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日本が後進国へ転落する理由を数値で見る(2)悲観すべきGNIの減速

日本はもはや後進国。そんな言葉がしきりに言われるような近年において、ソフトバンクグループの孫社長の発言は衝撃でした。

そんな発言を機に、後進国へ転落しつつある日本の姿を数値で追うことにしましたが、前回のGDPに次いで、今回はGNI(GNP)を見て行きます。

日本のGNIを見る

GNIとは

GNIはGross National Incomeの略で、国民総所得を意味します。

GNIはかつて、事実上同じ数値となるGNP(Gross National Product、国民総生産)を用いて経済の指標としていましたが、近年ではGNIを用いるようになっています。

同じく経済の指標を表すものにGDPがありますが、これは国内の生産を表すので日本企業の海外利益を含みませんが、GNIは日本企業が海外で得た利益を含む点で異なります。

従って、国内の経済の指標としてはGDPが直接で分かりやすいのに対して、GNIは日本経済を、海外における収益を含めた指標として見るのに有用と言えます。

前回(初回)は、GDPで見た日本の経済発展の模様を見てきましたが、今回はGNIで見てみます。

国際ランク

さて、まず何と言っても気になるのが世界における日本のGNIのランクでしょう。

前回と同様、国連が公開しているデータをもとに、世界ランキングベスト10のグラフを作成してみました。

数値は公開されている最新の統計データ2017年のものです。縦軸はドル換算の金額です。

GNIの世界ランキング(2017年)

これを見てどう感じたでしょうか。「なんだかんだ言っても日本はGNI世界第3位。そうそう悪くはないハズだ。」このように思った方も多いのではないでしょうか。

確かにグラフを見ると堂々の世界3位ですから後進国と呼ぶのは言い過ぎではないかとも思えます。しかし、そんな短絡的な見方はすべきではありません。

なぜなら、GNIなどの経済指標を見る場合は、その変化・伸び率が大切だからです。

つまり、たとえ数値が大きくても伸び率が悪いと経済は発展していないと言えるのです。

実際にアメリカや中国と、日本を比較した場合、持っているイメージよりも両国との差が大きく感じませんでしたか?

これはGDPでも同じことが言えましたが、近年の伸び方を見ると両国と比べて著しく低いのです。

経済規模で中国に抜かれたことは、割と記憶に新しいことと思いますが、いつのまにこれだけ差が開いたのかと感じた人も少なくないハズです。

近年の推移

では、実際に近年において日本のGNIがどのように変化してきたか、その推移を見てみましょう。

日本のGNIの変化

どうでしょうか。これはGDPの推移とも似ていますが、1990年代からGNIはほぼ横ばいで、実質上ほとんど成長していないと言えるのです。

これを端的に言えば、ここ30年近く日本経済は全くと言っていいほど成長していないということです。30年近くも時間が止まっているようなものです。

例えて言えば、30年前も昔の世界で生活しているってことです。原始生活よりはぜんぜんましですが…。

技術革新の進む現代において、30年も遅れると考えると致命的な感じがします。

実際、ソフトバンクグループの孫社長は、AIやITにおいて後進国だと言っていますから、まさに悲観すべきことです。

世界の推移

ところで、上記のグラフを見て気になるのが、「世界的にはどれ位で推移しているの?」と言う点でしょう。

世界経済そのものが低迷しているなら、日本が低迷しているのもある意味当然なんじゃない」なんて声も聞こえますから、実際に見てみましょう。

世界のGNIの変化

これを見て分かることは、世界経済としては大きく成長している中、日本は1990年代に入ってからずーっと横ばいの状態が続いているということです。

また、後進国であった中国は近年大きな経済発展を遂げていることが分かりますし、同じ先進国と言われた大国アメリカも、リーマンショックなどがある中に確実に大きく成長しています。

まさに日本だけが取り残されたという感じがしてなりません。

他の先進国は

さて、ここで気になるのは、「他の先進国はどうなの?」というところでしょう。GNIベスト10の国について、近年の推移を見てみましょう。

各国における近年のGNIの変化

GNIの絶対的な数値で見れば日本は比較的大きいのでいいような感じもしますが、伸び率、つまり傾きを見た場合には、他の国に比べて劣っているのがハッキリ分かります。

では、ここで変化(伸び率)を見るために1992年を基準(=1)とした場合の、1993年以降のGNIの変化を見てみましょう。

1992年を基準とした各国のGNIの変化

これを見ると、やはり後進国であるインド、ブラジル、中国の伸びが著しいことがよく分かります。

またこれだけを見ると、あまり経済成長していない他の先進国と日本はあまり変わりが無いようにも見えそうです。

ちょっと縦軸のスケールを絞り込んで拡大して見てみましょう。

1992年を基準とした各国のGNIの変化(拡大表示)

このように見ると、やはり日本が一番横ばいになっていて経済が低迷していることが浮き彫りになります。

グラフ中に点線で示したのが、この変化を一時近似式で表したものですが、この傾きを見れば、他国より日本が明らかに横ばいになっていることがよく分かると思います。

実際にこの一次近似式の傾き(y=Ax+BのA)を求めてみると、下記のようになりました。(括弧内は前回の記事におけるGDPの場合)

日本  :0.0087(0.0071)
イタリア:0.0397(0.0386)
ドイツ :0.0400(0.0381)
フランス:0.0521(0.0503)
英国  :0.0625(0.0660)
米国  :0.0843(0.0799)
カナダ :0.1053(0.1020)

どうでしょうか。明らかに他国とは低迷している状況が違うことが分かると思います。

まとめ

以上、日本のGNIについて色々と見て来ました。数値は若干異なるものの、基本的な傾向はGDP(前回の記事)と大差がありませんでした。

結果をまとめると、

・GNIの順位は世界第3位と言える
・GNIの変化は近年は横ばいで成長していない
・30年近くもGNIは伸びてなく後進国化している
・GNIは数値に差があるものの傾向はGDPに似ている

というところでしょう。

GDPを見ても嘆くような思いでしたが、GNIを見ても本当にため息がでるばかりです。

このままの延長で行けば、孫社長の発言のごとく、間違いなく後進国の仲間入りになることでしょう。

次回(第3回)は、世界競争力ランキングの数値を見て行きます。

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