本サイトはプロモーションが含まれています

中国語の方向補語「开」を完璧にマスターするために幅広く解説

中国語の方向補語には色々あり、きちんと理解するのは意外と難しいものです。

本サイトでは、方向補語1つ1つを完璧にマスターできるように、細かく解説して行きます。

今回は、単純方向補語「」について取り上げます。

方向補語「」の概要

方向補語「」は、単純方向補語の1つで、動詞の後について、人や事物が開いたり、分かれたり、離れたりする動作を助け表します。

」は、結果補語に分類される場合もありますが、ここでは方向補語として扱います。

漢字の「」は、日本の漢字の「開」に相当し、本来は「開ける」「開く」などを意味する動詞の用法があり、単独で使われることがあります。

例えば、

这个瓶盖儿开不了(zhège píng gài er kāi bùliǎo)…このビンの蓋を開けられない

と言えば、「」は、あくまで「開ける」ことを表す動詞で、方向補語の用法ではありません。

请把箱子打开(qǐng bǎ xiāngzi dǎkāi)…箱を開けて下さい

のように表現すれば、「」は動詞「」を補って「手を使って開ける」意味を表し、方向補語の用法となります。

このように、方向補語「」は、何らかの動詞の後について開く、分かれる、離れるなどの動作を表します。

」が方向補語と解釈できるのは、開く方向、分かれる方向、離れる方向に対する動作であることからです。

しかし「」は、方向補語「」や「」などと違って、漠然とした方向を表すことからも、結果補語に分類されることが多くあります。

方向補語か結果補語かは、分類の仕方や解釈の違いと考えてよく、意味・用法が根本的に変わる訳ではありません。

方向補語「」の意味

方向補語「」は、空間的に開いたり、分かれたり、離れたりする動作を表します。

従って、日本語に訳した場合、「~を開く」「~を分ける」「~を離す」などのように表現されます。

方向補語「」が持つイメージは、下記の通りです。

」は、本来くっついていた何らかの対象が、開いたり、分かれたり、離れたりする動作を意味します。

具体的な例をあげてみます。

父母和儿子分开已经二十年了(fùmǔ hé érzi fēnkāi yǐjīng èrshí niánle)…両親と息子は別れてから既に20年になった
他出生后就离开了父亲(tā chūshēng hòu jiù líkāile fùqīn)…彼は生まれて直ぐに父と離別した
她打开门换气(tā dǎkāi mén huàn qì)…彼女はドアを開けて換気をした

