スギ花粉症に悩んできた私が、舌下免疫療法という根本治療方法を始めてから、2度目の花粉飛散時期を経験しました。
最初の飛散時期から既に効果を実感していた私にとって、一年前よりも症状が少し悪化したことは不可解ではありました。
しかし、具体的な症状の内容や担当医とのやり取りの中で得られた感覚としては、むしろ前進と感じています。
今回の体験談は、シリーズその6として、治療の中で体験してきたことのうち、2度目の花粉飛散時期に味わった症状を中心にまとめました。
今までの記事をご覧になりたい人は下記をどうぞ。
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目次
治療開始からの経緯
さて、この記事を初めて読む人もいるかと思いますので、ちょっと今までの経緯に触れておきます。
私は世間によくいるスギ花粉症を持っていて、毎年、飛散時期になると苦しんでいました。
マスクは当たり前に付けていましたし、アレルギー用の薬(アレロックとか)をよく服用していました。
そんな私が一大決心して、スギ花粉症の根本療法である舌下免疫療法を始めたのは2019年11月です。
今から約1年半前のことですね。
最初のスギ花粉の飛散時期を迎えたのは治療を開始してから、半年くらい経過した2020年の春でしたが、この時すでに効果の一部を味わい、手応えを実感できていました。
1年目でこれだけ効果が得られるとは…。
正直、うれしいと言うのが当時の感想でした。
だから、今回はさらなる改善があるだろう。
そんな大きな期待を抱いて迎えた2度目の飛散時期だったのです。
しかし、予想と違っていたのが実際に味わった症状でした。
去年より症状が悪化!?
そんなガッカリの思いも出てきましたが、総じて言えば、前進かなぁと。
以下、詳しく書いて行きます。
昨年の症状の出かたは
今回の症状の出かたを書く前に、簡単に昨年に味わった症状に触れておきましょう。
私が治療開始前から花粉症で苦しんでいた具体的な症状は、鼻水・喉のかゆみ・くしゃみ・目のかゆみ・鼻づまり・全身のだるさなどでした。
一年前、これらの諸症状の全てにおいて、改善が見られました。
それぞれの症状の変化について簡単に触れましょう。
鼻水については、例年たとえマスクをしてもシーズン中は毎日のように出ていましたが、昨年はシーズン開始当初に少しでただけで、あとはほどんど出なくなりました。
喉のかゆみについては、以前は「痛がゆい」ような症状もあり、頻繁に、かゆくてかゆくて耐え難いと感じていましたが、昨年は「単に、かゆいことがある」程度の状態になりました。
くしゃみについては、一度くしゃみが出ると7~8回は連続で出て意志とは無関係に止められない状態に陥ることがシーズン中に何度もありましたが、昨年はこのようなことは一度も出ませんでした。
目のかゆみについては、今まで「かゆくてかゆくてたまらない」ということがシーズン中に何度もありましたが、昨年は一度もありませんでした。
鼻づまりについては、就寝時に詰まって眠れないことが頻繁にありましたが、昨年は鼻づまりそのものが一度もありませんでした。
全身のだるさについては、「ズッシリと重たく圧し掛かって来るようなダルさ」を例年感じていましたが、昨年はそのようなダルさはありませんでした。
このように、治療開始から始めて花粉飛散時期を迎えた去年(2020年)の春は、色々な症状において大きな改善が得られていたのです。
詳細については、そのころ書いた記事にありますので、参考にして下さい。
具体的に昨年とどう違ったか
では、治療開始後の2回目の飛散時期である今年(2021年)の春はどうだったかです。
総じて言えば、去年よりも症状としては悪く、少しツライ状態がありました。
しかし、治療前と比べた場合は、格段に改善されている状態に変わりはありませんでした。
では、症状別に細かく見て行きます。
鼻水の症状
まず、鼻水についてです。
去年の症状は、花粉シーズン開始直後にちょっと鼻水が出て、あとは収まったという症状でした。
しかし、今年は、花粉シーズン開始直後に出ていただけではなく、シーズン中もたまに出ることがありました。
従って、シーズンを通しても当然、昨年よりも多く出ていた訳ですが、治療以前には毎日のようにたくさん出ていたのに対して、今年は「たまに出ることがある」程度でした。
つまり、昨年ほどは症状は治まっていなかったものの、治療開始以前と比べると大きく症状が改善されていることに変わりはなかったのです。
喉のかゆみ
次に喉のかゆみについてです。
昨年、かゆくてかゆくてたまらないという従来味わっていた症状は出ませんでしたが、今年は、その症状が出ました。
なんだ逆戻りじゃないか。
そう思う人もいると思いますが、その内容は雲泥の差がありました。
治療開始前は、いったん「かゆくてかゆくてたまらない」という状態に陥ると、それが2~3日続いて治まったかと思うと、時を経ずして再びそのような症状が出ることが常でした。
それが昨年は全く無かったので「やった~!」という思いでいたところ、今年、再びそのような症状になった時はさすがにへこみました。
しかし、決定的に違っていたのは、その症状が続く時間と、繰り返される頻度です。
例年、2~3日続いていた「たまらない」という症状は、一日もあれば治まってしまいました。
また、そんな症状が出たのもシーズン中に3回ほど。
しかも、同じ「たまらない」でも、程度がちょっと軽症な感じでした。
昨年と比べたら悪化したような感じですが、それでも治療開始前と比べると凄く改善しているわけです。
くしゃみの出方は
次は、くしゃみについてです。
