小学生の頃、カブトムシやクワガタを飼っている友達を見てうらやましく思ったものでした。
雄の大きなカブトムシなんかは特に人気があり、同級生の間でも飼っている人がいると、それだけでクラスで注目の的になったもの。
東京で生まれ育った私にとっては、カブトムシやクワガタは、店で買ってきて飼うものというイメージがあったのです。
特に雄のカブトムシなんかは、デパートだと1000円位の値段が付いているものもあり、まさに高嶺の花でした。
ところが長野では、その気になれば、そんなに苦労しなくても自分で捕まえることができるのです。
息子が通う小学校でも、夏場、男子の間ではカブトムシやクワガタの話題が多く出て、実際に捕まえて飼っている子もたくさんいました。
さて、今年の夏の或る日のこと、バーベキュー大会に参加するために河川敷にある公園に行きました。
公園といってもそこには自然の木々が多く生い茂っていて、木陰で暑さをしのぐことができる、夏場のバーベキューとしては絶好の場所。
実際にその日は30℃を超す暑さでしたが、体感温度はそれほど高く無く、自然に囲まれた涼しさを感じることもできるところでした。
バーベキュー大会に参加した人は三~四十人でしたが、小学生位の子も十数人いて、自然の中で自由に遊べるため子供達は皆、とても楽しそうに遊んでいました。
そんな中、男の子たちにとっては昆虫はとても興味のある存在で、セミの抜け殻を見つけては必死に採ったり、見たことのない昆虫を発見すると興味津々と見つめたりしていました。
私も小学生の息子に呼ばれて、一緒に辺りを歩きましたが、バーベキューをやる場所から10mも離れていない木の幹に、1匹のクワガタがとまっているのを発見しました。
「こんな身近な場所にクワガタがいるんだ」
正直、びっくり!
東京ではカミキリやカナブンは良く目にしましたが、自然界に生息するクワガタを直接見たことはありませんでした。
こんな身近なところにクワガタがいるくらいなんだから、その気で探せばカブトムシも簡単に見つかるだろう。
なんか、少年時代のワクワクする気持ちが脳裏に浮かんできました。
考えてみれば長野市は山々に囲まれた盆地に位置している地域ですから、自然に生息する生物が多いのは当たり前のこと、なっとくといえばなっとくです。
住みなれない長野に越して来てから、都会生活に慣れた私にとってはとかく不自由なことばかり感じて、馴染めないことが多かったのです。
しかし、また1つ長野の良いところを見つけたという感じでした。自然に恵まれているって1つの財産なんだなぁとつくづくと実感した一日でした。
さて、これには続編があります。
上記の出来事は、引っ越してからそれほど年月が経っていない頃のこと。
しばらく長野で生活していると更に、驚くことが・・・。
夏のある日、子供が、外から帰って来たかと思うと、いきなり
「クワガタ捕まえたよ!」
と。
嬉しそうに、クワガタを見せてくれて、そのまま虫かごへ・・・。
「えっ?どこで捕まえたの」
と聞くと、
「家の前に居た」
と。指さした先は、まさに玄関のすぐ前。
「ここは一体どこなんだ??」
と改めて思いました。
で、その後、またまたある日のこと、子供が、
「カブトムシ捕まえたよ」
と帰って来ました。
「えっ?さっき家を出たばかりだよね。どこで捕まえたの?」
と聞く私に、息子は、
「玄関先」
と。指さした先は、玄関からわずか数メートル先。
「都内なら、安くても数百円はするカブトムシが玄関先に落ちているとは・・・」
都内で生まれ育った私にとっては、まさに異次元。
改めて驚かされたのでした。