したい場合は「歓ぶ」を使う
  • 祝いごとの慣用句としては「慶ぶ」を使う

のように使い分けます。

特に、文学や詩などでは、漢字がもつ趣を表現できますので、一般的な喜ぶだけではなく、「悦ぶ」や「歓ぶ」を使うと文章に深みを出せるでしょう。

また、「たのしい」などの形容詞については、

  • うきうきする気持ちを表したい場合は「楽しい」を使う
  • 気持ちがやわらいだ感覚を強調したい場合は「愉しい」を使う
  • 思わず笑みが出るような場合には「嬉しい」を使う
  • 晴れ晴れして愉快な時には「面白い」を使う

が使い分けの目安です。

もし、使い分けや意味の違いに迷った場合は、語源に立ち返って比較してみましょう。

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