もう何か月も前の話ですが、職場環境の状態を確認する機会があり、職場の一部の部屋において、換気機能が正常に働いていないことから、二酸化炭素濃度が2000ppmを超える場合があることが判明しました。
早急に対策が必要との判断がなされて、改善のための工事が行われて問題は解決しましたが、一連の対策を通して、換気の重要性を再認識することになりました。
基準がある
キッカケは、安全衛生上の問題がないかを確認する目的で、職場の色々な場所において、騒音や照度、二酸化炭素濃度などを調べたことでした。
ちょうど、その問題が判明したのは、兼ねてから「換気がうまく機能していないのでは?」と疑問視されていた部屋だったのですが、実際に測定した二酸化炭素の濃度は2000ppmを超えていました。
数値を耳にしてもあまり実感はわかないものですが、労働安全衛生の基準には、オフィスの限界値として1000ppmという数値があるとのことで、その基準からは大きく外れていて、早急に対策が必要な状態でした。
1000ppmを超えた場合、人命に直接影響する訳ではありませんが、眠気が生じるなどの影響が出やすく、労働環境としては不適切なのです。
ちなみに、外気は400ppm以下、十分な換気がされているとされる数値は400ppm~700ppmで、室内が700ppmを超えていると、換気が不十分だと言われています。
また、室内の許容限界値として5000ppmという数値もあり、これを超えると疲労が進んだり、集中力が欠如したりすると言われています。
換気の作用は大きい
このようなことがあったことから、職場の各部屋の二酸化炭素の濃度を連日、測定・記録する機会が生まれ、二酸化炭素濃度に関してちょっとした知識を得ることができました。
例えば、密閉状態にない部屋でも、人数が多い状態であれば、自ずと二酸化炭素濃度は上がる傾向にあり、一応の基準である1000ppmを超えなかったとしても、1000ppm近くにまで至るようなことは、結構よくあることが分かりました。
また、1000ppm位の状態でも、3分ほど窓をしっかり開ければ十分、外気とほぼ同じくらいの濃度にまで下がることが分かり、換気というのはすごく効果があることを再認識しました。
ガスを使用する時には、「換気扇を回す」とか「窓を開ける」ように促されるものですが、今回の経験から、換気扇を回して空気を強制的に循環させなくても、少しの間、窓を開けっ放しにするだけで、それなりに効果があることを実感しました。
この経験から、僅かな換気でも全然違うものなので、こまめに窓を開けて換気をすべきだと強く思いました。
対策後の変化
さて、問題となっていた部屋の換気設備の改善を測ったことで、1000ppmを超えることは無くなり、通常700ppmに到ることも無くなりました。
この結果、この部屋で仕事をしていた社員の一人が、「眠気を感じなくなった」と言っており、また、以前から頻繁にうとうとしていた別の人も、そのような姿を見かけなくなりました。更に、「作業効率が上がった」との声も耳にするようになりました。
このような姿を見聞きして、「二酸化炭素濃度の違いが、こんなところに出るものなのか」と、適切な環境であることの大切さを強く感じました。
二酸化炭素濃度などは五感で感じることはできませんし、専用の測定器がないと具体的な数値としては分かりません。
従って、普段はあまり考えないものですが、二酸化炭素の濃度が人間に影響を与えることに間違いはありません。
数値に現れないからこそ、窓を頻繁に開けるなど、積極的に換気を促進して、少しでもよい環境にして行こうと心掛けたいものですね。