未来少年コナンの登場人物「テラ」は、サブキャラクターとも言える存在ですが、このストーリーに強いスパイスを与えてくれます。
そんなテラにスポットを当てて、深く掘り下げてみることにしました。
目次
テラはストーリ中でどんな立場・役柄か
テラは、ハイハーバーの村人達と対立している不良少年オーロの妹で、兄のオーロと共にハーハーバー島の荒地を支配するメンバーの幹部という立場にあります。
オーロ達は、ハイハーバーの村人とは、いつも揉め事を起こしていて、ハイハーバーで生まれ育ったラナにとっても、道を踏み外してしまったオーロ達とは、一線を画している存在です。
ストーリーの中盤で、ハイハーバーに戻って来たコナンとラナとジムシーと、オーロ達は衝突しますが、その中、テラはジムシーが気になる存在になって行きます。
そして、敵対関係にあるコナンたちとオーロたちの関係が複雑な中にも、テラはジムシーにより強い好意を寄せるようになり、それが一つの見どころにもなっています。
テラは、全26話ある未来少年コナンのうち、わずか数話にしか登場しませんが、その存在感は大きいです。
キャラクターの設定としては、わずか9歳の女の子、小学3年生か4年生くらいですが、ジムシーとの接点の中に、子どもらしさがにじみ出ていて、何とも可愛らしく魅力的です。
そんなテラ役の声優を務めているのは、「つかせのりこ」(=はらのりこさん)さんです。
つかせのりこさんと言えば、
- 魔女っ子メグちゃんの郷ノン
- 超電磁ロボ、コンバトラーVの女帝ジャネラ
- くまの子ジャッキーのジャッキー
- おはよう!スパンクのスパンク
- つるピカハゲ丸くんのハゲ田ハゲ丸
などのメインキャラクターの声優を務め、他にも70年代~80年代にかけて数多くの作品で活躍した女性です。
テラの声優としても、感情がこもったセリフがよく伝わって来て、立派な声優であることがよく分かります。
テラの活躍を振り返る
では、未来少年コナンの中で、テラがどのように活躍するのかを振り返ってみます。
未来少年コナンは全26話ですが、テラが初めて登場するのは、ストーリーの後方を過ぎた第15話「荒地」からです。
第15話で初めて登場してから、第20話「再びインダストリアへ」でジムシーと別れの言葉を交わすまでの、わずか数話だけが事実上テラの活躍する部分です。
第26話「大団円」(最終話)でも再登場しますが、わずかなシーンだけです。
従って、テラが活躍するのは第15話から第20話の間、つまりコナンやジムシー達がハイハーバーに滞在しているわずかな期間を描いた部分が中心と言えます。
では、もっと細かく見て行きましょう。
第15話で初めてテラが登場
まず、テラが初めて登場する第15話「荒地」ですが、コナンとジムシーの二人がオーロの統治する荒地に入ってオーロと話を付けに行った時、コナンとジムシーを侵入者として捕えた一人がテラでした。
この時、テラはオーロの手下の仲間と馬に乗ってコナンとジムシーを追い回していますが、初めは仮面を被っていたため、素顔は見えない状態です。
その後、コナンとジムシーはテラ達によってオーロ(テラの兄)のところに連れて行かれますが、その際、テラが女性であると気付いたジムシーは、テラに向かって「お前、女か?女だ!」と驚いて叫んでいます。
このように、最初はオーロの手下として、オーロの地域を守る幹部の一人として振る舞います。
そして、コナンとジムシーが既にオーロと面識があったことを知ったテラは、少しびっくりしますが、コナンとジムシーに危害を加えようとするオーロの手下を前にして、テラは二人の実力を試してみることを兄のオーロに提案します。
テラの提案の通り、コナンとジムシーの二人は気性の荒いブタを捕えられるかどうかを試されますが、二人は力を合わせてオーロ達の目の前で豚を捕まえてみせます。オーロは二人の腕前に驚くと共に、とても感心してコナンとジムシーに仲間にならないかと誘います。
コナンは「話はついた」と考えていたため早く村に戻りたがりますが、「幹部にする」、「馬にも乗れる」との誘いにのったジムシーは、オーロ達の幹部になろうとします。
そして、馬に乗る練習を始めたジムシーが乗馬に苦労している時に、馬に飛び乗って乗馬の手ほどきをしたのがテラです。その後、ジムシーとテラは仲良く馬に乗って、オーロが統治する地域を走り回ります。
その後、ある地域で小ヤギを見つけたジムシーは腕に抱きかかえますが、そこにヤギの飼育者であるチートが現れ、ジムシーの抱きかかえ方が乱暴だと注意します。
