仕事なんかでも、よくストレスという言葉が使われますが、この言葉はストレス性の病気などに使われることもあれば、「ストレスで体調を崩した」とか、「ストレスで悩みが絶えない」とか、どちらかというと悪い意味、マイナスの意味で使われることが多いと思います。
しかし、そもそもストレスの無い社会、ストレスの存在しない世界があるでしょうか。
むしろ、どんな環境にあってもストレスは存在するのが当たり前で、ストレスを回避することや、ストレスから逃げることよりも、ストレスを乗り越えて成長の肥やしにして行くことが、大事なのではないでしょうか。
ストレスのもとの意味は
ストレスの言葉を辞書で調べると「寒冷、外傷、精神的なショックなどによって起こる精神的な緊張や生体内の非特異的な防衛反応。また、その要因となる刺激や状況」(デジタル大辞泉) とあり、語源である英語のstressには、「圧迫、圧力、重圧」(ジーニアス英和大辞典)の意味のほか、「精神的・感情的な緊張、ストレス」(同) とあります。
外的な圧力の意味から、一般に使われるストレスという言葉の意味で使われるようになったのでしょう。
このように、言葉としては、ある種の外因から生じる相応の重圧の意味なのでしょうが、世の中の動向として、何かあればその原因を、何でもかんでもストレスで片付けようとする傾向があります。
どこにでもストレスはある
さて、実際の仕事におけるストレスでは、顧客対応へのプレッシャー、業務上の責務の重圧、上司・部下間の板挟みなどいろいろありますが、どんな職業に就くにせよ、その内容の違いや強弱の差はあっても、ストレスそのものはあるものです。
ある意味、ストレスを乗り越えて行くことが仕事、という言い方もできるかも知れません。そして、ストレスは、日常生活の中にすらあるもので、いずれも我々が成長・向上する上では、むしろ必要なものと捉えるべきでしょう。
簡単な例をあげれば、2~3週間も病床に伏した人が、回復後に普通に歩行しようとすれば、足の筋肉が落ちていて、直ぐには以前のように歩けないものですが、これは普段から歩いている、換言すれば、日頃から自分の体重を支えているから、筋力を維持していけることに他ならず「重力というストレスがあるから筋力を維持できる」といえます。
また、飛行機も、大きな空気抵抗に逆らって進むからこそ、そこに浮力が生じて空を飛ぶことができるわけで、これも空気抵抗という名の圧力・ストレスをはねのけることで、飛行を可能にしているといえます。
ストレスを乗り越えることで成長する
これらと同じように、人は圧力が大きければ大きいほど、乗り越えた時には、その分大きく成長・向上できたり、何かの結果を得ることができたりするわけで、いたずらにストレスを単に悪いものとする見方や、それを回避しようとする姿勢は、とるべきではないということです。
顧客対応へのプレッシャーを乗り越えれば、顧客対応能力を向上することができるわけですし、重圧をはねのけて業務上の責務を果たせば、業務実績を積むことができますし、上司・部下間の板挟みを乗り越えて行けば、管理能力を磨くことができるわけです。
どんな仕事でも、ストレスはつきものです。ストレスから逃げることを考えず、何ごとに対しても、堂々と乗り越えて、成長の肥やしにして行く気概で臨みたいものです。