市内の、とある道路を走行中、錆びついて認識が困難な道路標識に目が留まりました。
気になって近づいてよく見てみると、車両進入禁止の標識で、その下には「70m先の踏切」と書いてありました。
これを見て頭に浮かんだのは
「もし標識に気付かなかったらどうなるのだろうか?」
「標識として意味があるのだろうか?」
「なぜこのような状態のまま放置されているのだろうか?」
といったことでした。
標識に気付かなかったら
まず「もし標識に気付かなかったらどうなるのだろうか?」ですが、70m先の踏切にきちんと認識できる同じ標識がなかったとしたら、気付かずに進入してしまうことでしょう。
かりに、同じ標識があったとしても、気付いて引き返すとしたら、道幅が狭いので運転が難しそうです。
見た感じでは、普通の車両では通行できそうもなく、軽自動車ならやっと通れるような道幅で、もしバックで引き返す必要が生じたら、うまく運転できない人もいるのではないかという感じでした。
標識に意味があるのか
そんなことを考えていると、やはり気になるのが「標識として意味があるのだろうか?」ということで、車を脇に停めて、歩いて踏切のところを見に行くことにしました。
途中ちょっとしたカーブがあって、その道路状況を見ると、やはり普通自動車では曲がるのは困難な状態で、軽自動車でも気をつけないと曲がれないような感じでした。
カーブを過ぎれば踏切が見えてくると思い、足早に駆け寄ると、「あれ?!線路はあるけど踏切はどこ?」という感じで、線路手前まで着いて左右を見渡しても、近くに踏切など全くないのでした。
踏切自体が無ければ踏切への進入なんてあり得ませんので、結果としては意味のない道路標識ということで「なんだ!」という感じでした。
そして線路の手前はT字路になっていて、左右何れかに曲がって線路沿いの道に抜けることができる構造になっていました。
ただし、このT字路は狭いため、軽自動車でも右左折は困難な感じでした。いずれにしろ、ここに以前は存在していた踏切が、線路や道路が整備されて無くなったのでしょう。
なぜこの状態のままなのか
さて、では「なぜこのような状態のまま放置されているのだろうか?」ということですが、意味のない標識なら撤去すべきところ、そのまま放置されているわけですね。
ただ、実際のところ、実害があるのかというと、踏切が無い以上、踏切に進入しようがありませんから、交通違反にはなり得ません。
道路としては、T字路になっていて、バイクなら通り抜けることができるので、通行上、困ることもありませんが、四輪車両ならたとえ軽自動車でも引き返さなければならないようです。
しかし、ここは地元の脇道なので、通常はこの地域の人しか通ることはありませんから、踏切は撤去されて通れないことを知っていて、進入することはまずないのが現実なのでしょう。
従って、実害と呼べるほどのものはありませんが、あえて害があるというならば、その標識が紛らわしいということでしょう。そうとは言え、それだけの理由のためだけに、わざわざ費用をかけて、撤去をする必要はない、ということなのでしょう。
今回、普段はあまり見かけることがないようなものに出くわしたわけですが、
「果たして都区内ならこのようなものを見ることがあるだろうか」
「バブルの時代ならそのまま放置されたままであっただろうか」
と思いを巡らせたところ、一つの時代の限られた場所にしかない、ある意味、貴重な遺物なのかもしれないと感じたものでした。