そのやりとりを見ていたテラは、(兄オーロの組織の)新しい幹部ジムシーに対する無礼な態度を責め、刃物を取り出して、その子ヤギを殺そうとします。
チートの仲間はテラに反感を持って睨み付け、その一部始終を見ていたジムシーは戸惑いますが、テラのあまりにも横暴な態度に不信感を募らせます。
そして、ジムシーはテラに対して「これ(小ヤギ)お前のじゃないんだろ?」と問うと、「幹部を辞める」と告げて小ヤギをチートに返します。
その言葉を聞いたテラは、ジムシーを裏切り者と見ますが、「ジムシー。謝るなら今のうちだよ」と仲間に戻るように懇願します。聞き入れないジムシーを目の当たりにしたテラは、ジムシーをその場に置いて怒って戻って行きます。
ジムシーの身を案ずるテラ
そんなことがあった後のある日、テラが馬に乗って海辺を走っていると、ガルおじさんの船がオーロの住む方面へ航行して行く姿を目撃して不審を抱きます。
様子をうかがっていたテラは、チート達がオーロに秘密で、村と貿易をしていることを知ります。その直後、テラはチートのもとでブタの飼育を習っていたジムシーと偶然に再会します。
テラは、オーロの領域内で勝手にブタの飼育をしていることを責め、どうして戻って来たのかを問いますが、ジムシーは「来たいから来た」とだけ告げて、とりあおうとしません。
ジムシーに思いを寄せるようになっていたテラは、ジムシーに向かって仲間に戻るように誘いますが、ジムシーはオーロの仲間にはならないと言い切ります。
するとテラは「ジムシーのバカ!!」と言って、その場を去って兄オーロのいる場所に戻り、コナンたちがチートらと勝手に貿易していることを伝えます。
一方、バラクーダ号の修理のために人手が必要だったダイスは、オーロと手を組んで手助けしてもらうように話を持ちかけますが、成り行き上、交換条件としてダイスはコナンたちを始末することになります。
傍らでオーロとダイスとのこの会話を耳にしていたテラは、ジムシーのことが気になって、兄オーロに「お兄ちゃん。ジムシーは?」と確認します。
オーロが、ジムシーもコナンの仲間だから始末する旨を告げると、ジムシーに思いを抱くテラはいたたまれなくなり、馬を飛ばして出て行きます。
その後、テラはラナの家に向かい、ラナに会うと「ジムシーはどこ?」と尋ねます。何ごとかと思ったラナは、「ここには居ない」と告げた後、何があったかをテラに問いますが、テラは立場上ジムシーを救うためとは言えず、返答に窮します。
何とか助けなければとの思いを抱くテラは、追い込まれて涙ぐみながら「間に合わないんだよ」とつぶやき、その場を去って一人でジムシーを探しに向かいますが、この時のテラの姿には、ジムシーが心配で心配で仕方がないという思いがそのまま表に出ています。
ジムシーもテラが心配に
この一件の直後、ハイハーバーにインダストリアの戦艦ガンボートが攻めて来ますが、オーロの住む地域に上陸したインダストリアの戦闘員は、一瞬でオーロたちを制圧します。
コナンとジムシーは、その戦闘の様子を遠くから見ていましたが、ジムシーはテラが気になり「テラの奴、死んじゃったのかな?」とつぶやいています。
その後、コナンとジムシーの目の前に、戦闘から逃げてきたテラが通り掛かりますが、次の瞬間、テラは砲撃を受けたショックによって馬ごと倒れてしまいます。
コナンとジムシーは直ぐに、気絶してしまったテラを抱きかかえて助け出して一緒に逃げ、村に着くとジムシーは部屋の一室にテラを休ませます。
気を失って部屋で休んでいたテラは、目を覚ますと、兄のオーロが戦闘によって死んでしまったと思い込んで泣きだします。
そんな姿を心配したラナは、テラがジムシーを助けるためにわざわざ来ていた事実を伝え、「テラは本当は優しい子だから慰めてあげて欲しい」とジムシーに頼みます。
ジムシーは、最初は躊躇しましたが、心配であったこともあって、結局テラを励ますことになります。しかし、兄オーロの安否を心配するテラはなかなか泣き止まず、ジムシーは手を焼きます。
困ってしまうジムシーでしたが、テラを心配する気持ちはそのシーンに表れていました。
その後モンスリーと手を組んだオーロ達が、逃げたふりをして村にやってきますが、そんなことも知らない村人たちはオーロ達を守り、テラの居る部屋へ案内します。部屋に入ったオーロと再会したテラは、あまりの嬉しさに泣いて喜びます。
間もなくして戦艦ガンボートからの砲撃が始まると、それを合図にオーロは室内で見張りをしていたジムシーの隙をついて頭を叩いて気絶させ、村の制圧に乗り出します。