1つ目の例は分かれたことを、2つ目の例は離れたことを、3つ目の例は開けたことをそれぞれ意味していることが分かります。

3例の動作対象を見ると、「両親と息子」、「彼と父」、「ドアの扉」であり、これらはいずれも、もとはくっついている状態であったことが分かります。

また、動作対象が主語である場合と、目的語である場合の両方があることが分かります。

そして、方向補語「」には、派生義と呼ばれる上記とは異なる意味・用法があります。

これらについては、派生義として後の方で説明します。

基本的な語順や用法

動詞の後、目的語の前に置く

方向補語「」を用いる基本文型は下記の通りです。

【動詞】++【目的語】

方向補語「」は、動詞の後、目的語の前に置きます。

例えば、

他推开后门(tā tuī kāi hòumén)…彼は裏口を押し開けた

では、

他【推】【开】【后门】

のように、【動詞】()、【方向補語】()、【目的語】(后门)の語順となっていることが分かります。

この語順は、目的語がなんであれ変わらず、目的語が方向補語「」の前に来ることはありません。

ただし、構文の場合は、目的語を方向補語「」の前、動詞の前に置くことができます。

你把抽屉拉开吧(nǐ bǎ chōutì lā kāi ba)…カーテンを引いて開けて下さい

この例では、

+【目的語】+【動詞】+

のようになっていることが分かります。

方向補語「」を用いる文においても、語順や用法は一般の構文と同じです。

そして、単純方向補語「」を使う場合、通常は目的語を持ちます。

例えば、前述の例のように

他推开后门(tā tuī kāi hòumén)…彼は裏口を押し開けた

とは表現できますが、単に

他推开(tā tuī kāi) ▲

と言えば、文として不完全です。

この表現だと聞き手は「何を押し開けたの?」となって意味が通じません。

慣用的な言い回しや方向義以外の用法などを除けば、方向補語「」を用いる一般的な文では、目的語を伴なうのが自然なのです。

否定にはを使う

方向補語は本来、結果を表わしますので、「」を用いた文の否定には、「」(又は「没有」)を使用します。

否定の場合の基本構文は下記の通りです。

没[有]+【動詞】++【目的語】

上記のように、否定を表す「没[有]」は、動詞の前におきます。

例えば、

他还没有解开衬衫的扣子(tā hái méiyǒu jiě kāi chènshān de kòuzi)…彼はまだシャツのボタンを外していません

のようになります。

但し、条件を表す否定には「」を使います。

また、否定の「」を方向補語「」の直前、動詞の直後において「…打不开…」のような表現にすると、これは「…打得开…」と同様、可能補語になります。

この場合、文の構造や用法、意味が少し異なってきます。

方向補語「」の発音と文の強調

一般に、方向補語を持つ構文では、方向補語が軽声になることがあります。(注:記事中の例文では、便宜上、全てピンインを第1声で記載)

」の場合も同様で、本来の発音は第1声(kāi)ですが、軽声(kai)で発音することがあります。

通常、動詞のすぐ後ろに「」が来る場合は、「」は軽声でも構いませんが、実際は、細かな規則があります。

まず、

【動詞】+【(方向補語)】

のように目的語を持たない構文の場合、「」は軽声にせず、アクセント(強調)を動詞に置きます。

例えば、

拉开距离(lā kāi jùlí)…距離をあける

では、「」は第1声のままの発音で、動詞の「」にアクセントを置きます。

次に、

【動詞】+【(方向補語)】+【目的語】

のように目的語を持つ構文では、は軽声にするのが普通ですが、アクセントの位置は目的語によって変わります。

目的語が普通の名詞の場合、アクセントは目的語に置きます。

目的語が代詞の場合、アクセントは動詞に置きます。

もし不定数の数量詞がつく目的語ならアクセントは動詞ですが、定数の数量詞ならアクセントは数詞に置きます。

但し、これらは開いたり、広がったり、離れたり、分かれたりする意味を表現する場合に限られ、想、看などの動詞と組み合わせて、解き放たれてはっきりすることを意味する場合は、「」は第1声のままで発音します。

また、「」が具体的動作や方向を示す場合にも、第1声のままです。

更に、「」を用いる

】+【動詞】+【(方向補語)】

のような否定形の構文の場合、「」は第1声(kāi)で発音するのが一般的です。

特に、実現しなかったことを強調したい場合は、第1声にしますが、単に結果を客観的に述べる場合は、「」は軽声にして動詞にアクセントをおきます。

更に、動詞と方向補語「」の間に助詞の“”や“”が入る

【動詞】+ 【得/不】 + 【(方向補語)】

のような構文(可能補語となる)の場合(動詞の直ぐ後に「」が来ない場合)は、上記とは少し異なります。

を用いる場合、は軽声で、方向補語「」は普通は軽声になり、動詞にアクセントを置きます。

を用いる場合、は軽声で、方向補語「」はアクセントが置かれる(第1声)ようになります。

开来・开去との違いは

さて、「」はそれ自体が方向補語(単純方向補語)ですが、「」を含む「开来」や「开去」も方向補語(複合方向補語)です。

」は、開いたり、分かれたり、離れたりする動作を表しますが、「开来」や「开去」も基本的に同様の意味になります。

开来」や「开去」が持つイメージを図示すると、下記の通りです。

単純方向補語の「」や「」などの場合は、その後に「」や「」を伴って複合方向補語(「上来」など)となると、基準点(通常は話者)に対して近づく(来る)や、遠ざかる(行く)といった概念を持ちます。

