30歳くらいのことだったと記憶していますが、私の人生の中で、一度だけ「人生終わった!」と、死を覚悟した経験があります。
夜間の高速で降雪
それは、宮城県古川市から自動車での帰り道の時のことです。既に夜9時を回っていたので、古川ICから東北道に入って急いで帰ろうとスピードを上げて走行していたところ、パラパラと雪が降り出して来たのです。
12月の寒い時期でしたので、当然、スタッドレスタイヤを事前にはいていたこともあり「それほど心配はしないでいいだろう」と考え、そのまま走り続けていました。
古川から仙台へ続く高速道路の区間には外灯が無く、ヘッドライトだけが頼りなのですが、雪が降りはじめだったこともあり、路面は乾いているように見えたので、降りが強くなる前に少しでも早く南方へ向かおうと、かなりスピードを出していました。
「ばらつく雪なら大丈夫」「路面が塗れていなければ大丈夫」と判断していたので、そのままスピードを出し続けていた時のことです。
大スピン
突然、後輪部分が滑り出し、車両の後方部分が左右に大きく振れだしたのです。恐怖のあまり、慌ててブレーキを踏んだ次の瞬間、一気に車両が回転しだして、全くの制御不能な状態に陥ったのでした。
そして、回転し続けたまま、高速道路を上り方面に滑りながら進み続け、運転席に座る私は、全くなす術もなく、ただ死を待つような状態となりました。
フロントガラスから外を見ても、暗さと回転により自分の位置や状況さえも何も分からず、激突する衝撃がない限りは道路上を滑っているのだろう、との想像しかできませんでした。
結果としては、高速道路の中央に横たわる形で自然に停止したのですが、そこに到るまでの時間は非常に長く感じました。1分だったのか、2分だったのか、あまりのことに、時間感覚もマヒしていたので、どれ位の時間、滑り続けていたのか分かりません。
停止して、「ハッ」と我に返って周りを見た時、横たわる私の車両に向かって、後続車両のヘッドライトのわずかな光が、遠方から少しずつ近づいてくるのが分かりました。
「衝突する!」との衝撃が脳裏に走り、いつの間にか停止していたエンジンを、再スタートさせてみたのでした。幸いにも、エンジンはスムーズにかかったので、急いで車両を路肩まで移動することができ、危うく衝突を回避することができました。
そして、車両はそのまま路肩に一旦停止し、安全を確かめた上で社外に出てから、車両の損傷状況を確認したのでした。
九死に一生
社外に出て初めて気づいたのですが、路面は既にはっきりと雪に覆われている状態でした。とりあえず、車両の回りを一周して外側を見渡したところ、外傷は全く無く、どこかに衝突した形跡もなかったので、運転するのは問題ないだろうと判断して、そのまま次のパーキングエリアまで夢中で走ったのでした。
パーキングエリアに到着すると、外灯が照らされる位置に車両を停め、改めて、車両の状態をよく確認しましたが、見た目は何もなく、気付いた点といえば、フロントバンパーの内側の付け根のビス留め部に、亀裂が生じて2箇所ほど外れていたこと、フロントガラスのワイパーが動作しなくなっていたこと、の2点だけで、あとはどこも問題がありませんでした。
その後は、スピードを出し過ぎないように普通に運転しながら、東京方面へ向かい、最後は無事に帰ることができました。この体験こそ、まさに、「九死に一生を得た」ものでしたが、本当に運が良かったと思います。
路面の状態に注意
この体験によって、高速走行、特に路面の状態が良くない場合には、命取りになることを骨身にしみて実感しました。そして、今でも不思議に思うことは、路面は乾燥していたはずなのに、実際はどうだったのだろうかということです。
恐らく、結果として滑ってしまったことを考えると、暗い夜道であったため乾燥して見えていたものの、路面上には雪や氷、水分などが既に実際にあったということでしょうし、山間部を走行していたので、気象状態とそれに伴う路面の状態が、場所によって急に変化したということでしょう。
私の場合、幸運にも無地で済みましたが、夜間、積雪時の高速道路の運転は、路面の状態も良く分からないので非常に危険です。何かあってからでは遅いですから、過信することなく、みなさんも安全運転を心掛けてください。