サッカーもバスケットボールも同じ球技で、共に、ボールをゴールに入れることで、点を取り合う競技です。
しかし、それぞれのゴールのサイズは極端に異なり、サッカーのゴールの方がバスケットボールのゴールに比べて、とても広くなっています。
しかしながら、実際の試合を見ると、ゴールの広いはずのサッカーの方が、ゴールの狭いバスケットボールに比べて、はるかに得点が少ないのが現実です。
目次
ゴールは圧倒的に広いのに、なぜ?
サッカーにおける、1試合当たりの得点は1,2点というのが相場です。
一方、バスケートボールの場合は、数十点、試合によっては百点以上も点をとることもあります。
単純にゴールの広さだけを見れば、広い方が得点を取りやすいハズですが、実際は全く逆になっているわけです。
では、なぜゴールの広いサッカーは、ゴールの狭いバスケットボールよりも、得点を取れないのでしょうか。その理由について分析してみました。
ゴールの広さの比は?
サッカーのゴールの大きさは、横7.32m(8ヤード)、高さ2.44m(8フィート)なので断面積は、
7.32×2.44=17.8608[平方メートル]
となります。
これに対してバスケットボールのゴールは直径0.45mの円形なので断面積は、
0.225×0.225×3.1416=0.1590435[平方メートル]
となります。
そして、これらの比を計算すると、
17.8608/0.1590435=112.3
となって、単純にゴールの大きさ、広さはサッカーの方が約112倍もあることになります。
ボールの大きさは無視して、単純にゴールの大きさを得点の取得しやすさとした場合は、サッカーは、バスケットボールよりも112倍も得点を取りやすいことになります。
しかし実際は、サッカーは1試合当たりの平均得点は1~2点、バスケットの場合は60~80点くらいでしょうから、バスケットボールの方が、数十倍も得点を取りやすくなっているといえます。
キーパーの存在
さて、まず、得点の大きさが異なる第一の理由としてあげられるのは、なんと言っても、サッカーにはゴールキーパーと呼ばれる、ゴールを専用に守る選手がいることで、バスケットボールには、そういった選手がいません。
サッカーの場合は、コースの甘いシュートやスピードの無いシュートは、ゴールキーパに阻止されてしまうので、得点になりません。
相手のチームに、もしゴールキーパーが居なかったら、どれほど得点しやすいかをイメージすると、ゴールキーパーの存在の大きさがよく分かると思います。
一方、バスケットの場合は、相手の守備をかわして、ひとたびゴールに向かって正確なシュートを打ちさえすれば、誰も阻止する選手がいませんので、その分ゴールになりやすいわけです。
バスケットをよく知らない人は、「ゴールに入る直前にボールを阻止すればよい」と考える人もいるかも知れません。
しかし、バスケットのルールの1つとして、打ったシュートのボールの軌道が最高点に達した後は、ボールに触れてはいけないと決まっていて、仮にそのような状態でゴールを阻止したとしても、ルール上、得点としてカウントされます。
得点の付け方が異なる
そして、そもそも、得点の付け方がサッカーとバスケットボールとでは異なりますので、これも大きな理由の1つとしてあげられます。
サッカーは、ゴールを決めればそれは全て1点としてカウントされます。
しかし、バスケットの場合は、通常1ゴールにつき2点としてカウントされます。
また、比較的難易度の高い遠方からのシュートについては、3(スリー)ポイントシュートと呼ばれて、1ゴールにつき3点としてカウントされます。
更に、シュート動作中の反則時に与えられるフリースローは、1ゴール1点ですが、その反則時にゴールが入らなければ2回あるいは3回のフリースローが与えられます。
もし、反則時にゴールが入れば、そのゴールとは別に更に1回のフリースローが与えられますので、いずれの場合でもサッカーよりも、得点を取りやすくなっています。
ディフェンスが有利
サッカーとバスケットボールとでは、そもそも違うスポーツなので、色々な面で違いがあるわけですが、その違いの結果、ディフェンス(守り側)が有利になっている点が多く、これが、サッカーにおいて、点を取りにくい要因になっています。
手が使えない
そもそも、サッカーの場合はバスケットと異なり、スローイングやキーパーなどを除いて、手を使うことができませんが、これが、得点を取りにくい要因になっています。
サッカーの場合、コート内を走り回るのも足ですし、ボールを操るのも足です。
これに対して、バスケットの場合は、コート内を走り回るのは足ですが、ボールを操るのは手です。
オフェンス(攻め側)としては、ボールを操りながらディフェンスを振り切る必要があります。
従って、足でボールを操る必要があるサッカーの方が、ディフェンスを振り切りにくくなる分だけ、バスケットに比べて、ディフェンスの方が有利になるわけです。
ディフェンスが有利になれば、得点も低くなるのは当然です。
シュートを放つ高さ
サッカーの場合は、足でボールを蹴るので、シュートを放つ際の打点(高さ)は、足が届く範囲になり、バスケットに比べて相対的に低くなります。
仮に、ゴールとの直線上の近距離にディフェンスがいる場合は、シュートを放つこと自体が困難です。
しかし、バスケットの場合は、手を使うので、比較的、高い位置からシュートを打つことができ、ゴールとの直線上にディフェンスがいたとしても、頭上を越えたシュートを狙うことが容易にできます。
オフサイドルールがある
サッカーにはオフサイドというルールがあって、その制限内でしか味方にパスを送れません。
このようなルールはバスケットにはなく、このルールがあることで、サッカーではバスケットボールよりも、ディフェンスがより有利になります。
実際の試合の姿にも表れる
いくつか、ディフェンスが有利になる点をあげましたが、その姿は実際の試合にも表れています。
サッカーでは、オフェンスが攻めあぐねて、なかなかシュートチャンスに至らない姿が多く、バスケットと比べた場合には顕著です。
サッカーでは、手を使えないことや、シュートを放つ打点が低いことなどの理由で、ディフェンスが有利になっているわけですが、この差については、フットサルとハンドボールとを比較してみると、より理解しやすいでしょう。
コートが広い
サッカーの場合は、コートの広さは、ワールドカップやオリンピックでは105m×68mであるのに対して、バスケットの場合は28m×15mなので、圧倒的に広くなっています。
その結果、オフェンスからディフェンス、ディフェンスからオフェンスへ切り替わる周期が長くなり、得点が少なくなることにつながっています。
ここで気になるのが試合時間で、サッカーが45分×2(前後半)の90分に対して、バスケットボールは10分×4(フォークォータ)の40分なので、コートの大きさが違っても、試合時間が倍も異なると、同じ比較ができないのではと思われます。
しかし、サッカーは基本的に試合中は時間を停めないのに対して、バスケットはボールが外に出たり反則があったりすると、その都度時間を停めるので、実質的な時間は倍くらいになるといわれています。
従って、現実的には、試合時間の差はほとんど考えなくてよいということになります。
それぞれに魅力がある
以上、ゴールの広いサッカーが、ゴールの狭いバスケットに比べてはるかに点が取りにくくなってる原因を分析してみました。
点を取り合う攻防に魅力を感じるバスケットボールと、1点に重みがあるからこそ、点を取ることへの緊迫感に魅力があるサッカー。
それぞれのスポーツに特徴があり、また違いがあるからこそ面白いのだと、分析して行く中にそれぞれの魅力を再認識しました。