日本が後進国へ転落する理由を数値で見る(3)止まらぬ競争力の低下

ソフトバンクグループの孫社長が発言した日本が後進国との話題。

衝撃的だった人もいるようですが、現実は現実として認めなければいけない…そんな見方をした人も多いのではないでしょうか。

日本の国際競争力ランキングは

私も日本の後進国化は認めたくない反面、認めざるを得ないのかと思う心も湧いて数値で見ることにしたわけですが、今回は第1回目のGNP第2回目のGNIに続いて、「世界競争力ランキング」の数値を追うことにしました。

世界競争力ランキングとは

孫社長の後進国の話題では、世界競争力ランキングもその根拠としてあがっていて、そこでは、「世界競争力ランキングは30位と1997年以降では最低」と説明しています。

この「世界競争力ランキング」(World Competitiveness Ranking)というのは、1989年以降、IMDというスイスにあるビジネススクールが毎年、各国の競争力を評価して、そのランキングを公開しているものです。

今年(2019年)については、世界63か国について二百数十の指標をもとにランキングした結果が初夏に公表されて、日本が30位と、昨年より5位もランクを落としたことで話題にもなりました。

この「世界競争力ランキング」では、大分類として「経済の状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つの判断指標を持ち、それら4つを更に細分化して中分類、小分類に分けた細かい指標をもとに総合的な判断をしています。

例えば、インフラなどには健康や教育なども含んでいて、総合的なランキングで判断していることがうかがえます。

但し、このランキングでは評価する情報として、変動する、特性が異なるデータが混在している点や、アンケート調査をもとにしたデータが含まれていることに注意を要するとの指摘も上がっています。

そういう意味では、必ずしも実際の競争力を反映しているとは言い切れない側面はあるものの、国同士の比較や経年による変動を見る上では意義のある数値と言えるでしょう。

2019年のランキングは

さて、では今年、発表された実際のランキング(上位30)を見てみましょう。

順位 国名(英語) 国名
1 Singapore シンガポール
2 Hong Kong SAR 香港
3 USA アメリカ
4 Switzerland スイス
5 UAE アラブ首長国連邦
6 Netherlands オランダ
7 Ireland アイルランド
8 Denmark デンマーク
9 Sweden スウェーデン
10 Qatar カタール
11 Norway ノルウェー
12 Luxembourg ルクセンブルグ
13 Canada カナダ
14 China 中国
15 Finland フィンランド
16 Taiwan、China 台湾
17 Germany ドイツ
18 Australia オーストラリア
19 Austria オーストリア
20 Iceland アイスランド
21 New Zealand ニュージーランド
22 Malaysia マレーシア
23 United Kingdom イギリス
24 Israel イスラエル
25 Thailand タイ
26 Saudi Arabia サウジアラビア
27 Belgium ベルギー
28 Korea Rep. 韓国
29 Lithuania リトアニア
30 Japan 日本

日本が30位なのは、昨年(2018年)の25位から5つランクを落とした結果ですが、これは過去も含めて最も悪いランクです。

これを見て、みなさんはどう感じたでしょうか。

日本はこんなに低いのか」「こんなものでしょう」など、人それぞれだと思います。

しかし、私のようにバブル崩壊前の日本をよく知っている者にとっては、「ここまで落ちてしまったのか」との印象が強いです。

私のような年代の場合、以前は中国の台頭もなく、経済を中心に「アジアの中の日本」というくらい、魅力的な国でもありましたし、実際に競争力もトップでした。

事実、このランキングが始まった1989年から数年間は日本が第一位をキープしていたのです。

それがランクダウンして今や30位ですから、私と同年代であれば「ここまで落ちてしまったのか」との思いを抱くのは当然だと思います。

そして、落ちて行く日本がある中で、同じアジアでも、中国、台湾、マレーシア、タイ、韓国などが日本を抜いてより上位に立ち、完全に「アジアの中の日本」などとは言えなくなりました。悲しいことです。

さて、ここでちょっと気になるのが先進国と言われる上記に記載されていない国ですが、フランスは31位、イタリア44位ですから、そういう見方をすると、日本もまだまだではないかという感じもします。

しかし、ランクの変化という点では大きな差があります。

ランクの経年変化は

では、このランキングが始まった1989年以降の日本の順位を見てみましょう。縦軸はランキングの順位、横軸は年(西暦)です。

日本のランキングの変化

具体的な順位は下記の通りです。

順位
1989 1
1990 1
1991 1
1992 1
1993 2
1994 3
1995 4
1996 4
1997 17
1998 20
1999 24
2000 21
2001 23
2002 27
2003 25
2004 23
2005 19
2006 16
2007 24
2008 22
2009 17
2010 27
2011 26
2012 27
2013 24
2014 21
2015 27
2016 26
2017 26
2018 25
2019 30

どうでしょうか。

かつて一位だったのに…。私とは違う、若い世代の人でもそう思うハズです。

そこまで落ちてしまったのです。

そして「世界競争力ランキングは30位と1997年以降では最低」との表現において「1997年以降では」とありますが、実際はIMDによるランキング付が始まって以来のことなのです。

私には、この「1997年以降では」という表現を敢えてしている裏には、2つの意味があると感じます。(1997年には金融システムの不安が顕在化したことで急落)

ひとつは、かつては1位だったこともあるという意味と、もうひとつは低迷し始めてから長年、回復していないという意味です。

言葉を変えれば、1つ目は、過去の栄光ってことですし、2つ目は、悪くなり続けて回復していないってことです。

日本の深刻な状況は、悪化が続いて歯止めが掛からない、更に悪化が継続する傾向にあるということです。

先ほど先進国の話を出しましたが、日本より下位の31位のフランスは1990年代初頭は15位くらいを推移していましたから、ランクダウンしたと言っても日本ほどではありません。

今年17位のドイツは1990年代初頭は5位でしたが、ランクダウンは12位くらいですし、2014年には6位に回復したこともありました。

イギリスのランクもそれほど落ちている訳ではありませんし、イタリアなどは当初からそれほど高いランクではありませんでしたから、ランクダウンの大きさという点では、日本ほど大きい国はないと言ってもいいでしょう。

まとめ

今回、「世界競争力ランキング」の数値を追ってみましたが、まとめると以下のことが言えるでしょう。

  • かつて1位であったランキングが今や30位にまで落ちた
  • 低迷する傾向が長く続き、依然その傾向が続いている
  • GNPやGNIと同様にランキングも回復する兆しが見えない

今回が数値を追うこと3回目ですが、いずれも悪化傾向にあることが否めません。

膨大な財政赤字に加えて深刻な少子高齢化が加速する中、早急に回復基調に乗せることこそが大切と言えるでしょう。

連載第4回となる次回は、平均賃金について見て行きます。

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