先日、干し柿を作ろうと思って多数の渋柿を購入して来ました。75個で980円(単価13円) という激安に引かれて購入したのですが、渋柿にもかかわらず干し柿を想定した枝付きではなかったので、いざ吊るして干そうとしても容易ではありませんでした。
結局、吊るす代わりに台に置いて干すことにしましたが、せっかくなので余った柿で、渋抜き方法を試してみました。
渋柿
さて、そもそも渋柿とは何かですが、タンニンと呼ばれる物質のために、渋みが残ってしまう柿のことで、ほとんどの柿は渋柿であるのが現実です。従って、成熟と共に渋みが取れる一部の甘柿を除き、ほとんどの柿では、干し柿にするか渋抜きするかなどして、渋みを取らないと食べられるものではありません。
一般に、成熟しても渋みが残るものを渋柿、成熟と共に渋みが抜けるものを甘柿と呼んで言いますが、完熟すればどんな柿でも渋みが取れると言われています。しかし、完熟状態では実が柔らかくなり過ぎたり、味わいも今一つだったりするので、硬さが残るうちに処理するのが一般的です。
色々な方法
渋柿を食べる方法としては、干し柿にして食べるのが最も多いようです。干し柿の場合は、干すことによって本来の柿には無かったような独特の味わいが生まれます。それは、まるで別な食べ物に変化するかのようで、その味が好きで、干し柿を好んで食べる人も結構います。
しかし、市販の干し柿を購入すると1個当たり 100円以上もするので、可能なら自分で作った方が安くなります。
干し柿以外には、渋抜きと言って、渋柿の渋みを取るいろいろな方法が用いられます。完熟するまで放置するのもひとつの方法ですが、前述したように味わいや歯ごたえの面から、あまり好んで食べられてはいないようです。
そこで、良く用いられる渋抜き方法としては、アルコール(酒)漬けにして食べる方法がありますが、これはけっこう手間が掛かりますし、柿の天然の味わいも薄まってしまいます。また、好き嫌いがハッキリ出るようなので、アルコール類が好みで無い人にとっては、全然うれしくない方法です。
また、別な方法としては、冷凍にして数日間放置する方法があります。この方法では、通常、皮をむいてラッピングなどをしてから冷凍しますし、出来てから解凍も必要ですから、それなりに手間も掛かります。また、大量に作ろうとした場合は、冷凍庫のスペースの制限なんかもあります。ただし、この方法は確実に甘くする方法ではありますので、そういう意味ではとても有効な手段です。
ちなみに、吉林省など中国の北部では、晩秋になれば早朝はもちろん、日中も氷点下くらいになるので、ベランダなどの外へそのまま放置しておいて、自然に凍らせることで渋抜きをして食べる習慣があるそうです。
試した結果
今回、私が試してみた方法は、お風呂の残り湯を使う方法です。単純にお風呂の残り湯の中に渋柿を放り込んでおくという極めて簡単な方法です。
今回は試す前に、予め渋柿を試食してみましたが、一口食べた瞬間に渋みが口に広がり、思わず吐き出してしまいました。渋柿ってやっぱりそのままでは食べられるものでは無いなぁと改めて実感しました。
さて、この方法を試したのは、家族全員が風呂を終えた夜10時頃でしたが、40℃ほどの残り湯のある湯船に、柿をそのまま入れて、風呂の蓋をしたまま一晩おくという方法でした。
残り湯にそのままつけるのは少し抵抗があったので、洗面器にきれいなお湯を張ってその中に柿を入れ、その洗面器を湯船に浮かべて蓋をして温度を保つようにしました。
翌日、その柿を取り出したのは朝8時頃でしたが、さっそく剥いて食べてみたところ、「あれ?渋みが取れてる」という感じでした。「これはイケる」と思ってもう一口、更にもう一口と食べて行くと、その後、口の中に渋みが広がって次のひと口の前に手が止まってしまいました。
そうです、渋みは後から口の中で広がって行くんですね。さすがに吐き出すほどの渋みではありませんでしたが、渋柿独特の渋みはまだ残っていたのでした。
という訳で、結論をまとめると、
・通常の湯船に入れて一晩置くと、それなりに渋抜きの効果がある
・一晩では十分な渋抜き効果は期待できないので何回か繰り返す必要がある
・手段としては残り湯を使うだけなので最も簡単な方法である
といったところです。ちなみに、その後、二晩、三晩と継続しようと思ったのですが、干し柿好きな妻に柿を奪われて、干し柿用に使われてしまいました(笑)。
いずれにしても効果があることは確認できたので、機会があったらぜひ試してみて下さい。渋柿の場合、木に実っていても収穫しないで放置されている家なんかも多くあります。けっこう、無料で分けて貰えたりもするものですから、身近な人を当たってみるのもいいかも知れませんね。