予防接種を受けてはいましたが、先日、インフルエンザに罹(かか)ってしまいました。兼ねてより、「予防接種を受けていても、罹る時は罹る」という認識はありましたが、実際に罹ってみたからこそ、改めて再認識させられたことが3つありました。
それは「予防接種を受けていても、インフルエンザに罹ることがある」ことそのものと、「予防接種をしている場合、たとえ罹っても症状が軽くなる」ことと、「一般に効果的とされる予防対策が重要である」ことの3点です。
予防接種をしても罹る
まず何よりも実感を持ったことが「予防接種を受けていても、インフルエンザに罹ることがある」ということです。
これについては、世間でもよく言われていますから、多くの人がその認識を持っていることでしょうし、実際に私も以前から認識だけは持っていました。
インフルエンザが昨シーズンに流行した時、近所に住む人の中で、予防接種を受けていてもインフルエンザに罹った人が何人もいましたので、「本当なんだ」という感覚も持っていました。
ただ持っていなかったのは「自分自身が罹るという認識」で、「まさか自分が罹るとは…」というような、どこか他人事のような感覚を持ってしまっていました。
今回、インフルエンザを発症した数日前から、生活上で色々なことがあり、毎日3~4時間の睡眠が続いて抵抗力が低下していたことが背景にありました。また、流行のピーク(1月下旬~2月上旬)を過ぎていたことから、警戒感が緩んでいたこともありました。
とはいえ、「予防接種は受けているのだから、そう簡単には罹らないだろう」という安易な感覚があったのは確かでした。
予防接種による発症抑制効果
予防接種の効果って、実際のところどれほどなのかが気になりましたので、ちょっと調べてみることにしました。そして驚いたのは、予防接種による発症抑制効果の相場は50%で、私が想像していたより、はるかに低い数値だったことでした。
これはある統計データによる数値だそうですが、予防接種を受けた人は、統計的に、受けていない人に比べて、罹る確率が半分になるということを意味しています。
「えっ? !予防接種を受けても、インフルエンザに罹る確率は半分にしかならないの?」と思う人もいるのではないでしょうか。
私も、この数値を今回初めて知ってとても驚き、今でもなお信じがたい感じがしていますが、他の予防接種などと比べた場合に、効果がかなり低いと言われているのは事実です。
ところで、この50%という数値ですが、そんなに効果はないという説もあります。要は諸説があり、効果そのものを疑う説もあります。
今回のことで、効果について色々調べてみましたが、統計的には20%~80%というバラつきがあるようですし、年齢やインフルエンザの型によっても違いますし、個人による違いもあると言われています。
また、諸説を見てもデータの信憑性がどの程度か不明な点も多くありました。それらの諸説を総合的に見て判断した相場が、50%くらいだったのです。
症状は軽減する
さて、この数値だけを見ると、「予防接種をしても、それだけの確率で罹ってしまうのであれば、わざわざ接種費用を払ってまで予防接種を受ける意味がないのでは?」と考える人も多いと思います。
確かに私も一瞬そのような考えが頭によぎったのですが、今回のインフルエンザの一連の経験を通して、そうは思わなくなりました。その理由を一言でいえば「予防接種をしている場合、たとえ罹っても症状が軽くなるから」です。
これについても一般に言われていることでもありますから、今更言うまでもないことかも知れませんが、実際に体験したからこそ実感を持てたのです。
私がインフルエンザに罹ったとの認識を持ったのは、通院して検査を受けて結果を知らされた時でしたが、通院前の測温では38.0℃でした。そしてその後、その日の体温は最高でも38.7℃でしたから、インフルエンザの割には、それほど高くなかったことが分かります。
そしてその翌朝には37.2℃まで下がり、夜には平熱まで下がり、それ以降は、全く熱はありませんでした。
数年前に、予防接種を受けないでインフルエンザに罹った時には、39度5分くらいはありましたし、熱は3日~4日間下がらない状態が続いていましたから、発熱だけをみても軽いと分かります。
そして、数年前の病状と比較した場合、今回は一日寝ただけで大きく回復したのに対して、数年前に患った時には、3日間位は寝込んでしまって、ほとんど動けない状態でしたから、明らかに違いました。
また今回、子供達の様子を見ていて、予防接種の有効性を強く認識しました。
私の二人の子は、私が発症してからインフルエンザに罹ってしまい、体温はそれぞれ39℃、38.5℃まで上がりました。
発症当初は、具合悪そうにして元気が無かったのですが、医者から処方された薬を飲んだよく朝には二人とも熱が37度台まで下がり、その夜には平熱になり、室内で走り回って遊ぶまでに急速に回復したのです。
余りの元気さに「お前達はインフルエンザじゃないのか? !」と叫んでしまったくらいです(笑)
小さい子供の場合、体力もなく、この種の病では、時として生命の危険につながる可能性もあるとのことですし、回復にも時間を要するものだとの認識がありましたから、こういった姿とはかけ離れた姿を見て「予防接種をしておいてよかった」と実感しました。
実際、予防接種の最大のメリットは、重篤となり得る合併症を抑制してくれる点で、最も効果が大きいと言われています。
予防対策は重要
さて今回このように、予防接種は、発症を抑制してくれる効果があること、たとえ発症しても症状を軽減してくれる効果が期待できることを実体験で再認識することができました。
しかし、同時に強く印象に残ったことは、予防接種をしていても、発症確率だけを論じるならば半減させる程度しか期待できないという事実です。
見方を換えれば、予防接種以外に「一般に効果的とされる予防対策がとても重要であること」を再認識したと言えます。
今回のことは、生活上の事情によって無理がたたったことが大きな原因でしたが、やはり注意が不足していたのも事実でした。
よくよく考えれば、予防接種は予防に効果的ではありますが、他にも効果的だと言われている方法は幾つもあります。よく知られているところでは、
・こまめな手洗いやうがい
・睡眠や栄養など日頃からの健康管理
・人混みなどへの外出の控え
・適正湿度(50~60%RH)を保つ
などがあります。(中には、効果を疑う説もあるようですが… )
もし仮に、これらのうち1つの対策で発症率を1~2割低減することができたなら、4つの対策を全て行えば半減することができることになります。
更にこれらの対策を、予防接種と並行して行えば、発症率を2~3割程度には抑えることができるようになるハズです。
つまり、予防接種だけに頼らずに、採れる対策は全て採るくらいの心構えが大切と言えます。
そして、このことが「いかに大切なのか」を改めて強く感じたのには、今回初めて認識したある事実があったからです。
その事実とは「インフルエンザは、発症する前日から相応の感染力を持つこと」です。
インフルエンザは、潜伏期間が1日と言われていて、実際はわずか十数時間とも言われています。
しかも、潜伏して未だ発症していない期間に既に感染力を持っているため、「インフルエンザに罹ったかも知れない」との認識を持てないうちに、既に周辺にいる人に対して感染の危険が生じてしまうのです。
これこそが、インフルエンザの拡散しやすい大きな理由のひとつで、これに対抗できるのは「事前に対策を採る」ことに尽きる訳です。
今回、私が感染してから、手洗いやアルコール消毒、保湿などを意識して対策を採りましたが、既に罹ってから採る対策には自ずと限界があり、結果として子供達にうつしてしまいました。(親としては心苦しい限りです)
だからこそ、普段から採れる対策を事前に遂行することが何より大切なのだと痛感させられました。
普段、インフルエンザに対して漠然と構えている方は、当たり前の対策を当たり前に実行する大切さを再認識すべきでしょう。