先日、「長野は寒冷地か?」と題して投稿した時、長野は標高が高いので、長野より北にある緯度の高い都市よりも寒い、という内容を記述しました。
その時、頭に浮かんできたのが、そもそも、標高と海抜と高度っていったい何が違うんだ、という素朴な疑問でした。
それ以来、そのことが頭から離れず、気持ちが悪かったので、きちんと調べてみました。
標高とは
まず、標高ですが、東京湾の平均海面を0mの基準として、そこからどれくらい高いかを示した高さを意味します。
漢字の「標」には、「めじるし」という意味があるので、高さの目印と言う意味で「標高」という言葉が用いられるわけですね。
ただし、東京から遠く離れた離島などでは、通常、使われません。
厳密な定義は測量法で定められていて、国土地理院が詳細を説明しています。
海抜とは
次に、海抜ですが、海水面を基準として表す高さのことで、東京湾の平均海面に限らない、近隣の海面からの高さについて用います。
ただし、広義には標高と海抜は、ともに同じ意味で使われることが多く、実際、いろいろな辞書を見ると、同義として掲載しています。
従って、標高も海抜も英語に訳すと、共にそのものを意味する用語は無く、どちらも「○○ meters above sea level」のような同じ表現になります。
しかし、国土地理院では、基準点の違いで「標高」と「海抜」を明確に分けています。
高度とは
最後に、高度ですが、海水面や地面からの高さの程度を表す一般的な表現で、0mとなる基準が定まっていないのが特徴です。
英語ではaltitudeのことで、単なる高さを意味するheightとは、海水面や地面からの高さを表す言葉として区別されます。
従って、高度は標高や海抜の意味も含む表現ということになります。
ちなみに、「高度」の言葉そのものの定義としては、この他に「観測する天体と地平面とのなす角」や、高度経済成長など「程度の高いこと」の意味もあります。
標高・海抜・高度の違いのまとめ
以上、3つの違いを端的に示すと下記の通りです。
標高…東京湾の平均海面を基準とした高さ
海抜…近隣の海面を基準とした高さ
高度…基準が定まっていない一般的な高さ
標高・海抜・高度の違いは、基準の違いによるのですね。
どのように使い分けるか
言葉の違いがある以上、使い方にも違いがあります。
標高・海抜・高度の使い分けは下記の通りです。
標高
地理上の表現には通常、標高を用います。
例えば、山の高さに用いれば、統一した基準(東京湾の平均海面)で表すことができるので、高さの比較がきちんとできることになります。
海抜
また、海抜は、近隣海面との比較が重要な場合によく用いられます。
例えば、津波や高潮の対策で説明する高さを表現するのに適しています。
高度
そして、高度は、空中にある測定点に対してよく用いられる言葉です。
通常、航空機などが飛行する高さに使われます。
ふだん何気なく使っている言葉も、細かく調べてみると、その微妙な違いが分かって、とても面白いものですね。