しかし、方向補語「」の後に「」や「」を伴う「开来」や「开去」の場合は、基準点という概念を持ちません。

この理由は、「」そのものが方向を表す要素が弱い上、話者などの基準点から見て、一般に方向が定まらないからです。

結果として、「开来」や「开去」は意味としては「」と同じようになり、異なるのは基本的に語順などの用法だけとなります。

但し、「开去」は実際に使われることはごく稀です。

具体的な使い分けとしては、開いたり、分かれたり、離れたり、広がったりする動作の場合で、目的語を持たない場合は「」を「开来」に置き換えることができます。

しかし、本来の「」の意味から派生して広まった意味の場合は、通常は「开来」などには置き換えられません。

なお、複合方向補語「开来」と「开去」についての詳細はここでは省略し、別な記事で説明することにします。

方向補語「」の派生義

方向補語「」は、人や事物が開いたり、分かれたり、離れたりする動作を表し、これを方向義と呼称します。

これに対して、本来の意味から派生して広まった別な意味を派生義と呼びます。

方向補語「」の場合、方向を表す要素が弱いので、方向義と派生義の分類には曖昧な点があるものの、漢字の「」が本来持っている意味から少し派生したものが多くあります。

ここでは、これらを派生義として扱い、以下の6つの意味に分類して説明します。

(1)元の位置を離れる
(2)広がっていく
(3)解放される
(4)開始と持続
(5)一定の長さへの到達
(6)収容の可否

(1)元の位置を離れる

」には、一緒であったものが分離する意味がありますが、その意味が少し変化して元の位置を離れることを表します。

车过来了,请大家让开一点儿(chē guòláile, qǐng dàjiā ràng kāi yīdiǎn er)…車が通るので、皆さんよけて下さい。
请你把桌子上的本书拿开(qǐng nǐ bǎ zhuōzi shàng de běn shū ná kāi)…テーブルの上の本をどかして下さい。

1つ目の例は、今いる場所を移動することですから、元の位置を離れることを意味しています。

2つ目の例は、テーブル上の本をどかすことですから、これも元の位置を離れることを意味します。

1例目は主体が離れること、2例目は動作の対象が離れることを表していますので、人や事物の両者に用いることが分かります。

また、上記の例のように空間的な動作だけではなく、心や観念を表す比喩的な表現にも使われます。

抛开一切不必要的顾虑(pāo kāi yīqiè bù bìyào de gùlǜ)…不要な心配事は全て捨て去りなさい

この例では、もともと心の中にあった心配事が心から離れることを表現しています。

上記の3例はいずれも、元の位置を離れる動作方向の意味合いを持ち合わせていることから、方向義と解釈される場合もあります。

(2)広がっていく

補語「」は、動作の結果、事物が広がっていくことを表す場合があります。

流行性感冒渐渐地蔓延开了(liúxíng xìng gǎnmào jiànjiàn de mànyán kāile)…インフルエンザはだんだん蔓延していった
那个消息很快传开了(nàgè xiāoxī hěn kuài chuán kāile)…そのニュースは瞬く間に広まった
看热闹的人都散开了(kàn rènào de rén dōu sàn kāile)…見物客たちはみな方々に散って行った

例を見ても分かりますが、単に広がるというよりも四方八方へ広がる様子を表します。

また、この種の用法では、通常「」を「开来」に置き換えることができます。(意味は同一)

この種の表現では、上記の(1)と同様、広がるという動作方向の意味合いを持ち合わせていることから、方向義と解釈される場合もあります。

(3)解放される

補語「」は、解放される意味を表す場合もあります。

解きほぐされること、解消すること、開けっぴろげになることなどの意味もあり、結果として何かがハッキリするなどの意味合いを含む場合もあります。

咱们可把事情说开了(zánmen kě bǎ shìqíng shuō kāile)…この事についてはきちんと話をつけておこう
你看开点儿(nǐ kàn kāi diǎn er)…もう少し心を広く持とうよ
我想开了(wǒ xiǎng kāile)…気持ちが楽になった

