何度も中国に足を運んで、現地の人々と直に関わった経験から、外からは分からない色々なことを知ることができました。
そんな体験を、中国こぼれ話としていくつも記事にして来ましたが、今回は何でも食べる中国人をテーマにします。
傍(はた)から見ればゲテモノ食いとも思うものですが、実際に間近で見ると違った一面も感じました。
市場を見ると、なんでも食べる中国人の姿がよく分かる
中国人は何でも食べる。
そのように聞くと、
「そうだよね」
と、頷く人も多いと思います。
日本人から見れば、
「あり得ない!」
と考えるものですら食用にしてしまいますから、ちょっと異次元な感じもします。
そんな思いを強く感じることができるが、中国の市場(いちば)です。
いわゆる中国の一般の人が、日常で利用している食料品市場を見ると、そこには日本では見かけることのできないような「生き物」が多く見られます。
日本でもスーパーを見れば、魚や貝などの海産物や、野菜や穀物・果物などの農産物は、収穫したままの姿で陳列されていますので、どんな動植物なのかが良く分かりますが、中国でもこれは同じです。
で、実際に見てみると凄いんですね。
例えて言えば、
「動植物なら何でも食べる」
という感じです。
市場に陳列されている物の中には、
「いったいこれは何?」
という謎の生命体がいっぱい並んでいるんですね。
「これ食べらるの?」
と思ってしまうものが多々あります。
捕獲したまま、収穫したままの姿なんてことも珍しくありません。
まさに、中国人は何でも食べるって姿が、市場にはにじみ出ているんです!
なので、我々が日常で食べる豚肉なんかも取り扱い方が凄いんです。
豚の顔の部分が、ほぼそのままの状態で売られているんです。
外観から直ぐに顔の部分だと分かる。かなりグロテスクです。
豚足も爪の形状が残る状態でそのまま売られています。
凄いのは、豚足なんかはそのまま調理するので、出来上がった料理は足の形状がそのまま。
私も食べたことがありますが、見た目の抵抗感はあるものの、味は結構いけていました。
日本だと、食肉は精肉の過程を経て、店頭に並べられる部分や加工品の原料として使う部分、或いは廃棄する部分に分けられると思いますが、中国ではどちらかと言えば、全てをそのまま利用するという感じです。
まぁ、ある意味では、食料資源を無駄にしないとも言えます。
中国に行く機会があれば、一般市民が利用する市場をのぞいてみると、とても面白いですよ。
屋台でザリガニが売られる
さて、次に紹介したいお話は、ザリガニの話。
都市部に行くと、夜間には多くの屋台が飲食物を販売していますが、その中にある1つがザリガニ。
初めて、現地の人から
「ザリガニを食べる」
との話を聞いた時には、ちょっとゾッとしました。
あんなもの食えるか!
そんな感覚を持っていたんですね。
でも、現地の中国人は
「おいしいよ!食べてみな」
と。
恐る恐る、購入してホテルに持ち帰って試食。
「うまっ!」
うわべのイメージとは違っていました。味としてはまさに”海老”です。
塩味ベースで煮たものでしたが、エビを調理した感じでした。
最初の一口は、恐る恐るでしたが、結局、全て食い尽くしました。
同伴した友人も
「うまい、うまい」
と口にしていました。
ちなみに、ザリガニと言っても、日本に広く繁殖している濃いえんじ色のアメリカザリガニとは違います。
色も形状も、何となく日本でよく見かけるような海老に似ているんです。
例えて言えば、海老の両腕にハサミを持たせたような生物!
まぁ、エビとザリガニってどこか似ていますから、味も似ているんですね。
当初、
「中国人は変なもの食べやがる」
と思っていた私でした。しかし、
「こんなうまいもの食うとは、中国人なかなかやるな」
との思いに変わりました。
蚕を食材に利用して食べる
さて、次は蚕(かいこ)の話です。
蚕と言えば、絹の原料となる繭を作る蛾の一種ですが、幼虫を食べるんです。
見たことがある人もいると思いますが、灰色のような白っぽい虫。
アゲハ蝶の幼虫を、ひと回り小さくした薄い灰色の虫をイメージすると分かりやすいと思います。
要は、蛾の幼虫。虫ですよ虫!(蝶の幼虫ならまだイメージもいいのですが…)
グラタンのような料理として、広く飲食店で扱っているメニューのひとつなんですが、現地では「美味しい!」と言う人も多くいます。
実際に一緒に外で食事をした時に、目の前に料理を出されましたが、結局はどうしても口にすることができませんでした。
勇気が出なかったのですね。一緒に食事をしたその中国人は
「うまい!うまい!」
と言いながら、その料理を全て平らげてしまいました。
一口だけ食べてみた私の友人は、次の瞬間、吐き出してしまいました。
「どんな味?」
と聞く私に対して、
「青虫を食べているような感覚、葉っぱ臭い」
と言っていました。
さすがにこれは食えない。そう思った私でした。
でも、中国人には好きな人は本当に好きらしく、大好物と思っている人も結構いるとのこと。
「蓼食う虫も好き好き」
とはよく言ったものです。
とは言え、日本人も虫を食べますよね。
イナゴの佃煮なら私も食べたことあります。
もし、外国人がイナゴを食べる姿を見れば、
「なにバッタ食ってんの?」
ってことになるかも。
中国人の蚕と日本人のイナゴ。お互い様なのかも知れませんね。
犬肉料理の専門店がある
さて、最後はイヌの話。
「えっ?犬を食べるの。可哀そう…」
そんな言葉も聞こえてきそうです。
犬って飼っていると心が通じ合う動物のひとつですから、人間にとっては一緒に生活できる動物ではトップクラス。
そんな犬を食べてしまうなんてちょっと気が引ける感じです。
でも、中国では犬を食べるのは決して珍しくないとのこと。
実際に、現地には犬肉料理の専門店があります。
私も、連れて行って貰い食べてみたのですが、結果としては「かなり美味い」です。
食べた感じは、味も歯ごたえも豚肉の食感にとても似ていました。
まるで豚肉料理を食べている感じだったのです。
結果として、ガッツリ食べました。
実際に出てくる料理は色々あり、どれも料理後の姿をしているので、見た目だけだと犬の肉ってことは分からないのですね。
だから、抵抗なく食べられました。
むしろ、
「これって本当に犬の肉なの?」
という気持ちが強かったですね。
話を聞いてみると、犬肉専門店などで扱っている犬は、食用の品種とのこと。
食べるのに適した品種が選ばれているってことです。
これを聞いて、さすがになるほどなぁと感じ、何でもかんでも食べる訳ではないと思ったのですが…。
実は、別な中国人から聞いたちょっと度肝を抜かれた実話があります。
それは、私の知り合いの中国人の子供の頃のはなしです。
その人は、一人っ子政策の世代で両親と共に家族3人で暮らしてきましたが、兄弟がいないこともあってペットとして飼っていた犬をとてもかわいがっていました。
そんなある日、家に帰っておいしい夕食を終えたその人は、ペットの犬が家にいないことに気付きました。
おかしいと思って
「犬はどこにいるの?」
と親に尋ねたところ、親はこう答えました。
「お前が今、おいしい、おいしいと言いながら食べたお肉だよ」
その中国人は、号泣したそうです。
飼っていた犬の品種が何かは聞いていませんが、食用専用の犬ではなく、ペットとして飼うような普通の犬だったそうです。
食べられるものは何でも食べる。
中国人のそんな一面を感じさせる話でした。