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幼稚園や保育園の無償化が始まる本年に、国の深刻な状況を再認識した。

本年から幼稚園や保育園などの保育料が基本的に無料となると言われて来ていましたから、幼稚園児を持つ親としては「養育費の負担が減ることは有りがたいことだ」と思っていました。

これも、少子化という時代を背景として、日本が将来の国家としての在り方を考える中に採られた政策であろうということは感じていました。

保育費無償化の背景に深刻な問題がある

しかし、この思いはどこか他人事で、これが本当に深刻な問題であるという認識を持ったのは最近のことでした。

長野市の人口増減

私が深刻な問題だと認識したのは、「長野市は過疎化が進んでいるのではないか?」と気になって人口の変化を調べたことがキッカケでした。結果としては、長野市は若干の人口減少傾向はあるものの、過疎化という深刻な状況にあるわけではないことが分かりました。

【関連記事】長野市が過疎化しているか調べた結果、人口流出よりも別な問題が浮き彫りに

しかし、調べたことで、そこには別な大きな問題があることが分かったのです。

過疎化を見ようとした場合、人口の増減の傾向がどうであるかを調べることになりますが、人口の増減の主な要因には、自然増減と社会増減があります。

自然増減は出生と死亡による増減、社会増減は転入と転出による増減ですから、過疎化の問題を論じる場合、社会増減が着目すべき点になります。

長野市の人口の増減を調べた結果は、社会増減の影響よりも、自然増減の影響の方がはるかに大きく、自然増減は明らかに減少方向に転じて、その減少の度合いが加速していることが分かりました。

そして自然減少は、出生数の減少と死亡数の増加という両方の要因によって生じていて、特に目立ったのが死亡数の増加でした。

なんで死亡数が年々どんどん増加しているのか?このまま加速して行ったら日本が滅んじゃう

なんて思ったのですが、よくよく考えたら、死亡率の高い高齢者の占める割合が急速に増加しているのが原因でした。いわゆる「少子高齢化」という日本社会が直面している問題が長野市に現れていたことが判明したのです。

日本の人口

このことが気になった私は、日本全体の人口の動向を調べてみることにしました。これについては、総務省が公開している統計データを見ればよく分かりますので、詳細はそちらを見て頂きたいと思いますが、以下に概要をまとめました。

日本の総人口は2008年位をピークに減少に転じ、2010年以降は減少のペースが上がって、明らかに確実に減少していることが分かります。(下図)

日本の人口の変化。縦軸は人数[千人]で、横軸は西暦[年]

また、出生数から死亡数を引いた自然増減は2005、2006年を境に増加から減少に変化していて、その後は減少の度合いが年々大きくなっていることが分かります。(下図)

日本の人口にける自然増減。縦軸は人数[千人]で、横軸は西暦[年]

自然増減の内訳を見るため、出生数と死亡数をそれぞれ見てみると、出生数は確実に減少し、死亡数は確実に増加していることが分かります。

日本の出生数の変化。縦軸は人数[千人]で、横軸は西暦[年]

死亡数の増加は、高齢化に伴って死亡率の高い高齢者の占める割合が高くなっていることの現れですが、総人口の年齢分布を考えると、ある意味仕方がないことです。

日本の死亡数の変化。縦軸は人数[千人]で、横軸は西暦[年]

一方、出生数は出産に適した年齢層の数が今後減少する傾向にあることを考えると、歯止めを掛けない限り、極度に若年層が減ってしまうことになります。

高齢化社会の問題は高齢者が増えることにありますが、単に増えることも問題ですが、高齢者の比率が上がることこそ問題が大きいといえます

それは、社会全体を支える、労働人口と言われるような中心の年齢層の負担が増えることを意味しているからです。そういう意味では、高齢化というよりも、少子高齢化と言う問題の見方をすべきでしょう。

保育費の負担は

さて、このような急速に進む「少子高齢化」の問題を少しでも解決しようとするのが、今回の保育費用の無償化です。しかし、保育量が無料になるのは、個々の家庭の費用負担は少なくなっても、代わりに公費による負担が発生することになります。

実際の負担は地方自治体などが中心ですが、広い目で見れば、間接的に国家の負担になっていることは間違いありません。

私が今回、深刻だと感じたのは、上述のグラフを見ても分かると思いますが、急速に進む少子高齢化のスピードは凄いものであり、待ったなしで「歯止めを掛けなければならない」ということです。

そして、その深刻さの裏には、このグラフに現れた数値だけではなく、国家財政のただならぬ現状があります。現在の国家財政は国家破産が起きてもおかしくないくらいの大赤字で、国家の異常事態とも言える状況です。

しかし、公費負担を増加させてでも、少子化対策を行わなければならないというより深刻な状況があるということです。

国家破産については、別な記事にも書きましたが、非常に大きな問題で、国が亡びるくらいの異常事態にあるわけですが、その国家破産を加速しかねない公費負担の増加をしてまで、少子高齢化の対策をしようとする訳ですから、ことの深刻さが表れています。

以上、長野市の過疎化を調べたことがキッカケで、幼稚園の無償化の裏にある、深刻な国家の状況を再認識させられました。

頭で分かっていた国家の問題も、実際の数値を見るとその深刻さが良く分かります。

少子高齢化と国家財政の悪化という、逃げることができない日本の大きな問題の中に我々は身を置いていることはまぎれもない事実で、その影響は今後ますます増加して行くことを、一人ひとりが強く認識しておくべきでしょう。

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