頻繁に訪中していた私は、中国において色々な体験をしました。
そんな体験の中で特に印象的であったのが、同じ中国人同士でも言葉が通じないと言う場面を目の当たりにしたことでした。
中国内の色々な場所へ
私は中国に興味を持ち、独学でも中国語を学び、日本でも多くのネイティブとのコネクションを持っていますが、機会を見て訪中することが度々あります。
特に以前は上海に頻繁に足を運び、上海だけでなくその周辺地域はもちろんのこと、江西省や安徽省などにも足を運び、現地の色々な人と接して来ました。
通常は、日本語ができる上海の知人と行動を共にして、通訳などもして貰っていましたので、どんな場所に行っても言葉の上では何ら不自由を感じることなく過ごせていました。
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上海から足を運んだ訪問先で
そんなある時、その上海の中国人に同行して貰って、江西省出身(上海在住)の友人の実家を訪れることになりました。
そこは、江西省の中でも都市部ではなく、どちらかと言うと農村地域でした。
そこに滞在すること数日間、現地の人達と接する機会が多くありましたが、全て上海の知人を通して通訳してもらってコミュニケーションをとっていました。
ところが、ある現地の人とコミュニケーションを取ろうとした時、上海の知人が突然、
「言葉が通じない」
「何を言っているのか、さっぱり分からない」
と言い出したのです。
話をよく聞いてみると、現地の人が話す言葉を上海の知人が理解できないだけでは無く、上海の知人が話す言葉も現地の人は理解できていませんでした。
要は、お互いに何を言っているのかさっぱり分からない状況だったのです。
それは、単に発音が大きく違うなどという話ではなく、例えて言えば言葉そのものが違うとのこと。
通訳をして貰っていた上海の知人は、上海出身であるため上海語という独特の言語は話すものの、標準語となっている普通話はきちんと話せます。
なので言葉の問題は全くなく、その時も当然、標準語で話しをしたそうですが、さっぱり通じないとのことでした。
その時は正直
「同じ国内なのに標準語が通じないのか?」
と、少し衝撃的な思いが湧いてきました。
たとえ方言はあったとしても、
「標準語が使えないとはいったいどういうものなのか」
とも思いました。
結局、江西省出身の友達に間に入ってもらい、二人の通訳を通してコミュニケーションを取ることになりましたが、私にとってはとても貴重で面白い体験となりました。
多民族多言語
この経験を通して感じたことは、多民族国家であり多言語国家でもあり、日本では想像できないことがあるのだということでした。
そして、標準語があるとはいえ、実際にはそれを使えない人も少なからずいるということで、国土が広大だと違う物だとつくづく思ったものでした。
実際、中国のテレビ放送では、生放送以外の番組で、必ず標準語の字幕が出てくることを思い出しては、お国事情がこんなところにも表れているのだと感じました。