その場に一緒にいたテラは、兄の行動をとがめる訳にも行かないものの、気絶してしまったジムシーが心配で傍で気づかいます。
テラはジムシーに思いを寄せていましたが、その一方で、ジムシーもテラのことが心配で気になる存在になっていったのです。
最後はジムシーと共に
そしてストーリーは、コナンがガンボートを沈めてラナを救出し、大津波を機に形勢が逆転し、コナンとジムシーは共にインダストリアへ行くことになります。
そして、ジムシーはハイハーバーを離れるに当り、飼っていた子豚をチートへ預けに行きますが、その途上、テラとばったり会うことになります。
ジムシーはテラへ、インダストリアへ行くので子豚をチートに預けに行くことを告げますが、その時のテラはどこか寂しそうな顔をします。
テラは、兄のオーロがラナから奪い取ったラナの母親の形見であるペンダントをジムシーに渡し、ラナに返して欲しいと告げます。
この時二人は、もう二度と会うことはないかも知れないとの思いを抱いたことでしょう。この時、言葉に出せない中にも、お互いに思いを寄せている心の叫びのようなものが伝わって来ました。
このシーンから、最終話(第26話)でジムシーと再会するまでは、テラは一切登場しません。しかし、最終話ではジムシーとテラは、あたかも昔から仲が良かったかのように一緒にブタを飼育しています。
そして新たな旅立ちとして一同がのこされ島に向かう際には、テラは兄のオーロと別れてジムシーと行動を共にして行きます。新たな人生の出発を、新たな土地で、ジムシーと共にスタートするのです。
フィクションであり、まだまだ小さな子どもであるジムシーとテラですが、小さな恋心が純粋にストーリーに表れている姿を見た時、どこか爽やかな思いを感じさせてくれます。
最終話において、テラは脇役として小さな花を添える役割を果たしている気がします。
テラはどんな性格、どんな人物か
以上、テラの活躍を振り返ってみましたが、テラの行動から、テラの人物像が浮かび上がってきます。
筆者の見解も含めて、テラがどんな性格を持つどのような人物なのかを考え、まとめてみました。
兄に従順な純粋な女の子
テラは、兄であるオーロをとても慕う純粋さを持っています。
兄のやり方が正しいとか間違っているとかは別として、兄を信じて、兄に従おうとする姿には、子どもの純粋さがそのまま表れています。
表面に表れた気の強さは、兄の行動から学んで自然に身に付いたと考えられますが、それは同時に純粋だからこそ、そうなったのだと感じます。
常に、兄に指示を仰ぎ、兄に報告し、兄に付き従う。そんな子供らしい純粋さ(もちろん子供ですが)こそがテラの魅力と言えます。
行動力がある
そして、テラの行動力には目を見張るものがあります。
9歳という年齢で、馬を自在に乗りこなすだけでもスゴイのですが、一人で馬に乗ってどこにでも移動するような姿には本当に驚かされます。
また、物事の善悪は別として、チートの小ヤギにナイフを突きつけるようなことも、行動力がなければできることではありません。
更に、インダストリアの戦闘員が島に上陸して来た時も、怖じもせずに兄と共に迎え撃とうとする姿には、行動力と共に勇敢さも感じます。
ジムシーの身を案じて助けようとした時は、夜中にも関わらずたった一人で暗闇の中を、馬に乗って走りゆくところは、ずば抜けた行動力がなければできません。
無鉄砲と言えばそれまでかも知れませんが、普通の9歳の女の子には決してできないことができるところもテラの魅力です。
秘めた優しさを具える
そして、気が強くて気性が激しく、男っぽい一面を持つ一方で、心の中には秘めた優しさを具えていることを感じます。
その優しさを強く感じるシーンは2つあります。
1つは、ジムシーの身を案じてわざわざ夜中にラナの家を訪れたことで、もう1つは、ラナの母親の形見のペンダントを返してくれたことです。
1つ目は、ジムシーに対して好意を抱いていたからこその行動ですが、人を思う純粋で強い優しさがなければあそこまでの行動はとれるものではありません。
2つ目は、ラナにとって母親の形見がどれだけ大切であるかを感じたからこそで、優しい心を持つことの表れです。ストーリーには出て来ませんが、オーロが自発的にラナに返そうとしたというよりも、テラが兄に働きかけたからこそ返すことになったと言えるでしょう。
本当はとても優しい心を持つ女の子、それが少女テラです。だからこそ、コナンの第一の仲間ジムシーと最後は一緒になることができたのだと思えてなりません。
