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少しの工夫だけで効率を大きく改善した実例を見てなるほどの思い。

先日、私の勤務する職場で、毎年実施されている定期健康診断が実施されましたが、その中の検診項目の1つで、検査に要する時間が従来よりも大きく短縮されて、待ち時間が少なくなるという改善がされていました。

その改善内容といえば、決して特別な対策をしたわけでもなく、ほんの少しの工夫がされただけで、見ていてなるほどとの思いを抱きました。

対策された結果だけを見てしまえば、何のことはなく、当たり前といえば当たり前のような方法なのですが、その改善策の発想に到ったことは、1つの発明のようにも思えました。

時間を要するエコー検査

その検診項目とは、エコー検査と呼ばれるもので、超音波を利用して、下腹部の各臓器の状態に異常がないかどうかを、視覚的に確認する検査です。

毎年、同じ検診機関が、私の勤務先まで来て実施しているのですが、昨年度までは、エコー検査に一番時間が掛かっていて、この検査がスムーズに終わるかどうかによって、検診の所要時間が決まると言っても過言ではないほど、最も時間を要する検査でした。

血圧検査、採血検査、レントゲン検査等、他の検査場所はそれぞれ1ヶ所しかないのに対して、このエコー検査については、検査場所が3ヶ所も設置されているにも関わらず、最も時間がかかっていて、いつも長い列ができている状態だったのでした。

なぜ、時間を要するのかと言えば、下腹部を見るために、受診者は、ズボンやスカートを緩めて少し下方に下げる必要があり、周りから見えないように、カーテンで囲われたスペース内で、衣類の脱着や検査用に塗ったジェルを拭き取らなければならないからです。

つまり、ジェルを拭き取って衣類を着るまで、次の順番の人が、カーテンの囲いの外で待機する必要があったわけです。

受診者にとっては、もっと待ち時間が短くなって欲しいと思うものでしたし、検診機関側側としても、他の検査との足並みが揃わず、早く終わった検査担当者が待たされ、無駄な時間ができるという、効率の悪い状態だったわけです。

ごく簡単な工夫

さて、今回なされた具体的な対策なのですが、カーテンで囲ってあるスペース内を、もう1枚別のシートのような布を使って、2つに区切るという、たったそれだけの改善策でした。

つまり、従来の囲いをシートによって2つに分割して、1つは従来の検査用スペースとして使い、もう1つは検査を終えた人が、ジェルを拭き取り、衣類を着るための、検査修了者用のスペースとして使うというものです。

検査用スペースには囲いへの入口が、検査終了者用のスペースには囲いからの出口が用意されていて、それぞれのスペース間は、囲いの中で移動できる構造で「入口→検査用スペース→検査修了者用スペース→出口」のように、待ち時間なくスムーズな流れを実現することができたのでした。

なんだ、たったのそれだけ?」と思われるかも知れませんが、たったそれだけという割に効果が大きく、一人当たりの検査時間が1分から1分半くらいも短縮されたのです。この検査は、従来5分位はかかっていたのですが、所要時間が3分半から4分に収まった、つまり20%~30%の時間短縮が計れたわけですから、とても大きな改善です。

もし仮に、検査設備を増設して4か所にすれば、所要時間は同じように短縮できるのでしょうが、検査装置は高価なものなので、設備費用の負担を抑えて同じ効果が得られたと考えれば大変なことです。

着目すべき点は、「たったそれだけ?」と思うような工夫が、今までされていなかったことでしょう。つまり、結果として「たったそれだけ」と思えることでも、その対策を採る前から見れば、なかなか思いつけないことだということです。

そして、強く感じたことは、我々の身の回りにも、ほんの少しの工夫で大きく改善できることって、たくさん存在しているのだろうということです。そして、同時に、問題意識を持って何とかならないものか、と日ごろから考えることって大事だと、再認識したものです。

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