職場の業務で良くあることが、「言った、言わない」とか「聞いた、聞いてない」といった食い違いです。
例えば、上司が部下に作業を依頼して「これを〇日までにまとめておいて」と伝えて、その日になって完了したかどうかを確認したところ「そんな話は聞いてない。頼まれた覚えはない。」と。
このように「あの時、言った」「聞いた覚えはない」なんてやりとりは結構よくあることです。
たとえ、伝えたとしても、伝わっていなかったのなら、伝えていないのと同じなのです。
目次
どこにでもある「言った」「言わない」などの食い違い
さて、このように伝えたつもりが、伝わってなかったというような食い違いは、上記の上司と部下との例に限らず、どんな間柄でもあります。
例えば、夫婦や友達、彼氏・彼女などの恋人同士間でも、
「あの時、こう言った」
「そんなことは言っていない」
など、「言った」、「言わない」という会話は日常的です。
また、表現や言葉が異なるだけで、
「話した」、「話していない」
「聞いたでしょ」、「聞いてない」
「報告した」、「報告を受けていない」
「連絡した」、「連絡など貰っていない」
などの食い違いはどこにでもあります。
いつ、どんな間柄においても、「言った」、「言わない」の類の食い違いはどこにでもあるのです。
そして、この食い違いは結局のところ、「伝えた」ことと「伝わった」ことの違いと言えます。
食い違いはなぜ起きるのか
では、そもそも何でこのような食い違いが生じるのでしょうか。
その原因を挙げると、以下の2つに大別できます。
その1-コミュニケーションでの食い違い
単純に言えば、
話し手の「伝えたい内容」と「表現した言葉」
そして、
聞き手の「表現された言葉」と「伝わった内容」
それぞれにギャップがあるからです。
伝言ゲームをやると、内容が面白いように変化する例を見ると良く分かりますね。
その2-話題に対する意識の差
そして、もう1つ忘れてはならないのが意識の差に起因する食い違いです。
どんな人でも、価値観や考え方は違いますから、物事に対する重要度や優先度にも差がでます。
そして、会話の対象となる話題に関する意識にも差があって当然です。
もし、話し手がその話題に関してとても重要だと考えていても、聞き手が重要ではないという意識を持っていると、伝えた内容がしっかり伝わらない原因になります。
聞き手が、軽く聞き流してしまって記憶に残らないケースが、この典型と言えます。
思わぬトラブルにも発展する
このような食い違いは、双方のちょっとした言葉表現や意識の差により、ひんぱんに発生します。
しかし、ビジネスの場で、「言った」、「言わない」などの食い違いがあると、業務上のミスにつながります。
下手をすると、思わぬトラブルに発展して、企業の業績に悪影響を及ぼすだけでなく、会社の経営そのものに関わる場合すらあります。
従って、「言った」「言わない」などの行き違いを防止することは、ビジネスの上でとても大事なことです。
更に言えば、これはビジネスに限らず、友人、恋人、夫婦間のコミュニケーションにおいても重要です。
それは、安易に考えてしまうと、喧嘩やクレームなどの大きなトラブルに発展しかねないからです。
話の内容次第では、離婚や裁判に到るケースすらもあるくらいですから、いらぬ食い違いなどは生じないように注意しましょう。
伝達した内容の確認が大切
では、実際にどのような注意したらよいでしょう。
言葉でやり取りしようとすると、上記のような食い違いは、ある意味、不可避なことでもあります。
そこで大事なことは、一方的に伝えるのではなく、言葉のキャッチボールをして、相手に自分の意図が伝わったかどうかを「必ず確認すること」です。
たった、ひと言添えて相手に確認するだけで、伝わり方が全然違うのです。
仮にそれが仕事上、とても大事な事柄であれば、単なる確認だけではなく、後々間違いが起きないように、書類やメール等で記録を取る事も重要です。
具体的には、メールで理解した旨や承諾した旨を返信してもらったり、依頼承諾書なる書類にサインをして貰ったりするのです。
その際、曖昧な表現や誤解を招くような表現は避け、より具体的な記述内容にしておくように心掛けましょう。
また、これはビジネス以外のプライベートなどでも同様です。
メールなりSNSなりで相手に返信を求め、相手がしっかり認識しているかどうかを確認するのです。
特に重要となる事項については、画面コピーなどを保存しておくことも有用ですね。
伝達後のコミュニケーションも重要
さて、伝達した内容の確認が重要なことは理解して貰えたと思いますが、伝達後のコミュニケーションも重要です。
ビジネスで言えば進捗報告がこれに該当します。
例えば、何かを依頼したのであれば、その期日を迎える前に何度か経過報告や進捗報告を求め、意図通りに遂行しているかを確認することが大事です。
期日が曖昧な事柄であっても、その後の状況を伺ったりしておけば、本当に伝わっているかを再確認することが出来ます。
兎にも角にも大事なことは、ほうれんそう(報連相)いわゆる報告・連絡・相談を常に絶やさないことです。
この報連相をしっかりしておけば、仮に食い違いや行き違いがあったとしても、手遅れになる前に取り返すことができるのです。
これを疎かにすると、傷口が大きくなってしまい、取り返しがつかないことが起きるかも知れません。
このようにビジネスの世界でも人との言葉のやり取りは重要ですが、これは友達との会話や、家族間でのやり取りなど、全てに当てはまる事です。
プライベートなどでも重要だと思うことに関しては、タイミングを見計らって「あの件どうなっている?」などと確認することも大切ですね。
トラブルとなった場合の解決策
トラブルにならないためには、上記のように確認しておくことが最善策です。
しかし、実際に「言った」「言わない」の言い争いになってしまった場合は、別な解決策をとる必要があります。
解決方法としては、まず第一に、感情的にならずに話をすることです。
そして、「言った」のか「言ってない」のかを追求してはいけません。
どちらが嘘を言っているのか、その犯人捜しをしても、何ら解決につながらないからです。
双方の主張が「言った」と「言わない」の真逆であり、文章や記録が残っていない以上、犯人は見つかりません。
仮に見つかったところで、コミュニケーションの不備によって双方の伝達が上手くいっていなかった事実は変わりません。
犯人捜しは、お互いの感情を逆なでして状況をますます悪化させるだけで、何も解決しないのです。
そこには、伝達が上手くいっていなかったことから生じた、本来解決すべき問題があり、それと向き合うことこそが大切です。
例えば、業務でミスを起こしたのなら、ミスをした原因(犯人)を追求するのではなく、そのミスを取り返す方法を考えるべきです。
犯人探しと言うマイナスの思考をプラスに変え、
「生じた問題をこれから如何に改善して行くか」
について前向きに話し合うことが重要です。
犯人捜しは、変えられない過去を見ている非生産的な行為で、何も解決してくれません。
生じた問題に真正面から向き合い、今置かれている状況で改善策を模索することこそが未来を見つめた生産的で最も有効な解決方法と言えます。
以上のように、解決策で重要なのは、感情的にならず、犯人捜しをせずに、解決すべき問題に前向きに取り組むことです。
「伝えたは伝わったでは無い」を常に意識して、人と人とのコミュニケーションを円滑にして行きたいですね。