家電製品でも自動車でもそうですが、新しい製品が出た、新しいモデルが出た、といって直ぐに飛びついて買う人が結構いると思います。こんな機能がついている、こんなに性能が上がった、こんなに面白くなっている、こんなにデザインがいい…と、気持ちが誘われる製品も多いと思いますが、出たばかりの時に直ぐに購入することは、決してお勧めできません。
その理由は簡単で、少し待った方が、製品の完成度が上がる傾向にあるからです。
えっ!同じ製品じゃないの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、同じ製品でも微妙に違ったりするのが現実なのです。
こんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。
- 携帯電話やスマートフォンなどを使用中、突然ハング(画面が固まって操作できない状態になること)してしまって、電源を入れ直してはじめて回復した。
- 家電製品などで、通常の操作が出来なくなって、取扱説明書を見たら、リセットボタンを押す旨の記述があったので、リセットしたら操作できる状態に戻った。
- 自動車のナビゲーションが突然おかしな動作をし始めて、何を操作しても正常にならなかったが、エンジン停止を機に、何事もなかったかのように元に戻った。
これらはいずれも、製品にバグがあって起こる現象で、電源再投入やリセットボタン操作で回復する仕組みを持っているから、故障とは違って正常動作する状態に戻せるものです。不良品というよりも、製品の性質上、完全には回避しにくい現象なのです。
携帯電話やスマートフォンはもちろんですが、自動車の制御部からちょっとした家電製品までも、最近は全てCPUと呼ばれるコントローラが内蔵されていて、ソフトウェアによって制御されています。そして、そこにソフトウェアのバグがあると、このような現象が出たりする訳ですが、実はバグを100%無くすことはほぼ不可能に近いと言われています。
そもそも製品として売り出す以上は、設計の段階で入念な検討を経て試作機を作り、その試作機で検証を繰り返して、性能評価を十分行ってから製造に到ります。製品によっては更にモニターを募って検証を繰り返した後、初めて実際の量産に到る物もあります。いずれにしても、相当な検証を繰り返すことで、ある実用レベル、ある品質レベルに達して製品化される訳です。
しかし、それほど入念な検証をしたとしても、バグというのはどうしても残ってしまうものなのです。
そのための対策として、通常の製品では、電源の入れ直しで元の状態に戻る仕組みを、予め組み込んでおくのです。
製品が市場に出回って、多くの方が利用するようになってくると、検証では発見できなかったバグがちょろちょろと判明してくるのです。そして、製造メーカはそれらのバグ情報を元に改良を加えて、先々の製造ロットに反映させて行くものなのです。必要と判断すればソフトウェアのバグ修正だけでなく、ハードウェアの改良をする場合もあります。
販売開始から時間が経てば経つほど、バグの判明件数は減少して行き、ある程度の期間が経てばだんだん収束して行きます。収束して、そのバグ対応が終わった時期がその製品の最も完成度の高いものになります。もちろん、収束する時期やメーカが対応するタイミングは製品によって異なりますので、一概には言えないのですが、いずれにしても、発売直後に直ぐ飛びつくのは、どうかと思います。
これらのことは、何かの後継機種に相当する製品ではあまり完成度に大きな差はありませんが、全くの新製品だったりすると比較的完成度に差が出たりしやすいものですから、特に注意が必要です。
このように、少し買うのを待てば、製品の完成度があがることが期待できますし、それ以外にも、製品の評判を聞いてから購入の判断ができるメリットもありますし、値引き率も上昇する傾向にありますから、慌てて買わないよう心掛けたいものです。