長野に引っ越して来て、少し生活に慣れてきた頃の話です。
市内の色々な場所に子供を遊ばせに出かけるようになり、茶臼山恐竜公園という、恐竜の等身大のモデルがいくつもあるユニークな公園を発見したので、行ってみました。
ユニークな公園
その公園には、遊具やアスレチックなんかもあり、茶臼山動物園や茶臼山自然植物園とも隣接しているため、子供連れの家族にはとても適した公園です。
恐竜の等身大のモデルは、一見すると本物みたいで、当時まだ小さかった子供が、怖がってその恐竜に全く近づこうとしなかったくらい、リアル感があります。
こんなユニークな公園は、東京や埼玉に住んでいたころには見たことが無く、子供にとってはとても楽しめるので、いい公園があるものだと思いました。
家からも車を出せば、そんなに時間を掛けずに行ける場所ですし、恐竜公園は入場無料なので、これから子供を遊ばせるために、ちょくちょく来ようなんて考えていました。
なんだ!この看板は
そして、二回目に訪れた時のことです。子供を思う存分遊ばせたのち、駐車場へ向かう途中で、写真に掲げたような、「熊出没注意」の看板を発見したのです。
正直、大衝撃でした。子供を遊ばせるような場所にこんな看板があるなんて、東京出身で長野に引っ越してからまだ間もなかった私にとっては、考えられることでは無く、まさに
「あり得ない」「考えられない」
でした。
その看板に気付くや否や、すぐに子供達を急き立てるように車へ向かわせ、あとはいちもくさんに帰途に着いたのでした。
いったい長野と言う場所は、いかなる場所なのか、当時、当惑するような思いになったこと、今でも忘れるものではありません。
実際は可能性の話
さて、この公園はたしかに山の中腹あたりにあるので、山間部に住む熊が、いつ来てもおかしくはない場所ではあります。
しかし、子供連れの家族もけっこう訪れており、年に1回は地域の人々が大勢参加する、フェスティバルなんかも開催される場所でもありますので、当初は、こんな場所で、フェスティバルなんか開催して大丈夫なのか、との思いすらもありました。
しかし、長野の生活に慣れてくると、だんだんそれが理解できるようになって来ました。何年も前の話ですが、長野駅に熊が出没して全国的なニュースになったことがありましたが、これは、市内のどの場所であれ、可能性としては熊が出没し得るということを意味しています。
また、熊出没の話を見聞きすることはあるのですが、実際は山間部でも奥地の方、すなわち人里離れた場所での目撃情報にとどまるのが一般的で、人が襲われたという話は滅多にありません。
最近、そのような実態を理解できるようになり、長野の暮らしにもようやく慣れてきて、あの看板の意味が少しずつ分かって来たような気がしています。
そして、再びその公園にも行くようになり、自然あふれる長野を楽しめるようになって来ました。都会暮らしだと知り得ない一面を、また知り得たような思いです。