東京に帰省する時に、機会を見て足を運ぶのがアメ横です。
今年の正月、久しぶりに時間を作ってそのアメ横に足を運んだのですが、商店街に立ち並ぶ数々の店舗の中に、薬局が不自然なほど多く連なる姿を見て、とても不思議に感じました。
アメ横とは
そもそもアメ横とは、ユニークな商品を扱う店舗が立ち並ぶ商店街で、そのユニークさに魅力を感じて多くの人が訪れる場所です。
この「アメ横」については、デジタル大辞泉に下記のように説明がありました。
東京都台東区、JR御徒町(おかちまち)駅と上野駅との間の商店街の通称。第二次大戦直後、飴(あめ)屋やアメリカ進駐軍の放出物資・横流し品を扱う店が多かった。アメ屋横町。
つまり、上野や御徒町方面を訪れた時に、少し足を延ばして立ち寄れる場所にあり、ちょっとした買い物を楽しむことができる商店街です。
そこに実際に立ち並ぶ店は、戦後のアメリカ軍が実際に放出した品を連想させるような衣類などがあるほか、海産物や肉類などの食材を売る店や、ちょっとした料理や飲料を提供する飲食店なども多くあります。
中には、ランチを食べるためやグルメ目的で訪れる人もいるようです。
いずれの店舗も、一般の商店街などではなかなか見ることができない、独自の商品を取りそろえているところに面白みがあり、魅力があります。
私が足を運ぶのも、そんなユニークな商品を見て回るだけでも楽しいからです。
行ったことのない人は、一度は行ってみて下さい。とても楽しめますよ~。
「あれ?」ここにも薬局
さて、そんなアメ横の商店街を歩いていると、妻が「これ安い!」と言って、のど飴を購入しました。
それは、ある薬局の店頭に並べたあった特売商品のうちの1つでした。
その後「東京って安いね」と言いながら、商店街を更に進むと「あっ!これも安い!!」と妻が言いだしたその店は、別な薬局でした。
「あれ?あそこにも薬局があったのに、ここにもあるのか」
と、ちょっと不思議に思った私は、前方の店舗を眺めてみました。
すると、少し前にも別な薬局の看板があり、更に遠くを見ても更に別な薬局の姿が見え、
「あそこにもある。あっちにもある。」
と不思議でなりませんでした。(ポケモンGOでは無いですよ~)
結局、アメ横を端から端まで通る中、ちょっと気にかけて見た結果、何店舗も薬局あることが分かりました。
決して大規模ではない商店街の中に、これほどの数の薬局があるとは、いったいどういうことなのだろうか。
上野周辺はけが人だらけなのか…それとも病人だらけなのか…???。
「アメ横って薬局商店街なの?」
との思いが頭を駆け巡る中、アメ横に隣接する通りなどにもかなりの数の薬局が目に入りました。
「安倍総理大臣が嘘を付かないくらいあり得ない話だ」
との疑問が膨らんで行きました。
ちなみに後から調べたところ、ダイコクドラッグは「上野アメ横店」「上野アメ横北店」「上野アメ横南店」と、アメ横だけで3店舗ありました。
また、マツモトキヨシは「上野アメ横Beauty館」「上野アメ横Part1店」「上野アメ横Part2店」「上野アメ横Part3店」と、アメ横だけで4店舗ありましたし、アメ横以外にも他に上野だけで5店舗もありました。
なぜ多いのか?
私の中で大きく膨らんだ疑問は、もう抑えることができなくなっていました。
そして、「絶対に、理由があるはずだ」と早速分析を始めた私でした。
そもそも同品種を扱う店が多数あるということは、競走が激化して収益があがらないのが一般的です。しかしながら、競合店が多くありながらも収益を上げられるということは、そこに店を構えても採算がとれるからに違いありません。
いくつかの店舗内を見てみたところ、客数は決して多くはないものの、客足は途絶えるような状況でもありませんでした。
アメ横らしさがにじみ出ている独自商品を扱う店が賑わっている状況と比べると、どちらかと言えば客が少ないという印象が強くありました。
また、陳列されている商品を見てみると、店頭に客を呼び寄せるための季節商品や特売商品を多数並べてあり、私が訪れた時に目立った商品は、ちょっとした甘いお菓子や、季節を意識したマスクやのど飴などでした。
各店内は、どこの薬局でも普通に取り揃えているような商品ばかりで、何かに特化した商品を揃えているという印象はありませんでした。
そんな状況を観察しながら頭に思い浮かべたことは、私が住む身近なところにある薬局の様子でした。
「マツモトキヨシ、サンドラック、ウェルシア、ココカラファインなど、身の回りにいくらでもあるような薬局は、どちらかと言うと、客でにぎわっているというよりも、決して多いとは言えない客がコンスタントに訪れているなぁ」
そんな思いが浮かび、
「薬局の類は、ある程度の集客があれば、十分に経営が成り立つのだ」
という答えが導き出されました。
実際、アメ横の商店街は、原宿の竹下通りを思い浮かべるほど混雑することがあり、人混みで自分の意志どおりに歩行できない状況すらあります。それほど集客数が多い商店街ってことですね。
それだけ来客数が多い訳ですから、その中の一部の客が店を訪れてくれるだけでも十分な来客が見込めるってことですね。
薬局で扱う商品は、サイズが小さいから多くの商品を揃えられ、薬や化粧品など割と単価が高い物も含むことから、利益率もそこそこってことなのでしょう。
他にも理由がある
とは言え、
「それだけの理由でここまで多くの店舗が構えられるものか?」
という疑問が残りました。
上野の中心地でもありますから、一等地とも言え、店舗の維持費はかなり掛かるハズです。それなりの収益があがらなければ店を構えることは意味がありません。
そんな疑問に答えを出してくれたのは、店の看板や店員でした。
店の看板や店頭の商品表示は、中国語でも書かれています。
しかし、それはむしろ、中国語で併記されているというよりも、「中国語がメインで日本語も併記されている」という表現の方がピッタリな状態でした。
要は、日本語の記述よりも、中国語の記述の方が多く、また目立つ感じなのです。まるで中国人のための店って感じですね。
そして数多くある店舗には、どこも必ず中国人スタッフがいるのです。と言うよりも、どちらかといえば日本人スタッフを探すのが難しい店舗ばかりですね。
「そうか!中国人の客を想定しているのだ」
ということが直ぐに分かりました。
実際にアメ横にある店の中には、横浜の中華街にあるような飲食店や食材店なんかも多くあり、そこを訪れる中国人も少なくありません。
また、実際に商店街を訪れる客を観察してみると中国人だらけですね。
2、3年前、上野動物公園に行ったことがありましたが、来園者のほとんどは中国人で、
「ここは中国か?」
と言った感じの経験がありました。
本当に日本人を見つけるのが難しいくらいなんです。それだけ、観光地や行楽地を訪れる中国人は無数いるんですね。
一時期「爆買い」って言葉が大きな話題になりましたが、大量の商品をまとめて購入していく中国人は今も多くいます。
そして、中国人の間で特に人気が高い商品が日本の化粧品です。「高品質で良い」と評判なんですね。
また、市販薬でも中国人の間では日本製が良いと言う定評もあります。
つまり、化粧品や薬などをまとめ買いしてくれる中国人が少なからずいることは、店舗を経営する側にとっては大きな収益源となるのですね。
考えてみると、なるほどナットクという感じでした。