本年、4月下旬のある日、私の子供が通う小学校のあるクラスで、インフルエンザによる学級閉鎖が行われました。聞くところによれば、そのクラスの中の7人がインフルエンザに感染して、学校を休んだとのことで、学級閉鎖後も、新たに感染者が出たとの話も聞きました。
今シーズンは、けっこうインフルエンザが流行ったと認識していましたが、この時期にまさか学級閉鎖が発生するとは思ってもみませんでした。ちょっと意外なことであったため、調べてみることにしました。
今シーズンは比較的に流行
そもそもの話として、今シーズンは前シーズンや前々シーズンと比較しても、少しだけ感染者が多かった事実があります。その要因の1つとして、A型ウィルス(ソ連A型と香港A型) とB型ウィルスが、ほぼ半分くらい流行ったことが言えるでしょう。
つまり、一度かかった人も、型の違うウイルスに感染してしまうケースがあり、実際に私の周りでも、今シーズン2回インフルエンザにかかった人が何人もいました。
流行した、もう1つの要因としては、全国各地でインフルエンザ用のワクチンの供給が遅れたからでしょう。
我が家でも予防接種をするために、いくつかの病院に問合せをしたのですが、ワクチンが入手できる目途が立っていないので、先になるという医療機関が多数ありました。
事実、予防接種のタイミングが遅れたためにかかってしまった人が、私の身近なところでもいました。
流行のピークは1月後半~2月初頭
例年、インフルエンザの時期は、秋口から翌年の春先までで、冬場にその流行のピーク時期を迎えますが、本年は1月後半から2月の頭にかけてがピークでした。
そして、流行の仕方は正規分布に近い傾向があるのですが、ことしもその傾向は変わらず、ピーク時期であった1月後半・2月初頭から、時期が前後に外れるに従って、発症件数が徐々に少なくなっていました。
学級閉鎖の傾向は少し違う
しかし、注目すべきは、厚生労働省が発表している、休校、学年閉鎖、学級閉鎖などが行われた施設数のデータで、本年10週目(3月5日~3月11日)が1173個の施設であったのに対して、11週目が665、12週目が102、13週目が4、14週目が0と減少して一度はゼロになっていたものの、15週目(4月9日~4月15日)には40、16週目には155になっていて、また増加しだしている点です。
昨年(2017年)の同時期を見てみたところ、10周目が1313, 11週目が932, 12週目が187, 13週目が4、14週目が4、15週目が84、16週目が510.17週目が343で、以下減少傾向になっていて、更にその前の年(2016年)を見てみると、いったん減少傾向の後に、13週目が7となってから再び増加傾向に転じ、16週目の455をピークに再び減少傾向になっていました。
これらの施設数を表にとまめると、下表のようになります。(表中の「-」はデータなし)
週 | 2018年 | 2017年 | 2016年 |
第10週 | 1,173 | 1,313 | 4,628 |
第11週 | 665 | 932 | 2,218 |
第12週 | 102 | 187 | 259 |
第13週 | 4 | 4 | 7 |
第14週 | 0 | 4 | 12 |
第15週 | 40 | 84 | 165 |
第16週 | 155 | 510 | 455 |
第17週 | – | 343 | 200 |
第18週 | – | 121 | 17 |
第19週 | – | 43 | 11 |
第20週 | – | 110 | 40 |
第21週 | – | 82 | – |
第22週 | – | 52 | – |
このように、学級閉鎖などは、初春に一度収束したかに見えて、再び4月下旬にちょっとしたピークがあることが分かりましたが、こうした傾向は発症件数の傾向にはなく、学級閉鎖等の施設数と発症件数は一致しないことが判明しました。
しかし、よくよく考えてみれば、12週目といえばちょうど学校等が春休みに入る時期なので、学級閉鎖じたいがありえません。
また、16週といえば新学期が始まって少し経過した時期、換言すれば、新学期からウイルスの潜伏期間を経た時期であることが分かります。
まとめ
以上のことから、春休みがあることで、本来のインフルエンザの収束時期より、早めに収束するかのように思えてしまうことが分かりました。
そして、このことが、4月に流行すると違和感を覚えることにつながっていたわけです。
インフルエンザと言えば冬場に最も流行するものではありますが、完全に収束するのは5月くらいです。
それまでは、可能性としては集団感染もあり得ますので、油断をしないで注意することが大切です。