他のキャラクタとのつながり
では最後に、他のキャラクターとのつながりを考えてみます。
未来少年コナンは、コナンが主人公でヒロイン役がラナになりますが、テラはこれらコナンやラナとは特に大きな接点を持ちません。むしろほとんどないと言えるくらいです。
テラと大きな接点を持つキャラクターと言えば、コナンの一番の仲間であるジムシーと、コナンと敵対するテラの兄オーロの二人だけです。
メインキャラクターと言える、ダイス船長やモンスリーとも接点はありませんから、事実上ジムシーとオーロの二人だけと接点があると言えます。
では、具体的に二人とのつながりを見てみましょう。
ジムシーとのつながり
上記の通り、テラがジムシーと始めて出会ったのは、ジムシーとコナンが豚の件でオーロと話を付けに行った時のことです。
その時は、テラにとってジムシーは単なる”不法侵入者”に当たるため、言わば「敵」という存在でした。
しかし、ジムシーが豚を捕えてその腕前を兄のオーロに評価されて、ジムシーがオーロの仲間になると言ってからは二人は急速に接近します。
特に、テラがジムシーに乗馬を教える時は二人共とても楽しそうで、意気投合した感じもします。これがテラとジムシーがお互いを意識し初めた時と言えるでしょう。
その後、ジムシーはオーロの仲間にはならなくなり、これを機にテラとジムシーの距離は離れて行きますが、既にこの時にはテラにとってジムシーは気になる存在を通り越して、思いを寄せる存在になっています。
実際、「何とかジムシーに、仲間に入って欲しい、戻って欲しい」というテラの溢れるような思いが、行動や言葉の随所に表れています。
何よりも、兄オーロがコナンとジムシーを始末しようとした時には、テラはジムシーを守ろうと必死で行動していますので、もうこの時は「ジムシーはとても大事な存在」になっていました。
一方のジムシーも、島がインダストリアの戦闘員に襲撃された時には、テラのことを心配していますから、ジムシーにとってもテラはとても気になる存在であったことは確かです。
その後も、ジムシーは泣き崩れたテラを励ましていますし、逆にテラはオーロによって気絶させられたジムシーを気づかっています。
兄のオーロとは対立関係にあるジムシーですから、テラとジムシーとの間にはどうしても距離ができてしまうのですが、そのうような中にもお互いの思いがにじみ出るようなシーンがいくつも見られます。
インダストリアへ行くことを決意したジムシーが、出発前にテラと出くわした時などは、お互いに好意を持ちながらも一緒になれない場面は、切なさすら感じます。
しかし、最終話では、テラとジムシーは仲良く一緒になって新たな旅立ちをして行きます。
テラとジムシー。距離がありながらも最後は結ばれて行く。二人はそんなつながりです。
オーロとのつながり
さて、テラとオーロとの関係はどうでしょうか。
ひと言で言えば、兄妹の姿そのものです。
テラは兄であるオーロを慕い、信頼し、従順に従う。テラは常にそんな行動をとっています。
親しみのある声で「兄ちゃん」と呼ぶテラのセリフひとつとってみても、そういう兄妹関係がにじみ出ています。
オーロが統治する領域で、テラはオーロに忠実に従うオーロの手下でありながら、同時に妹でもありますが、いずれにしてもそこには子どもが無邪気に兄を慕う姿が随所に見られます。
ジムシーには思いを寄せるから一緒にいたいと言う思いがあるものの、兄であるオーロには逆らわない。
それくらい兄のオーロとは強い兄妹の絆があると言えるでしょう。
テラに関するまとめ
以上、未来少年コナンの登場人物テラについて掘り下げてみました。
テラは、実質的に第15話から第17話にかけての3話余にしか登場しませんが、その割には存在感が大きいと感じます。
兄のオーロと対立するコナンの仲間ジムシーに甘い恋心を抱くテラは、両者の板挟みにも似た状況に置かれる中、子供らしい純粋な行動がとても切なく思えてなりません。
ジムシーに思いを抱くからこそ発した「ジムシーのバカ!」のひとこと。女の子の恋心が表れています。
兄を失ったと泣き崩れる姿には、兄を慕う小さな子供らしさを感じます。
わずかしか登場していない脇役でありながら、これだけ語れるキャラクターはそれだけでも凄いと思います。
テラがいたからこそ、コナン達と敵対するオーロたちとの関係に深みが出ています。
テラがいたからこそ、ジムシーというキャラクターの存在がより大きくなっています。
まさに、テラは未来少年コナンの味わいを強めてくれる欠かせないスパイスのようです。