企業には様々なルールがあり、事業を推進する上で重要な役割を果たしています。
ルールが定められてそれが守られることで、法律が遵守され、秩序や安全が保たれ、更には企業活動の健全化や効率化などが促進されます。
従って、安易なルール制定や改定などを行ってしまうと、思わぬ結果を招いたり、トラブルにつながることもあるかも知れません。
ルールの制定や改定に当たっては、しっかり熟慮することが大切です。
ルールは大切
社内で定められるルールには色々な種類があり社則や就業規則、規定類、手順、標準などを含めると多数あります。
それぞれのルールは何らかの目的があって制定され、そのルールを守らせることで、企業活動がうまく行くようになります。
言い方を換えれば、ルールがありそれに従って行くからこそ円滑な企業活動につながるわけですから、ルールはその企業にとって、とても重要な役割を果たしていると言えます。
通常、こういったルールの殆どは、明文化されて社内に周知徹底されることで機能しますが、ルール制定・改定時に考慮すべきことを忘れてしまうと、せっかくのルールがうまく機能しないばかりか、問題に発展する可能性もあります。
そして、ルールには社員全員に関わる広いルールや、一部の部署にしか関係しない狭いルールがあります。また、指針のような軽いルールもあれば企業経営に重大な影響を及ぼすような重いルールもあります。
考慮すべき事
従って、定めるルールが広く重い場合ほど、その制定・改定に当たっては、殊に熟慮が必要になって来ますが、その際、特に考慮すべき大事なことには、次の3点がです。
・守れるルールにする
・守らない者も想定する
・周知方法を考える
守れるルールにする
「守れるルールにする」というのは、なにもルールを緩めるという意味ではありません。ルールは守らせてこそです。
ここで言う意味は、何でもカンでもルールで縛ったり、ガチガチの堅苦しいルールでは守ろうと思っても守れない場合もあるという意味です。
要は、守らせるべき肝心要の部分はどこなのかを明確にして、その要部分をキチンと守らせるルールにすべきです。
また、ルール制定・改定に当たっては、ルールに従うことで却って運用面、セキュリティ面、効率面などの他の面に支障がでないかの考慮もすべきです。
他への影響を考えないでルールを制定・改定してしまうと、ルールが守られない要因につながるからです。
例えば、新たにルールが制定・改定され、それによって効率が大きく低下するようなことがあれば、効率を最重要視するような生産現場などでは、そのルールを軽視する傾向が生まれ、ルールを破るような事態が発生しやすくなります。
他への波及を考慮して、どうすれば守られるルールになるかをよく検討することが大切です。
守らない者も想定する
さて、どんなに立派なルールがあっても、社員の中にはそのルールを守らない者もいるかも知れません。
とりわけ社員の多い企業などには様々な人がいますから、ルールによってはそれを無視したり、軽視したりする人が居ても不思議ではありません。
従って、「広い社内には、それを守ろうとしない人がいるかも知れない」とのことを考えた上でルールを制定・改定すべきです。
特に、重要なルールの場合は、必要に応じて罰則規定を盛り込むとか、二次的な防止策を講じておくなど、何らかの措置も考えるべきです。
たとえ厳格なルールであったとしても、「もし守られない場合にどうなるか」を想定して、それに見合った対応を採っておくことが肝心です。
周知方法を考える
では、ルールをしっかり定め、ルールが守られない場合を想定した対応も採っておいたとしたらこれで十分でしょうか。答えはノーです。
ルールはしっかりと周知され、社員が認識を持ってこそ意味を持ちます。ルールだけ存在しても、それが認識されないのであれば、ルールが存在しないのと何ら変わりありません。
ところで、民法が改定されて2022年に青年年齢が18歳に引き下げられますが、現時点でまだまだ周知が徹底されていないと感じます。
この場合、民法改定から実際の施行までの期間が3~4年もありますが、施行までの期間が長い理由には、変更に伴う準備期間という意味に加えて、周知を徹底したいという意図があります。
この例を見ても、周知ということが重要だということがよくよく分かると思います。
ルールを制定・改定した場合、それに伴ってどのようにそれを社員に周知するのか、これも併せて考えるべきなのです。