治療開始前は、連続して出るくしゃみが止まらない症状がシーズン中に何度もあって、昨年はそれが一度もなかったわけですが、今年は、残念ながら「連続して止まらないくしゃみ」がありました。
「なんだ。また以前に逆戻りか・・・」そんな落胆の思いも出てきました。
しかし、症状がでる頻度が全然違うのです。
治療開始前は、このような症状が何度も出ていたのに対して、今年は記憶ではたった2回だけ。
あくまで一時的なのです。継続して悩まされるのとは大違いなのですね。
目のかゆみはどうか
次に、目のかゆみについてです。
「かゆくて、かゆくてたまらない」というのが治療開始前の感覚。
それに対して、去年は目がかゆいことはあっても、そこまでの感覚になるほどは一度もありませんでした。
では、今年はどうか。
シーズンを通して、目のかゆみを感じることはけっこうありました。
でも、「かゆくて、かゆくてたまらない」までは行かない、その一歩手前の状態が3~4回ほどありました。
目のかゆみについても、昨年よりは悪化、従来(治療開始前)よりは大きく改善って感じです。
鼻づまりの症状
次は、鼻づまりについてです。
就寝時に鼻が詰まってよく眠れないのが、以前からの悩みでしたが、今年も去年と同様、そのようなことはありませんでした。
ただ違っていたのは、昨年は鼻づまりそのものが無くなったのに対して、今年はちょっと鼻づまり感があった点です。
症状の度合いが軽く、あくまで「ちょっと詰まり気味」って感じだけでしたので、実生活にはほとんど影響はありませんでした。
あわせて読みたい花粉症による鼻づまり対策には「鼻孔拡張テープ」が意外と効く。
全身のだるさは
最後に、全身のだるさについてです。
「ズッシリと重たく圧し掛かって来るようなダルさ」を感じなくなったのが、昨年に得られた改善でした。
これについては今年も同様で、そこまでのダルさはありませんでした。
ただ、全体的なダルさの程度を昨年と今年とで比較した場合、今年の方が昨年よりも若干ダルい感じがしました。
ちょっと改善とは逆行している感じです。
以上、述べたように、今年現れた花粉症の症状は、
- 昨年に比べると、症状としては悪化している感じ
- 治療開始前と比べると、明らかに改善している状態
と言えます。
一見すると症状が悪化した今年の春でした。
普通に考えれば、治療が進むにつれて、徐々に症状が改善していくと考えるもの。
いったいどうしてなのか。
そこには理由があり、逆に前進していると感じる要素がありました。
昨年との違いをどう見るか
その理由を端的に言えば、スギ花粉の飛散量の違いです。
昨年のスギ花粉の飛散量は少なめ、今年は多め。
単純に言えば、これが症状の出方の違いの理由です。
スギ花粉情報なんかを見ても、飛散量の数値は出るもののあまりよく分かりません。
なので、私が飛散量の違いが理由であることを確信したのは、耳鼻科に通院した時です。
この治療の定期的な通院で今年の3月に診察を受けて、昨年より症状が悪いと医師に話した時のこと。
現状を説明した私に対し担当医は、
「今年のスギ花粉の飛散量はとても多く、去年の3倍ほどである。去年と比べてとても多いことを考えると、これくらいの状で済んでいるのであれば、むしろ自然と言えるのでは」
と話してくれました。
さすがに、スギ花粉の治療に来る人が多いだけあって、飛散量について詳しい情報を持っているようでした。
もちろん、飛散量に対する症状の出方については無数の症例を知っているハズですし。
飛散量が極端に異なるから、素人には症状の比較が難しいところです。
でも、医者の見解からすると状況的にはすごく自然な症状。
と言うことは、決して悪化している訳ではないと言えそうです。
担当医の口調からするとむしろ改善していかのような感じでした。
で、診察の途中で、
「たとえつらい症状が出ても一時的で、従来とは違って時間が経つと気にならない状態に戻る」
と伝えた私に対して、その医師は、
「それは、身体が耐えているのですね」
「ここまで改善して良かったですね。治療を始めて本当に良かったですね」
と語り、その言葉を言われた私は、「確かに」との思いを抱いたのでした。
そして、今回味わった症状を振り返って感じたことは、
「地道に継続して行くことがやはり大切だなぁ」
ということです。
もとよりこの治療は3~5年という長い期間を費やして行うもの。
焦る必要はないはずです。
現時点で、これだけの効果が出ているだけでも大きな収穫。
たとえ、最終的な治療効果がこの程度でも、生涯この状態が持続できるとした、それだけでも大きな成果だと感じます。
と言うわけで、花粉症の症状が去年よりも大きく出た理由は飛散量の違いでした。
でも、実は他にもありました。
それは飲酒です。
個人差もあるようですが、私は飲酒をすると花粉症の症状が悪化していました。
だから、スギ花粉の飛散時期には、飲酒を控えるようにしていたのです。
ところが、昨年、症状が抑えられたことをいいことに、今年は何度も飲酒をしてしまい、その影響もあったようなのです。
「今年は、大丈夫だ」と、気を緩めて連日、家で適量の飲酒を繰り返していたんですね。
だから、あまり調子に乗って飲まない方がいいと痛感させられました。
あと、改めて感じたことは、体調が症状に直結するってことです。
多忙で睡眠不足が続いて体力が低下すると、症状がつらくなりやすいんです。
花粉飛散時期だから、身体のコンディションにも敏感になるんですね。
まぁ、そんな感じの様々な思いを抱いたのが今年の飛散時期でしたが、確実に前進できているという、手応えを感じ得たシーズンでもありました。
次回は、また節目に記事を書きます。