3例とも、”解放される”意味とは違うのではと思うかも知れませんが、意味合いとして含まれています。

1つ目の例では、単に「」ではなく「说开」が使われていますが、これは誤解を解きほぐしてお互いの感情が解放される意味が込められています。

说开」は誤解を解く、釈明する、説き明かしてはっきりさせる、納得いくまで話すなどに訳されますが、いずれも気もちが解きほぐされる意を含んでいることが分かります。

2つ目の例で使われている「看开」は、慣用的な言い回しで、何か好ましくないことに対して心を広く持つ意味のほか、あきらめる、悟る、達観するなどを表現する時に使います。

これも、”何かにこだわった見方をやめて、広い見地に立って見つめる”という解放の意味あいを含んでいることが分かります。

3つ目の例で使われている「想开」も慣用的な言い回しで、くよくよしない、気にしない、断念する、あきらめるの他、「看开」と似たような達観する、悟るなどを表現する時に用います。

これも、”何かにとらわれた考えや思いをやめて、広い気持ちを持つ”という解放の意味が込められています。

ここにあげた3例の全てに、解放の意味が込められていることがよく分かります。

なお、この用法では、など、一部の限られた動詞の後に置かれます。

(4)開始と持続

」は、何らかの動作の開始と、その持続を表わすことがあります。

持続する動作には、”抑制されることなくひき続いていく”意味が含まれます。

一见到弟弟他就哭开了(yī jiàn dào dìdì tā jiù kū kāile)…彼は弟に会うや思わず泣き出した
他们俩从心眼儿里笑开了(tāmen liǎ cóng xīnyǎn er lǐ xiào kāile)…二人は心の底から笑った
一见面她就聊开了(yī jiànmiàn tā jiù liáo kāile)…彼女に会うと直ぐにしゃべりだした

1つ目の例は、感極まって泣き出し、泣き止むことができない(感情を抑制できない)ことを表しています。

2例目は、心の底から湧き上がる思いによって、笑いを止められない様子を表現しています。

3例目は、話が弾んで止められない意味合いを表しています。

いずれの例文も、動作が開始してから、何らかの要因で抑制がきかず、ひき続いてその動作が継続している様子を表しています。

(5)一定の長さへの到達

」には、動作の結果として、ある一定の長さに到達することを表わす用法があります。

表現する長さは、距離や幅など、何らかの長さを持つ対象に使われます。

这件衣服裂开了三寸多宽(zhè jiàn yīfú liè kāile sān cùn duō kuān)…この服は3寸余り避けた
蚂蚁的队伍拉开六米长(mǎyǐ de duìwǔ lā kāi liù mǐ zhǎng)…アリの行列は5メートルに及んだ

2つの例を見ても分かりますが、この用法では、補語「」の後に、長さを表す数量詞を伴います。

(6)収容の可否

」は、一定の数量が収容できるかどうかを表すことがあります。

動詞には、坐、站、睡、放、住、铺などが用いられ、多くは、目的語に数量詞を含む名詞を伴います。

動詞と「」の間に、が入って可能補語となるのが普通ですが、を付けない場合もあります。

这间屋子三张床也放开了(zhè jiān wūzi sān zhāng chuáng yě fàng kāile)…この部屋はベッドを3つ置くことができる
那个运动场站得开两千人(nàgè yùndòngchǎng zhàn dé kāi liǎng qiān rén)…あのスタジアムは2千人を収容できる
这儿能住开三个人(zhè’er néng zhù kāi sān gèrén)…ここは三人なら泊まれる

いずれの例も、ある一定の数量を収容できるかどうかを表していることが分かります。

ちなみに、別な方向補語「」にも収容の可否を表す用法がありますが、「」を用いる場合はギリギリで収納できることのみを表すのに対して、「」を用いる場合は空間的に小さくなく余裕がある意味を含むという点が異なります。

このように、方向補語「」にも、本来の意味とは少し違った使い方がいくつもあります。

特に、「」は動詞と組み合わさった慣用的な言葉がたくさんあり、方向補語の方向義としての意味よりも、結果補語としての趣が強くあります。

よく使われる言い回しはたくさんありますので、一つ一つしっかりと思えておきたいものです。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

最後までお読み下さりありがとうございました。
気に入ってもらえたらシェアして頂けると嬉しいです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク